塩路ゼミ3年生が吹田の緑地帯をフットパス

2020年10月24日(土)に、国際観光学部 塩路研究室3年生が吹田市のニュータウンを囲む緑地帯に沿ってまち歩きを実施しました。今年も塩路研究室がキャリアゼミで連携している「吹田歴史文化まちづくり協会」の「吹田まち案内人」の方々に学生たち3チーム(千里ニュータウンの緑の回廊を歩くコース、吹田商店街コース、北千里コース)を案内していただきました。例年は3年生が5月に実施する活動ですが、今年は新型コロナウィルス感染予防を徹底しながらの秋の実施となりました。今回は、千里ニュータウンの緑の回廊(緑地帯)を歩くコースのチームが1回目に案内人の方と歩いた活動を通して学び、感じたことや考えたことを報告します。
※集合写真撮影時のみマスクを外しています。

千里ニュータウンで穏やかなまち歩きを
3年生 松井 春香

 私たちは、10月24日に大阪府吹田市の千里ニュータウンを、緑の回廊に沿って歩きました。北急桃山台駅から阪急山田駅までの約6.5キロのコースです。
 まず、初期のニュータウンは、いずれも大量かつ迅速な住宅供給という使命を帯びて建設されました。特に今回訪れた千里は、わが国初の本格的なニュータウンで、機能主義都市計画の先駆的モデルになっています。千里ニュータウンを特徴づける最大の要素には、道路、公園緑地等のインフラ設備の水準の高さが挙げられます。実際に、歩いてみても、緑地や公園の豊かさに驚きました。
 千里では区域の外周全てに、緑地帯、周辺緑地が巡らされています。まち案内人の方によると、これは完全に周囲から遮断された環境を形成し、「理想の街」を作り上げるためだそうです。しかし、その広大な周辺緑地には、柵があり、入れないことが多かったです。原因の1つとして、緑地の中に鉄塔を立て、利用していることが考えられます。それは、緑地の活用法の1つとも言えますが、折角の自然を遠くに感じるという点では少し勿体ない気もしました。
 その中で、歩くことが出来た緑地もあります。特に「緑地の遊歩道」はとても魅力的でした。理由として、道が土のままだったことが挙げられます。全体的に千里ニュータウンにある道は、コンクリートが多かったように感じます。また、入ることの出来た緑地には、大体砂利がひかれていました。確かに、コンクリートや砂利は手入れがしやすいという利点があります。特に今回は、前日に雨が降っており、地面が湿っていたため、靴が汚れないという良い面もありました。そのため、一概に土の方が良いと言い切ることは出来ませんが、やはり個人的には歩きやすさや、自然や季節を感じられるという点で、緑地の土の遊歩道は歩いていて楽しかったです。また、普段から、市民にも開放されているため、ウォーキングやランニングをする人も多く、運動にも適しているように感じました。
 次に、公園についてです。千里ニュータウンにはいくつもの公園があり、土地利用構成では、約24%をも占めています。今回歩いたコースの中でも7つ程の公園を通りました。その中でも、特に私の印象に残っているのは「佐竹公園」です。佐竹公園は、古代の象「アケボノゾウ」の歯の化石が出土した公園です。アケボノゾウは、肩の高さが約2mの小さな象で、体に似合わず大きな牙を持っていたそうです。普段の生活の中で、なかなか何百万年も前の過去を想像することはありません。私自身、自分が歩いている場所を、象が歩いていたなんて考えもしませんでした。そのため、この話を聞いて、とてもわくわくし、過去の風景に興味を持ちました。佐竹公園には、その歴史に関する説明書きや写真の掲示板があり、千里ニュータウンを違う角度から知ることが出来ます。資料があることで、自分の見ることの出来ない空間を見たり、考えたり出来るというのは面白いです。
 今回、実際に千里ニュータウンを歩いてみて、知らなかった吹田の魅力を感じました。案内してくださった、吹田まち案内人の佐藤さんには、感謝でいっぱいです。佐藤さんには、地元の方でないと分からないような細道や話を教えていただきました。恐らく、案内がないと気づかないこともあったと思います。そのため、掲示板や新しい試みとして歩きながら聴ける音声案内などを作ることが出来れば、より多くの人により深く吹田を知ってもらえるのではないかと考えました。

