「謎解き観光マップ」を標津町の皆さまに提案しました

町民の皆さまと学生の活発な意見交換が行われました

 1月24日(日)、北海道標津町において、「謎解き観光マップ」の現地成果発表会を開催しました。標津町では地域の自然や産業を生かした魅力的な体験型観光が行われていますが、これらは町民のガイドが同行しなければなりません。そのため、対象者は修学旅行などの団体観光客が中心で、個人観光客を受け入れるしくみが十分に整っていません。そこで、個人観光客が自由に町内を散策するためのしくみとして、「謎解き観光マップ」を提案しました。
 昨年10月に現地調査を行った後、メンバーは毎週遅くまで大学に残り、「謎解き観光マップ」のコンセプトや問題、デザインなどを熱心に検討してきました。その結果、晴天時用と雨天時用の2種類のマップのたたき台を作成しました。
 現地成果発表会当日は、標津町の観光関係者を中心に約20名が参加し、学生の取り組みの成果を熱心に聴いてくださいました。その後、皆さまからたくさんのアイディアや改善案などのご意見をいただきました。こうした意見交換のプロセスは標津町の皆さまと学生の「協働」という点で、非常に重要なものと考えています。今回いただいたご意見をもとに、引き続き「謎解き観光マップ」の改善を図り、年度内にまとめる予定です。(森重昌之)

当日の発表の様子

  • 成果報告会の様子

  • 昨年10月の現地調査結果を伝える様子

  • 昨年10月の現地調査結果を伝える様子

  • 成果報告会の様子

  • 謎解き観光マップの提案の様子

  • 質疑応答の様子

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参加したメンバーの報告

謎解きマップ成果報告と今後の実用に向けた検討
 国際観光学部3年 吉田知奈(プロジェクトリーダー)

 今回のプロジェクトとしては2回目の標津町訪問でした。2日目の午前中に町民向けの成果報告会を行い、標津町の観光に携わる町民の皆さまが大勢いらしてくださいました。報告会が始まると、早速私たちの発表が始まりました。発表は、私たちが謎解きマップ作成に至った経緯、現地調査で訪れた観光資源の感想、それらを通して私たちが考えたマップの提案、今後このマップをどのように活用していくかという流れで提案しました。
 前回の現地調査では、1日目に行った聞き取り調査で町民の皆さまから得た、あまり観光マップに掲載されていないお勧めの場所やクイズに使えそうな資源を調査して持ち帰り、放課後に議論を重ねました。そこでいくつか出たアイディアの中から、私たちは「晴れの日」と「雨の日」のどちらでも楽しめるように、天候で分けた2種類のマップを作成することにしました。資源ごとにクイズを考え、ターゲットもあまり標津町では見かけることのない若者や子連れ家族の観光客に絞り、かわいらしいレイアウトにしました。
 今回私たちが考えたマップを標津町の皆さまに見ていただき、学生それぞれが皆さまのところへ行き、意見をうかがいました。標津町の観光について真剣に考えていらっしゃる方ばかりで、このマップを実現したいとおっしゃってくださっているため、今後このマップがより良いものになるようなご意見を多くいただきました。私は今回宿泊させていただいた川畑旅館の女将さんにお話をうかがいました。クイズの答えを記入する欄をつくったらわかりやすいのではないか、1つ1つのクイズの答えから文字を抜き出して、1つの単語をつくるのであれば、もう少し簡単に答えられるように穴あきにすれば良いのではないかなどのご意見をいただきました。他のメンバーもそれぞれ、もっと謎解きマップと一目でわかるタイトルにすべきではないか、標津町に泊まってもらえるような情報を載せてほしい、クイズの難易度を表すサケのマークをサーモンパークで利用されているサケのイラストにして統一感を出してはどうかなどのご意見をいただいていました。どのご意見も納得のいくものばかりで、中にはすぐにでも取りかかることができるものもありました。
 特にマップの活用方法として私たちが特に注目したのは、「地元の小学生にこのマップを実際に使用してもらう」というご意見でした。これは地元の子どもたちに標津町のことを知ってもらうきっかけになるというご意見でした。私たちでは考えられないアイディアで、ぜひ実現したいという気持ちでいっぱいになりました。
 私たちが作成する謎解き観光マップの完成は少し遠いですが、標津町の皆さまも非常に親身に考えてくださっていることを改めて感じることができました。実用可能になるように私たちもいただいたご意見をすぐにまとめ、今年度中に完成に向けて取り組んでいきたいと思います。

