淡路島の観光イメージを提案し、学会大会で発表しました

12月8日に開催された学生ポスターセッションに参加しました

 今年度の森重ゼミは、淡路島をフィールドに資料調査や聞き取り調査、現地視察などを行ってきました。その中で、淡路島の現状や課題を整理した結果、「淡路島」という言葉や場所はよく知られているが、淡路島にどのような観光資源があるのか、どのような歴史や文化を持っているのかについて、ほとんど知られていないという課題を見出しました。そこで、その解決に向けて淡路島の観光イメージを提案することにしました。
 ゼミ生は、連日遅くまで発表の準備を進め、前日移動で宿泊したホテルでも、夜遅くまで発表練習を行っていました。そして、12月8日に神奈川県厚木市の松蔭大学で開催された、第28回日本観光研究学会全国大会の学生ポスターセッションに参加しました。当日は「統一した観光イメージの設定による知名度向上の可能性−兵庫県淡路島を事例に」という題目で発表しました。自分たちが考えた提案に対し、学会参加者からさまざまな意見やアドバイスをいただきました。今回の発表を通して、ゼミ生は「他流試合」という経験と大きな成果を得ることができたと思います。
 これまでの議論や今回の学会発表で得た成果をもとに、今後はより具体的な提案内容にまとめ、淡路島の人びとに研究成果を発表する予定です。(報告:森重昌之)

※この教育研究活動は阪南大学学会より補助を受けています。
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当日のポスターセッションの様子

参加したゼミ生の報告

貴重な意見をいただくことができたポスターセッション  国際観光学部3年 浦上絵梨香

 12月8日に神奈川県厚木市の松蔭大学で行われた、日本観光研究学会全国大会の学生ポスターセッションに参加しました。私たちのゼミでは4月から取り組んできた、「淡路島の知名度向上のためのイメージの提案」について発表しました。
 私たちは7月に行った淡路おみなの会の会長・投石文子さんへの聞き取り調査と2回の現地調査から、淡路島は島自体の知名度は高いが、歴史や観光資源の知名度が低いことが問題だと感じました。島内の淡路市、洲本市、南あわじ市がバラバラに観光政策を行っていること、島民の観光に対する意識が低いということが原因だとわかりました。淡路島全体が1つになって観光に取り組むことで、観光客は観光しやすくなるという考えに至りました。そこで、私たちは3つの市が1つのことに取り組むことができるしくみをつくることで、統一したイメージと一体感が生まれるのではないかと考え、島外にそのイメージを発信することで、観光資源の知名度向上を図ることをめざしました。私たちはこのことを踏まえ、島内各所に国生み神話にまつわる地があることと、「食」は老若男女、人を選ばず、島全体で取り組むことができるので、「御食津国」が適しているという考えに至り、「国生み神話」と「御食津国」を生かしたイメージづくりの提案を行いました。
 ポスターセッションでは、「ブランドテーマやキャッチフレーズをつくることは、マーケティング戦略には欠かせない」、「どんなふうに発信していくのか」、「イメージが定着するまでが難しい」、「観光マップなどをつくり、周遊できるしくみをつくってみてはどうか」、「イメージをつくるのに地元の声を取り入れてみてはどうか」といったご意見をいただきました。また、「淡路島の玉ねぎ農家の方は、冬になるとシーズンが終わって暇になるので、島外に出るしかないと聞いたことがある。そういった人たちが観光に取り組むことができればよいのではないか」という貴重なご指摘をいただくこともできました。今回いただいたご意見をもとに、今後予定している発表会に向けてさらに研究を進めていきたいと思います。
 今回のポスターセッションには、私たちのゼミ以外にも阪南大学からはもちろん、他の大学の学生発表もありました。ゆるきゃらや土産物についての発表、自分の出身地の研究など、さまざまな発表があり、勉強になりました。ポスターをつくったり、発表の練習をしたりするのは大変でしたが、今回参加できて良かったと思いました。私は一昨年に続いて2回目の参加で、緊張しましたが、前回よりも楽しむことができました。

