塩路ゼミ3年生が福島県西郷村でフットパス

 国際観光学部 塩路研究室3年生の2人が、本学のキャリアゼミの活動として、10月28日から1泊2日で福島県西白河郡西郷村で開催された「2023全国フットパスの集い in 西郷村」に参加しました。1日目は、午後から開催されたフットパスフォーラムと交流会に参加して、基調講演や西郷村をはじめフットパスとまちづくりに取り組む全国の自治体の発表を聞き、フットパスに関わる多様な人々や学生たちと交流しました。2日目の西郷村のフットパスウォークでは、「田園と物産館 真船コース」「馬と軍馬補充部 上野原・原中コース」「戦後開拓の地 川谷コース」「紅葉の阿武隈川 西の郷遊歩道コース」「自然満喫 甲子高原トレッキングコース」の5つのコースの中で、「馬と軍馬補充部」のコースを体験することができました。学生たちを暖かく迎えて下さった西郷村と日本フットパス協会の方々に感謝申し上げます。ここでは、学生たちが西郷村で体験した内容について報告します。

空気の澄んだ緑あふれる西郷村
3年生 平田 玲子

 私たちは、10月28、29日に一泊二日で「全国フットパスの集い2023」の開催地である福島県西郷村を訪れました。この集いは、日本フットパス協会主催のもとで全国からフットパスとまちづくりを実践している自治体、フットパスと関わっている大学教員や学生、そして地域の皆さんによって開催されました。西郷村は、人口2万1千人程度の小さな村でありながらも、茶臼岳を背景に緑いっぱいの自然に囲まれた村という印象でした。空気がきれいで、とても恵まれた環境でフットパスを行うことができました。
 ここでは、一日目のフォーラムで行われた眞舩孝道さんによる基調講演と日本各地でのフットパス活動の発表、二日目の「馬と軍馬補充部 上野原・原中コース」のフットパスについて報告します。一日目は、午後から開会を含めたフットパスフォーラムが行われました。トレイル・ランニング(山中の小道を走ること)を中心としたマウンテンスポーツ活動を推進する眞舩孝道さんによる基調講演は、最も印象に残っています。眞舩さんは、45歳となった今でも走り続け、日本中に元気を届けている姿に感銘を受けました。このスポーツは、舗装されていない道を全力で駆け抜け、常に足場や景色が変化していくので飽きずに走ることができる非日常の環境が魅力的なスポーツです。しかし、舗装されていない山道は足場など危険を伴うためトレーニングを積み、体幹を鍛える必要があると感じました。
 続いて、4人の発表者によるフットパス活動事例発表がありました。その中でも、北浦鑑久さんによる“西郷フットパスの取り組み”についての発表では、西郷村で地域おこし協力隊を立ち上げ、いくつかモデルコースを設置するなど、地域活性化を強化することで人口増加を実現できたそうです。そもそも北浦さんの話術は素晴らしく面白い方で、会場全体が聞き入っている様子がわかり、楽しませていただきました。その後の交流会では、同じテーブルになった他大学の先生方や九州市立大学の学生さんたちと交流しながら福島県の新鮮な食材を使ったビュッフェをいただきました。他大学との交流ははじめてだったので、少し緊張していましたが、皆さんとても気さくに話しかけてくださり、楽しい場となりました。
 二日目は、「馬と軍馬補充部 上野原・原中コース」4キロのフットパスを歩きました。軍馬補充部とは、戦争で使う馬を育てる軍の機関のことを指します。躾された馬を国全体に設置するため、軍馬補充部が発足しました。歩き始めに訪れた「希望が丘」では、地元住民による手作りの階段を上り、頂上には西郷第二中学校の校歌が刻まれたモニュメントが設置されていました。緑に囲まれた自然の景色が一望できます。続いて訪れた「西郷村歴史民俗資料館」では、戦争時代を物語るさまざまな展示品が置かれていました。中でも、私はクマの剥製を始めて目にして、迫力があって驚きました。次に、桜と銀杏の並木道を通過し、「原中神社」を訪れました。狛犬のように設置された馬像は、元は軍馬補充部にありました。また、この馬像はそれぞれ表情を変える工夫がされていました。大通りに出た後、「独立行政法人家畜改良センター」を訪れました。ポニーやウサギがいましたが、何より広大な敷地が印象的でした。最後に、「大堀相馬焼 松永窯」を訪れました。その名の通り、馬を基調とした作品がたくさん置かれており、趣があって素敵でした。私は松永和夫さんが作った「馬のヘアアクセサリ」をお土産に買いました。このコースを巡ったのち、上野原コミュニティセンターにて、地域のそば打ちクラブの方々による手作りの十割そばと天ぷらを昼食にいただきました。地域の方々のたくさんのおもてなしに心が温かくなりました。
 この西郷村での経験を通じて、多くの関係者の皆さんの協力があってこの集いが成立していると感じ、皆でフットパスを行うことで味わうことのできる達成感や共有することの重要性を学びました。多くの方々と交流や意見交換ができて充実した一泊二日となりました。次の開催地は、熊本県美里町と九州ハイランド地区(美里町、山都町、五ヶ瀬町、椎葉町)です。交流会での引継ぎの際の紹介ビデオを見て、とても興味を持ちました。来年度もまたぜひ参加したいと思いました。

