塩路ゼミ3年生が岸部をフットパス

 本年度も国際観光学部 塩路研究室は、「フットパスと豊かな地域づくり」というテーマで主に吹田市を拠点としてキャリアゼミ活動を行います。また、引き続き、連携先である吹田歴史文化まちづくり協会の皆さんにご協力をいたただきます。本年度は、吹田市岸部エリアと千里山・関西大学エリアの2チームに分かれて、まち歩きを実施し、フットパスの視点から地域づくりについて考えていきます。2023年5月13日に、研究室3年生が吹田市岸部エリアで、吹田歴史文化まちづくり協会の吹田まち案内人の方と一緒に1回目のまち歩きを実施しました。今回は、歩いた学生たちがその感想を報告します。なお、各チームは、6月に地域での学びを深め、学生目線で新しい発見をするために、同じエリア内で2度目のまち歩きを行い、7月にはその2回のまち歩きを踏まえて同協会の浜屋敷で市民の方々と交流会を開催する予定です。

奥深い街「岸部」
3年生 福山 星汰

 私たち塩路ゼミは、5月13日に「岸部」と5月20日に「千里山、関西大学」の2つのコースに分かれて、それぞれフットパスを行いました。私は、岸部でのフットパスを吹田歴史文化まちづくり協会の吹田まち案内人である本田雅人さんの案内で歩きました。
 当日は「JR岸辺駅」付近の様々な場所を約6kmめぐり、最終的には「JR吹田駅」で解散するというルートでした。岸部地区は、吉志部神社・吉志部瓦窯跡・七尾瓦窯跡・旧中西家住宅などの史跡が残る「旧吉志部の里」があります。一方で、国立循環器病研究センター・市立吹田市民病院を核とした、医療機関と医療関連企業などが集積した国際級の複合医療産業拠点(医療クラスター)の形成を目指した「健康・医療のまちづくり」「北大阪健康医療都市」(健都)エリアが存在しています。今回はその2つのエリアを、本田さんに紹介していただきながら歩きました。フットパスの中で印象に残ったのは、序盤に回った小学校内に建ててある「風災記念塔」と中盤に回った「旧中西家住宅」です。
 風災記念塔は、昭和9年(1934年)9月に岸部を襲った室戸台風で、岸部第一小学校(当時は岸部村立岸部尋常小学校)の本館公社が倒壊した際の犠牲者を弔い、災害を忘れないように建てられました。風災記念塔を実際に見て、普通の石碑と思っていたのですが、岸部地区の人たちは、この塔を見て常に忘れないようにしているのだと感じました。
 次に「旧中西家住宅」(吹田吉志部文人墨客迎賓館)は、江戸時代後期に建築された淀藩の大庄屋屋敷で、長屋門や主屋、藏など様々な建物が国登録有形文化財に指定されていて、庭園も登録記念物(名勝地関係)に指定されている建物です。その日は、中に入ることはできませんでしたが、予約することで中に入ることができるらしいので、次回は実際に中に入って大きさを確かめようと思いました。屋敷は外から見るだけでもその大きさとその立派な建物を想像することができました。
 今回のフットパスを通じて、吹田岸部地区には、昔の建物や現代風な建物、重要文化財など、貴重なものが存在していることが実際に歩いてみて知ることができました。私は通っていた高校が岸部付近にあるのですが、3年間通っていても、周りをよく見てみないと何もわからないということにも気づくことができました。本田さんが、一つ一つを丁寧に説明してくださったので、知識を取り入れながら歩くことができました。私も、旧中西家住宅のについてや風災記念塔がなぜ建てられたのかということを、次に友人と歩くときに説明することができるようになろうと思いました。
 