さまざまな意見を聞いて、改めて感じたイメージづくりの難しさ  国際観光学部3年 住谷祐佳

 12月8日、神奈川県で行われた日本観光研究学会の学生ポスターセッションに参加しました。阪南大学の他のゼミをはじめ、多くの学生が参加していました。
 私たちのポスターセッションは、淡路島に統一した観光イメージを設定することで、知名度を向上できるのではないかという内容です。淡路島は3つの市から成りますが、それぞれが独自の観光政策を行っており、住民の観光に対する意識も高くなく、「淡路島」という名前は知っているが、どのような観光資源があるのかあまり知られていないという問題がありました。しかし、現地調査などを行って淡路島の現状を見ると、食や自然、歴史など、観光資源が多くありました。そこで、御食津国と国生み神話を使い、それらを活かした統一イメージをつくることで淡路島の知名度向上を図れるのではないかと考えました。
 ポスターセッションで発表したところ、やはり淡路島というのは観光地として知名度が低いようでした。来てくださった先生方の中には、淡路島に詳しい方が多かったです。学生の方も来てくださったのですが、関東ということもあり、やはり淡路島の名前しか知られておらず、行こうと思ったこともないようにおっしゃっていました。そしてイメージについても、「インパクトのあるものでないと実際に観光客は来てくれないのではないか」という意見や「淡路島だけでPRするよりも、京都や神戸といった同じ関西圏の人気のある観光地と組み合わせた方がいいのではないか」という意見もいただきました。国生み神話を活かしてイメージをつくっていくことに関しては、神話を身近なものに感じてもらうために、ゆかりのある場所をパワースポットとして提案したのですが、やはり神話そのものがあまり知られていないことだから、これでイメージをつくっていくのは難しいという意見もいただきました。
 私自身学会に参加することも、ポスターセッションも初めてでした。人前で発表することも自分の意見を伝えることも苦手なので、しっかりできるか不安でした。しかし、実際にやってみると、楽しかったです。ポスターセッションは発表してそれを聞いてもらうというより、会話をする感じでした。最初はポスターセッションがどのようなものかもあまりわからず、緊張してなかなかうまく話すことができませんでした。どのような意見を言われるのか、質問されたことに対してうまく答えられるのか心配でしたが、来てくださった方々の考えや意見を聞くことで、たくさん教わることがあり、とても勉強になりました。ゼミ生には、前日の夜にポスターセッションの練習に付き合ってもらったのですが、私が頭の回転が悪かったため、夜遅くまで本当に迷惑をかけてしまいました。しかし、本当に良い経験になりました。今回の学会でいただいた意見を踏まえ、より良いものにできたらと思います。

今後の活動に向けて刺激を受けたポスターセッション  国際観光学部3年 船越勝太

 12月8日に学会のポスターセッションを発表するため、神奈川県にある松蔭大学に行ってきました。私たちの発表内容は「淡路島の統一したイメージの設定による知名度向上の可能性」でした。題名の通り、私たちの研究内容は「淡路島の知名度は高いが、淡路島にある神話や歴史、自然などの観光資源が知られていないので、例えば沖縄といえば「海」といったイメージを淡路島にもつけることによって、淡路島の観光資源の知名度を上げる」ことを目的としています。御食津国を使ったイメージづくりと国生み神話を使ったイメージづくりを提案しました。
 ゼミの中で淡路島にどのようなイメージがあるかについて話し合った時、始めはたまねぎやバーベキュー、近いなどの曖昧なイメージしかありませんでした。また、どのような観光資源があるかも知らなかったので、2度フィールドワークに行きました。自分がイメージしていた淡路島と実際の淡路島は、まったく違っていました。伊弉諾神宮などの歴史資源や花さじきなどの自然資源、淡路島牛丼などの食にまつわる資源もありました。実際にフィールドワークして、おもしろい観光資源があるのに知られてないのはもったいないと感じました。そこで、私たちは2つのグループに分かれて検討しましたが、私は御食津国のチームで淡路島の食を使おうということになりました。御食津国とは、昔朝廷に食を献上していた国のことで、食が豊富な国のことを表しています。その御食津国に選ばれていたのは淡路と志摩、若狭の3ヶ所だけでした。そして、今も淡路島は食料自給率が100%を超えており、食が豊富で、特に漁獲量が高いので、食の中でも海産物に注目し、海鮮丼を使って「食が豊富な淡路島」をイメージづけしようと考えました。
 学会発表の時に、これらをいかに短く、わかりやすく説明できるかに苦労しました。何かを発表するということ自体が初めてだったので、どこを強調すれば良いかもあまりわかりませんでした。そして、発表の最初の方では頭がまっしろになることもありましたが、何回も重ねているうちに慣れていき、最後の方では落ち着いて説明することができました。この時に、「御食津国を使ってイメージづくりした時に、イメージから消えてしまうものはどうするのか」、「イメージづくりをすることは良いが、マーケティングの方法は考えているのか」、「冬場にたまねぎ農家の人びとがかかわる仕組みにしてはどうか」などの指摘を受けました。これからは、淡路島の方にこれらを提案し、現地の方々の意見をもっと取り込んで、淡路島のイメージづけを考えていこうと思います。
 学会に行ったことで、普段は森重先生の意見しか聞けませんが、学会では観光学を学んでいる他の先生方の意見も聞けたので、とても私たちの研究内容にプラスになったと感じました。そして、他の観光学部の学生の発表内容も知ることができ、自分たちの取り組んでいる研究をもっと深めていかなければいけないと思いました。

