教員からのご挨拶

 本年も年度内に間に合いませんでしたが、昨年度のゼミ活動の報告を行いたいと思います。着任2年目で、今年はあらたに多くのゼミ生が参加しております。昨年度は、有川浩「阪急電車」の舞台を巡る街歩きプランを作り、参加者を募りました。丁寧に作品のポイントを押さえながら、巡る場所を設定しました。その結果、作品を読んだ学生も、観た学生も楽しめるプランができましたので、連れられた新ゼミ生たちは、大変参考になったのではないかと思います。
 また、春休みには、新ゼミ生たちが、昔の旅の再現ということで、大阪から歩きでの伊勢参りを企画、実行しました。歩き旅は、計画の段階からさまざまな困難とぶつかります。当初はこの春だけで伊勢に辿り着く予定でしたが、1日の歩行距離、休憩所、宿の手配などさまざまな見通しが立たないことから、今回は半分までとなりました。そして、いざ敢行してみると、まさしく山あり谷あり、おまけに大雨もあり、ということで、3日で80kmの道のりは、やはり楽しく苦しいものでした。このようなフィールドワークは、うまく行かなかったことのほうが本当に財産です。来春は、今回先送りした後半戦を行います。今年浮き彫りになった課題をクリアしつつ、来春こそ、私を伊勢に連れていってくれる、と心待ちにしてます。

有川浩「阪急電車」の舞台を巡る
—国際観光学部3年西山和貴

 11月15日に、私たち鷲崎ゼミ三回生は、有川浩さんが原作の小説、映画「阪急電車」の舞台となった阪急今津線とその沿線である兵庫県宝塚市と西宮市でフィールドワーク(町歩き)を行いました。今回のフィールドワークは、ただ単に舞台となった場所を巡るだけでなく、ルート作成から参加者を募り、参加者を案内するというツアーを想定して行いました。  フィールドワークに向けて、前期のゼミの時間から小説を読み、映画を観て、作品の内容、登場する場所や見どころをプレゼンテーションにして発表するなど、ゼミ生同士で意見を交換し合いました。そして発表したことを元にしてゼミ生各自で現地に下見に行って確認するなど準備を重ね、フィールドワークでのルートの設定、行程や作品の内容を示した、しおりやフィールドワークに参加してのアンケートの作成を行い当日に備えました。そして当日は、二回生も町歩きツアーの参加者という形で参加してもらい、三回生が二回生を案内しました。阪急今津線の宝塚駅に集合し、宝塚ホテル、小林の町並み、仁川、関西学院、門戸厄神、西宮北口の順番に「阪急電車」の作品の舞台となった町を作品の内容や登場シーンについての解説を交えながら巡りました。

参加した二回生もゼミの時間に映画の「阪急電車」を観ており、映画で登場した場所に行くと三回生の解説を聞きながらも映画と同じアングルからカメラを構えて写真を撮ったりと、作品の世界観に入り込んでいるように感じました。
 鷲崎ゼミでは、昨年の結成時から、作品とその舞台となった町の観光について研究し、アニメで町おこしを行っている町でのフィールドワークや実際に町おこしに携わっている方にインタビューを通して、「町おこしの現場」を見てきました。今回、実際に自分たちでツアーを組み立ててみると町の魅力はもちろんですが、物語の舞台となった町としての魅力や作品の魅力を上手く参加者に伝えなければならないと感じました。

作品「阪急電車」の世界に連れられて
—国際観光学部2年浦川大輝・榎本涼太

 今回3回生が研究をしていた作品、有川浩の阪急電車の舞台である兵庫県宝塚市を訪れた。この作品については、事前学習として映画鑑賞をしていた。集合場所は作品の始まりでもある阪急宝塚駅だ。ここから先輩たちが各々担当した区間を作品と絡めて案内してくれた。  小説では深く関わり説明されているが、映画ではエンディングでしか出てこなかった、武庫川の「生」の字のモニュメント、主人公・翔子の人生の再スタート地点である小林駅、女子高生・悦子が目指した関西学院など、作品と深く関わる場を訪れることができた。  今回のFWで作品の舞台を訪れることは感動を生むことだと感じた。作品と観光を結びつけることで作品の魅力と地域の魅力を伝えることができる可能性を実感した。

 11月15日、僕たちは先輩の方々と先生と一緒にFWを行いました。行先は阪急電車の今津線沿線。目的は映画「阪急電車」のあらすじを見て阪急電車の世界を実際に体験しようというところから始まりました。物語の始まりは、宝塚駅。僕たちもそこからスタートしました。映画を見た僕たちには物語のシーンをよく想像することができ、実際にでてきた映画のシーンを再現している生徒もいて、いろんな体験をしました。
 当日に初対面する先輩方もいましたが気をつかわず接してくれて助かりました。来年は下級生が入りたいと思えるようなゼミに、自分たちが作っていきたいです。

大阪から歩く伊勢参りの旅(初日、大阪~木津川編)
—国際観光学部2年川原義惟

 3月1日火曜日、大阪府にある玉造稲荷神社から京都府の山田川駅まで約30キロの道のりを歩いて行きました。
 朝、8時30分に玉造稲荷神社に現地集合、そして無事に旅が終われるようにお祈りしてから出発しました。初めは、和気あいあいと楽しく歩き始め、出発地点から数キロ先の第1休憩ポイントで朝食を取ったり水分補給をしたり軽くリラックスしました。そして、そこから6キロ先の第2休憩ポイント、イオンモール鶴見緑地店へ歩き始めました。地面は塗装されていて比較的に歩きやすい道でした。また、周りの建物や雰囲気も見飽きることがないので気持ちよく歩けました。第2休憩ポイント到着し30分休憩後、再び歩き始めました。次の休憩ポイントまでは距離が長く、7キロ弱ありました。昼食の時間も近き、空腹と闘いながらやっとの思いで休憩ポイントにつき、昼食にたどり着くことが出来ました。

