塩路ゼミ3年生がカナダに調査旅行

国際観光学部 塩路研究室3年生3人が2019年9月6日から9月18日までカナダに調査旅行に出かけました。今回は、彼らが調査した内容とわかったこと、現地で感じ、考えたことを報告します。

文化の多様性
3年生 沖村 ほのか

 私は、9月6日から18日の間カナダのモントリオールとトロントへ海外調査に行きました。カナダといえば、メイプルシロップや大自然、ウィンタースポーツなどをイメージしていましたが、今回、実際に訪れてみて、カナダにおける移民人口の比率は、世界でもトップクラスの高さであることを実感しました。去年の1年間だけでも膨大な数の移民者がこの広い国へやって来ました。実際に足を運んでみると、文化の多様性を感じました。
 カナダは世界で初めて国家の施策として多文化主義政策を開始した事で有名であり、外国人である私でも、外国人であることを忘れる程に多文化で溢れていました。少し道を歩けば、肌の色の違う様々な文化的背景を持った人々と出くわします。例えば、私が行った時期は少し肌寒い時期でしたが、半袖半ズボンの人や、ダウンを着ている人、宗教的な理由でスカーフをかけている人など、カナダでは単に、白人や黒人、その他というわけ方ではなく各々の文化的な出自を敬う姿勢が子供の頃から育まれてきているそうです。地域などによって差はあるかもしれませんが、少なくとも私が行った際にはアジア人だからといった差別的な言動をとられることはありませんでした。むしろ、肌の色が違って当たり前と感じてしまうほど、自然に多文化が溶け込んでいる街のように感じました。
 文化といっても、今の時代では、国や民族だけではなく、ジェンダーや宗教を含む様々な要素を指す言葉ではないかと考えます。日本では、まだゲイやレズビアンの人々を偏見に思う人々も居るかもしれませんが、カナダでは、2005年には同性婚が認められ、2017年にはパスポートなどの公的証明書に男女の性別とは別に3つ目のオプションXが追加されました。文化の視界が日本に比べ明らかに広いことを強く実感し、見た目で判断することがどれだけ不毛な事かを、カナダでの海外調査で気づく事ができました。また、カナダでは、LGBT運動(女性同性愛者、男性同性愛者、両性愛者、トランスジェンダーの各単語の頭文字を組み合わせた表現)に関しても先進的で、個人の選択や意志を大切にした社会だといえます。
 国として多文化主義政策を掲げているように、生活においても文化の多様性や共存が上手く進んでいるように見えるカナダ。一人一人が文化の多様性に対して敏感に反応し、その多様性を尊重しようとするカナダは、日本に住んでいる私達も、手本にしたい環境であるといえると思いました。偏見や差別というような行為について、改めて考え直す良い機会になりとても学ぶことの多い調査になりました。

