塩路ゼミ2年生が国立民族学博物館を見学 その2

2021年11月13日に、国際観光学部 塩路研究室2年生が吹田市千里万博記念公園を訪れ、園内の国立民族学博物館を見学しました。本学のキャリアゼミ活動の一環として、吹田市の観光資源を知るために、万博記念公園と世界の民族文化を体験できる同博物館を見て回りました。学生数名ずつが常設展示の世界の各エリアに分かれて詳細に展示を調査しました。今回は、報告「その2」として、ヨーロッパとオセアニアのチームがその際に感じたことや学んだことを報告します。

海外旅行に行った気分になる「みんぱく」

2年生 中田すず

 11月13日土曜日に私たちは万博記念公園にある国立民族学博物館(みんぱく)を訪れました。万博記念公園には、太陽の塔、日本庭園、自然文化園、みんぱく等があります。太陽の塔は、1970年に開催された日本万国博覧会のシンボルゾーンにテーマ館の一部として、作られました。太陽の塔の頂部には金色に輝き未来を象徴する「黄金の顔」、現在を象徴する正面の「太陽の顔」、過去を象徴する背面の「黒い太陽」という3つの顔を持っています。
 11時に万博記念公園駅で集合し、万博記念公園で、ゼミメンバーで昼食を食べました。食事をしながら、交流を深めることが出来ました。公園内は、紅葉の始めでした。この日の夜から、紅葉のライトアップも始まっていました。土曜日であったため、家族連れが多く、多くの人で賑わっていました。万博記念公園の自然文化園エリアには「森のトレイン」が走っており、親子で乗車しているのを見かけました。乗り物に乗りながら、景色を楽しむことで気持ちが安らぎ、落ち着くと思います。ピザやパスタ、スイーツが食べられるレストランやキッチンカーもあり、食を楽しむこともできます。
 昼食後は、みんぱくを訪れました。訪れている人は、大人が多く、子供連れで来ている人は少なかったと感じました。展示はオセアニアから始まり、東周りで地球を一周することが出来ます。展示物を見ながら、映像と音声による解説が視聴できる携帯型の音声ガイドを無料で借りることが出来ます。展示物以外にも、世界の諸民族の暮らしや文化を記録したビデオを視聴できるビデオテークもありました。展示物は、説明書きと一緒に展示されており分かりやすかったです。常設展示を一周することで旅行に行った気分を味わうことが出来ました。現在、コロナ禍の状況で海外に行き文化や歴史に触れることは難しいですが、展示物を見ることで世界の様々な地域の特徴を学ぶことが出来ました。私にとって印象的だった展示物は、言語展示エリアにあった世界の様々な言語で書かれた『はらぺこあおむし』の絵本です。日頃の生活では使わないヒンドゥー語やアラビア語で書かれた絵本もあり、世界には沢山の言語があることを実感しました。
 このフィールドワークを通して、みんぱくで世界の多様な地域の歴史や文化、衣服等を見ることで地域による違いを考えることが出来ました。極北エリアで生活している人は野生のトナカイの毛皮で作られた衣服を着用し、それと比較して、インドのデリーで着用されている婚礼衣装が展示されていました。世界の中でも地域により、衣服に使われている素材や用途が異なると考えました。衣服の他にも、地域によって食や住が異なると考えました。みんぱくで、様々な地域の常設展示を見ることで、実際に文化の多様性に触れることができ、異文化理解に繋がると思いました。

世界の文化や暮らし

2年生 早野 悦次

 私たちは、11月13日に国立民族学博物館を訪れました。そこには、世界の衣食住の歴史についての展示がありました。その中で、私が学んだ場所であるヨーロッパについて述べたいと思います。
 はじめにヨーロッパの歴史についてですが、ヨーロッパは16世紀から20世紀にかけて様々な知識や技術を活かし、多くの分野において世界の中で最も最先端を走っていました。そして、それらが世界各地に拡散していきました。このことからヨーロッパは世界の発展の手助けをしていたことがわかりました。
 ヨーロッパは近代化や産業化などのイメージが強いですが、農業においても現在まで継承されていることがあるとわかりました。ヨーロッパの農業は、麦作と牧畜を軸に地域によってブドウ栽培などが加わったものです。秋には麦の種まきが行われ、寒い冬を経て春に農業が再開します。そして、夏になると牧草刈りや麦の収穫が続きます。この1年のサイクルが現在まで続いています。ヨーロッパの農業は伝統的で人々の生活には欠かせないリズムであることを知りました。
 農業で使用する道具においても多種多様なものがありました。その中でも鍬の刃は、ヨーロッパで使われているものだけで5種類ありました。そして形もそれぞれ異なり、今まで私も見たことがないようなものも展示していました。
 とくに、私はヨーロッパの展示品の中で、産業化時代のアイロンが最も印象に残っています。理由は、それらは現在のものとは異なり、ボックス型アイロン・ひだ付きアイロン・煙突付きアイロン・襟用アイロン・レース細工用アイロン・旅行用アイロン・フラット型アイロン・玉アイロンなど、その物に合わせたアイロンが個々に存在していたからです。また、大きいものから小さいものまで様々なサイズがあり、これらの時代のアイロンを一度使ってみたいと感じました。
 その他にも音楽展示と言語展示がありました。まず、音楽展示では様々なギターやチャルメラなどの楽器が展示されていました。そして、言語展示では世界の言語を聞くことができる体験コーナーがあり、それらを聞いて改めてまだ知らない言語が存在していると感じました。それから、桃太郎の昔話を使って昔と現在の日本の地域ごとの方言を比較することができる体験コーナーもありました。私は地域ごとに少しずつ聞いてみましたが、北と南に行くほど何を話しているのか全く分からなかったので、今後それらの言葉を一つずつ理解していきたいと思いました。
 このフィールドワークを通じて世界の文化や暮らしなどを多く学ぶことができました。最後に、国立民族学博物館に展示されているもの以外にまだ発見されていないものが世界のどこかにあると思うので、今後注目していきたいです。

