ゼミ生が吹田市でフットパス交流会

 11月12日(土)、塩路研究室の3年生が、吹田歴史文化まちづくり協会の拠点である吹田市浜屋敷において、吹田まち案内人の方々とともに吹田フットパス交流会を行いました。まち案内人の方々と歩いたとき、自分たちだけで歩いたときに気づいた点などを参加してくださったまち案内人の方々と意見交換しました。今回は、学生たちが交流会を通して考えたことについて報告します。

吹田市フットパス交流会を終えて
3年 田中 葉月

 11月12日に私たち阪南大学塩路ゼミの3年生と吹田歴史文化まちづくりセンター浜屋敷のまち案内人の方々と「吹田市フットパス交流会」を開催しました。2回の山田村でのフィールドワークを終えて、私たち学生が考えた良かった点や改善点、今後の課題など話し合いました。より多くの方々に山田村の魅力を感じてもらい知ってもらえるようにまち案内人の方々と意見交換をした上で、新たにフットパスのコースを提案しました。
 最初に、私たち学生の視点から山田村を歩いて感じたことを伝えました。良い点として、昔ながらの建物や道がそのまま保存されていることや、自然の豊かさ、歴史を感じることができるという部分を挙げました。改善点としては、お手洗いなどの休憩できるスペースがないことや、地図では表せないほどの複雑な道が入り組んでいる部分があり迷子になってしまうこと、案内板が少ないためせっかくの見どころを見つけにくいことなどを挙げました。提案としては、(1) 手入れのされていない公園にトイレやベンチを設置して休憩スペースとして活用することや、(2) 吹田で栽培されている慈姑(くわい)を使った料理をボランティアの方々に作って頂き、歩いている人は勿論、地域住民の方も気軽に利用できる惣菜屋などを開店し、フットパスを通して吹田の経済を活性化するということ、(3) ルートには含まれていない部分にも観光資源は多くあるので是非活用したいという3点を挙げました。まち案内人の方々のフィードバックとしては、山田村は集落であり、住民の方々は観光客に来てほしいという考えは持っていないということで、案内板や公園を整備することは難しいのではないかという意見がありました。しかし、お手洗いなどの休憩スペースの少なさやルートの外にある観光資源の活用には賛同して頂けました。
 

 これらの話し合いを踏まえた上でのルートとして、私たちのグループは途中の山田伊邪那岐神社から3コースへ分岐するルートを提案しました。1つ目は、歴史の町並みを感じながら、最終地点付近ではエキスポシティーなどの現代的商業施設などが密集するエリアへと抜ける「山田村コース~過去から現代へ~」。2つ目は、新たに提案した小野原街道と亀岡街道を歩く「岸辺コース~街道を歩く~」。3つ目も同じく、新たに提案したのはホームレス中学生で有名なお笑い芸人麒麟の田村さんが住んでいたまきふん公園や5月下旬になるとヒメボタルを見ることができる「千里緑地コース~自然を感じる~」。これら3ルートは、約5キロと比較的短い距離なので、初めてフットパスを歩く方や若者にも歩いてもらいやすいのではないかと思いました。新しい2ルートもまち案内人の方々から、実際に利用できるのではないかと言って頂きました。
 今回の交流会で、山田村の観光資源の多さに改めて気づくことができました。また、フットパスを行う上で大切になるのは、近隣住民の方々の理解とサポートです。近隣住民の方々と浜屋敷のまち案内人の方々、私たち学生達が協力し合い、山田村の魅力をもっと引き出していくことで、一人でも多くの方々に吹田の良さを知って頂きたいと思いました。

