2015.12.1

国立民族学博物館を見学

ゼミ2年生が「みんぱく」見学

 11月15日に、国際観光学部 塩路研究室の2年生が、吹田市の千里万博記念公園内の国立民族学博物館(みんぱく)を訪れました。世界の諸民族、地域の文化が展示されている同博物館をゼミ2年生全員が詳しく見ながら世界一周し、その後、各自が関心のある地域展示に分かれて調査、観察しました。今回は、そのとき学生たちが感じたことや考えたことを報告します。ゼミでは、今後、各地域ごとのチームに分かれて見学して発見したことをまとめ、パワーポイントで発表する予定です。

知ることで深まる食への感謝
2年生 山口 実土里

 11月15日、私たち塩路ゼミ2回生は、吹田市にある国立民族博物館(みんぱく)を訪れました。天気が心配でしたが、幸い晴天にも恵まれ、フィールドワーク日和となりました。その日は万博記念公園内でイベントが開催されていた為か、周辺は多くの家族連れや団体客で賑わっていました。
 みんぱくは、世界のさまざまな民族の社会や文化に関する展示が各地域ごとに分けられており、それらを見学しながら学ぶことができる施設です。まず最初は、ゼミ生全員で全ての地域を見学しました。どの地域も魅力的でしたが、私はアメリカ大陸エリアに関心を持ちました。広大なアメリカ大陸の多様な自然環境や、植民による外来の文化の浸透に応じて変化してきた衣・食・宗教を中心とした展示が数多くありました。
 普段から食について関心があるので、特に文明を育んだ栽培植物について興味を持ちました。私たちが普段何気なく口にする食べ物には、新大陸原産の物が多く存在します。16世紀、コロンブスが新大陸に到達したことにより、それらが旧大陸にも伝わり、やがて世界中の食生活に大きな変化をもたらしました。アメリカ大陸原産の主な食べ物に、カボチャがあります。野生のカボチャは実が小さく苦いのですが、アメリカ大陸の人々は長い年月をかけて改良し、さまざまな品種を生み出したそうです。

 そして、カカオも南米のコロンビアやエクアドル、西アマゾン原産です。16世紀終わりから17世紀にかけて、スペイン人によってバニラや砂糖を加えて温かくして飲む方法に変わりました。19世紀になると、ココアが作られ、それにカカオバターを混ぜて食べるチョコレートが誕生しました。また、カカオはお金や薬としても利用されたそうです。現在では、北米やヨーロッパに輸出され、フェアトレードチョコとして販売されています。一部は日本にも輸入されています。フェアトレードは、『公式な貿易』を意味し、輸出商品を生産する人々に一定の所得を保証し、生産技術や生活水準が向上するように支援する貿易のことです。主に、中南米などのカカオ生産者の間に広まりつつあります。
 これらのように、世界中で親しまれている食べ物は、貿易などを通してそれぞれに異なる歴史をたどり、世界中に広まったということを学びました。食べ物が辿ってきた背景を知ることにより、美味しく頂けることへの感謝や有り難さを改めて実感しました。今後はアメリカ大陸だけでなく、より深く世界の食文化についての知識を深めていきたいです。

みんぱく世界一周
2年生 永田 稜

 ゼミ活動で国立民族学博物館(みんぱく)に行き、世界の様々な展示物を見て、世界の文化について身近に感じることができました。中でも印象に残っている展示は、東アジア展示のアイヌ文化についての展示です。普段、よく耳にすることのあるアイヌですが、実際はどのような生活を行っているのかなど全く知りませんでした。みんぱくの展示では、アイヌの人々が暮らすかやぶき屋根の家の中の様子まで忠実に再現されていました。TVなどで外観は目にすることがありましたが、中がどのようになっているのかは見たことがなく、部屋の中央に囲炉裏があり、全体が藁でできているなど興味の魅かれる造りとなっていました。
 アイヌといえば首飾りの印象がありました。印象の通り何種類もの「タマサイ」と呼ばれる首飾りが展示されていて変わった形をしているものや重さが数キロあるものまで見比べることができます。色彩は青と黒が主で、そこにアイヌの特徴を感じました。
 アイヌ展示のほかに印象に残っているのは、日本の文化の祭り展示です。全国の色々な祭りを紹介していて行ったことのあるもの、TVで見たことがあるもの、全く聞いたことのないものなど多種多様にありました。その中でも富山県高岡市で開催されている「つくりもんまつり」は地元に因んだ話題や時事的な話題を題材に野菜や乾物などを用いて作られる一式飾で全国的にも変わった発想だと思いました。個人的に一度は行って見てみたいと思いました。
 今回、「みんぱく」内で世界一周する事ができ、世界の文化や民族についての知識が増えました。世界の事だけでなく日本の文化や民族についても知ることができ、特にアイヌについては強く興味が湧いたのでもっと深く生活や歴史、現在の状況などについて調べていきたいと思いました。もともと興味のあった地域も全く興味のなかった地域もありましたが、世界には地域によって特色があり、知らなかった地域にも興味が湧きました。民族の生活や文化についてモノを通して様々な角度から見比べるという「みんぱく」ならではの学習ができ、大変勉強になりました。また、授業では教えてもらうことのない事や普段見ることのないモノを見ることができるなど博物館の役割について考え方が変わりました。今後、実際に世界中に行って現地の文化に触れてみたいという思いが強くなりました。

