ゼミ生が京都で調査

 8月10日から11日にかけて、塩路研究室の3年生が、京都において「外国人観光客の目線で見た京都」というテーマで、観光地としての外国語表記、土産物や食、歴史的建築物と景観について調査しました。

京都における外国語表記
3年生 手塚 夏紀

 8月上旬、ゼミ活動で京都に行きました。多くの外国人観光客が訪れる京都で、私が調査したのは、外国人観光客に対する外国語表記についてです。
 まず、誰もが利用する京都駅から出発しました。あたりを見渡すと基本の英語表記のみ書かれていました。駅を出ると私たちは京都観光には欠かせない「一日バス乗り放題券」を買いました。値段は500円で、京都のバスが一日乗り放題できるのはとても割安だと感じました。このバス乗車券はテレホンカードのようなカードで裏には注意事項が書かれており、日本語・英語・中国語の三カ国で書かれていました。
さて、このバス乗車券を使って向かったのは錦市場です。当日は、外国人観光客の数は少なく日本人の方が多かったように感じました。私たちが行った日はたまたま少なかったのか、あまり知られていないのかわかりませんでしたが、店を回っていると外国人にも対応できるようにメニュー表が英語表記の店もありました。
 次に向かったのは、清水寺です。やはりとても人が多く外国人観光客もたくさんいました。清水寺に向かうまでの道沿いの店にはほんの少しですが、英語表記がありました。それ以外の店ではあまり外国語表記を見かけることはありませんでした。清水寺に着くと、英語・韓国語・中国語の三か国で書かれた案内板がありました。中国語の中でも簡体字、繁体字がありました。しかし、清水寺の中に入ると英語で書かれたチラシやパンフレットはありましたが、それ以外の言語はなく、清水寺は入口にたくさんの表記があるだけで中は英語表記のみということがわかりました。

 さらに、私はその後、銀閣寺にも行きました。銀閣寺に行く途中に「哲学の道」があります。そこにある案内板には、日本語・英語・中国語・韓国語が書いてありました。よく見るとその案内板は今年の6月に寄贈されたもので、つい最近できたものだと知りました。こういった案内板ができるということは観光客が増えている証拠だと思いました。銀閣寺の入口には、英語・韓国語・中国語の三カ国語で表記されていました。境内に入ると景観を守るためか日本語の案内板しかありませんでした。とても歴史的な雰囲気のある場所で写真を撮る外国人観光客が大勢いました。
 最後に、移動手段として使うバスについてですが、人気の観光地に向かうバスの中は混雑しており、観光客がとても多かったです。しかし、そんなバスでも問題があります。いくらカードの裏に使い方が書いてあってもじっくり読む人は少ないと思います。というのも、私はその日、外国人観光客がお金を払わずにバスを降りようとしたのに遭遇したからです。バスの運転手も運転をしているので慌てて大声で呼び止めていました。幸いにも、その外国人観光客は気づいてお金を払っていましたが、誰もがそうとは限らないと思いました。
 今回は京都の観光地における外国語表記を調査しましたが、外国人に人気の観光地だからと言って、彼らが訪れる場所の入り口、内部、またそこに向かうまでの案内板、すべてに三カ国語の外国語表記で対応しているとは限らないということがわかりました。今回の調査をきっかけにして、今後は、京都のみならず色々な場所・地域での外国語表記について調べていきたいと思いました。

外国人目線での京都の土産物 
3年生 春日 美里

 私は、外国人の目線で土産の調査8月10日から11日に行いました。一日乗車券カードを購入し、京都市内はすべてバスで移動しました。錦市場、金閣寺を実際に歩き、店の中の雰囲気や商品陳列を中心に調査しました。
 錦市場では、市場独特の雰囲気もあり外国人観光客がたくさん訪れていました。ここでは、漬物などが有名で市場の新鮮な食べ物を買って帰る方がたくさん見受けられました。持って帰るのはもちろん、その場で試食もできるので失敗せず味も確認できます。
また、寿司に見立てた飴がとても印象的でした。寿司モチーフの飴は土産にもちょうど良い大きさで、外国人も喜ぶと思いました。
 煎餅専門店では、日本の菓子として親しまれている煎餅が専門店として展開されていました。見たことのない味もたくさんあり、種類豊富に並べられていました。店頭で出来立ても煎餅を一枚から購入可能なところが珍しいと思いました。
 八つ橋は、とても有名な菓子でどこの土産売り場にも販売されていました。抹茶やチョコレートなど世代問わず食べることができるたくさんの味がでていました。箱に入っている個数もたくさん種類があるので外国人観光客が購入しやすいと思います。