地域活性化につなげるまち歩きとは
3年生 山口 実土里

 5月に行った吹田まち歩きのルートをチームごとに提案し、久しぶりに再会したまち案内人の方々との交流を楽しみました。最初に、まち歩きをして見えてきた良かった点や悪かった点を挙げていきました。一緒に同じルートを歩いたにも関わらず、それぞれ注目するポイントは異なっていました。特に、案内人の古谷さんが良かった点として挙げていた「川沿いのカルガモ」はその存在すら気づかず、まだまだ見逃している地域の魅力があるのではないかと気づかされました。一方で、垂水神社の竹林などの景色や所々にみられる自然は、全員一致で良かった点に挙げており、フットパスをするうえで欠かせない要素であると感じました。前回のまち歩きは1日コースでかなりの距離を歩き、次第に疲れを感じたため、疲れを癒す方法はないかという話題になりました。調べ進めた結果、吹田に唯一残る温泉施設である福助温泉を発見し、ここをルートの途中に組み込むという提案がなされました。比較的古く、まち案内人の方にも知られていない温泉ということもあり、女性の視点から見ると入りづらく荷物も増えるなど、あまり良い印象を抱くことができませんでした。しかし、汗を流すことができ休憩には最適だと、男性の視点からは賛同を得ていました。ルートひとつとっても、どの世代のどういった人々をターゲットにするのかを絞る作業は欠かせないと感じました。

 最後に、模造紙にルートを掲載した地図とまち歩きのポイントをまとめました。地図には目玉となる施設や店を、カラーペンやイラストを使って特徴づけました。また、十字に矢印を書き込み、世代と時代ごとにポイントを分類する工夫を凝らしました。他のチームの発表は、それぞれに特徴がありとても興味深かったです。雨の日は傘を倒して方向を決めるという山田村チームの発想は、斬新で感心しました。子ども心を思い出すことができ、まるで冒険をしているかのような気分に浸れそうです。カフェといった地域にお金を落とす仕組みを提案していた吹田村チームの発表も魅力的でした。私たち江坂チームの発表は、所々説明が上手くできなかったことや、ルートの提案がひとつだけであったことが反省すべき点だと感じました。
 今回は地域の方々から意見を頂戴し、まちの活性化について考える貴重な時間となりました。海外調査で訪れたイギリスでのフットパスと、吹田でのまち歩きでは国が異なることの他にあらゆる面で違いを感じました。イギリスのフットパスは、突然現れる小道を進んで行く先に広がる壮大な風景を楽しむことができました。一方で、吹田のまち歩きは、まち全体に仕掛けを用意し、まちの魅力を感じながら歩くことを楽しんでもらう必要があると思いました。吹田独自の魅力を最大限に引き出し、地域活性化に生かす余地はまだまだありそうです。

若者に勧めるまち歩き
3年生 中尾 美帆

 11月12日に、吹田市フットパス交流会を行いました。吹田市の地元の方々にまち歩きを通して感じたことや考えたことを伝え、既存のまち歩きルートと私たちが考えたフットパス・ルートを比較してみました。そこで、吹田まち歩き人の丹羽さんと意見交換をしてみて、気付いたことがありました。
 それは、若者と中高年でまち歩きの目的が違うということです。私たちが1回目に歩いた既存のコースは旧西尾家住宅や神社など旧吹田村の歴史を知ることが出来るコースでした。旧吹田村の歴史を知るにはとても良いのですが、私たちにとっては少し難しい話が多かったです。実際、丹羽さんにこのコースの参加者の年齢層を尋ねたところ、65歳以上と言われました。2回目に私たちだけで歩いた時は若者でも楽しくまち歩きをすることが出来るように、休憩することが出来るカフェや商店街、公園を見つけながら歩きました。これらを踏まえて、私たちは目的別にコースを考えることにしました。既存のコースは約5キロの道のりで吹田街道を通りながら、歴史を知ることが出来る中高年向けのコースとします。私たち若者向けのコースは、旧吹田村の地域に新しくできたzutto-caféや吹田市都市景観賞を受賞している神戸屋レストランを訪れ、そこにある紅茶やお菓子を食べたり、旭通商店街を歩きながら地元の人や商店で地域の文化に触れ合ったりします。そしてゴール地点はアサヒビール吹田工場とし、まち歩きの疲れを癒すのが良いのではないかと考えました。また、今回の交流会で聞いた片山町に新しくできた吹田グリーンプレイスというショッピングモールを訪れるのもルートに入れたいと思いました。つまり、中高年の方は歴史に触れながら地域を知るという目的、若者たちは旧吹田村にある新しい文化に触れ合いながら地域の歴史も知るという目的でまち歩きを行うことが良いと考えました。

