2021.11.3

和歌山県湯浅町で現地調査を実施しました

湯浅町役場職員に現地を案内していただきました

 今年度の森重ゼミ3年生は和歌山県湯浅町を調査対象地域に選び、Z世代から見た湯浅町の観光資源の発掘をテーマに研究を進めています。10月に入って緊急事態宣言が解除され、日帰りの現地調査が許可されるようになったことから、10月18日(月)にゼミ生全員で湯浅町を訪問し、現地調査を実施しました。現地調査の前に行った湯浅町役場職員へのオンラインでの聞き取り調査を通して、湯浅町の観光の現状や課題を把握できたことから、それらを踏まえての現地調査となりました。
 当日はまず、午前中に湯浅町役場職員の蜂谷脩人さまに、重要伝統的建造物群保存地区を中心にご案内いただきました。湯浅駅から歩きながら、重伝建地区の立石茶屋や甚風呂、醤油資料館などを案内していただきました。地区内の至るところにつるし飾りが見られ、賑わいを生み出していました。
 午後からはグループに分かれて事前に調べておいた調査ポイントを訪れ、Z世代が興味を持つような写真をできるだけ撮影しました。蜂谷さまに教えていただいた重伝建地区の見どころをさらに詳細に調査するグループや、街なかから少し離れたエリアや海岸部を調査するグループなど、学生自身の観点から町内の魅力を探っていました。そして、調査終了後にはみんなで「生しらす丼」を食べました。
 ゼミ活動での現地調査は本当に久しぶりでしたが、参加したゼミ生は以下で紹介しているように、新たな発見も多々あったようで、充実した1日にありました。今後は撮影した写真を整理し、Z世代から見た魅力をまとめ、湯浅町の新たな魅力を探っていきたいと思います。(森重昌之)

当日の現地調査の様子

  • 湯浅町役場職員の案内によるまちあるきの様子

  • 湯浅町役場職員の案内によるまちあるきの様子

  • 重伝建地区での記念撮影

  • 重伝建地区内にあるつるし飾り

  • 湯浅醤油の外観

  • 名物の醤油ソフト

  • 宿泊や温泉施設のある湯浅城

  • 海でたたずむゼミ生

  • 海岸で眺めた夕景

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参加したゼミ生の報告

観光客を惹きつける建物の再利用の魅力を学んだ
 国際観光学部3年 松若彩

 コロナ禍の影響を受けて一度は延期になった湯浅町のフィールドワークですが、10月18日にようやく実施できました。このゼミでは、「Z世代に受ける観光地にする」を研究テーマにしています。事前に湯浅町役場の蜂谷さまと連絡を取り、湯浅町の情報を集められるだけ集めてから現地に向かいました。蜂谷さまも私たちの研究に協力してくださり、オンラインだけでなく、当日現地も案内してくださいました。今回のフィールドワークの行程は、午前中にゼミ生全員で蜂谷さまと一緒に湯浅を周り、午後からは3つのグループに分かれて調査を行うことになっていました。私は午前中の蜂谷さまとのフィールドワークについてまとめます。
 湯浅駅は最近建てられたためきれいで、レンタサイクルなども整っていました。駅は2階建てになっており、2階にはカフェもあり、電車の本数が少ない湯浅駅でも有意義な時間を過ごせるように工夫されていました。
 湯浅町には、重要伝統的建造物群保存地区があります。かつて、湯浅町内には約90軒の醤油醸造所が軒を連ねていました。しかし、現在は2、3件しか残っていません。木造の家には懐かしさや落ち着いた雰囲気があり、時間の流れもゆっくりと感じました。ここでは、空き家をリノベーションした貸し切り宿も整備されていました。重伝建地区に泊まって見つけられる湯浅の良さもわかるので、利用したいと思いました。また、新しいものを求めるZ世代にとっても、昔ながらの建造物は珍しくおもしろいもので、「エモいな」と感じました。
 次に案内していただいた場所には、ひな祭りに向けて飾り物の風通しが行われていました。12,000体ものつるし飾りがあり、一つ一つデザインが異なっていて、カラフルで見たことのない景色でした。ひな祭りの時期にはこれらが町に飾られるため、昔ながらの湯浅町の雰囲気である建物の渋い色と、このカラフルさが若者には「映え」として人気が出るのではないかと考えました。
 湯浅町は醤油が有名ですが、その始まりは味噌で、味噌の製造過程で野菜から染み出した雫が醤油のルーツであり、湯浅町の起源でもあります。そのストーリーは「「最初の一滴」醤油醸造の発祥の地 紀州湯浅」として日本遺産にも認定されています。そのため、味噌だけを売っている店もあって、地域の方が買いに来られる姿もありました。また、湯浅まちごと醤油博物館といった、実際に醤油づくりに使用していたものを展示しているところもありました。実際に使っていたため、匂いまで体感できて、目で見るだけよりも昔の風景を想像できました。
 私たちだけで行ったら入らないようなところも、案内されて行ってみるとおもしろいところがあり、この湯浅町の良さをZ世代に伝えられるようにしたいと改めて思いました。案内してくださった蜂谷さまには心より御礼申し上げます。