 漬物やちりめんについては、多くの店が販売していました。店内には何袋も抱え買い物している人も見かけました。外国ではあまりない漬物がたくさん店頭に並んでいるのでとてもめずらしいようです。試食提供できるというのも観光地、物産展ならではだと感じました。普通食べない物を試食できるというのは日本人観光客はもちろん、外国人観光客にとってもありがたいサービスだと思います。
 和小物という京都らしい和風な小物がいろいろなところに並んでいました。ちりめん・手ぬぐいや巾着が特に多かったです。また練香水もいろいろな香りがありました。外国ではスプレータイプが多く直接肌につける練香水は少ないです。元々、着物など着る機会が多かった日本人にとってスプレータイプの通常の香水よりも塗るタイプの香水の方が控えめで適していました。香りも桜や柚子など日本らしい香りが魅力の一つだといえると思います。
 また、「よーじや」というあぶらとり紙の老舗もありました。今は化粧小物から化粧品までが揃っています。自然な素材を生かした商品が外国人受けが良いのだと思います。あぶらとり紙はもちろん、ハンドクリーム、リップなども人気です。店内には外国人向けの英語表記のパンフレットがありました。また、土産に最適な「よーじや」ステッカーも素敵なサービスだと思います。
 ヘア小物専門店では、かんざしやイアリング・ピアスなどヘア小物が販売されていました。調査日が夏ということもあり、浴衣や甚平に合わせられそうな物がたくさんあるように感じました。専門店なので店員の方との距離も近く、かんざしをつけたことがない外国人観光客も店で定員の方が一緒に選んでくれたりつけさせてくれるのでとても貴重な経験ができると思いました。
 ふりかけもたくさん販売されていました。日本人は白米をたべることが多いので、ふりかけはとても身近に感じますが、外国人にとってふりかけは珍しいものだと思います。日本人でも食べたことのないような抹茶ふりかけなどもありました。また、量り売りをしている店もあり、たくさんの種類を楽しめると思いました。また、京都は一味・七味・山椒も有名でそういった粉末ふりかけも見かけました。
 最近、京都の土産屋や駅でよくみかけるものに「京ばあむ」という菓子があります。京都土産の新定番としてテレビでもよく紹介されるようになりました。京都といえば抹茶というイメージがありますが、外国人にとって抹茶は珍しいものです。京都に訪れたら抹茶を食べたいそうです。その大人気の抹茶と豆乳のバームクーヘンはしっとりしており、ふわふわのソフトタイプだそうです。抹茶菓子として食べやすく人気のようで、家族への土産物としてみんなで分けることができるので一つ買って行くとよさそうです。
 今回、外国人目線で土産物について調査してわかったことは、日本らしい味のもの、和風小物などが人気が高いということです。市場や土産物屋ではほとんどの店で試食できるようになっていて、味を楽しむことができるのが魅力だと思いました。また、京都といえば抹茶というように、いたるところに抹茶味のものがあり、外国人観光客の注目を集めていました。また、小物については、京都らしい和服に合うもの、化粧品が人気でした。日本らしいどこかひかえめな物を選んでいる外国人観光客をたくさん見かけました。観光客は京都に特に日本らしいイメージを持つことで、和食や和小物に魅力を感じていたようです。その中でも、抹茶味は代表的でたくさんの方が土産として購入していました。たくさんの土産物屋が試食のサービスを取り入れており、京都の味を身近に体験することができるのは、京都の食においても、観光の面でも、強みであるように思いました。

京都の食べ物について
3年生 宮代 萌子

 京都には伝統的な食べ物が多くあり、日本人向けの味つけが特徴です。その食べ物を目当てに京都を訪れる外国人観光客が多いと聞いて興味が湧き、京都の観光地であり、京都の台所と言われている錦市場について調べました。
 錦市場とは京都市中央区にある約400年の歴史を誇る商店街です。全長390mで、アーケードに覆われており、道幅が狭いので歩いて入ることしか出来ないです。鮮魚・京野菜・漬物・豆腐・佃煮・干物・乾物・茶・菓子まで揃う、京都の台所ともいうべき存在です。
 事前調査で、錦市場の中でも外国人に有名なのは「さしみ串」ということがわかりました。さしみ串とは、サイコロ状にカットされていて、味がついている刺身を串に刺しているものです。メニューは、主に鱧やサーモン、マグロ、平貝、生サーモン・生マグロのカルパッチョなどがあります。道幅が狭い錦市場でも片手で食べることができ、箸が苦手な外国人でも食べやすいようになっているため、人気があるのだと思いました。