標津町の温かさを感じて
 国際観光学部2年 西内拓史

 1月22日〜25日に北海道道東を訪れ、インカレねむろ・大学等研究発表会と標津町の成果報告会に参加し、昨年10月から研究してきた「謎解き観光マップ」を提案しました。インカレねむろ・大学等研究発表会では見事2位である「大地みらい信用金庫理事長賞」を獲得することができました。翌23日に行われた成果報告会では、インカレねむろで発表した研究ベースの内容とは少し違う「標津町の新たな魅力発見に向けた謎解き観光マップの提案」について発表しました。以下より、発表内容について説明します。
 私たちは昨年度、標津町では個人観光客の受け入れ態勢が整っていないため、ガイド派遣組織のしくみについて発表しました。しかし、実際には人材やコストの確保が難しいという課題が残されていることから、今年度はガイドを必要とせずに個人観光客に標津町をどのように観光してもらえるかについて、私たちは毎週夜遅くまで話し合いました。そこで、私たちは観光マップに焦点を当てました。普通の観光マップではおもしろみに欠けてしまい、標津町民の優しさや温かさを感じてもらえないため、従来の観光マップに「謎解き」という要素を加えることにより、ホスピタリティの高い標津町の人びとと謎解きを通して交流でき、楽しく観光できるのではないかと考えました。また、私たちが実際に問題をつくる際に標津町を訪れ、観光資源を周った際に感じた魅力や改善した方が良いと感じたことをあげ、これらの経験を生かしてつくった謎解き観光マップについて発表しました。
 マップの内容として、クイズには標津町の自然に関することや文化資源など、さまざまな分野の問題をつくり、魅力の多い観光資源や自然などを観光客に知ってもらえるように作成しました。また、今回のマップ作成にあたり、ターゲットをお子様連れの観光客としていたので、大きな牛のイラストを起用したり、さまざまな場所で楽しんでもらえるようにコメントをつけたりしました。また、問題の難易度の表示に、標津町のシンボルである鮭のマークを使い、細かいところから標津町らしさをアピールできるよう意識しました。さらに、謎解きができた観光客への景品として、標津町内で使えるクーポンを用意することで、標津町の方々にもマップを手に取ってもらい、自分たちの住んでいる標津町がどれほど観光に力を入れているか知る機会になると考えました。
 以上の内容を発表し、その後意見交換会の時間をいただき、標津町の方々からさまざまな意見やマップについてのアドバイスをいただきました。この意見交換会では、実際に標津町に住んでいないとわからないことや実際にお子様がおられる方からの話を聞くことができたので、私たちにとってとても貴重な時間となりました。今回の発表会にあたり、標津町の方々にお時間を割いていただき、このような発表の場を与えてくださったことに対し、心から感謝いたします。本当にありがとうございました。

