2015.2.27

清水ゼミ「地域住民との会議に参加して —北船場プロジェクト-」

清水ゼミ「地域住民との会議に参加して —北船場プロジェクト−」

 レトロモダンな近代建築が魅力的な大阪市の北船場エリアにて、大阪市が主導して観光魅力向上のための歴史・文化的まちなみ創出事業が行われています。その検討を目的とした地域の住民が集う会議に清水ゼミの学生が参加し、ビジター増加の視点から提案を行いました。この提案を発表するために、学生たちは何度もフィールドワークを実施しました。以下、発表を行った学生のレポートです。

「学生目線から北船場地区へのイメージ調査の報告を行って」 3年生 山本歩

 去る12月8日(月)、清水ゼミの2回生と3回生は芝川ビルで行われた船場地区の観光魅力部会で発表・提案を行いました。今回の部会で発表することになった経緯ですが、清水先生がこのプロジェクトに関わっておられ、学生がこのエリアに持つイメージを知りたいと市から依頼されたことに始まります。そこで9月に大阪市の担当者と学生で現地を訪問し、調査を行いました。そこで12月までにさらに調査をして、ビジターを迎えるためにどのような準備をしたらよいのかという提案をすることになりました。まちづくりを促進するために北船場地区の問題点を挙げ、考えを聞いてもらうということです。
 この部会で3年のゼミ生は、北船場地区の基本情報とイメージ調査のプレゼンテーションをしました。事前に北船場地区の平日の昼間と夜間、休日の昼間と夜間の4つの視点からイメージ調査を行いました。イメージ調査の結果として、北船場地区には4つの顔があることが分かりました。平日の昼間は、オフィスが立ち並んでいることから会社員の姿が多く見受けられます。一方、平日の夜間はオフィス周辺にある飲食店へ会社員が出入りしており、「大人の街」という印象を受けました。そして、休日の昼間は、平日の昼間とは印象が変わり女性の姿が目立ちました。ショッピングやカフェで過ごし楽しめる環境がふんだんにあると分かりました。休日の夜間は、街灯が設置されていない通りでは人気がなく薄暗いため、特に私たち女性としては居づらかったです。

 さらに11月の開催された北船場地区で行われていた「船場博覧会2014」にも参加し、このエリアでどのような集客イベントが実施されているのかの調査も行いました。このイベントで実行委員長の池田氏やイベントの参加者に直接お話を伺うことができました。特に秋には、「船場を遊ぼう!」や「船場まつり」といったイベントが多く開催されています。北船場地区がもつ、来訪者を誘致する魅力を実感するよい機会となりました。
 9月からの4か月間、北船場地区に合計6回のフィールドワークを実施しました。部会内では、イメージ調査の結果を平日の昼間と夜間、休日の昼間と夜間と比較しながら話したことでイメージの内容を分かりやすく伝えられたと思います。4つの視点でイメージを話すことで、北船場地区の強みと弱みも同時に分かっていただけたのではと感じました。
 限られた時間の中で、北船場地区の基本情報と北船場地区のイメージ調査結果を伝えることは困難でした。しかし、プレゼンテーション後に多くの質問や感想をいただきました。北船場地区をフィールドに研究する私たちにとって、北船場地区の知識不足も指摘され、何度もまちを歩いたものの、地域の方々の意見をほとんど聞けていなかったと感じました。研究を進めるうえでの参考にし、これからも北船場地区に関わっていきたいと思います。