似ているようで似ていない東南アジアの国々
2年生 田中 葉月

 11月中旬、塩路ゼミに2回生で万博記念公園にある国立民族学博物館に行ってきました。国立民族学博物館は文化人類学・任族学の研究活動と、その成果を展示公開する博物館活動を一体的に行う博物館をもった研究所です。世界中から集められてきた多くの貴重な展示品が国や地域に分けられて展示されており、それぞれの歴史や文化などを見たり体験したりしながら世界一周をすることができる施設です。
 多くの国や地域がある中で、私は“東南アジア”のエリアを担当しました。東南アジアはインドネシアやカンボジア、フィリピン、タイ、ベトナムなどの11ヵ国の国を指し、文化は非常に似ている部分もありながら、それぞれの個性が少しずつ出ているそんな地域です。たとえば芸能だと、水上人形や影絵人形、木彫り人形など様々なものがありますが、それぞれの国によって、人形の顔や装飾品などの特徴に個性がでており、比較していてその国の特徴というものがよくわかりました。日本と似ているものも見つけました。タイのアカ族が村の入り口に置いている“門柱”です。すぐ近くには男女の木偶が置かれており、門柱の上にわたされた笠木には犬の頭蓋骨や呪標などが乗せられています。病気を引き起こす悪霊などが村に侵入するのを防ぐために置くそうです。これが日本の“鳥居”のようで少し親近感が湧きました。それぞれの意味は少し違いますが、“境界線”という意味では似ているものがあると思いました。

 体験展示の中では、タイの寺院の本堂の内部が再現されているものがあり、実際に上がって仏像の前に座ることができました。再現されていた寺院は赤色を基調とし、中央の仏像は金色で日本の寺院に比べると鮮やかな印象を受けました。目の前の壁には、ラオスのパーケー寺の鮮やかな壁画も再現されていました。タイの寺院とラオスの壁画、国は違うのになぜか一体感が生まれておりとても魅了されました。
 この1日を通して、世界の歴史や文化などを目の当たりにして初めて知ることが多く、自分の知識不足を改めて実感しました。私が担当した東南アジアのエリアはもちろんのこと、日本人であるにも関わらず日本文化のエリアでも初めて知る歴史やモノなどが多く、とても勉強になりました。みんぱくで世界一周をしてみて、国それぞれの独特な個性に触れることで“異文化”というものに興味を持つことができました。今回の活動を通して学んだことを、今後の研究テーマとしてゼミ活動に活かしていこうと思います。

ヨーロッパの宗教と移民について
2年生 薗田 輝弥

 11月15日、私たち塩路ゼミは万博記念公園内にある国立民族学博物館に行きました。国立民族学博物館とは、ヨーロッパやアフリカ、オセアニア、アメリカ、西アジア、南アジア、東南アジア、中央・北アジア、東アジアの9つの地域に分けられており、それぞれの地域の暮らしや文化などがわかる展示がされているため、世界一周をした気分になれます。
 私は、ヨーロッパの宗教について調査しました。宗教分野の展示の中でも最初に目に入ってくるのは「陽気な墓」です。これは、ルーマニアのサプンツァ村の墓地に林立されています。陽気な墓とは、木製の板のようなものに上から、屋根、十字架、故人の絵、故人の詩が描かれており、故人の絵の部分には生前の生活の様子や死因が青を基調にカラフルに描かれています。例えば故人が獣医であれば獣医の絵を、床屋であれば床屋の絵が描かれています。なぜこのような墓が始まったかというと、1935年にパトラシュという木彫り職人の青年が愛する人を失った人々の悲しみが少しでも癒えるようにと、明るいものにしようと思い、故人の絵と詩を彫り描いたのが始まりです。日本では墓石に名前などを彫り線香をたくというのが主流ですが、世界に目を向けると全く違う故人の敬い方があるのだなと感じました。
 次に、ガラスイコン「嘆きの聖母」というものに注目しました。イコンとは特にモスクワが最大勢力をもっていた東方正教会で発達した特殊な形式の聖像のことをいいます。このイコンが板の代わりにガラスに描かれたのでガラスイコンといわれています。この多くは、聖母子像や救世主、聖人などが描かれています。