食べたい、訪れたい、見てみたいといった魅力を伝えたい
 国際観光学部3年 吉川栞

 10月18日、森重ゼミ3回生で和歌山県有田郡湯浅町を訪れました。私たちのゼミ活動では、湯浅町が観光客で賑うための方法について研究しています。研究を進めるにつれて、私たちZ世代にはインスタグラムなどのSNSでPRすることが最善の方法だと考え、実際に現地を訪れ、写真映えを意識しながらさまざまな写真を撮りました。
 私たちのグループは、湯浅駅で貸し出しされている自転車に乗って町内を調査しました。500円で借りられるのでお得ですし、2~3時間で町内を調査するにはちょうど良く、旅行でも効率よく利用できるので、お勧めです。
 最初に訪れたなぎ公園を抜けると、海側にコンクリートの壁と大きな岩がいくつかありました。そこからはきれいな海と空が広がる湯浅広港を眺めることができました。
 次に、湯浅醤油で名物の醤油ソフトクリームを食べました。口にする前までは「ソフトクリームと醤油の組み合わせは合わないだろう」と半信半疑でしたが、醤油ソフトグリーム自体が甘く、上からかける醤油もみたらしに似た味がして、とてもおいしかったです。よりZ世代に広まって欲しいと思いました。
 次に訪れた「キセイ」という喫茶店は、窓や扉にステンドグラスがお洒落にデザインされていました。これらはすべて、店のおばあさんの手づくりだそうです。また、店内に長い水槽があり、その中に数匹の鯉が泳いでいました。水槽の真ん中にはステンドグラスでつくられた店の外観が飾ってありました。とてもきれいで、店中が写真映えするので、Z世代にも響くものがあると感じました。
 また、重伝建地区の至るところで名物の有田みかんが売られていたことも印象に残っています。試食してとてもおいしかったので、10個で100円の小柄なみかんを買いました。
 このように湯浅町を巡って、町内にはZ世代から見ても魅力あふれる観光資源がたくさんありました。それをどのようにPRし、集客につなげるかが大切だと感じました。食べたい、訪れたい、見てみたいなどの気持ちを連想させる写真の撮り方を意識するほか、どのような文章で伝えるかなど工夫し、SNSで上手にPRできれば、湯浅町の観光客を増やせるのではないかと、今回のフィールドワークを通して実感できました。また、湯浅町の店や住民の方々はとても親切で、挨拶をすると「よく来たね」、「どこから来たの」などと温かく迎え入れて下さり、現地調査も進めやすかったです。湯浅町はとても良い印象の町でした。