「北船場のプロジェクトに参加して」 2年生 西澤明広

 12月8日に北船場の将来について話し合う会議に、清水ゼミの3年生2人と2年生14人でプレゼンテーションを行いました。この北船場プロジェクトは、北船場が電柱の地中化や様々なハード面の強化を進めていき、さらに魅力的な街にしていくことを目的としています。
 今回の私たちの目的は自分たちで北船場という街を歩き、イメージ調査の結果から、北船場がより良くなるような提案をすることです。主に4つの具体的な提案をしましたが、そのひとつが色システムというアイデアです。色システムとは北船場の各道路に色の線を引き、また道沿いの街灯やリボンをつけるというものです。なぜこれを提案したかというと、北船場はビジネス街で似かよった風景が並んでいることから、歩いていて今自分がどこにいるかが分からなくなるということが起こりました。そこから色システムを道と地図に加えることで、迷う心配を限りなくゼロにしようと考えました。
 色システムのもう一つの利点は、海外の観光客のために言葉に頼らずすぐに理解できる「色」を用いることで、老若男女、外国人問わず誰でも自力で歩け、案内をするにしても簡単にできる点です。
 他にも北船場は近代建築や適塾といった芸術的な建物があることから、芸術の面でも提案をしました。内容は芸術家の卵たちに自分の作品を売る場を提供するということです。というのも北船場は条例で歩道が広く設置されており、それらの空間を有効利用できると考えたからです。
 このプロジェクトの準備は今年の夏から始まりました。私たち2年生14人はチームごとに分かれて、数十回ものフィールドワークを行いました。私たちはフィールドワークの一つとして船場博覧会や神農祭、芝川市などたくさんのイベントにも参加しました。神農祭はとても賑やかで、ゆるキャラもたくさんいて、フィールドワークのはずがつい楽しんでしまいました。フィールドワークで集まった情報を資料班、パワーポイント班の2班に分かれて整理を行いました。2年生14人と3年生2人という大人数でのプロジェクトは初めてだったので、かなりとまどいました。報告・連絡・相談が大切と言いますが、今回それが大切だと強く感じました。しかし大変だった分、14人が自分に与えられた仕事を、各自が責任感を持ち遂行したので、どうにか発表までに間に合わせることができました。グループワークには協調性が不可欠であることを学びました。
 発表当日は15時に芝川ビルに集合し、16時頃からプレゼンテーションを行いました。当日は全員スーツを着用で参加しました。普段着なれないスーツを着たこともあり、多少の緊張感を持ちながらプレゼンテーションを行いました。今回は北船場に深く携わっている方々を目の前にしていたので、胸を借りるつもりで自分たちの提案を発表しました。
 発表後、ほんとうに多くのアドバイスをいただきました。その中のひとつとして、経済的な面を考えてもらいたかったというコメントをいただきました。私たちは新しいアイデアを出すことに必死で経済面まで頭が回らなかったので、指摘していただいて気づくことができました。自分たちがまだまだ未熟であると改めて学んだ場でした。今回の発表は本当に良い経験でした。今後のゼミ活動に生かせるようにしていきたいです。

「北船場プロジェクトを振り返って」 2回生 松宮勲旺

 12月、淀屋橋の芝川ビルで行われた、船場地区の電線地中化に伴った道路整備や観光地化に向けた施策を考えていく会議に、2回生12人、3回生2人の計14人で参加し、北船場エリアに対するイメージや観光化に向けた提案をさせていただきました。これは清水先生が携わっておられる3年がかりの長期プロジェクトです。大阪市観光局の方からの「電線地中化に伴った整備案や観光地化に向けて学生目線からの斬新なアイデアやイメージ」を聞きたいというゼミ生への協力要請もいただいたのでこのプロジェクトに9月前半から関わらせていただきました。
 最初は北船場地区のことを全くといっていいほど知らなかったため、数チームに分かれ約20回フィールドワークを行いました。フィールドワークを通じて北船場にも魅力的な観光資源があることや、北船場で行われている数々の行事のことを知り、更に参加することにより地域の方の思いや北船場地区のこれからの未来像を理解することができました。発表ではこの地域の方の思いや未来像に沿った上で新しいアイデアも提案できたと思っています。3回生の2人と私を含む2回生2人の計4人で発表したのですが、学外の方や大阪市の方に聞いていただき、意見もいただくことができ貴重な経験になったと思っています。発表を終えて、「おもしろいアイデアだと思う」などと褒めていただけたりもして、とても達成感をえることができました。
 しかし、発表に至るまではいろんな苦労がありました。はじめのほうはチームごとの進捗状況に差が出すぎ、それを補うために一部のメンバーに負担が集中したり、発表資料も何度も練り直したり、また意見の衝突もありました。そういった理由からプロジェクトの進め方を変更し、フィールドワークでメンバー同士の交流の機会を増やすことで、徐々にみんな近い意識でプロジェクトに取り組めるようになり、お互いを理解し補いあうことができるようになりました。今回私はこのプロジェクトのサブリーダーを務めましたが、人をまとめることの大変さと重要さ、お互いを気にかけ補い合うことのできるチームワークの大切さなどを理解することができ、私を成長させるとてもいい経験になりました。振り返るとフィールドワークや資料作りを通して、ゼミ生みんなが成長できたプロジェクトだったと思っています。
 これからも物怖じすることなく大きなことにもチャレンジしていき、自分を成長させるチャンスをどんどんつかんでいきたいと思います。