 ヨーロッパ展示には、移民についての展示もありました。移民が国を離れる理由としては、経済的に貧しいことや社会情勢があります。仕事が見つかるのか、生活になじむことができるのかという不安を抱えつつ少しでも良い暮らしを目指して違う国へ向かうのです。しかし、先日パリで同時多発テロが起こりました。そのテロの容疑者はベルギーのモンベレークという街に暮らしていました。その街は移民の人が多く生活しており、容疑者も移民でした。その社会で受け入れられず、精神的にあるいは心の拠り所に困った人々が、テロ行為という形で自身のアピールをしているとも考えられます。この影響で移民や難民の受け入れを拒否する地域、また拒否を訴える地域がでてきました。全ての移民や難民がこういったことを起こすわけではないですが、移民や難民を受け入れることでテロが起こる可能性が高くなります。そのため移民や難民の受け入れを拒否することは仕方がない現実なのかとも思います。日本では今後、伊勢志摩サミットや東京オリンピックが開催され、外国人が多く訪れます。より警備を強化して日本でテロ行為がないことを望みます。
 国立民族学博物館では世界のモノが展示されており、各地域の暮らしなどを詳しく知ることができました。今回の見学は、世界に目を向ければ全く異なる文化があることを学ぶと同時に、移民やテロという世界情勢について考える機会となりました。

圧倒的な祭り・芸能展示
2年生 舟引 千春

 11月15日(日)に吹田市千里万博記念公園の国立民族学博物館に行ってきました。世界の衣服や道具、食事や文化など、さまざまな物が広い博物館にぎっしりと展示してありました。どの国や地域の展示も見応えがあり、とても興味深いものでした。たくさんの展示物があるなか、最も圧倒されたのが日本文化の祭り展示です。祭りエリアの展示物はとても大きく、見上げるものがたくさんありました。また細部まで手が込んだものもたくさんありました。
 まずは『ねぷた祭』です。日本文化の入口の真正面に大きく展示してありました。ねぷた祭は昔「ねむた祭」「ねむり流し」と呼ばれ、現在も毎年8月2日〜7日に開催されています。最大の大きさが決まっており、幅約9m、高さ約5m、奥行き約7mとなっています。とても大きく、1つあるだけでも圧倒されるねぷたを、ぜひ見に行きたいと強く思いました。
 愛媛県宇和島市の祭りで使われる牛鬼は、全長5〜6mもあります。また鬼のような顔に長い首、赤い布で覆われた胴体に、剣に似たしっぽをもっています。牛鬼にかまれると賢くなるという言い伝えがあり、祭の時は子供たちが頭をかんでもらうそうです。日本では有名な獅子舞と同じようなものなのかなと思いました。展示物はとても大きく、赤色の胴体が印象的でした。近くに行くとすこし怖く感じ、祭のとき子供たちは怖くて泣くだろうな思いました。
 熊本県の八朔大造り物の仁王像は天井に付きそうなほどの大きさでした。毎年9月第1土曜日・日曜日に行われる矢部の八朔祭で作られています。またこの仁王像は、杉の葉や松笠やススキなど野山に自生する自然物のみで作られています。展示物をよくみると木の繊維などが毛のように見え、本物の人間のようでした。木だけで筋肉などが、とてもリアルに表現されており、その技術に驚きました。

 最後に出雲市に二百年来伝えられている『平田一式飾の牛若丸と弁慶』です。これはとても細やかな技術に圧倒されました。まず平田一式飾とは、仏具・陶器・金物・茶器などの一式を1種類に絞り、歌舞伎や映画の登場人物・場面など技巧を凝らして飾りを競う祭のことです。またこの一式飾は決まりごとがあります。それは材料に穴を開けたり、色を塗ったり、変形せずに作り、解体すると元通りに使用できなければならないことです。これを踏まえて展示物をみると、小さな皿がきれいに並べてあったり、皿の色で服や顔を表現していたりと興味深く見ることができました。
 日本の祭り文化や技術は他の国や地域の展示とはまた違った良さがありました。サイズが大きいものでも細部までしっかりとこだわる日本の技術のすばらしさを改めて感じることができました。日本の技術に圧倒された1日になりました。もともと興味があった日本の祭りですが、その技術や歴史・由来などを調べ、日本のすばらしい伝統をもっと知りたいと思いました。そして、観光にどのように繋げ地域を活性化させていけるかを考えたいと思います。

楽器が持つ様々な意味
2年生 中尾 美帆

 11月15日に国立民族学博物館を訪れました。そのなかで私は「音楽展示」が最も印象に残っています。音楽展示には「太鼓」、「チャルメラ」、「ゴング」、「ギター」の楽器が並べてありました。世界各地の様々な大きさ、形の楽器が数多く置かれていて、その膨大な数に驚きました。そのなかでも特に印象に残った「太鼓」と「チャルメラ」について感じたこと考えたことを報告します。
 まずは太鼓についてです。太鼓と言ったら叩けば音が鳴る楽器ですが、それだけではありません。東南アジアでは、複数の太鼓の掛け合いでひとつのリズムを作り出す演奏法がよく見られるそうです。実際に音声を聞いてみましたが、2台の太鼓だけで奏でているリズムには感じず、複数の楽器があるように感じました。また太鼓はリズム楽器と考えられることが多いですが、インドネシア、ミャンマー(ビルマ)、インドなどには音の高さが異なる太鼓を並べてメロディーを演奏する太鼓があります。そして太鼓の音はよく響くということから人間同士のコミュニケーションだけでなく、見えない存在に強い願いや思いを届けるためにも使われるそうです。