古き城郭都市の街並みを楽しむ
3年生 本城 優喜

 私は塩路ゼミ3回生のゼミ生2名と共に、9月6日から9月16日までカナダに滞在していました。今回はカナダ東部に位置するケベック州の州都であるケベック・シティーでフットパスを行ったので、その報告をします。
 ケベック・シティーは世界遺産にも登録されている城郭都市であり、新市街と旧市街に分かれています。今回のフットパスでは旧市街を歩きました。なお、新市街はダウンタウンが広がっており、ケベック州議事堂などの公的機関が集まっています。
 旧市街は城壁の内部とその東に広がっており、中心に位置するダルム広場をスタートしました。この広場はフランス領時代にイギリス軍の攻撃に対して武器を持ってセント・ローレンス川に向かって行くとこの広場に出ることから、ダルム(軍事)広場と名付けられました。広場の中央にはケベック初の神父であるドルボー神父の像が立っています。また、近くには観光案内所もあります。
 続いてノートルダム聖堂の横を通り、プチ・シャンプラン通りを歩きました。ノートルダム聖堂は1647年創設のバロック様式の教会であり、モントリオールにも同じ名前の教会が存在します。プチ・シャンプラン通りは北米最古の通りと言われる石畳の細道であり、レストラン・土産屋・工房などが立ち並ぶ繁華街となっています。通りには大量の傘を吊るしている場所があり、ビュー・ポイントだと感じました。
 次にテラス・デュフランという板張りの遊歩道を通り、「知事の散歩道」を歩きました。この散歩道はセント・ローレンス川のそばに位置し、冬場には流氷や川霧を見ることもできます。
 知事の散歩道を南西に向かって歩いていくと、シタデルというイギリス軍が建造した要塞があり、現在も王立第22連隊の駐屯地として機能しています。シタデルの手前には小さな丘があり、セント・ローレンス川や街のシンボルであるフェアモント・シャトー・フロントナック・ホテルを一望できます。特別な観光地というわけではありませんが、私はこの丘がケベック・シティーで最高のスポットだと感じました。
 シタデルを通り抜けると戦場公園という広大な平原があります。この平原は1759年の英仏戦争の一つであるエイブラハム平原の戦い(ケベックの戦い)の激戦区であり、当時の見張り台や砲台が現在も残っています。
 実際に歩いてみるとすれ違う人たちは観光客がほとんどでしたが、オーバーツーリズムだと感じるほど観光客が集中している様子もありませんでした。先述の丘で寝ている人や、バイオリンやハープを路上で演奏している人など、現地住民らしき人々も見かけました。
 また、ケベック・シティーは全体的に坂道や石畳の道が多く、高齢者や障がい者にとっては歩きにくいと感じました。実際に車椅子を押してもらって観光している人を見かけましたが、通行に支障をきたしている様子が伺えました。今回歩いたコースはかなり高低差がありますが、ケベック・シティーには魅力的なスポットが多く存在するので、ぜひとも多くの人々に訪れてほしいと感じました。

カナダの建造物
3年生 市川 達哉

 私はゼミ学習で、カナダのモントリオールとトロントに行きました。普段日本にいると感じない文化や色々な人種、建造物の歴史を知ることができました。私は、カナダの歴史的建造物について調査したので報告します。
 私たちが最初に訪れたのはモントリオールです。モントリオールは歴史がある街で、観光客にも有名な街です。特に旧市街地は、17世紀のヨーロッパの街並みが今でも残っている街で、現代の建造物のデザインを超えるような色鮮やかな建造物が沢山あり観光客の目を引きつけていました。独特な建造物が多く、一つ一つの建物がオシャレで、この街の建物がこれまでの街の歴史を語っているような感じさえ受けました。
 モントリオールには、多くのヨーロッパ風の歴史的建造物が多いことが印象に残りました。そして、その多くから昔の植民地や移民してきた人たちの文化が根付いてできた街だと知ることができました。私はモントリオールに足を運んだことで、そこにしかない建物や街の雰囲気からそこに暮らした人々の思いや歴史を感じることができました。
 次にトロントです。トンロンはカナダでも都会の方で、色々な人種の人々が沢山住む場所です。トロントの中心街はビルが多いのが特徴で、道路も複雑な道が多かったです。中心街を外れて歩いて行くと中華街に出ます。ここでは中国の移民が多く建造物も中国をモチーフにした看板や店が数多く並んでいました。その付近に「ケジントン・マーケット」という、個性的な古着店やカフェのほか、生鮮品店や食料品店などが並ぶマーケットがあり、かつてユダヤ系移住者によって開かれたエリアです。その古着屋が並ぶ建物はグラフィックアートいう芸術的な壁になっており、SNSで非常に有名になっています。トロントの街中は良い意味で街に統一感がなく、なんでも楽しめる街で、多様な文化や言語を学びやすい環境だと感じました。
 私はカナダに行ったことで、普段日本では感じることのない文化を感じることができました。この海外経験は今後の自分の生きる自信になると思います。まずはゼミ活動に力を入れて行きたいです。そしてカナダの多くの建造物には多くの人々の思いが込められてできたことを知り、感動しました。これからも海外の文化や歴史に触れていきたいです。