2022.4.25

2021年度 鷲崎ゼミ活動報告

教員からのご挨拶

 またも年度内に間に合いませんでしたが、昨年度のゼミ活動の報告を行います。7年目を迎えた本ゼミは、各学年でそれぞれ現地調査(フィールドワーク、以下「FW」)を計画し、告知し、ゲスト参加者も積極的に迎え入れております。
 今年は、言い訳めいた話からで恐縮なのですが、2月に私が骨折してしまい、計画していた恒例の歩き旅も中止となりました。また、春休みのタイミングで、大学ではシステムの入れ替えが行われ、その際に保存していたデータがしばらく取り出せない状態になってしまい、そんな状態で、雪崩のように新年度を迎え、この、年に一度更新する記事も遅くなってしまいました。
 ゼミ活動を振り返ると、あいかわらずコロナ禍で、緊張しながら動いた一年間でしたが、ゼミについては大学も対面で行うことを基本としており、ほぼ例年通りの活動量に戻すことができました。前期(4~9月)は映画作品の舞台を巡るミニツアーを組んで〈作品観光〉研究を行い、後期(10~3月)は特殊な観光資源をもつまちに出向いて〈テーマ観光〉研究の現地調査を行っております。
 まず、作品観光研究として、7月に映画「フォルトゥナの瞳」の舞台を巡るまちあるきプランを作り、神戸周辺をガイドしながら歩きました。10月には「本能寺ホテル」の舞台巡りを行いました。写真は、作中に登場する金平糖のお店、緑寿庵清水さんの前で、記念撮影をしたときのものです。
 後期のテーマ観光研究では、今年は、もみじと滝で有名な大阪府箕面市を訪れました。箕面には、ほかにも観光資源があるので、それらを活用するためには、どのようにしたらよいかを研究室のみなで考えました。2回生は、広島まで足を延ばし、宮島でFWを行いました。
 また今年から、新たな試みとして、動画の制作も始めてみました。作品観光では、ガイドツアーの宣伝動画と記録動画、テーマ観光では、そのまちのPR動画を試作いたしました。

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映画「フォルトゥナの瞳」舞台探訪—神戸まちあるき 21/07/10

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映画「本能寺ホテル」舞台探訪—京都まちあるき 21/10/24

 昨々年度(2020)は、コロナの影響で一つの作品しかできませんでしたが、例年、作品観光のツアーは夏と秋とで、それぞれ行います。昨年度(2021)は、コロナの感染状況が落ち着いたことで、例年どおり、秋にも実施することができました。
 本ゼミでは、このような企画を組むにあたり、しばしば作品選考の基準を聞かれることがありますが、私はとくに指定せず、学生が「これでやりたい」とプレゼンしてくれれば、あとはゼミ生間での相互評価いで決まります。この『本能寺ホテル』は、毎年のように、候補に挙がっておりましたが、ようやくこの秋に、舞台巡りを実施することができました。
 『本能寺ホテル』は、2017年に公開された映画で、昨年舞台巡りをした『プリンセストヨトミ』と同じく鈴木雅之が監督、綾瀬はるか・堤真一が再び主演した作品です。タイムスリップして戦国時代を行き来するという設定も『プリンセストヨトミ』に近いものがあります。
 まず初めに案内してくれた東福寺は、お庭が大変綺麗なお寺で、作中では、不思議なホテルのエレベーターから降りた繭子が、戦国時代の森蘭丸と出会った場所がここでした。京都駅からわずか一駅という立地でありながら、広大な境内には観るものも多く、またちょうど紅葉が色づいたころで、たいへん満足しました。ツアーづくりは構成がかなり重要なので、この<つかみ>はまさにOKと思いました。
 ただ、ここがあまりに良かったので、少々長居してしまったのと、そのあとに立ち寄った錦市場でもスムーズに食べ歩きができず、予定に組み込んでいた本能寺を飛ばさざるを得なかったのは残念でした。今回は、ゲスト参加者も非常に多く、また日曜日ということもあってどこも混雑もしており、休憩もままならず、コース管理という点で、課題が残る実践となりました。もちろん、このような経験が大変貴重なので、ゼミ生諸君には、ぜひ今後の活躍の糧にしてもらいたく思います。準備から、いろいろと大変でしたが、ともかく、ホスト役をしてくれたゼミ生のみなさんは、お疲れ様でした。
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テーマ観光「特色ある観光資源をもつまち」現地調査
大阪府箕面市で新たな魅力を探る 21/12/04