湯浅町で温もりを実感した
 国際観光学部3年 油谷もえ

 私たちは、10月18日(月)に和歌山県湯浅町に行ってきました。午後からはそれぞれグループで調査したので、私たちのグループが調べたところを紹介します。
 まず、昼食をとりに行きました。湯浅町にはいろいろな店がありましたが、不定休のところが多いため、実際に訪れてみると店が開いていないこともあり、少し不便に感じました。そこで、電話をかけて開いているか確認してから行動することにしました。
 私たちが行った場所は、「兆竹(よしたけ)」という店です。この店は、昔ながらの雰囲気でした。店の方はとても温かく、湯浅町内で人気のある店を教えていただきました。また、その他にもたくさん声をかけてくださいました。私たちが食べ終わる頃には、カルピスや飴をサービスしていただきました。このようなサービスがとても温かく感じられ、私の地元にもこのような店があったらいいなと思いました。
 昼食を食べ終えると、私たちは時間に余裕があったので、海に行くことにしました。しかし、海までは少し離れていました。ちょうど300円で自転車を貸してもらえるということで、自転車で海まで行きました。海までの道のりは天気も良く、とても気持ちが良かったです。海に着いてからは、堤防でゆったりと過ごしていました。そこでは、私たちの声と波の音しか聞こえないのではないかというほど静かで、時間が止まっているようで、昼寝をしたり、1人で過ごしたりする空間として最適な場所だと感じました。
 その後、醤油ソフトを食べに行きました。私はソフトクリームを食べるのが下手なので、カップにしました。追い醤油をして食べましたが、塩キャラメルに似た味で、とてもおいしかったです。
 そして、「きっさキセイ」という喫茶店に向かいました。向かっている途中にあった土産屋さんらしき店に立ち寄りました。そこには店員さんとは別の方がいて、その方においしい飲み物などを教えていただきました。店員さんもとても優しい方でした。
 喫茶店に着くと店内にステンドグラスがあり、真っ赤なソファーがありました。とても昔ながらの喫茶店という雰囲気でした。そして、入り口付近には池が設置されていました。そこには鯉が泳いでいて、ステンドグラスでつくられた店の表面が置かれていました。このステンドグラスは手づくりだそうで、とても時間がかかったとのことでした。
 湯浅町の方々は、とても温かい方が多いことがわかりました。店の雰囲気も家のような空間で、とてもリラックスでき、安心できるような雰囲気の店がたくさんありました。

フィールドワークの大切さに気づいた時間
 国際観光学部3年 近藤うらら

 私たちは、湯浅駅から東側に位置する観光資源を中心に調査することになりました。主に、事前調査や湯浅町役場の方へのオンライン聞き取り調査を行った際に紹介していただいたた場所などを徒歩で巡りました。以下では、事前調査で調べていた情報と実際に訪れた際に気づいた違いや、調査ポイントを周る中で感じたことなどを綴っていきます。
 まず、事前に調べていた場所は、丹波黒豆を100%使用した生一本黒豆醤油を使用した醤油ソフトを販売している「湯浅醤油有限会社」、生バームクーヘンを販売している「バームクーヘン専門店MAHALO」、温泉施設になっている「湯浅城」の3か所です。中でも、バームクーヘン専門店MAHAROは先に調べていた湯浅醬油の敷地内で販売していたことからたまたま見つけたのですが、メンバー全員が訪れることを楽しみにしていました。事前調査を行う際に感じたことは、食事などの観光資源が多く存在すること、それに対して体験などの観光資源が少ないということでした。
 事前調査で調べていた情報と実際に訪れた際に違いを体感することは、各調査ポイントでありました。湯浅醬油では、名物の醤油ソフトの味について感じました。醤油を使用したソフトクリームを初めて聞いたので、味の想像がつきませんでしたが、実際に食べてみると塩キャラメルの味に近く、とても美味しかったです。追い醤油として、レジ横に醤油が置いてあり、かけて食べるとより美味しさが増しました。見た目は地味なので、SNSでどのように発信していけば良いのか悩んでいましたが、見た目と味のギャップに重きを置くことが良いかなと考えました。醬油ソフト以外にも、敷地内には顏はめパネルや車のタイヤで馬の形につくられたブランコなど、遊んでいる楽しそうな様子の写真を撮ることができる場所がありました。そのため、調査した資源の中では最もZ世代に刺さる写真を多く撮ることのできる場所であるとともに、事前調査との違いを感じました。
 バームクーヘン専門店MAHALOは、先ほど述べたように、メンバー全員が生バームクーヘンを楽しみにしていましたが、訪れた当日は閉まっていたので、残念ながら食べることができませんでした。
 湯浅城では、温泉施設を訪れている人が想像していたよりも多かったことが驚きでした。14時過ぎに訪れましたが、向かっている最中に訪れる人とすれ違うこともありました。施設の外見は360度どこから見てもお城だったので、お城の中で温泉に入ることは素敵なことので、フィールドワーク中でなければ入りたかったくらいです。
 以上、事前調査と実際に訪れて感じた違いは、良いことも悪いこともありましたが、事前調査の情報だけでは、SNSの更新を頻繁に行っている場所とそうでない場所があるので、限界があることを感じました。また、実際に訪れてみないとわからないこともあったので、フィールドワークでこうして現地に訪れることができて良かったです。
 今回、フィールドワークの予定が先延ばしになり、現地へ訪れることさえままならない状況下で、できることは限られていましたが、だからこそ一度立ち止まって、考え直すことができたので良かったです。そして、実際に現地に訪れて調査することがどれだけ大切な行動か、実感しました。調査前までの考えとフィールドワーク後では考えられる内容の幅が広がったので、これを生かし切り、最終的に良い結果を報告ができるよう、今後も尽力したいと思います。