国立民族学博物館の魅力

2年生 後藤 滉稀

 今回、万博の国立民族学博物館を見学してみて、様々な国の展示物や映像など興味深い展示品をたくさん見ることができ、世界の国の人々の文化や歴史にとても興味が湧きました。
 同博物館に行く前までは、世界の9つのエリアなんてすぐに見て回れるだろうと思っていましたが、実際に全て見て回るのに2時間以上かかったのに加え、館内もとても広く普通に一周するのにも時間のかかる距離であり、想像を越える満足感でした。一つ一つの国にたくさんの展示物や映像などがあり、時間を忘れるぐらい見入ることができました。そして、見学には音声ガイドもあり、特定の場所で貸し出ししている機械を使うことによって、簡単に展示物の説明を受けることができ、ただ展示物を見るだけではなく、その展示物がどのような歴史や背景をもつ物であるのかなどを深く学ぶことができます。また、新型コロナウイルスで、人との接触を避けることができると言う点においても、音声ガイドは感染拡大防止対策にも繋がる良い方法だと感じました。
 私は授業で様々な国の食文化を学習しているので、民族学博物館に行き、各国で使われている料理に関する器具や食べ物を見て、食文化への関心が高まりました。また、授業で取り挙げられていた調理器具や土地を耕すための道具などを実際に見ることができました。また、同博物館では、食に関する文化だけではなく、人々がどんな所で暮らし寝泊まりしていたか、どんな服を着ていたか、どんな生き物と暮らしてきたのかなど、世界の儀礼や芸能・生活の様子など様々な文化にふれることができました。9つすべてのエリアに違った文化があり、日本と比べても全く違う生活が存在していて、各エリアの物事に対する価値観の違いを感じました。日本も今と昔を比べると生活様式に変化があります。その意味で、時代による変化のエリアによる違いも学ぶことができました。
 また、民族学博物館では、展示されている物を見るだけではなく、生活の様子などを映像で紹介してくれるビデオや、たくさんの雑誌・資料が所蔵されていて、それを無料で見られるところが非常に魅力的でした。展示物を見て回るのにも数時間かかるのに加えて、たくさんの映像や資料を見ることができるので、一日では館内すべてを堪能することができないくらい量・質ともに素晴らしい博物館だと思います。これだけのボリュームがあって入場料もとても安かったので、また行きたいと感じさせるような博物館でした。
 そして、ここで学んだことを糧にもっと深く日本や日本以外の国について学んでいこうと思いました。