 お腹を満たした後、すぐにまた歩き始めました。ここからが修羅場です。生駒山を下るまでは休憩場所がないことです。また、坂道や足場の悪い所がある点です。全員で16名なので団体で行動する大変さを感じることができました。
 山を越えた後は比較的なだらかな道を歩くのみでした。景観は田畑ばかりで見飽きるほどでした。そしていくつかの休憩ポイントを回った後、最終休憩ポイントイオンモール奈良登美ヶ丘駅で休憩とり、ゴールの山田川駅まで歩きました。18時くらいに全員無事に目的地に到着しました。
 今回の旅で旅程を計画する難しさを学ぶことが出来ました。

大阪から歩く伊勢参りの旅(2日目、木津川~伊賀上野編)
—国際観光学部2年横尾歩美

 今回は3月8日~9日にかけて行われた、お伊勢参り企画第2週目の1日目について書かせていただきます。
 まずは、みんなで前回のゴール地点だった京都府の「山田川駅」に集合し、先生の車に荷物を積み込んで出発です!1人の女子学生が手にもっている、【ひしゃく】。「持って歩いているとすれ違った人に何かもらえるのでは?」と先生がもってきたのですが、果たしてもらえるのでしょうか。
 最初は山田川駅からJR加茂駅までみなで歩き、加茂駅周辺で昼食。昼食後は男女に別れ、男子組は加茂駅から月ヶ瀬駅までの約20km、女子組は電車で月ヶ瀬駅まで行きそこから1日目のゴール、西大手駅までの約15kmを歩きました。別行動をとった理由は、この辺りが山間部で、歩道がない割に交通量が多く、集団で歩くのは危険という判断からです。とくに危険な前半部を少数の男子に歩いてもらいました。

 男子組は先ほどの【ひしゃく】を持って歩き、有市国津神社で一旦休憩。この後、笠置トンネルや南山城村を歩きました。やはり全体的に歩道の幅が狭かったらしく、大きなトラックに気を付けながら歩いていたと話してくれました。こちら女子組は、月ヶ瀬駅から大和街道を歩いている途中でスタンプラリーを発見。この後に休憩で立ち寄った島ヶ原のお店では、地元の方に次の目的地までの近道を教えてもらいました。  また、今回はこの日のゴールである西大手駅から少し戻り、JR笠置駅周辺にある「料理旅館 松本亭」という旅館で1泊お世話になりました。晩ご飯は豚しゃぶ!みんなでお鍋を囲み、たくさん食べてたくさん喋って、ゼミメンバーの絆が深まったのではないかと感じました。

大阪から歩く伊勢参りの旅(3日目、伊賀上野~青山高原編)
—国際観光学部2年芦田希新

 3月9日水曜日、この日は伊賀上津駅まで行く予定だったのですが…。
 あいにくの雨。体力的なことを考えてこの日のゴールを青山町駅に設定し直します。解ってはいたことなのですが、改めて雨の中で長距離を歩くと思うと悲壮感が漂ってしまいます。それでも気を取り直して出発!出発時のトラブルで出遅れた女子グループは宿から伊賀鉄道で猪田道駅まで、男子グループは前日の終点西大手駅から猪田道駅まで4kmをまず徒歩で向かいます。
 私は男子グループなので、徒歩ルートの感想を。
 午前8時半頃西大手駅を出発、そして10分程でまず靴の中が水没…。一気にモチベーションが下がっていきました。途中で見つけたキリン堂で休憩を入れつつ、寒さに震えながら歩くこと1時間ほどで猪田道駅に到着。ここで女子グループと合流しました。

 ここからは全員で3Km離れた依那古駅まで歩きます。初めはワイワイ楽しく歩けていましたが、ものの数分で沈黙状態に…。雨脚も次第に強くなり、雨宿りを挟みながら50分程で依那古駅に到着。ほぼ満身創痍状態の中ここで先生と合流します。駅の近くの農協で小休止を挟んで気合を入れ直し出発!ここからは青山町駅まで6.5Km田舎道を歩き続けます。歩くこと30分、山間部に突入。地面のコンディションは雨のせいで最悪でした。おまけに大量の不法投棄も発見し気分も最悪、不満が思わず漏れ出してしまうような道のりでした。
 親切な工場の方々にお手洗いをお借りして歩き続けること1時間、ついに山間部脱出。そこからは雨脚も弱まり、最後の力を振り絞って歩くこと15分、とうとう青山町駅に到着!泣きそうになりました。備えなければ憂いあり。なかなか苦しい一日でしたが、次の旅に向けての良い教訓になりました。

1年間を振り返って
—担当教員からの一言

 こうして振り返ると、なんとなくゼミの形が見えた1年だったのかなと思います。作品の舞台を巡る活動と、フィールドワークの原点である「歩き」に焦点を当てた活動、これに現代文化をテーマにした街あるき計画を加えた3本柱が、このゼミの軸になるのかなと思います、また、ゼミとしては一人のドロップアウトも出さず、無事全員が進級できました。いろいろ課題にぶつかりながらも、楽しんでやっておりますし、ともに成長できているのだと思います。  それにしても、フィールドワークのたびに天気を気にしていた記憶が…。私が雨男かどうかは、次回の活動報告ではっきりするかもしれません。  来春には、伊勢参りのつづきを行います。計画はゼミ生が立てておりますので、興味のある方、ぜひご一緒しましょう。