「食文化論」でインスタントラーメン発明記念館を見学

 2014年12月14日、「食文化論」の履修生10名と国際観光学部 塩路研究室の学生4名が、池田市のインスタントラーメン発明記念館を見学しました。国際観光学部で開講している「食文化論」では、世界の多様な民族の食のあり方について学んできました。講義も終わりに近づき、日本の食文化の変遷について考えるにあたり、参加学生たちは同館を通して、第二次世界大戦後の日本における食糧事情、インスタント食品についてその歴史や発展の過程を展示や食品づくり体験から学ぶことができました。今回は、同館を見学した報告をします。

インスタントラーメンによる食文化の発展

4年生 東本 麻由

 12月14日、私は大阪府池田市にあるインスタントラーメン発明記念館へ行きました。
 まず、行く途中に目に付いたのが建物のすぐ近くにある銅像です。インスタントラーメンの開発者である安藤百福の銅像が建てられており、インスタントラーメンを手に持ち、ポーズをとっている姿は大変印象的でした。
 記念館の中に入ると、インスタントラーメンの物語が年代別に壁に描かれており、その発展の歴史が理解しやすいようになっていました。その壁には仕掛けがあり、ハンドルを回すとクイズの答えが見られるようになっていたり、扉を開けたり、引き出しを引くと昔と今の違いを比較できるようになっていたりと、楽しく学ぶことが出来ました。
 インスタントラーメン・トンネルでは、日清食品の歴代の主な製品のパッケージが、頭上まで覆いかぶさるぐらい大きく展示されており、製品の移り変わりを通じて、インスタントラーメンの発展を感じました。そこでは、ミニサイズのラーメンや期間限定の商品など様々なインスタントラーメンが並び、知らない商品にワクワクしながら見ることが出来ました。

 そして、世界初の宇宙食ラーメン「スペース・ラム」が展示されており、日清食品とJAXAによる共同開発の末、宇宙でも食べることのできるラーメンの存在を改めて学びました。宇宙は無重力空間であるため、食事をすることや歯を磨くこと、体を洗うことも大変で、普段私たちが当たり前に出来ていることが難しくなります。そして、その日常生活が困難な宇宙空間で、スープと麺をすするという動作が出来るようになったのは本当に素晴らしいことなのだと感じました。
 チキンラーメンファクトリーでは、しょうゆやシーフードなど4種類のスープの味から1種類、数十種類の具材の中から4種類選べて、自分だけの特別なカップラーメンが出来上がる製造過程を体験することが出来ました。製造には様々な工夫がされ、麺をカップに上手に入れるために逆さまにして入れることや、お湯を入れて麺全体に染み渡るように宙づりになるようにカップが工夫されている様子を間近で見ることが出来ました。その過程を経て、世界にひとつだけのオリジナルカップヌードルが完成し、それを記念に持ち帰ることもでき、貴重な体験になりました。現代では日常生活にとって当たり前になっているインスタントラーメンですが、様々な歴史や開発があってこそ、食べやすく安全で美味しいということを学びました。この経験を生かして、食を大切にし、食事ができることの素晴らしさ、日常生活を見直して食文化の発展が現代の私たちの生活に繋がっているということを意識していきたいと思います。

食の発展は小さなひらめきから

2年生 大澤 弥央

 今や世界中の人々から愛され、親しまれているインスタントラ—メン。そのインスタントラーメンがどのように日本で発明され、世界へと発信されていったのか、その真相を知らない人は多いと思います。
 大阪府池田市にあるインスタントラーメン発明記念館には、実際に見て触れて体験し、自分自身の感性でインスタントラーメン物語を楽しめる空間がありました。私が初めに記念館に入って感じたのは、家族連れからカップル、お年寄りの方まで幅広い年代のお客さんがいるということです。子供だけではなく大人も楽しむことが出来るのが魅力なのです。建物の中では様々な展示物や映像、音声でインスタントラーメンの歴史や成り立ちが説明されていました。

