秋田県で開催された「全国フットパスの集い」に参加

 10月15日(土)、16日(日)の2日間、塩路研究室の3年生2人が、秋田県由利本荘市で開催された「全国フットパスの集い」に参加してきました。1日目午後のフォーラムにおいては、基調講演やパネラーの方々の事例発表を聞き、その後交流会に参加しました。2日目は、実際に由利本荘市のフットパスコースの1つを歩きました。今回参加した学生が感じたことや考えたことを報告します。

由利本荘市のフットパス
3年生 中尾 美帆

 10月15日、16日に秋田県由利本荘市で開催された「全国フットパスの集い」に参加しました。今回、フォーラムに参加し、フットパスを歩いて気づいたことを報告します。
 まず、フォーラムに参加して考えたことをまとめます。私は、フォーラムを通して初めて「子どもフットパス」というものを知りました。秋田県由利本荘市立岩城小学校の子どもフットパスはふるさと教育とフットパスを足したもので、究極のふるさと教育を実現させるというねらいがあります。フットパスで郷土を歩き、ふるさとの良さを発見し、愛着心を醸成することを目指しているそうです。岩城小学校の子どもフットパスは子どもたちが体験するだけではなく、実際に案内人となって参加した大人に郷土を案内する活動を行っています。子どもたちは、まず大人の案内人から郷土の歴史や案内をするにあたって大事なことを学びます。さらに実際フットパスはどのようなものか体験します。そのなかで「相手意識」を持つということを学んだそうです。例えば、相手に伝えたいことを明確にする、分かりやすく話す、コミュニケーションをとる、笑顔や身だしなみ、礼儀をきちんとするということです。これらはフットパス案内人として重要なだけでなく、子供たちの今後にも役立つことだと感じました。また、座学でこれを学んでもイメージがわきにくいですが、身近な大人から学ぶことができる点はとても素敵な取り組みだと思いました。実際に岩城小学校の子どもたちが行ったフットパスの映像を見ました。子どもたちが、自分たちで考えた郷土の紹介を大きな声で参加者に説明していたり、寸劇をしていたり、参加者のペースに合わせて歩いている姿が印象的でした。子どもならではの分かりやすく簡単な説明なので、初めて由利本荘市を訪れた方でも親しみを持てると思いました。この子どもフットパスを行うことによって子どもたちは今まで知らなかった郷土を発見することができます。大人たちはそれを聞き、自分では気づくことのできなかった郷土の魅力を再発見することができると思います。そして、この子どもたちが将来、地域の発展に寄与できるような大人になっていくのではないかなと感じました。

 次に、フットパスを実際に歩いて感じたことをまとめます。私たちは由利本荘市の南部に位置する「法体の滝」コースに参加しました。法体の滝は、約10万年前の鳥海山噴火で流れ出た1枚の溶岩が、川をせき止めてつくった落差約57mの滝で、一の滝、二の滝、三の滝からなっています。この滝は日本の滝100選にも選ばれています。このコースの参加者は50代、60代の方がほとんどでしたが、中には小学生の子もいました。各13人ずつの3班に分かれて行動しました。各班にガイドが1人、由利本荘市まち歩き隊の方が2人、由利本荘市役所の方が1人付いて下さいました。また、コースの途中に休憩ポイントとして名物の松皮餅を配っていました。この2点から初めて由利本荘市を訪れた方でも、地元の人々を通して郷土の歴史や名物を知ることが出来ると感じました。フットパスのルートは山道が多かったですが、道に板が置かれていたり、急斜面には手すりとなるロープが張ってあったりなど歩きやすいように工夫されているのが印象的でした。実際に見た法体の滝はとても壮大で、紅葉の時期ということもあり景色がとても綺麗でした。このフットパスコースに参加して他の県から来てくれた人が由利本荘市を知ることが出来るだけでなく、由利本荘市や秋田県に住んでいる人が郷土の良い所を知ることが出来るのではないかとも思いました。しかし、由利本荘市に行くまでやフットパスルートに着くまでの公共交通機関があまりないことが気になりました。この点を改善することによって、より多くの人に由利本荘市のまち並みやフットパスについて知ってもらえると考えます。

 以上のことから、秋田県由利本荘市のフットパスについて気づいたことが2つあります。1点目は、フットパスをより身近に感じられるという点です。子どもの頃からフットパスのことを知ることで自分の郷土のことを深く知ることができます。そして、自分たちでフットパスルートを考えるなど楽しくフットパスについて学ぶことができるのだと思います。2点目は、フットパスを通して郷土のことを知ってもらえるという点です。自然や景色だけでなく特産品を休憩ポイントに置くことで様々な視点から郷土を知ってもらうことができると気づきました。また、住民や役所の方など地元の人が協力することでより多くの人に情報を発信できるのだと思いました。