オセアニアの海の文化

2年生 藤原 奈々

 先日、万博記念公園にある国立民族学博物館に行きました。そこで私は、興味があった東南アジアを中心に見学しました。東南アジアは森と海に囲まれており、熱帯・亜熱帯の気候で暮らす人々は、早朝の涼しい時間から働き始め、40度近くに達する日中は屋内で昼寝などをして暑さをしのぎます。夕方、スコールが過ぎた後は、少し暑さが和らぎ、人々は買い物や農作業に出かけます。日が落ちて涼しくなると、友人や家族と屋台に出かけたり、演劇を見たりして余暇を楽しむそうです。国立民族学博物館では、東南アジアで暮らす人々の一日がうかがえるような展示物が沢山ありました。
 日が高くなり暑くなってくると、村人たちは野良仕事などの労働を一段落させ、家に戻ってくるそうです。家族で食事をし、その後片付けが済むと、ようやくくつろぎのひと時を迎えます。各家族が手仕事を行うのも主にこの時間で、特に農閑期、女性たちは布を染め、機を織ります。男性はラタンや竹を組みます。冠婚葬祭や儀礼も、昼から始まることが多く、親族や村の人が着飾って行き来しあい、飲食をともにし、情報をやり取りし、喜怒哀楽を分かち合うそうです。
 私が印象的だったのは、「食」についての展示です。台所は囲炉裏の周囲に鍋釜、刃物、水瓶を配置し、火棚の上には竹やラタンによる組み物が置かれていました。タンイ族の台所は囲炉裏には鍋や釜をつるすための自在鉤はなく、土に埋め込まれた3つの石が五徳の役割を果たしています。家の改築で囲炉裏を解体することはあっても、この3つの石は世代から世代へと引き継がれ、家族の食事を支え続けています。台所の展示では、食を支えることだけでなく、囲炉裏で寒い日に暖をとり、座ってくつろぐ一家団欒の様子がうかがえました。
 東南アジア展示で最も印象的であったのは、非常に華やかな寺院でした。昼間の仕事を終えた人々は夜に芸能や娯楽を楽しみます。大陸部では、信仰の場である寺院の境内が芸能や娯楽の場にもなっています。大陸部の上座部仏教が盛んな国々では、ある程度の大きさの村には必ず寺院があるそうです。寺院は僧が修行生活をおくる場所であるとともに、俗人が儀礼に参加し、寄付や布施によって公徳を積む場になっています。学校、病院、集会場など、現在でも寺院は様々な役割を果たしており、上座部仏教社会では徳を積めば、現世か来世において幸福になれると信じられています。その中でも最上とされるのが寺院の建立や修繕ですが、賽銭箱へお布施を入れるのも徳を積む方法の一つで、入れられたお布施は、寺院の電気代や水道代に使われることが多いです。人々が幸福を得る代わりに寺院の修繕や維持に貢献できることは信仰者からしても非常に光栄な事なのだろうと感じました。寺院にはろう人形が展示されており、そのあまりの精巧な作りに驚きました。僧のろう人形はタイで人気が高く、実物大の高僧増が寺院によく展示されているそうです。
 東南アジアの展示を見て、人々が暑さが和らいだころに出かけるなど、天気の変化に応じて行動しているように感じました。また、東南アジアの中でも各国により異なる文化があることがよく分かりました。他にも、芸能に用いられる人形が身につけている衣装、乗り物など非常に鮮やかなデザインのものという印象を受けました。国立民族博物館は想像以上に広くすべてを見尽くすのには数時間では足りないように感じました。次はじっくりほかの地域の展示も見に行きたいと思います。

オセアニアの航海術

2年生 安本 律希

 私たち塩路ゼミは、2021年11月13日に国立民族学博物館にフィールドワークへ行き、全世界の民族や食文化などの歴史を学ぶことが出来ました。最も勉強になったことは世界にはたくさんの大変な問題、例えば植民地問題や戦争があり、多くの人々が犠牲になるようなことが積み重なり、社会情勢が一変するような出来事があったということです。
 私たちはグループに分かれて展示場を見てまわりました。私はオセアニア展示の担当になり、オセアニアの歴史や航海などの文化について重点的学ぶことになりました。
 オセアニアというのは、海がほとんどの面積を占めているエリアであり、大小数万を超える島々が点在しています。現在では考えられないような「シングルアウトリガー・カヌー」という、向かい風でも船首に立っている帆げたを船尾に移して、船尾を船首にしてジグザグ航法で前進できる船が展示されていました。この航法は現地語で「エンメイ」、英語で「シャンテング」と呼ばれ、船首と船尾を自由に入れ替えて航海出来る点が非常に優れています。船体を鋭いV字形にしてあるのはカヌーの横流れを防ぐためだそうです。
 オセアニアでは、そのシングルアウトリガー・カヌーを用いた航海技術で移動が行われていました。展示場で実際に見ることができた等身大の船は、とても迫力がありました。しかし、現在使用されているような船とは全く異なり、すぐにでも沈みそうな木造の船でした。それでもとても長い距離の航海をしていたと考えると、たくさんの技術や工夫が行われていたことに感心しました。
 当時、島から島へ移動する際は目印として、星を基準とし、移動していました。サンゴ島と火山島の交易があり、サンゴ島で手に入らないものは近くの火山島に行って手に入れ、サンゴ島から手工芸品を持って行き、土器や生活に必要なものと交換し、災害時には交易相手から援助も受けます。現在では、スマートフォンなどの便利なツールが普及しており道に迷ったときなどは使用したら目的地に簡単にたどり着けますが、その時代では星、星座などを目印にして工夫したりしていたことにとても驚きました。
 オセアニアの文化や歴史、航海術を国立民族学博物館で学び、当時のオセアニアの人々がとても多くの道具などを使用し、それを沢山の工夫を積み重ねて、シングルアウトリガー・カヌーを開発し、星や星座を目的地の目印にして航海していたことを知ることができました。広大な海のエリアで多くの工夫がなされてきたオセアニアの文化と歴史に興味を持ちました。