 以上のことから、旧吹田村は新しい文化と昔の文化が融合している町だということが分かりました。先に書いたように旧吹田村には最近多くのお店がオープンしています。また、吹田市にはサッカースタジアムができるなど若者を取り込むにはとても良い条件が揃っています。それだけでなく、大通りから細い道に入ると古い昔ながらの街並みが残っていて住みやすい所でもあります。現状としてまち歩きを行っているのは65歳以上の方が多いと聞いて、より一層多くの若者にも旧吹田村を知ってもらいたいと思いました。そのためにもカフェやショッピングモールを入れたまち歩きを考えたり、そこで写真を撮った若者がSNSにあげて旧吹田村のことを知ることのできる機会が増えたりすると良いのではないかと考えます。

フットパス交流会で感じたこと・得たこと
3年生 薗田 輝弥

 11月12日、吹田市浜屋敷にて吹田市フットパス交流会を行いました。今回の交流会は、吹田市まち案内人の方々に、2回ほどのまち歩きを通して感じたことなどを伝え、自分たちで考えたルートを提案し、意見をいただくことを目的として行われました。 
私は、山田村、吹田村、江坂の3つのグループの中でも、山田村のグループに属していました。まずは、グループ内でまち案内人の方と意見交換をしました。実際は、山田村と佐井寺に訪れたのですが、今回は山田村に重点を置きました。意見交換の中で出てきた内容を一部紹介します。1つ目は、は現代と昔を感じられるという点です。山田村には、安養寺や山田伊射奈岐神社、石仏群など、歴史を感じることができる場所がたくさんあります。しかし、少し道を外れるとスターバックスコーヒーやエキスポシティなど現代的な施設があり、タイムスリップしたように感じることができます。
 2つ目は、冒険をしているような感覚を味わうことができるという点です。道が細く、入り組んでいるところが多いので、歩いていると「この道を進むとどこに抜けることができるのか」「どのような見どころに出会えることができるのか」などと、冒険心が生まれてきます。私たちだけで歩いた日には小雨が降っていたため、私たちは傘を持っていました。その傘を倒して、傘の先端が向いた方へ歩いて行くようにしました。その結果、好奇心が生じた一方で、見どころを見逃してしまうということもありました。そして、迷子になってしまうという面もあります。複雑な道が多いため地図を見ても分かりにくい場所があります。そこで、案内板の設置を提案しました。しかし、案内人の方々からは、景観を損なう、地元住民の理解が必要であるという意見をいただきました。山田村は、住宅街の中に見どころがたくさんあります。住宅街を歩くということは住民に迷惑をかける可能性もあります。フットパスのルートを実現し、外から来た人々が歩けるようにするには住民の協力がないと厳しいと感じました。
 休憩所を増やすことも提案しました。今のまち歩きルートでは、公園で休憩をとるという状況です。それだけではなく、ボランティアの方でおはぎなどの軽食の販売を行うことにより、地域にお金が落ちてくるとともに、地元住民同士の交流や、まち歩きの方だけではなく通りがかりの方も利用できることから、地域活性化にも繫がると考えました。
 また、話し合いの中から新しく2つのルートも作成しました。いずれも阪急山田駅をスタート地点とし、1つは、エキスポシティを最終地とした元から考えていたコース。2つ目は、JR岸辺駅を最終地とした街道の分かれ目を知ることができるコース。3つ目は、阪急南千里駅を最終地としたホタルや緑を感じることができるコースの3つが最終的に出来上がりました。山田伊射奈岐神社を3つのコースの分岐点とし、ここで最終地が書かれたおみくじを引いてもらい、その場でゴールを知るというアイディアも出ました。
 その後、3つのグループがそれぞれ発表を行い、全体での意見交換をしました。私はこの交流会で、地元住民の理解の大切さや、提案をしても、それが現実になることが難しい可能性があるということを学びました。今回の交流会で終わるのではなく、今後も引き続き関係を保ち、この日に出たアイディアが実現されると共に、更なる発展を望んでいます。