初めて訪れた街「岸部」
3年生 藤澤 斗葵

 今回のフィールドワークでは吹田市の岸部を探索しました。約3時間かけて約6kmの道のりを歩きました。吹田市は人口約39万人の市で、大阪で6番目に人口が多い地域です。まち歩きでは吹田まち案内人の方に各場所の説明や魅力について伝えていただきました。
 私が印象に残った場所は3つあります。まず1つ目は吉志部神社です。吉志部神社の本殿がとても華やかで綺麗な印象がありましたが、2008年に全焼し、2010年に復元されたものでした。外見はとてもシンプルですっきりしたイメージでしたが、内部の写真を見ると金色でとても豪勢でした。神社には本殿の建物だけでなく、須恵器窯跡もありました。この場所は土がよく、斜面が急だったため須恵器作りが栄えたと言われています。数は100程あったそうです。また、つつじが有名でその紫色から紫金山公園と名付けられています。
 次に印象に残っているのは旧中西家住宅です。旧中西家住宅は江戸時代の後期に建築された淀藩の大庄屋敷で、様々な建物が国登録有形文化財に、庭園は登録記念物に指定されています。実際に外側を見て、敷地が想像以上に広くて驚きました。横幅も奥行も近隣の家々の何倍もありました。今回は中に入ることが出来なかったので、次回の2回目のフィールドワークで予約して中をしっかり見学したいと思いました。
 最後に岸辺駅から吹田駅へ行く際に駅沿いを歩いたのですが、その桜並木の遊歩道がとても印象的でした。この遊歩道は3kmもあるそうです。千里丘駅側の並木道はソメイヨシノがずっと並んでおり、反対側の吹田メロード吹田手前までは色々な種類の桜が並んでいるそうです。吹田まち案内人の方によると、吹田メロード側の桜はそれぞれ咲く時期が違うため、長い期間楽しめるそうです。実際に桜の咲く時期に歩いてみたいと思いました。
 吹田市の岸部エリアを初めて歩いてみて、駅から離れると昔ながらの神社や家や街並みが見られる所が多く、反対に駅の近くには国立循環器病研究センターや市立吹田市民病院など比較的新しい建物が多く、まだまだ発展中のように感じられました。今回はJR岸辺駅の北側を中心に歩いたので、次に歩く時は南側も歩いて、新しい発見をしてみたいです。6月には自分たちだけで再度まち歩きを行うため、今回のまち歩きを踏まえて自分が関心のある場所をピックアップしておき、さらに吹田の歴史や今後の発展について考えることができれば良いなと思います。初めて訪れる街であっても、歩くことで自分の知らないことや通り過ぎるだけでは分からないことを知ることができ、フットパスの楽しさを直に感じられたフィールドワークでした。

まち歩きをして発見できた岸部の魅力
3年生 森田 甫也

 私たちは、吹田市の岸部コース、千里山・関大コースの2つのグループに分かれて、それぞれ吹田まち案内人の方に案内してもらいました。私は、5月13日に岸部コースとして吹田市東部、岸部地区の「吉志部の里」と「健都エリア」でフットパスを行いました。昔ながらの街並みや史跡が多く残る旧吉志部の里と、健康・医療のまちづくりとして国立循環器病研究センターや市立吹田市民病院がある北大阪健康医療都市(健都)エリアを歩きました。今回は歩いて感じたことを報告します。
 フィールドワーク当日、JR岸辺駅で岸部コースのみんなと先生や案内人の方と集合し、まち歩きが始まりました。JR岸辺駅はJR大阪駅から直通で行ける立地で、駅付近では大型スーパーや商業施設があったので都会と感じ、一方で駅から少し離れると昔ながらの建物や歴史ある史跡などが混じり、岸部地区は住みやすい場所だと思いました。
 まず、JR岸辺駅を出てすぐ目に入ったものは吹田貨物ターミナル駅という岸辺駅と吹田駅の間に位置する貨物駅でした。全長7.2kmあり日本一の長さを誇る貨物駅で、案内人の方が説明して下さっている間も貨物列車が貨物を運んでいる姿が見られました。
 また、岸部駅から300mの位置にある国立循環器病研究センターでは、重症な患者さんが運ばれることが多く、主に循環器系の重い病気を治療、研究しているそうです。案内人の方によると、病院のロゴである赤と青のマークは動脈と静脈を表しており、わかりやすい目印だと思いました。
 次に、吉志部神社に向かう道中に願成寺があります。そこの和風な建物の塀の高さが頭の位置ほどと低く、狭い通路だったのが印象的でした。また、すぐ先に吉志部小路道標という一石五輪塔があります。5つの石が重ねられたように見えたのですが、実際には1つの石を削って作られており絶妙なバランスで立っているのに驚きました。
 今回の岸部地区でのまち歩きをしてみて、駅付近では大阪学院大高校や大阪学院大学があるため学生や主婦など比較的年齢層が低い人達がいると感じましたが、駅から離れていくと出会う人々の年齢層が高くなると感じました。また、郊外になるにつれて新しい住宅街やマンションから歴史ある街並みへと変化しました。人も多過ぎず、山や自然を感じられる場所が多く、近くに病院もあるため、老後のことを考えても、とても住みやすい街だと感じました。
 フットパスを行う前のイメージでは吹田市は万博や吹田スタジアムがあるというだけでしたが、歩くことであまり知ることがなかった岸部の街並みと建物の雰囲気や住みやすさという魅力を発見することが出来ました。