 次にチャルメラについてです。チャルメラは寺院や教会などで行われる宗教儀礼から、結婚式や葬式のような人生儀礼、さらには武道・スポーツや演劇など、幅広い場で演奏されます。その響きは様々な感覚や情念を呼び覚まし、それぞれの場で不可欠な役割を演じます。宗教儀礼としてのチャルメラの音はキリスト教、仏教、ヒンドゥー教の礼拝、祭礼などにおいて欠かせない要素となっています。人々はその音によって神仏の存在を身近に感じたり、その威厳に圧倒されたりします。人生儀礼はチャルメラが最も頻繁に演奏される場です。結婚式だけでなく中国、ベトナム、カンボジアでは葬式でも演奏されます。実際に葬式で演奏されている映像を見ましたが、チャルメラの甲高い音が響き渡る中にもどこか死者を弔っている厳粛な雰囲気を感じました。また実際に演奏してみたいと感じました。
 以上のことから2つのことを考えました。1つ目は、世界各地によって楽器のもつ意味が変わるということです。私の中で楽器はただ演奏し音を奏でるものだと思っていたので、様々な意味を持つことを知り楽器は奥が深いと感じました。それとともに自分の身近な楽器についても調べてみたいと感じました。2つ目は、祈りや冠婚葬祭で使われることが多いということです。日本ではあまりそのイメージがないですが、他国では楽器を奏でることで感情を表しているということに驚きました。楽器というものは演奏する、音を奏でるという面では世界共通ですが、国や地域によって異なりながらも大切な意味があるということをみんぱくの見学を通して知ることができました。

みんぱくヨーロッパの旅
2年生 萩原 竜太郎

 国立民族学博物館に行くことになり、初めに興味が湧いたのはヨーロッパエリアでした。その理由としては、以前一度フランスに旅行に行ったことがあり、ヨーロッパの国々の文化に関心をもったことがきっかけです。みんぱくのヨーロッパ展示はパン・農耕器具・祭礼の儀式の道具からキリスト教の歴史、ヨーロッパの移民の歴史の順でした。
 パンの歴史は、目にとまる展示をしており、すぐに興味を持ちました。パンの種類はバウアーフロートと呼ばれるライムギ、コムギ、天然酵母、岩塩、水だけで作られており近年でも人気があります。他にはフランスパンとして知られるバゲットや最近いろいろなパン屋でも見かけるプレッツェルなど多くのパンの複製が展示されていました。ヨーロッパのパンについてはフランスパンくらいしか知らなかったので、種類の多さに驚きました。それらのパンの複製の共通点はどれも硬めの食感だということです。ヨーロッパでは、柔らかいパンよりも硬いパンのほうが好まれて食べられていたということがわかりました。
 酪農ゾーンでは牛の乳からチーズ、バターを作るための道具が展示されていました。今ではほとんどの道具が金属製になっていますが、一昔前までは木製の道具がほとんどだったということを知りませんでした。容器の展示を鑑賞していて面白かった点は、木製の容器に細かい彫りが施されていたことです。花柄や細かい模様が容器としても芸術としても価値が高いと私は考えました。
 

 祭礼の展示では、ヨーロッパの行事といえば、クリスマスやイースターなどがありますが、日本の秋田県の「なまはげ」に似た仮面もあり、子供も観ていて楽しめるようなブースになっていました。イースターエッグの展示もあり、さまざまな国のイースターエッグがあり、どれもカラフルである点は共通していましたが、それぞれの国によって模様が違うという点は興味深かったです。
 キリスト教文化の展示では、磔になったキリストの十字架や儀式に使う祭礼具などが展示されておりキリスト教について詳しく知ることが出来ました。ローマ法王の祭服が展示されておりテレビでも観たことがある、あの特徴的な服が展示され間近で見ることが滅多にないので、とても感動しました。近くで見てみると凝った刺繍はなく、非常にシンプルな作りの服でした。
 実際にみんぱくに行ってみると、今まで知っていた知識がより深まりました。テレビでみるよりも実際に博物館に赴き展示品を間近で見ることにより、新たな知識や感動を得ることができました。

太鼓とタイコ
2年生 三井 紅実子

 11月14日に国立民族学博物館に行きました。この博物館は、世界の文化や民族をエリアごとにわかりやすく説明しています。その中でも私たちは「音楽」について調べてみました。「音楽」は太鼓、ゴング、チャルメラ、ギターの4種類を展示しています。世界の文化には、音楽が必ず存在しています。人類はその音楽によって意志や感情を伝えたり、自分の存在する位置を知らせたり、心を奮い立たせたり慰めたりしてきました。また、神仏や精霊などを祀るための音楽もあります。
 特に印象に残ったのは、太鼓です。太鼓は力を使って思いや主張を伝えようとする動きが世界各地で出てきています。社会の中で弱い立場におかれた集団が、自分たちの歴史や文化を表現し、公平で平等な扱いを求めるために演奏しています。大阪の浪速は太鼓作りで有名で、戦後の和太鼓ブームにより打ち手は注目されるようになりましたが、太鼓職人は皮革への不浄観から差別されていました。1987年に地域の青年たちが「怒(いかり)」という太鼓集団を結成し、あらゆる差別をなくすために演奏活動を続けています。この「怒」は国立民族学博物館に太鼓や法被(はっぴ)、旗など多数展示しています。法被は種類があり、襟の部分に「太鼓故郷」と刺繍していて伝統を大切にしていることが伝わります。