 また、京都には「おばんざい」を主とした定食屋も多くみられました。「おばんざい」とは、京都の庶民が日常に食べている普通のおかずのことで、旬の食材を使って、手間をかけずに作られる品々です。各家庭の味として代々受け継がれ、親しまれてきたおばんざいは、まさに京都の歴史と風土に育まれた食文化です。素材が本来持つ味をいかしたシンプルな味わいは、毎日食べても飽きることがない薄めの味付けが特徴で、控えめで質素なイメージを持ちがちですが、素材のことを知り尽くした地元の人たちだからこそ作れる料理です。
 その他にも、湯豆腐、京ゆば、抹茶のスイーツ、はもの落とし、茶そばなどが有名です。湯豆腐は、奈良時代に中国より伝わり、長い間、僧侶や貴族など、限られた人のみが食していました。庶民に広がったのは室町時代以降で、それ以来、水の綺麗な京都で盛んに作られるようになりました。江戸時代には、社寺の門前で精進料理を参拝者にふるまう店が増え、南禅寺の門前店が出していた湯豆腐がおいしいと評判となり、これが湯豆腐が京名物となったきっかけだともいわれますが、その発祥は未だに定かではありません。昆布出汁で豆腐をゆでて、薬味とポン酢で食べます。シンプルで奥深い味わいが楽しめます。
 京ゆばとは、豆乳を煮た時に表面に出来る薄い膜をすくいとった料理のことです。発祥は各寺院の精進料理とされ、タンパク質や脂肪に富んだゆばは、当時の貴重な健康食品でした。寺社仏閣が多く、政治や文化の中心地として栄えた京都では、茶懐石精進料理、京料理の貴重な食材をして重宝され、今日まで伝承されてきています。また、京都のゆばや京豆腐が美味しいと有名なのは、山に囲まれた京都盆地の豊かで良質な水のおかげともいわれています。
 抹茶のスイーツに使われる抹茶とは、てん茶を粉末状にしたもので、京都での生産量は全国トップクラスです。原料となるてん茶に用いる葉は、直射日光を遮って栽培することで、茶葉が薄く育ち、うまみとコクが増します。その葉を蒸して、もまずに乾燥させたのち、丁寧に葉脈などが取り除かれた葉の部分だけを粉にして完成です。和のイメージが強い抹茶ですが、甘みを上品に仕立てる風味を持つことから、欧州でも定番の素材として使われており、抹茶を加えた洋菓子も多く作られています。
 はもの落としとは、骨きりした鱧を湯引きにした料理です。鱧はくせのない上品な味の魚ですが、小骨が多く、骨切りなしには食べることができません。骨切りは、鱧を開いてから骨切り専用の包丁で皮1枚を残し、数ミリ間隔で身と骨を切ります。「はもの落とし」は、活はもでないと作れません。湯引きしてさっと氷水に通して身を引き締め、冷やした器に梅肉、芥子酢味噌などで食べ、見た目にも涼しい、夏の料理です。
 茶そばは、そば粉(更科粉)・小麦粉・宇治抹茶・微量の食塩のみを使って作った、茶どころ宇治ならではのそばです。味の決め手となる抹茶選びはもちろん、そば粉、小麦粉の配合率、乾麺の製造方法にもこだわった、オリジナルの乾麺があります。無添加、無着色、無香料の茶そばは、各店それぞれが工夫して作り上げています。ツルリとした喉ごしの後に、抹茶の確かな味わいを感じられるのが特徴です。
 京都では昔からの食べ物が今でも多く受け継がれています。私は、外国人の舌には和食の薄味である京都の食べ物はあまり向いていないだろうと思っていましたが、実際に京都にきた外国人や店の方に聞いたところ、京都料理を食べたいと思って京都にくる観光客も増えているそうです。特に、刺身串・抹茶味のスイーツは人気でそれらの店は多くの観光客で賑わっていました。そして、ある漬物店では、最近は日本人だけではなく、外国人も漬物を多く買って帰る観光客が増えているそうです。