「全国フットパスの集いin秋田」に参加して
3年生 淵上 貴弘

 私は、10月15日と16日に秋田の由利本荘市で開催された全国フットパス大会に参加してきました。由利本荘市は、秋田県の西に位置しており鳥海山と日本海が見える市です。
 15日は、フットパスフォーラムで様々な人のお話をパワーポイントを見ながら聞きました。そのなかで、私が最も興味を持った発表は、北海道の上富良野町についてです。色とりどりの花畑、街並、田畑、連なる山々、全てを見晴らせる360度の眺望のラベンダー畑が綺麗でスライドショーの写真からでも上富良野町の魅力が伝わってきました。国内外からの観光客にも人気の代表的な景勝地です。オートキャンプ場も隣接しているので、アウトドア派の拠点としても利用されているそうです。パノラマロード江花は写真でよく見たことがあります。このパノラマロードは富良野岳まで続くように感じる直線道路で大自然に吸い込まれる感覚を味わえる道です。別名ジェットコースター坂とも言われバイクの聖地にもなっています。私もバイクに乗るので、北海道を行く機会があれば是非訪れてみたい地の一つです。
 上富良野町では、小説『泥流地帯』から新しいフットパスの発見を行ったそうです。この小説は三浦綾子さんが、大正15年5月24日午後4時17分に発生した十勝岳大爆発を題材にして書いたものです。今年はこの大爆発から90年になる年ということで上富良野町では三浦文学をテーマとしてフットパスを考えたそうです。泥流が襲った町をフットパスとして歩くことで、この場で何の罪もない人々が命を落としたという現実を知り、自分自身の生き方を学ぶということを目的にしているそうです。私は、この講演で初めてこの災害を知りました。このフットパスでは地域の災害を知ることが出来るだけでなく、もしまた同じ災害があったら被害を最小限に抑えるためにはどうすればよいのか、またその時代に生きていた人の思いを知ることが出来るのではないかと考えました。

 次に、16日にフットパスのコースに参加して歩き、感じたことについて書きます。私たちは由利本荘市南部にある「法体の滝」コースに参加しました。法体の滝は鳥海山の豊富な雪解け水、湧水を集め3段にわたって流れ落ちる豪快な滝です。山頂に落ちる流長100m、落差57.4m、滝幅は3m〜30mにも広がり日本の滝100選にも選ばれているそうです。映画「釣りキチ三平」のクライマックスシーンに登場していました。
 このコースを歩く人は全員で30人ぐらいだったので、3班に分かれて時間差で出発しました。法体の滝はとてもスケールが大きく写真で見るより迫力がありました。法体の滝まで2キロぐらい歩き、休憩ポイントで休憩をしました。休憩ポイントで松皮餅とおかきをいただきました。この松皮餅がモチモチしていてちょうど良い甘さで由利本荘市の名物を堪能することが出来ました。休憩ポイントからまたスタートして、法体の滝の上まで1キロの道のりを歩き、そこからまた法体の滝を下っていくというルートでした。この滝の上までの1キロのルートが中々険しく、急な上り階段や滑りやすいぬかるんだ道があり少し危険だと感じました。所々で登りづらいところでは手すり代わりのロープがあるなど歩きやすいように工夫が施してありました。足場がないところには板が轢いてありましたが、ガイドの人から重みで壊れるから一度に多くの人が渡らないようにと注意を受けるような板で少し不安でした。

 今回、由利本荘市のフットパス大会に参加して、由利本荘市の人々はとても気さくで優しいと感じました。他県から来た私たちに「どこから来たの?」や「ここから見える鳥海山は綺麗だよ」などと話しかけてくださり、打ち解けることが出来ました。また、フットパスを歩いている時も、危険な道では声をかけてくださり、休憩ポイントやゴール地点では「頑張ってね!」「お疲れさま!」などと言ってくださり、地元の人々の優しさを感じることが出来ました。そして、フットパス交流会では、郷土料理も知ることができました。秋田県で有名な「きりたんぽ」や「いぶりがっこ」、由利本荘市で有名な「本荘うどん」や「ハムカツ」を食べました。どれも初めて食べるものばかりでこのような名物があることを初めて知りました。交流会では、地元の方から日本酒が有名だという話を聞きました。その時行われた抽選会で、私は日本酒鳥海山の大吟醸が当たりました。家に帰って飲んでみると、辛すぎず、口当たりがとても良かったです。このような特産品が多くある由利本荘市をさらに多くの人に知ってほしいと思いました。由利本荘市のフットパスやまち並みを知ることができ、また、地域の方々の優しさに触れることのできた2日間となりました。