吹田市まち歩き~季節感じるニュータウン
3年生 松川 拓真

 私たち塩路ゼミは3つのグループに分かれて、吹田市のまちづくり活動の一環として浜屋敷のまち案内人の方とともに吹田市を歩きました。10月24日に私のグループは歩いたのですが、天候にも恵まれ、フットパスをするのには最高の日でした。歩いたコースは北急桃山台駅から緑地帯に沿って歩き、緑地の遊歩道を通って、高町池に行き、山田駅まで歩きました。このコースは事前に配られていた「吹田市観光Map」にも載っていないコースで、新しいコースということだったので、新しい発見があるのではないかと楽しみにしていました。
 実際に歩き、まち案内人の方に話を聞いたりして感じたことは、吹田市のまち並みは緑地帯による自然の美しさと生活をしていくための利便性を両立していて、とても住みやすそうな場所だと思いました。この環境を作るために、吹田市の方々が理想的なニュータウンを作る取り組みに力を入れていることに感心しました。例えば、大阪府が吹田市に焼却炉を建設しようとした際、住民の反対の声で建設中止になったことや、吹田市の天然記念物であるヒメボタルや緑地を守る運動や看板、住宅マンションの行政と住民の話し合いなど、たくさんの話を聞きました。どの話からも吹田市に住む住民が自分たちの力で吹田の町を守ろうとする思いが伝わってきました。
 吹田市の理想的なニュータウンを作る取り組みの中に、幼稚園と小学校低学年の子どもを一緒の環境にするということを一時期計画していたという話を聞きました。年齢的に身体の大きさが近い子どもを一緒の環境にするという取り組みはとても先進的で良いなと思ったのですが、中止になった理由を聞いて納得するものがありました。幼稚園は全員が通えるわけではないので不平等であるという声があったからです。確かに小学校は義務教育であるのに対して、幼稚園は義務ではなく、金銭面などの理由で通えない子どももいるでしょう。幼稚園からの付き合いのある子どもと小学校から入ってくる子どもでは、人間関係に差が出ますし、そこは難しい問題だなと思いました。しかし、吹田市の新しい取り組みをしていこうとする考え方は素晴しいと思いました。
 私が実際に歩いて特に魅力的だなと感じたところは、千里ぎんなん通りと紅葉のトンネルです。千里ぎんなん通りに並んでいるイチョウの木は綺麗で映画に出てきそうな通りでした。紅葉のトンネルはまだ青々としたモミジでしたが、もし赤くなっていたらどれほど美しいのだろうかと想像しました。また紅葉の季節にぜひ行ってみたいです。

緑が多く心地良い吹田市
3年生 武本 咲

 私は10月24日に南千里付近の緑地帯を歩く「フットパス」を行いました。私は大阪の南河内に住んでいるため、吹田市には万博記念公園とエキスポシティ以外では訪れたことはありませんでした。ゼミ活動で吹田まち案内人の佐藤さんのガイドを受けながら、桃山台駅~緑地帯~高町池~山田駅という、緑が多い住宅街を歩きました。その中で特に私が興味を持った点について報告します。
 50年前の桃山台では桃を作っていたので、桃山台という地名になり、竹見台、佐竹台は竹が有名で地名の中に竹という漢字が入っているということでした。地名に昔の名残があり、まず町の歴史に魅力を感じました。
 千里ニュータウンの新しい町づくりをするために1地域に1つの小学校を作り、それを中心に生活できるように町を整備したそうです。狭い地域の中に生活のために必要な郵便局やスーパーを作って生活しやすい環境を整備しました。2つの地域に1つの中学校を作り、駅や病院、商店街を設け、少し地域出ていくと大型施設があるというようにです。この住環境は家の近くで生活に必要なものがそろって、少し家から離れると大型施設があり、とても理想的な生活ができると思いました。緑が多く、家の近くで生活できる仕組みは、イギリスの都市と田舎の良い部分をとりいれたそうです。
 千里緑地の中にヒメボタルの生息域があり、5月25日頃にはヒメボタルが光るので、ヒメボタルをより美しくに見るために近隣住民の心遣いで電気を消しているそうです。このような自然を住宅街で見ることができるのは大きな魅力です。その他に、緑地帯ではたくさん木々があり、高圧線を隠せます、それによって生活感がなくなるのでよいことだと感じました。吹田市には緑が多く緑地帯のすぐ横に住宅があります。吹田市には山がなく雨が降らない日が続くと水不足になるために、ため池がたくさんあります。私が歩いた中にも6つのため池がありました。農業用水に使われていたそうです。ため池の中には、鯉、メダカ、ブラックバスなどの魚が生息しています。
 私が歩いてみた感想は、吹田市にはとても緑が多く、小さい子供からお年寄りまで緑に触れ合える、住みやすい環境が整っているというものです。私の家の周りには吹田市に比べ、緑がなく子供が遊べるような場所がなく、子供の姿を見ません。しかし、吹田市には、私たちは日曜に歩いたのですが、たくさんの子供が外で遊んでいました。そのため、住民にとっても住みやすい環境なのだと感じました。一方で、一つ残念に思ったことは、緑地帯のほとんどの道をコンクリートや砂利を入れて整備していることです。確かに歩きやすい、水たまりもなくなるというメリットもありますが、人が歩いたら固まる「土の魅力」も知ってほしいです。土は膝にも優しいことや、歩いたときの土のにおいや地面を踏みしめる感覚は今の時代になかなか体験できないです。それを体験できる公園や緑地帯だったら、さらに、良いフットパス(歩く道)になると思いました。