 記念館に入ってすぐにインスタントラーメンのトンネルが迎えてくれます。日清食品の歴代の製品の実物パッケージが頭の上までくる迫力で展示されていて、今では懐かしい製品や自分の好きな製品のパッケージを見つけた時の喜びは大きかったです。全ての展示の中でも最も目に止まるのは「チキンラーメン」を開発した当時の研究小屋を再現したものです。日清食品の創業者である安藤百福さんの努力と苦労の全てが詰まっているように感じました。小屋の中には、鍋やはかり、ざるなど特別な道具はなく、とても狭いスペースでした。立派な道具や設備がない環境だとしても発明は出来る。強い意志があれば成し遂げることは可能なのだということ改めて実感しました。そして記念館の中を進むと、壁全体に安藤さんとインスタントラーメンの歩みが展示されていました。その展示を見て安藤さんの「食」にかける強い思いが伝わってきました。1945年頃、戦争で焼け野原になった町で一杯のラーメンを求めて行列する栄養失調の人々を見て、お腹一杯皆が食べられるようにしたいという安藤さんのささやかな夢から始まりました。インスタントラーメンは安藤さんの手で世界中の人に食べられる食文化にまで発展を遂げました。その背景には味の国境をこえるためその土地の風土、文化を知ったうえでインスタントラーメンを研究し続けた安藤さんの努力があったからだと思いました。インスタントラーメンは今や世界で年間1千億以上も消費されるまでの世界食になっています。全世界の食文化に革命をもたらした初めての食品なのではないでしょうか。普段、何げなく食べているインスタントラーメンですが、様々な想いや願いが込められていると知り、もっと感謝の気持ちを持って食べるべきだと思いました。
 記念館の中の展示物には様々な仕掛けがあり、子供たちにも喜ばれていました。難しい説明では理解することは困難であっても、触れることで、身体で学べるのです。また、自分のオリジナルカップラーメンを作ることが出来るので実際にどのような過程で作られているかを目の前で見て、体験できます。自分で作るからこそ価値があり、気付きがあることを再認識しました。
 インスタントラーメン発明記念館には、「食文化の原点」がありました。現代は国際社会になり、様々な文化の違いから起こる問題や争いも少なくはないと思います。しかし、「食」という人間だれしもが避けては通れない大切なものである食物は、食べ方や文化は違えど繋がることは出来るのではないでしょうか。食の新たな可能性を知りました。小さな小屋から世界へと広まっていったインスタントラーメン。発明、発見、そして強い意志があれば何事も成し遂げられるということを安藤百福さんが教えてくれた気がします。これから先も「食文化」が私たちを支えてくれる存在であるように願います。

小さな小屋から今へつなぐ思い 

2年生 横山 杏子

 2014年12月14日に、「食文化論」の講義の課外学習として、インスタントラーメン発明記念館の見学に行きました。中に入ると壁一面がさまざまな種類のインスタントラーメンでいっぱいでした。そのインスタントラーメンの一つ一つをよく見てみると、見慣れたものから見たことのないものや昔売られていたものなどもあり、その数や種類からもインスタントラーメンの歴史が感じられました。そのそばには、世界初のインスタントラーメンであるチキンラーメンを発明した安藤百福の研究小屋が再現されていました。中には当時発明に使っていたさまざまな調理器具などが置かれ、チキンラーメンを発明している様子が目に浮かぶようでした。小屋は料理ができるだけの広さで、安藤百福が狭いその小屋にひとり閉じこもり、さまざまな材料や道具を試し、何度も失敗を重ねてやっとたどり着いた発明なのだろうと思いました。現在、工場で大量に作られ、多くの人に食べられているインスタントラーメンがそのような小さな小屋から生まれたのだと知り、とても意外で驚きました。
 他にも、安藤百福とインスタントラーメンの歴史がわかる展示が並んでいました。そこでは、安藤百福が戦争で焼け野原になった町で、ラーメンの行列に並ぶ栄養失調の人々を見て「まずはお腹いっぱい食べることだ。そうすればきっと心も豊かになる」と思い立ったことが発明へのきっかけになったことがわかりました。この安藤百福の思いは今にも続いており、世界ラーメン協会がつくられ、安藤百福は会長として世界中の飢えに苦しんでいる人々にインスタントラーメンを贈り続けているそうです。また食だけでなく、食とスポーツは健康を支えると考え食文化振興財団を立ち上げ、子供たちのスポーツ大会を開催するなど人々の健康のための社会貢献活動を行っているそうです。そのような人のために思う気持ちが、今の私たちの生活にインスタントラーメンという親しみある食の存在につながったのだとわかり、食の歴史は誰かの込められた思いが引き継がれて今の私たちの食生活が存在しているのだと思いました。