標津町での研究を通して変わった視点
 国際観光学部1年 平澤ななみ

 私たちは昨年10月22日から10月26日までの5日間、北海道標津町を訪れ、現地でフィールドワークを行い、「謎解き観光マップ」の制作に向け、みんなで意見を出し合い、何度も話し合いを重ねてきました。そして、1月24日に標津町の皆さんの前でお話しする場を設けていただき、現地調査を行った際にたくさんの観光資源を訪れ、その時に感じた私たちの感想や標津町の良さ、課題を述べた上で、さらに多くの人びとが標津町を訪れ、楽しんでいただけるような「謎解き観光マップ」を提案させていただきました。
 私はフィールドワークで訪れた場所についての感想を述べました。北海道ならではの自然を大いに満喫できる場所、他の地域にはない歴史ある場所が多くある中で、実際に訪れてみると、目印や看板がないためにわかりにくい場所が多いほか、整備されていないために景色が望めない、訪れにくいという課題が目立ち、多くの素晴らしい観光資源に恵まれているのに、残念ながら良さが伝わりにくい状況にあるということをお話しさせていただきました。私たちが発表を終えた後、標津町の皆さんと交流しながら、非常にたくさんのご意見、ご感想をいただくことができました。地元の方だからこそわかるアドバイス、マップのレイアウトや内容についてのご意見、そして私たちの発表を通して標津町の皆さん自身が新しい視点から自分の町を見ることができたといった感想までいただくことができました。そして、私たちの提案に大いに関心を寄せ、熱心に考えてくださる皆さんのお気持ちにまた心が温かくなるとともに、標津町についてもっと研究を進め、期待に応えられるような提案をしていきたいという思いがとても強くなりました。私自身、このプロジェクトに参加するまで、標津町という町について何も知りませんでしたが、今ではもう一度訪れたいと思うほど、とても大好きな町となりました。訪れた時にどの方もみな、温かく優しく迎えてくださる姿が私にはとても印象的で、標津町の一番の良さはこのホスピタリティの高さであると身を持って感じています。また、よりたくさんの人にこの気持ちを味わってほしいと感じました。この温かさが標津町をさらに元気にしていくきっかけとなって欲しいという思いもあります。今回いただいた貴重なご意見をもとに、今後もメンバーみんなで話し合いを重ね、「謎解き観光マップ」の完成に向け、精一杯頑張っていきたいと思っています。この数ヶ月間、標津町のたくさんの方々のご協力のおかけで、素晴らしい研究ができ、心から感謝しております。このプロジェクトに参加することができ、観光についてのたくさんの視点から学べたことを、これからの学生生活に生かしていきたいです。

標津を謎解きマップで活性化
 国際観光学部1年 平大貴

 私たちは、前回の現地調査をもとにつくった標津町の謎解き観光マップを、インカレねむろ研究発表会と地域の方々に発表するため、1月23〜26日に北海道標津町を訪れました。前回の調査では、地域の方々に現在の標津町の観光はどのように進められているのか、現状報告をしていただきました。その後、実際に地域の方々に勧められた観光資源をはじめ、さまざまな観光スポットを自分たちの足で周りました。その結果、標津町は北海道らしい人文観光資源、自然観光資源がたくさんあるにもかかわらず、それらの資源を活かしきれていないという問題点がわかりました。また、標津町の特徴を活かしたポー川でのカヌー体験やいくらづくり体験、スノーシュー体験などの体験型観光は漁師さんなどが兼業として行っているため、事前に予約をしなければ体験することができないという課題があげられました。
 このような問題点があげられている中で、地域の方々は自分たちの町をどうしたら活性化できるか考えていて、私たちが質問などをすると、喜んで質問に答えてくださり、私たちが標津町を訪れるととても温かく迎えてくださいます。この「人の良さ」も標津町の魅力だと感じました。
 これらの2つの問題点、そして人の良さをもとに、解決につながる方法として私たちが考えたものが「謎解き観光マップ」です。謎解き観光マップというのは、観光資源や観光施設をただマップに載せるだけでなく、その資源に関するクイズに入れることで、問題を解きながら周ることができ、楽しみながら知識も増やせるというものです。普通のマップにはない付加価値という点が、この標津町謎解き観光マップのコンセプトです。さらに、このマップには地域住民でなければわからない問題もあるので、地域の方々との交流ができ、地域の方々も観光客が増えていることに気づけば自信になり、さらに地域活性化につながると思います。
 そして、1番の問題であった人手不足で体験型観光の予約が無理な当日でも、このマップを手に取ってもらうことで、他の観光資源や観光スポットに回ってもらえると思うので、問題を解決できるのではないかと考えました。このマップで多くの観光客を呼び込むことができれば、町が潤い、仕事も増え、住民も増えていき、町が活性化していくと思います。
 これら標津町で行った取り組みは、インカレねむろ研究報告会で賞をいただくことができました。このプロジェクトチームの取り組みはこれで終わりではなく、これからも続いていくので、先輩に続き良いものにしていきたいです。