淡路島の豊かな観光をめざして  国際観光学部3年 笹田真璃

 12月8日に神奈川で行われた学会大会に、私たちのゼミはポスターセッション形式で参加しました。ポスターセッションとは、研究内容をポスターにまとめ、見に来てくださった方に補足説明や質疑応答をすることで、研究内容を発表することをいいます。
 私たちのゼミでは、今春から取り組んでいる淡路島を事例に、知名度向上の方法について発表しました。淡路島は古事記や日本書紀によると、日本で一番初めにつくられた島として記載され、万葉集では「御食津国」として記載されており、実際にフィールドワークに行った時にも、それらの歴史が現在に受け継がれていることを感じました。そのことは、例えば「国生み神話」で登場する伊弉諾尊が祭られている神社があることや、「御食津国」と称されたことを思わせるほど、現在でも農業や漁業が盛んであるといったところです。しかし、実際には淡路島内にある3つの市が共同で観光に取り組んでおらず、そのために淡路島という資源の豊富な島全体をマネジメントできていないのではないかと考え、行政や地域住民など淡路島全体で観光に取り組める政策として、イメージの統一を提案しました。淡路島全体の共通点からイメージの統一を図ることができそうな分野を絞り、「国生み神話での資源を楽しむお福分けツアー」と「御食津丼を造る」という2つのイメージを提案しました。その中で、私は御食津丼をつくることで、素材を提供する農家や漁業といった地域住民、宣伝などを担当する観光行政など、淡路島全体が観光に取り組める政策について考えていることを伝えたいと考えました。
 実際に参加して、さまざまな方からご指摘いただいた点から見えてきた私たちの提案の問題点は、イメージの提案そのものによる問題でした。「イメージにそぐわない資源をどのように活用するのか」、「御食津丼によって絞られるターゲット層以外の方が楽しむにはどうするのか」など、実現することによって生まれる新たな課題が見えてきました。
 今回学会に参加して、本当に良かったと思いました。自分たちでは気が付かなかったことも他者からの視点から見えてきましたし、今後に活かすことで私たちの研究がさらに深まり、良いものに仕上がるのではないかと思いました。また、他の大学の先生や院生の方などとお会いし、お話ししたことで、この学会では日本の観光をより豊かにしたいと考えておられる人が集まっておられるのだと感じました。だからこそ、私たちの提案についても真剣に考えてくださり、貴重なご指摘をいただけたと思っています。ぜひ今後の研究にも活かしていきたいと思いました。

