2月4日、今年で14回目を迎える大阪市内のギャラリー巡りアートイベント「FESTART」に清水ゼミの3年生11名が参加しました。待望の大阪中之島美術館が2月2日に開館し、「FESTART」に24ものギャラリーが参加されており、アートの機運の高まりを実感するツアーになりました。
訪問したのは、「KAZE ART PLANNING」、「GALLERY SUN FOREST」、「ギャラリー・プチフォルム」、「ぎゃらりーZEN」の4ギャラリーで、うち2ギャラリーでは作家の方々と直接お会いでき、作品が作成された背景などを聞くことができ、充実したツアーになりました。
 「アートと観光」、近年さまざまな芸術祭などが評価されてきていることから、その魅力や意義が浸透してきています。都市観光においても「アートと観光」の現状と可能性を学生たちが学ぶ貴重な機会になりました。ご協力くださったギャラリーの皆様に心よりお礼を申し上げます。以下、参加学生の報告です。
(清水苗穂子)

「芸術の可能性」

清水ゼミ 3年生 淋 多佳蘭

 2月4日(金曜日)にゼミの活動としてフェスタアート大阪2022に参加しました。私たちが訪れたギャラリーは4つです。
 1つ目は赤松亜美展に行きました。赤松亜美さんの作品の特徴は、白を背景に水彩や墨を使った柔らかいアートです。狭い一室の作品展とはいえ、淡い色が使われているため、どこかふんわりとした空気感を感じられました。今回巡ったギャラリーの中で個人的に1番好きな作品展でした。
 2つ目は古屋絵菜さんの作品展に行きました。古谷絵菜さんの作品の特徴は、ろうけつ染めというろうそくを使ったアートです。花をモチーフとしており、代表作であるNHKの大河ドラマ「八重の桜」やハーゲンダッツのカップのパッケージにもアートが起用されていました。帰り際に蓮が描かれたポストカードをいただきました。また、作品展に使われている会場が「大阪の中心部にありながら、大塀造の町家の景観を残している」という理由で登録文化財であったことも興味深かったです。
 3つ目は陣内敦作品展に行きました。陣内敦さんの作品の特徴は、子どもの頃の記憶を思い出させるような昔ながらの遊びをテーマとし、大学生の私ですらどこか懐かしさを感じられました。作品は1年かけて40点作られたそうで、大きい作品から小さい作品までさまざまにありました。その中でも私が1番印象に残っている作品は、5枚板で作られた「トロルのうたた寝」です。5枚の板を組み合わせて1つの作品にする想像力とアクリル絵具やパステルカラーの色合いが印象的でした。また、色の付いた板を何枚か重ねることで、彫ったところからさまざまな色味が現れてくるところがこの作品の面白いところだと思いました。
 4つ目は赤穂緞通工房に行きました。赤穂緞通は、中国をルーツとする厚手の織物で、伝技術なくして作られないものです。緞通1つ1つの模様が異なり、時間がかかりそうな大きな作品ですが、伝統的であるからこそそこに価値と魅力を感じられました。
 今回4つのギャラリーを巡ってみて、どのアートも被ることなく特徴があってその特徴が作品の良さとして表現されていました。作者が異なるだけでこんなにも作品に違いが表現されるとは驚きました。また、近年では海外の人が日本のアートを買うためにわざわざ日本に来ることも少なくないそうです。海外に比べると日本のアートは安くて良いものが多いという理由からか、インバウンド効果も期待できそうです。これらの面からも、芸術は無限大の可能性を秘めていると感じました。私は、あまり絵を描くことが得意ではありませんが、作品見たり触れたりすることが好きだということに気づけました。今回のギャラリー巡りを機会に様々なアートに触れてみたいと思います。

「私が感じたアート」

清水ゼミ 3年生 宮本蒼衣

 2022年2月4日、私たち清水ゼミナールに所属する3回生一同は大阪中之島ギャラリーを巡るツアーに参加しました。6か所のギャラリーの作品を鑑賞することができ、その中で私が魅力に感じた作品を取り上げ、記事にしたいと思います。
 まず初めに訪れた KAZE ART PLANNING での赤松亜美さんによる「夜明けの散歩道」という作品に魅力を感じました。水彩やクレヨンを用いて青や水色で花を描き、その作品から素朴なようで可憐な様子、その中でも美しさを感じました。個展を訪れたのは初めてで、アートな空間に引き込まれ、大変興味深いものを見せていただきました。
次に訪れた GALLERY SUN FOREST では古屋絵菜さんの「花々」を媒体とした臈纈染めによる作品を観賞することができました。模様部分を臈で防染し染色する伝統的な染色法を用いてできた作品の数々に目を奪われました。日本では正倉院宝物に見られるなど、天平時代から見られる染色技法であり、現在はNHK大河ドラマの映像に使われ、ハーゲンダッツのパッケージになるなど、人々の心を豊かにしてくれています。
 そして、登録文化財になった「山野家住宅主屋及び塀」は大塀造の町家の景観を残しており、そのお庭を背景に撮影した1枚の写真がお気に入りです。※写真1 また、臈纈染めで描かれた「家菊」の作品は優美で、花ではあるが「大人っぽさ」を感じ、魅了されるものがありました。※写真2
 最後に作者である陣内敦さんの作品を見るために、ギャラリー・プチフォルムを訪れました。陣内さんが子どもの頃に思ったことを絵にしたそうで、中でも「シャボン玉とんだ」という作品が印象的でした。※写真3 今年に出展された作品で、人物を黒色にし、背景やシャボン玉を明るく描くことでよりシャボン玉が鮮やかに見えました。どこか懐かしさを感じるこの作品には見た人を前向きにし、温かい気持ちにしてくれる素敵なアートだと感じました。
 今回の大阪中之島ギャラリーツアーを通して、私たちは芸術的、感覚的な表現を見て、感性が豊かになったと思います。また、ギャラリーの近くには日本一長い商店街である天神橋筋商店街があり、雑貨屋さんや歴史ある大阪天満宮に訪れるなど、観光を楽しむことができます。ギャラリーを巡りながら観光を楽しむことは1日をより充実したものにしてくれると気づきました。アートを楽しめる空間があることで、「今度は違うギャラリーに行ってみよう」といった行動意欲がわき、観光とアートは密接にかかわると感じました。アートギャラリーに訪れる前と後では世界観が違って見えます。ぜひ多くの人にアートを体験してもらいたいなと思いました。