 戦後の太鼓ブームは世界にも広がりました。1960年代末に和太鼓は北米に紹介されました。日系3世たちの政治文化運動と結びつき、アジア系の人々に対する偏見と闘う手段として「タイコ」の演奏が始まりました。今では日系の人が中心となり、アジア系の新しい文化として定着しています。みんぱくには北米のタイコグループがある地図が展示してあり、タイコグループはサンフランシスコやロサンゼルスに集中しており、タイコが都会で人気があることが意外でした。また南米のタイコグループのTシャツや法被、太鼓も展示しています。日本は太鼓を叩くときは法被を必ず着るイメージですが、南米ではTシャツを着ての演出も多いようです。太鼓が特に印象的だったのは日本の太鼓ではなく、ワイン樽で作った太鼓で、また違ったスタイリッシュ感が加わったように思いました。
 今回、国立民族学博物館に行ってみて、南米・北米・アジア・日本など世界の文化に関するたくさんの展示物がありました。音楽ブースでは、世界の楽器をたくさん展示しています。同じ種類の楽器でも形や大きさが異なり、目で見て理解することができました。

世界観を広げた展示
2年生 藤原 ロッテー

 先日、ゼミ活動で万博記念公園にある民族学博物館に訪れました。館内では世界中の民族の文化や歴史が展示されており、一つ一つの展示物について詳しく説明がなされていました。日本でもいろんな民族が住んでいることも分かりました。例えば、神戸の南京町には中国人がいて、北海道にはアイヌ民族がいます。
 私自身はアイヌに興味を持っているのでみんぱくに行く前に下調べをしてから行きました。実際に行ってアイヌの暮らしが分かり、動物を狩る道具の実物を実際に見て理解が深まりました。その中でもアイヌ民族の衣服で約40〜50匹のサケの皮を使って作る魚皮製衣服を実際に見ることができて技術的にも工芸的にも熟練技であることが分かりました。また、期間限定で開催されていたワークショップでアイヌの伝統的な木彫りを体験することが出来ました。一見簡単そうに見えましたが、実際にやって見ると集中力も使い、木彫りの完成まで約1時間半もかかってしまいました。展示物の木彫りの作品は長くても数週間はかかると言われ、アイヌ民族の木彫りの技術の高さも分かりました。

 私はタイ出身なので、東南アジア展示にも馴染みを感じました。タイの名物ムエタイも展示物があって、タイの寺「ワット」も丁寧に再現されており、感激しました。またタイの宝口もあったので驚きました。
 また、日本文化エリアには、日本の祭りや昔の生活、戦後の日本の生活用品も展示されていました。一つ一つが大事に保管されているので、今でも良い状態で展示されていることが分かります。祭りでは有名な「ねぷた祭り」から「曳山まつり」まで展示されていました。愛媛県にある牛鬼も実物を使って展示されていました。そこで、私は日本に来て初めて実物のわら人形を見ることが出来ました。わら人形は人を呪ったりする物で実物で見ると恐怖感が溢れ出しており、怖くて嫌な気分になりました。また奈良の昔の町並みを見て日本人の昔の生活が分かりました。畑仕事をするための道具や魚を狩るための道具もありました。船に付いている旗も迫力があって、かっこいいと思いました。また熊を捕まえるためにある罠や檻も展示されていました。檻がとても大きくて頑丈にできているので熊の大きさや強さを実感することが出来ました。
 今回のゼミ活動では、世界中の民族や昔の生活、現在の生活、文化や祭りを実際に見て体験もすることが出来たので、自分の世界観を広げることが出来ました。みんぱくを訪れて、さらに観光に興味持つことが出来ました。

アフリカ in みんぱく
2年生 淵上 貴弘

 私達は、塩路ゼミの活動で、11月15日の日曜日に吹田市にある万博記念公園の国立民族学博物館に行ってきました。民族学博物館、通称「みんぱく」は世界中の民族の過去〜現代までの展示物や出版、イベント等を開催している施設です。
 普段世界の民族の文化など触れる機会がありませんでしたが、今回みんぱくで色々なものを見ることが出来て良い経験ができました。正面玄関から順路を遡ると出てくるのが日本の文化のエリアです。日本の文化のエリアでは北海道から沖縄まで、多種多様な地域文化、祭りと芸能、日々のくらし、沖縄のくらし等の日本文化の様相を展示しています。中でも最もインパクトがあったのが「八朔大造り物 仁王像」です。3mほどあるその像はほかの展示物と比べてとても迫力がありました。しかも完成度の高いその像は杉の葉や松笠やススキなど野山に自生する自然物のみを用いて作られていると聞いて更に驚きました。
 次に、興味を持ったエリアは音楽です。ここでは、音楽と人々の存在の関わりについて、世界各地の太鼓、ギターなどが展示されていました。私はギターを少しやっていていたのですが、こんなにギターに種類があることに驚きました。形も今のように数字の8のように膝に起きやすい形ではなく楕円形のような形から四角形のギターまであってとても驚きました。