吹田市フットパス交流会 山田村・佐井寺
3年生 舟引 千春

 11月12日(土)に吹田市浜屋敷にてフットパス交流会が開催されました。私たち山田村・佐井寺チームは、5月15日と21日に吹田まち案内人の方と一緒にまち歩きを行い、とくに山田村に興味を持ったため7月9日に自分たちで山田村を歩きました。その時に感じた良い点・悪い点を話し合い、今回の交流会でまち歩き人の長岡さん、島本さんと意見交換を行いました。
 まず良い点として、山田村は現代と昔が交わっておりタイムスリップするような感覚を味わえる、歴史を感じることができるなどの点があがりました。悪い点としては、休憩所が少ない、住宅地を歩くため騒いではいけない、案内板が少ないなどの点があがりました。案内人の方の意見として、地元の方は「観光地にしたい」とあまり思っていないため、案内板などが少ないということでした。この意見から、地元の目線で考えることも必要であることに気づくことができました。その後もお互いの意見を出し合いながら新たなフットパスコースを考えました。
 山田村の新しいフットパスコースとして3つのコースを提案しました。ここで、学生のアイデアや案内人の方々のアイデアを取り入れて紹介します。まず3つのコースにサブタイトルを付けました。1コース目は、山田駅から万博記念公園駅に向かう「昔から現代へ歩く山田コース」です。2コース目は、山田駅から岸辺駅に向かう「歴史を感じる岸辺コース」です。3コース目は、山田駅から山田駅に帰る「緑を感じる千里コース」です。どのコースも山田村の魅力である昔の街並みが残る住宅地を通り、山田伊射奈岐神社を分岐点に3つのコースに別れます。
 3つのコースも通る昔の街並みが残る住宅地は、かなり道が入り組んでいます。自分たちだけでまち歩きを行ったときは雨が降っていました。私たちは住宅地の別れ道に立った時、傘を倒して倒れたほうに進むというゲームを行いました。単純なことではありますが、冒険をしているような気持になりとても楽しかったので、住宅地では棒を倒して進むというアイデアを提案しました。また住宅地ではボランティアとして、手作りのおはぎやおにぎりを売り、休憩を行うことも提案しました。休憩所が少ないという問題点は解決できますが、地元の方の協力が必要なので、すこし難しい提案になりました。その後、松竹堂でフルーツ餅を食べ、私たちお気に入りの山羊を飼っている「パンダ保育園」を見て、木のトンネルを通って別の世界に行くような感覚になる安養寺を訪れ、分岐点となります。山田伊射奈岐神社では、その後どのコースに行くかをおみくじで決めます。伊射奈美様の前でおみくじを引いて出たコースが後半の歩く道となります。
 コース1は、エキスポシティーなどがある現代の街並みに向かって歩いていきます。圓照寺や90万年前の火山灰を見ることができるアズキ火山灰などがあります。最後はエキスポシティーでショッピングを楽しめます。コース2は、小野原街道や亀岡街道を通りながら吉志部神社や、昔のまち並みが楽しめる岸部村を散策します。分岐点からさらに昔を深く楽しめます。コース3は、ホームレス中学生で有名な田村裕が野宿していたまきふん公園や、千里緑地を歩きます。千里緑地の緑溢れる気持のよい散策路を楽しめます。
 今回の交流会を通して、年齢の違う方々と話し合いをすることで、私たちが気づかない部分を教えてくださったり、私たちの意見を「気づかなかった」と聞いてくださったりと、お互いの気づかない部分を話し合うことができ、より多くの知識や視点を身に付けることができました。また和気藹々とお話をすることができとても楽しく、よいアイデアを出しながら新コースをつくることができました。このような交流を続きていき、多くの知識を身に付けていきたいと強く思いました。