 3回生の〈テーマ観光〉のフィールドワークです。表題のとおり、特色ある観光資源をもつまちとして、古くから紅葉と滝が有名な「大阪府箕面市」に、みなで現地調査に入りました。ただし、紅葉と滝を特色ある観光資源として考えるのはあまりにも知られすぎておりますので、それ以外に、箕面でしか楽しめないものを探ることにしました。事前調査では、ゆずと地ビールに力を入れているように窺えましたので、その点についても、現地で確認が必要です。ちなみに、箕面のゆるキャラは「滝ノ道 ゆずる」君です。
 まずは、駅前の観光案内所にお邪魔して、事前に準備していた質問をさせていただきました。いわゆるヒアリング調査です。学生たちは、コロナ禍での観光客の増減や、外国人観光客の動向などに関心があるようでした。新たな情報として、ハイキングが推されているとの情報を得、まずは滝方面へ歩くことにしました。
 12月の紅葉シーズンでしたので、とにかく人手は多いように感じましたが、それでもコロナ禍以前には程遠いというお話でした。途中で、食べ歩きなども楽しみつつ、売店では、なぜ地ビールを売り出すようになったのかなどのお話も伺うことができました。残念ながら、ゆずを扱うお店はお休みでしたが、地ビールについては、少し登った先でも多く売られているのを見かけました。すこし試飲させていただきましたが、いわゆる市販のビールとはまったく味わいが異なり、フルーティーな香りを楽しめるものもありました。ハイキングについては、通常の滝へのルートとは異なり、たぶんあの道なのだろうと視認はできたものの、実施している人がとても多いというわけではなさそうでしたので、たしかにまだPRする余地があるように感じました。そこに新たな箕面の魅力が見つけられるようにも感じました。
 後日、ゼミの授業では、フィールドワークを振り返り、まちの評価できる点と改善が必要な点を話し合い、報告資料にまとめ、また試みとして、まちのPRも兼ねた記録動画も作成してみました。
 地元の方々、お忙しい時節にもかかわらずご協力いただき、本当にありがとうございました。
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2回生テーマ観光「特色ある観光資源をもつまち」現地調査
しゃもじのまち「広島県宮島」 22/04/06

 例年、春休みには2回生が初めてのフィールドワークに出ます。今年の2回生は、コロナの影響で1回生のときから遠隔授業ばかりでしたので、FWも近場ではなく、遠くに行きたいという声が多かったです。そこで、北海道や長崎という話も出ましたが、今回は、いわゆる名勝の観光地としてではなく、しゃもじのまちとして宮島を見直してみるとどうかということになり、新幹線で広島に向かいました。大学の許可も下りて、久しぶりに宿泊でのFWです。
 宮島にはもちろんフェリーに乗って上陸しますが、観光案内所は本州側にも島側にもあります。私は十年ほど前に、家族旅行で宮島を訪れたことがありますが、そのときとはがらりと変わって、本州側のフェリー乗り場はすっかり改装されておりました。まずは、学生を連れて、こちらの観光案内所でお話を伺うことにしました。
 ここでも予め用意した質問を、あまり大勢でお邪魔にならないように、代表の学生を立てて尋ねさせていただきました。インターネットで調べたところでは、こちらの観光案内所の方は親切だとの評判がありましたが、ほんとうにその通りで、(※各地どこに行っても、もちろん観光案内所はたいへん親切ですが…)、しゃもじのまちとなった背景についても丁寧に教えてくださりました。近年は、コロナ禍で観光客の数自体は減ったものの、このときは県民割が利用できたため、多くの広島県民が桜を見に、泊りで訪れているとのことでした。ちなみに、こちらの観光案内所のデスクはしゃもじ型になっているそうで、いつの日か宮島にいらした際にはぜひ注意してご覧になってください。また、厳島神社の満潮の時刻表も木製のしゃもじで表示されており、しゃもじがたいへんオシャレな使い方をされていました。
 島に移動してからは、まちのいたる所にあるしゃもじをチェック。おみやげはもちろん、情報板やオブジェとしても使われており、まちを彩る存在であることが分かりました。せっかく宮島に来たので、厳島神社にもお参りし、最後にこの日は、しゃもじづくりの体験をしに、宮島伝統産業会館を訪れました。学生みながオリジナルのしゃもじを楽しく作り、それぞれおうちに持ち帰りました。コロナ禍前には、こちらには、多くの外国人観光客が訪れていたそうで、さまざまな言語のサインが残されていました。このように、日本らしいお土産を、手軽に作れる場所は貴重なので、また以前のように賑やかな日々が戻ることを切に願っております。
 宮島でのFWは、ここで終了しましたが、市内に宿泊した私と学生たちは、翌日に広島城や平和公園などを訪れました。別々の宿舎に泊まりましたが、あとで聞いたところによると、学生たちは感染対策に十分配慮しながら、カレーなどを自炊して、一夜を楽しんだようです。もちろん、みな無事に大阪に帰り、ゼミでは目下、報告資料やPR動画づくりに励んでおります。きっと素晴らしいものをまとめてくれることでしょう。
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おわりに—卒業式 21/03/19

 今年は6期生を送り出しました。マスクを着けて撮った写真もあるのですが、せっかくなので、撮る瞬間だけ、マスクを外させてもらった写真を載せます。
 この代は、ゼミがもっとも活性化する3回生の時期にコロナとぶつかり、FWも中止になったり、規模を縮小したりして、すこし寂しい思いをさせてしまいました。とはいえ、減った分だけ、ひとつひとつの思い出は濃厚になった気もします。みな素直な良い学生ばかりでした。写真を見てのとおり、私が不注意でケガをしてしまい、今年は彼らの最後のFWであった歩き旅まで中止にしてしまい、それは本当に申し訳なく思っています。
 この代の学生と次の代の学生とは、仕方がないこととはいえ、酒席はもちろん、まともに会食さえしたことがありません。だから、卒業式の日に約束した、コロナが落ち着いたらみんなで集まろう、という日が早く来ることを心より願っています。卒業おめでとう!社会に出て、ゼミで学んだことをたくさん活かしてください!