 最後に、自分たちがゼミで担当している「アフリカエリア」へと足を運びました。まず入って正面に展示されていたのが大きな岩塩です。大きな岩塩は価値があり、今も昔もサハラにおける重要な交易品となっているらしいです。アフリカ民族の間では物々交換が今でも行われているため、墓に建てるウシの彫刻の墓標を牛1頭と交換したりするようです。宗教的な関わりが深いためか展示してある物の中に仮面や置物などが目立ちました。アフリカエリアで最も大きなチェワ民族の祭り物「ニャウとニャウ・ヨレンババミレケ」が展示してありました。「ニャウ」とは森の奥からやってきた野生生物であると教えられていて死者の姿を表したものだと言われています。民族衣装に使われるアフリカの布は、 とくに社会的な威信を示すために用いられるため、その価値ゆえに布は交易品や通貨の代わりにもなったらしいです。現代のアフリカの人々は、多様な衣装を生み出し飾っています。日本では装飾品としてのイメージが強いビーズがアフリカの多くの社会では、儀礼や富の象徴、社会的威信や民族のアイデンティティに関わるものとして重要な役割を果たしているらしいです。
 みんぱくに行って、自分の生活で何気なく使っている紙やペン、スマートフォンなどが私達の文化なのだと考えると、とても感慨深いものがありました。今回のみんぱく訪問ではとても重要な体験をしたと思います。長い歴史のなかで、多様な民族の伝統的な生活があってこそ、今の私たちの生活があるのだと思いました。

オセアニア・アメリカ・ヨーロッパ
2年生 徳永 豊

 11月15日に千里万博記念公園の国立民族学博物館(みんぱく)を訪れ、世界の異なる文化について知り、新しい知識を身につける事ができました。みんぱくに着くまでに太陽の塔の前を通りましたが、祝日であったせいか、広場で様々なイベントがあり、公園内も賑わいを見せていました。
 みんぱく内の展示は、オセアニア・エリアから始まっており、そこから世界一周する感じで最後に日本にたどり着くような構成になっていました。最初のオセアニア・エリアでは、海や島での暮らしの移動をするための様々な工夫をした生活用具が展示されていました。なかでも入ってすぐのところには船が展示されており印象に残っています。他にもモアイの実物大があり、先住民などの生活もわかりやすく説明されていました。
 次のアメリカ・エリアでは、様々な自然環境の変化に対応した生活や現代的価値を見出した芸術家や工芸家などの作品が展示されていました。北西沿岸地域に暮らすハイダ族などといったインディアンの部族の習慣で自分の家系を表すクレストという木を用いたトーテムポールやカリブーというトナカイの毛皮で作られた、−30度まで耐えられる極北の衣装などが展示されていました。今回の見学で、私が最も印象に残っている展示がこのアメリカ展示にあったアステカの歴石です。映画のインディージョーンズで同じようなものが使われているのを思い出し、展示にも迫力を感じました。

 最も興味があったヨーロッパ・エリアでは、16世紀から20世紀にかけてのキリスト教や近代制度、知識や技術などの世界各地への移植など、多様な変化が起きているヨーロッパについての展示がされていました。ヨーロッパでは産業化とともに市民階級と労働者階級があらわれるようになっていき、労働が重要な意味をもつようになり、休暇と労働の時間の区別がはっきりわかるようになったなど、産業化とともに社会がどのように変化していったのかもわかりました。他にもヨーロッパ各国にとって移民が社会や法制度に速やかに適応する手段を講じるとともに、移民の言葉や文化に配慮していかないといけないといった移民増加による課題などもあると考えさせられました。