千里ニュータウンに魅せられて
3年生 小林 瑞祈

 豊中市の緑地公園付近に住んでいる私が、なぜ隣町の吹田市それも馴染みのある千里ニュータウンのまち歩きを選んだかというと、今までに何度も訪れている地域なのにもかかわらず、歴史など全く知らずに生活してきていたので、このようなまち歩きをきっかけに少しでも自分の生活している地域について詳しく知っておきたいと思ったからです。
 集合場所である桃山台駅には、千里中央に向かう時に通過する程度で、桃山台駅で下車したのは初めてでした。桃山台は、まさに住宅街です。駅の改札を出るとすぐにニュータウンの雰囲気が漂っています。しかし、昔は本当に桃を栽培していたというのは驚きでした。桃山台を出発し、桃山公園に入りました。ここでは、ヒノキ科メタセコイア属のメタセコイアと、ヒノキ科ヌマスギ属の落羽松と呼ばれる樹木が生えているのですが、この二種類の樹木はとてもよく似ています。落羽松には呼吸根と呼ばれる、タケノコのような根が地面から突き出ており、子供が転ぶと危ないのでほとんどが切られていました。さらに落羽松の葉は一枚ずつ互い違いに生えていますが、メタセコイアの葉は二枚の葉が向かい合わせについています。
 桃山公園を後にして、私たちは住宅街に向かいました。桃山台は造られて50年経っているので、古家も少し見られますが、圧倒的に新築に近い住宅が多かったです。桃山台では新しいことを積極的に取り入れ、イギリスの街を真似ているそうです。西洋では町の中心地を教会にするそうですが、ニュータウンには教会を作れないため、小学校を町の中心にして、スーパーや銀行を建てて大都会にも行かなくてもよいまちづくりを目指したそうです。
 阪急千里線の地元の人でもあまり知らないような高架下をくぐるとマンション地帯にでました。ニュータウンの関西大学南千里国際プラザの正面に建っているマンションは、大阪府が建て替えの際に住民と話しあって建てたマンションです。そのようなことから、ニュータウンは、地域の住民たちと作り上げているものであることも学びました。
 緑地の遊歩道を進み、千里ぎんなん通りを横断すると、モミジのトンネルがありました。1960年代に府が公園内に焼却炉を作ろうとしたところ市民が大反対した事件があったそうです(ダイオキシン騒動)。自分たちの住んでいる街に、焼却炉を作ってしまえば、環境問題だけでなく、街の価値が一気に下がってしまうと考えたそうです。しかし、現在は、人が住んでいない南港などの海辺にごみ処理場や焼却炉が多く立ち並び、海を汚染しています。焼却炉の建設問題はまだまだ解決しそうになさそうです。
 さらに、西山田中学校の裏の緑地帯には、有名なヒメホタルの生息地があります。人間の手がほとんど加えられていない、水辺の木々が多いしげる場所には、五月の下旬ごろに300匹以上のホタルが暗闇の緑地帯を照らすそうです。
 千里ニュータウンは、自然や環境を大切にし、地域住民や吹田まち案内人の方々のような人々によって、日々住みやすいまちづくりを行っていると感じました。私は、今回、歩くまで自分の住んでいる町のことなど何も知りませんでしたが、地域住民一人一人が町のことを知れば、その町はもっと魅力的になることを学びました。