 

福島で地域活性化のために歩く
3年生 瀬澤 歩

 私は、10月28日、29日に福島県西郷村の「2023全国フットパスの集い」に行きました。西郷村は、観光を目的として地域性や自然を活かすことを意識して住民参加型のフットパスを行っています。
 1日目は、交流会も兼ねた発表会でした。私は国際観光学部の塩路ゼミから参加した2名の学生のうちの1人として行ったのですが、阪南大学の他に北九州市立大学の地域創生学部の学生も25人ほど来ていました。発表会ではトレイルランニングと呼ばれる、山をマラソンの速度よりも速く全力で駆け抜けるスポーツを用いて地域活性化に力を注いでいる方の話が印象に残りました。自分が西郷村のためにできることは何だろうと考えた時に、自慢の体力と走りを使って地域活性化をすることに気がついたという話を聞いて、よほど地元のことが好きでないとそういう考えにはならないと思いました。西郷村は、住民の方々に好かれている場所なのだと感じました。
 交流会では、北九州市立大学の学生さんが、他の参加者との挨拶の時に名刺を渡している姿を見ました。大学生での名刺交換は見たことがなかったので、聞いてみたところ、地域の人があって活動できる部分があるので、必ず作らなくてはいけないとのことでした。私たちとは意識が全く違い、次の日のフットパスへの気持ちが引き締まりました。
 2日目は、馬と軍馬補充部について知ることができるフットパスのコースを歩きました。このフットパスで最も印象に残ったことは、原中神社です。原中神社は、キンヌキ観音と呼ばれる菩薩像が祀られています。そこに狛犬のように置かれている2頭の馬像がなかなか他で見られるものではなく、印象に残りました。これは、狛犬の役割として置かれたものではなく、元々は西郷村歴史民俗資料館の入り口に置かれていたものでした。陸軍の幹部が雰囲気に合わないから撤去命令を出しましたが、もったいないとの考えから、狛犬の代わりに原中神社に置かれました。狛犬のように、口の開閉の違いはなく、置かれている場所も本殿のすぐ前など、神社としては少し違和感を感じ、印象に残りました。
 また、フットパスでは、西郷村立西郷第二中学校を希望の丘と呼ばれるところから眺める機会がありました。その中学校は、馬小屋を再利用されて作られたそうです。確かに屋根に形があり、建物の屋上がないところが、学校の感じではなく、馬小屋の形跡が残っているように思いました。今は廃れてしまった建物を壊すのではなく、再利用して中学校に変えるというところが、地元の人々の古くからの建物をできるだけ残したいという意思を感じました。
 西郷村を訪れて、地元の人々は西郷村に住んでいること、生まれ育った場所に誇りを持っていることを知りました。また、フットパスを行う際にも、周りの人たちとの繋がりがとても大切だと感じました。西郷村を通して観光目的や地域活性化のために、フットパスを積極的に用いて活動する重要性を理解したので、今後もフットパスと関わる活動を積極的にしていこうと思います。