世界の民族文化にふれて
2年生 沖本 光平

 11月15日、国立民族学博物館を訪れて感じたことは、まず敷地が広く、全世界から様々な調度品や生活用品などが展示されている場所だということです。特に印象深く感じたエリアの1つは、僕たちが今後発表しようと考えているオセアニアのエリアです。大小さまざまな島が点在するオセアニアでは、独自の知恵や工夫で発達した航海術をもち、「海での生活」や「外部世界との接触」を試みたオセアニアの人々の当時の生活がよく分かるモノが多く展示されていました。特に、エリアに入って中央にある巨大な帆船「チェチェメニ号」とモアイ像はとても壮大で、当時の人々はこの帆船で、近代的な航海器具を使わず、星・波・風などの動きを見て、あとは人間の力のみで海を渡って、多くの島々と交流していたことを考えると、感慨深いものがありました。モアイ像は、ほぼ実物大のものを初めて見て、その大きさに驚嘆しました。そのほかにも、ジョージ・ブラウン・コレクションは、ジョージ・ブラウンが人々の生活に関心を持ち、また博物館などの依頼を受け収集したコレクションで、19世紀〜20世紀初頭にかけての太平洋の文化を知るうえで、とても貴重な民族誌資料が数多く展示されていました。当時の人々の生活や心情などがよく分かる展示物の数々に、関心を持ったとともに、ジョージ・ブラウン本人にも興味が湧きました。また、根栽農耕を主として生活を営んでいた当時の人々の暮らしが色濃く分かる調度品がたくさん展示されており、オセアニアの島々の農耕生活に、関心を抱きました。
 次に、アメリカ大陸のエリアでは、広大なアメリカ大陸に、極地から熱帯雨林までさまざまな自然環境が見られ、人びとはそれぞれの環境に応じた生活を営んできました。一方で、ヨーロッパ人による征服と植民の歴史を経験したこの地には、日常生活の隅々まで、外来の文化が浸透していきました。そのため、文化の多様性が激しく、それに対抗するように土着の資源に現代的価値を見出そうとする芸術家や工芸家が多く存在し、それらの作品が展示されていて、当時の芸術家たちの葛藤が感じられるようなエリアでした。
 最後に、ヨーロッパ展示のエリアでは、ヨーロッパは、16世紀から20世紀にかけて、キリスト教や近代の諸制度をはじめ、さまざまな技術や知識を世界各地に移植しました。現代、この流れが逆転するなかで、世界中からの移民とともに、ヨーロッパの先住民の文化も社会の一部となりつつあります。そのなかでどのように先住民が順応していったかがよく分かる展示物があり、ヨーロッパの歴史とともに、改めて興味を持ちました。
 今回訪問した国立民族学博物館は、想像以上に数多くの展示物があり、一つ一つの展示物に分かりやすい説明文が施されており、国際観光学部の学生としてはとても勉強になりました。

インドの服飾文化について
2年生 池側 杏

 11月15日、私たち塩路ゼミ2回生は吹田市にある万博公園の国立民族学博物館(みんぱく)にフィールドワークへ行ってきました。万博公園のゲートを潜ると太陽の塔がそびえ立っていました。私は小さいときに一度万博公園を訪れたことがあるのですが、20歳になって見る太陽の塔も大きくて、未来を表わす上部の黄金の顔、現在を表わす正面胴体部の太陽の顔、過去を表わす背面に描かれた黒い太陽の顔、3つの全ての顔が不気味で少し怖くて直視できませんでした。
 次にみんぱくに行ってきました。事前にそれぞれが興味を持った地域を下調べして行きました。私はインドやネパール、パキスタンなどの南アジアに興味があったので調べました。インドのエリアは、民族衣装、婚礼での贈り物、映画ポスター、ガネーシャ、バイクなどの展示があり、どれも色鮮やかでインドらしい雰囲気を感じました。みんぱくに展示されている世界各国の民族衣装を見学しましたが、色鮮やかで繊細な刺繍が施されているインドの民族衣装のサリーはとても綺麗で、私のなかで最も着てみたい民族衣装です。刺繍の模様も様々あり、糸は木綿糸、イラクサ糸、タッサールサン糸、エリサン紡糸、ムガサン生糸、家蚕生糸と他にも数十種類の糸があり、縫い方にも平織や綾織、たて紋織やよこ紋織と何種類もあり、糸が同じでも縫い方が異なっていたり、縫い方が一緒でも糸が違うだけで全く違う雰囲気になるのだと思いました。インドの繊維や縫い物の文化は素晴らしいものだと感じました。またインドでは婚礼のとき、花嫁の母方の叔父が赤い衣装や身の回り品を花嫁に贈る文化があり、婚礼のエリアには赤いものがたくさん展示されていました。日本にも嫁に行くときにはタンスを持っていく文化があり、物は違っても花嫁が家を出るときに何か持っていくという文化は似ていると思いました。そして婚礼用の衣装や首飾りや腕輪、花婿用のターバンなどのアクセサリー類さえも赤で揃えられていて、日本では白いウエディングドレス、白いタキシードが一般的なのに対して全ての物を赤で揃えるインドの文化は真逆だと思いました。

 南アジアはインダス川の灌漑で農耕が栄えインダス文明が興ったように、古来、南アジアの河川は農業用取水をはじめ、水運、漁業、砂金採り、水浴びや洗濯など様々に利用されていて、筌や網などたくさんの道具が展示されていました。
 みんぱくに行ってみて、今まで勉強してきた世界の歴史だけでなく、それぞれの国の住まいや衣服、食や民族文化を実際に目で見て体験でき、より理解が深まり、さらに興味を持ちました。