 また、日清食品と宇宙航空研究開発機構によって世界初の宇宙食ラーメンが開発され、2005年には実際に宇宙に持ち込まれたことを知りました。インスタントラーメンが場所を選ばず、どんな状況の人にも親しまれ、必要とされていることを改めて感じました。
 そして、最後にはオリジナルのカップラーメンを作る体験をしました。自分で容器をデザインして好きな具材を選んで作りました。自分でデザインしたことだけでなく、インスタントラーメンの歴史や安藤百福の思いを知ったあとに作ったので、そのインスタントラーメンがいつもより特別に感じました。
今回見学したことで、インスタントラーメンがどのようにして生まれたのかということだけでなく、私たちが豊かな食を楽しめている背景には誰かの思いや知恵や努力の歴史があるのだということがわかりました。さらに他の食の歴史も知り、私たちの生活に欠かせない食というものをもっと大切にしていきたいと思いました。

インスタントラーメン発明記念館を訪れて

4年生 小倉 里菜

 12月14日に食文化論の課外授業で、大阪にある体験型食育ミュージアムであるインスタントラーメン発明記念館を訪れました。ここでは、世界初のインスタントラーメン「チキンラーメン」を手作りできる工房があります。館内の二階部分に広いキッチンスペースが設けられており、子供たちがチキンラーメンを作っていました。私たちは、カップ麺の製造工程がわかる体験工房で、自分でデザインしたカップに好きなスープ、具材をトッピングして作るオリジナルのカップヌードルを作成しました。この体験は1つ300円で作成することができます。カップには、一人ひとり好きな絵や文字、様々な色を使って装飾しオリジナルのカップを作成していました。
 記念館には多くの人が訪れており、小さい子供を連れた家族連れが目立っていました。入場する際に、入場料が無料であった事に驚きました。博物館の外には、インスタントラーメンの発明者である安藤百福の銅像が建てられており、初めてインスタントラーメンを発明した人の顔を見る事が出来ました。広く多くの人に食べられているインスタントラーメン。手軽に食する事が出来るため私も普段よく食べます。身近で手軽な食べ物ですが、誰が発明したか等、その起源について知る機会は今までありませんでした。

 館内には安藤百福がチキンラーメンを生み出したとされる、自宅裏に立てた研究小屋が当時のまま再現されていました。小さな小屋の中で安藤百福は、特別な道具を使う訳でもなく、ありふれた道具を使い、誰もが今や食べるインスタントラーメンを作ったのです。そう考えると、安藤百福は小さな小屋から大きな食の革命を起こした人物なのだと、改めて感心させられました。また館内には、日清食品の歴代の製品のパッケージで埋め尽くされた“インスタントラーメン・トンネル”もありました。その中には見た事の無いパッケージの物や、かつて販売されていたものや、現在発売されているもの等があり、インスタントラーメンの長い歴史を感じる事が出来ました。
 簡単に作って食べられる事が売りのインスタントラーメンですが、発明されるまでには、様々な試行錯誤がなされ、麺の構造、パッケージの造り、包装等、完成するには非常に長い道のりを歩んできました。諦めずに考え続けて開発したことで、今では人々にとって無くてはならない存在になったのだと思いました。食文化には様々な歴史がある事を学べたフィールドワークになりました。