既存の考え方に捉われないことの重要性  国際観光学部3年 関本健人

 12月7・8日に神奈川県厚木市にある松蔭大学での日本観光研究学会全国大会に参加しました。そこ、でこれまでに私たちが研究してきた内容を学生ポスターセッションという形で発表し、多くの方々に意見をいただきました。そして、単に発表の場だけではなく、さまざまな意見を聞くことの重要性を改めて感じました。私自身、初めての学会参加であり、ポスターセッションの経験も少なかったので、少し緊張気味でしたが、ゼミ生同士で何度も打ち合わせをして、内容を改めて確認し、なるべく相手に話が伝わりやすいように何度も事前練習をしました。
 そして、いざ発表してみると、「発表すること」や「意見を聞くこと」が自分の中でとても新鮮で、楽しみながら行うことができました。例えば、はじめは私が一方的に流れを説明し、最後に相手から質問や感想を言っていただくものだと思っていましたが、実際は説明の途中で「〜はどうなの」と質問を投げかけられたり、「なるほど」とリアクションをとっていただいたりしたので、相手に理解していただけているという実感がありました。また、私たちが知らなかった新しい情報を教えてくださったり、発表の方法や見せ方についても「このような写真を使った方がより伝わりやすい」など、さまざまな意見も聞かせていただいたりすることができました。
 私は、自分たちの発表以外にも多くの学生がポスターセッションを行っていたので、少し見に行ってみました。そこでは、チームによってパワーポイントを使って細かいデータを示していたり、企業にアンケートをして、その結果を踏まえた発表であったりするなど、方法や見せ方がそれぞれ違い、ポスターセッションという1つの発表形式にも、たくさんの方法があるのだと思いました。
 今回、学会のポスターセッションに参加させていただき、自分の中で「これはこうだろう」と思っていたものが、準備を進めていく中での話し合いや、ポスターセッションでさまざまな意見を聞く中で、見え方が少しずつ変わっていき、今まで気がつかなかったことにも気づくきっかけになりました。自分の意見を相手に伝えるということはとても重要なことですが、いろいろな意見や考えを取り入れて新しいものをつくるという意味で、既存の考え方に捉われないことも重要であることを学びました。これからも研究を続けていくので、今回得たたくさんの意見を参考にしたいですし、この経験を次のステップにつなげていきたいと思いました。

1つのことを皆でつくり上げた達成感  国際観光学部3年 岡村綾佳

 12月8日に、森重ゼミは神奈川県の松蔭大学にて「日本観光研究学会」の学生ポスターセッションに参加しました。
 ポスターセッションの内容として、淡路島は知名度としては比較的に高く、「歴史」、「自然」、「食」、「伝統」などの資源が豊富にあるにもかかわらず、それらの資源の認知度が低いことがわかりました。その原因として、島内には3つの市がありますが、それぞれが独自の観光政策を行っていること、淡路島の住民である意識が低く、協調する機会が少ないという島民の観光に対する意識があげられます。そこで、私たち森重ゼミでは、淡路島の統一した観光イメージを設定することで、島外へは観光資源の知名度向上をめざすとともに、島内の一体性を図ることができるのではないかと考え、2つの提案をしました。
 当日、阪南大学をはじめ、いろいろな大学が集まり、学生ポスターセッションが始まりました。私たちのポスターにもたくさんの方々が見に来て下さいました。そして、提案をしていく上で、「地元の声を聞く事が大事」、「イメージをつくっていくのは良いが、それを情報発信していく方法が一番大事」、「イメージをつくってしまうと、他の観光資源が消えてしまうのではないか」などの意見をいただきました。その他にも、私たちのポスターが一番よくできているとおっしゃっていただくなど、とても勇気が出るコメントもいただきました。私たちの提案を進めていく上で、専門家の方々の意見というのは、本当に刺激のあるものばかりでした。それらの貴重な意見を踏まえて、これからの活動につなげていきたいと思います。
 私自身、今回学生ポスターセッションに参加したのは3度目になります。今までは、1人もしくは2人という少人数でポスターを作成し、発表してきました。しかし、今年はゼミ全体で1つのポスターを準備しました。少人数では考えに限界があり、ポスターの完成度にも不安がありました。一方、グループで検討することによって考えがたくさん出てきたため、メンバー同士でぶつかり合い、しんどいこともありました、しかし、みんなでつくり上げたという達成感があり、自信を持って発表できました。
 現地で1泊したのですが、前日の夜遅くに宿泊先で内容を十分理解できていない学生が、理解している学生に聞きに行ったり、発表する時の話し方を皆で相談しあったりと、助け合うこともできました。そのおかげで、当日は常に2、3人がポスターの横に立って、1人が発表している内容に足りない部分、補足したい部分があれば補えるといった雰囲気をつくり上げることができました。
 一方、反省点として、今回は相手の意見を聞き入れるだけだったということがあげられます。今後の課題として、いただいた意見から話をもっと広げる力、そしてその意見に対して先を読み、どのように行動を起こしていけばよいかを話すための知識を高めていきたいです。
 私は今回、ゼミの絆がより深まる機会であったと感じています。1人1人の違った性格で、ぶつかり合うこともありますが、そこからみんなの意見が組み合わさり、良いものができるということは、グループで活動していく上での1つの楽しさではないかと感じました。このような機会を与えて下さった森重先生、そして森重ゼミ生のみんなに感謝いたします。本当に有難うございました。