アメリカ大陸の自然と工芸
2年生 山本 美帆

 11月15日に国立民族学博物館(みんぱく)に行きました。国立民族学博物館の展示は文化人類学・民族学の考え方に基づいて構成されています。ゼミ2年生みんなで展示場内で世界一周しました。そして、私は最も印象に残ったアメリカ大陸について調べました。そのなかでも「着る・食べる・祈る・創る」の4つに分かれていて、私が最も興味を持ったのは「着る」と「創る」です。
 まず「着る」のところにはボリビアのラパス県のアルパカの毛が展示されていました。ラクダ科のアルパカとリャマは4000メートル近い南米のアンデス高地で飼育化された動物で、紀元前2500年頃から家畜として人に飼われていたそうです。アルパカは主に毛や肉を利用し、リャマは荷物運搬に使われます。なお、アメリカ大陸の牧畜は、旧大陸と違って乳の利用が見られません。アンデス高地にはラクダ科の野生種ビクーニャとグァナコも生息していて、近年、ビクーニャは、その繊細な毛が高級毛織物の材料として注目され飼育されるようになりました。アルパカという動物は最近かわいいと有名なので知っていましたが、何千年も前から良質な毛の材料とされていたのには驚きました。
 染料としては、ペルーのアヤクーチョ県のコチニールといってカイガラ虫が展示されていました。赤色の織物染料として古代から養殖され利用されてきたそうです。ウチワサボテンに群生し、白く粉を吹いたように見えます。虫を手に取ってつぶすと、血液のような赤色の体液が出てきて乾燥コチニールは口紅や食物の着色剤として今でも世界中に流通しています。一見すると、砂のような感じに見えたのが虫だったのにとても驚きました。そしてその虫の体液を着色剤として利用していて、口紅だったら知らない間に私も使ってしまっているのかと考えたら少し気持ち悪いなと感じました。

 次に「創る」のところで最も目にとまったのが、メキシコの木彫アレブリヘです。
これは、メキシコ南部オアハカ州オアハカ市周辺の農村で制作されている木彫の名前で、主に地元産の木材を利用して、動物や植物、人形や怪物などが彫られています。どれも不思議な形をし、カラフルな色が塗られているため、現地では、ファンタスティコ(スペイン語で「空想的」という意味)な民芸品として知られているそうです。これは本当にどれも色使いが綺麗で模様は点々が多かったのですが、それがとても細かくて素敵なものでした。形は動物が多く展示されていて、中でも龍の木彫は木で作ったとは思えないほど細かくて驚きました。

世界の民族文化について
2年生 唐崎 隼

 先日、私たちは、万博記念公園の国立民族学博物館に行きました。民族学博物館では、国や地域ごとに分かれて非常にわかりやすく展示されていました。博物館を一周した際には世界を一周した気分になれました。
 オセアニア地域を見学した際、アボリジニの文化や先住民の海上での生活などが詳しく説明されていました。モアイ像のレプリカもあり、見たことがなかったので昔の人はどのようにモアイ像を作り、動かしたのか気になりました。
 日本文化のコーナーでは、各地域の祭りごとや昔の日本の暮らしについて展示されていました。皿やコップの陶芸品で作った置物や、ねぶた祭りの展示品には驚かされました。アイヌについての展示もあり、同じ日本人なのにまったく違う文化や暮らしがあることが分かりました。
 音楽のコーナーでは、世界の民族楽器が飾られており、ギターだけでも壁一面に展示されていました。タッチパネルでどのような音が鳴るのか聞くことができ、子供から大人まで楽しめる展示方法だと思いました。
 広大なアメリカ地域は、極寒地帯から荒野、高地で生きていた様々な先住民の服や生活用品が多く展示されていました。ヨーロッパ人による征服と植民の歴史を経験し外来の文化と混ざり合った衣、食、住に焦点を当てた展示になっています。主な展示物の祭壇「パチャママの門」は派手な色使いがされており印象に残っています。
 ヨーロッパ地域は、近代的な展示物から各国の民族衣装まで飾られており、初期のミシンなどもありました。ルーマニアのサプンツァ村の墓地には、亡き村人の生前の姿をユーモアとともに、絵と物語で描き出した「陽気な墓」が多くあるようです。この墓は、亡くなった人の個性に応じた内容を墓に絵と文章で描かれています。
 アジアの地域では、西アジア、南アジア、東南アジア、中央、北アジアに分かれて展示されていました。西アジアの人びとは中東ともよばれていて北アフリカと深い関係を保ってきました。ユダヤ教やキリスト教発祥の地でもあります。地球規模の変動の時代に移りゆく人々の暮らしを、信仰、砂漠の生活、女性の装い、音楽と芸能をテーマに展示されていました。主な展示品はキスワと呼ばれるメッカの聖モスクの中心のカアバ神殿にかかっている黒い幕や、ラクダ用の装身具です。キスワは黒の背景に金色の装飾がされていて細かいとこまで丁寧に作られていました。ラクダの装身具は派手な色使いで目立つように作られていました。
 国立民族学博物館では、一つ一つの展示物に丁寧に説明がなされていて、世界各地の歴史や民族学についてあまり知らなくても楽しめ、また興味を持てるような展示になっていました。館内では学芸員の方もよく声をかけてくださり、世界の民族文化について深く知ることができました。