外国人から見た京都: 建築物と景観
3年生 高嶋 結希 

 私は、8月に京都に行き、様々な歴史的な建物と景観について調べました。京都で有名な建造物は、それぞれに物語があり、興味深いものばかりでした。今回、私は普通に京都を散策するのではなく、外国人から見た京都について調べたいと思い、外国の建物や考え方と比較しながらまとめてみました。
 京都は、日本の首都にも定められたことのある、政治・文化の中心地です。世界遺産や国宝に定められている建物も非常に多く、世界の観光都市ランキングで1位に輝くほど、素晴らしい街でもあります。
まず銀閣寺についてです。銀閣寺は足利義政によって建てられた東山文化を象徴する建物です。ほとんど同じ時代に建てられた足利義満の金閣寺とは対照的で、とてもこじんまりとした寺ではありますが、日本最古の書院造りである東求堂は国宝に指定され、日本ならではの技術を用いた繊細な銀沙灘や向月台は、銀閣寺をより際立たせています。銀沙灘とは、白砂を66cm積み上げ、綺麗な模様を描いたものであり、向月台は、高さ180cm程の円錐のような形をした白砂の山ですが、どちらも月の光を反射させて本堂を照らす役割があり、江戸時代から毎日手入れがなされ、現代へと受け継がれているのです。このような日々の努力によって保ち続けている、銀閣寺の景観こそ、日本ならではのものであり、外国人目線で見ると、とても感動を覚えるものだといいます。
 次に、清水寺です。清水寺は坂上田村麻呂が建てたとされ「清水の舞台」で知られる、世界的にも有名な寺院の1つです。清水の舞台とは、高さ18mもあり京都市内を一望できる絶景のスポットです。ところで「清水の舞台から飛び降りる」ということわざがありますが、実際に飛び降りた人はいるのでしょうか。江戸時代の記録によると、死者は34人出たものの、生存率は85%で、意外と命を落とす人は少なかったようです。では、人々はなぜ、飛び降りようとしたのでしょうか。現代において、「飛び降りる」と聞くと自殺を思い浮かべますが、昔はそうではありませんでした。大きな決断をする場合に用いることわざであるように、実際に清水の舞台から飛び降りるのは、大きな決断をした時の願掛けであったようです。この点でも外国人にとって、願いを叶えるために飛び降りるという考え方は非常に珍しいため、清水寺を訪れる観光客は絶えないのだといいます。また清水の舞台以外にも清水寺には見所がたくさんあります。音羽の滝は3本の清水が流れ落ちていて、清めの水として尊まれていたり、隣接している地主神社は恋愛成就の神様を讃え、若者に人気があったりします。清水寺に行くまでの清水坂や三年坂は、道の両側に土産屋や京都の伝統品が並ぶ、観光客に嬉しい観光スポットです。このような、観光客を呼び寄せる工夫があるからこそ、今日でも外国人観光客は、清水寺に行きたいと考えるため、観光客数を増やすことが出来ているのだと感じました。
 次に天橋立です。天橋立は京都市内ではないため、京都観光のついでに立ち寄れる場所ではないですが、日本三景の一つであり、重要文化的景観にも選定されるほど有名な観光地です。天橋立とは、宮津湾と阿蘇海を隔てる砂州の事を指しますが、その砂州には松の木が植えられていて、両側に植えられた松の木の間の一本道を歩くと、とても静かで物語の中に入ったかのような感覚を覚えます。北側にある笠松公園からの眺めは絶景で、天橋立全体を見渡せます。笠松公園にはロープウェイで行く事ができ、フェリーもあるため、駅で降りて天橋立を歩いて渡りロープウェイで行って帰って帰りはフェリーでゆっくり帰り、駅にたどり着くといったように、観光客側の立場にたって考えて作られています。
 最後に京都の街並みです。京都は、国土交通省で規定されるほど、街並みに気を使っていて、伝統を守ろうと意識しています。ビルの高さや看板の色合いに規定をかけることによって、昔ながらの街並みを再現し、観光客に京都全体を1つのテーマパークに来たかのように思わせることで、観光を終えて帰ったときに、また行きたいと思ってもらえるのです。
 このように、京都は、歴史的建造物がただ多いだけでなく、様々な工夫を凝らし、昔ながらの建物を守り続けることで、観光客を集め、様々な歴史的建造物を提供することによって観光を産業化し、街を活性化することができているのだと思いました。京都に行ってみて、今住んでいる大阪や昔住んでいた福岡とは違い、観光産業をメインとしているため、日本人観光客にも外国人観光客にも愛される街づくりを進めてきた事が分かりました。