徒歩の周遊で十分楽しめる湯浅町
 国際観光学部3年 東花琳

 午前中に町役場の方に重伝建地区を案内していただいた後、私たちは4人のグループでSNS映えする写真を徒歩で探しました。最初に湯浅駅から徒歩で約3分の距離にあり、昭和の雰囲気がある「はたよ食堂」を選びました。メニューが豊富で駅からも近く、気軽に寄ることのできる場所にあります。ただ、店の前の道が狭いので、自動車で訪れる場合は駅前にある「なぎ広場駐車場」に駐車する必要があります。
 昼食を済ませた後、工場見学ができ、カフェもある丸新本家(湯浅醤油)に行きました。湯浅駅から徒歩で約10分の距離でした。また、駐車場は観光バス5台駐車可能な広さのため、自動車で訪れることもできます。ここでは、醤油ソフトとバームクーヘンを食べるつもりでしたが、バームクーヘンの店は休みでした。醤油ソフトはそのまま食べてもおいしいですが、上から醤油をかけると甘じょっぱくなり、よりおいしくなりました。丸新本家では、湯浅町でつくられたさまざまな醤油や味噌が販売されており、工場見学をすることもできました。工場見学では、醤油づくりも体験できるそうです。
 次に湯浅城へ行きました。湯浅城は温泉ホテルであり、500円で日帰り温泉としても利用できます。ホテル内に天守閣や海洋博物館などがある珍しい施設で、子どもから大人まで楽しめるホテルです。丸新本家からは徒歩で約15分の距離ですが、駅からは約30分の距離で、少し遠いと感じました。岡の上にあるので自動車やタクシーでの移動が望ましいですが、7名以上になると送迎バスがあります。
 次に、湯浅城から湯浅湾に行きました。徒歩で約30分の距離にあり、徒歩だと少し大変でした。駅からだと約15分の距離です。湯浅湾から見える夕日は和歌山の「朝日夕日100選」に選ばれているスポットです。
 夕方にグループ全員が湯浅湾に集合し、夕日を見る予定でしたが、当日は曇っていたので見ることができませんでした。夕日は見ることはできませんでしたが、わずかに空がオレンジ色で、防波堤からの景色はきれいでした。
 最後は全員で「かどや食堂」で夕食をとりました。湯浅湾から店までは徒歩で約15分の距離でした。駅からは徒歩1分で駅からも見える距離です。
 今回の調査を通して、湯浅町を周遊する時の移動手段には徒歩かレンタルサイクルが良いと感じました。レンタルサイクルは1台500円以内で簡単に借りることができます。自動車だと道が狭く、駐車場が少ないなど、少し不便ではないかと思いました。また、観光施設ごとにそれ程距離が離れておらず、徒歩や自転車で十分行動できます。

フィールドワークを通して知った湯浅町の魅力
 国際観光学部3年 髙堀寛子

 10月18日、私たち森重ゼミ3回生は、Z世代が魅力的に感じる資源の発掘やZ世代に訪れたいと思ってもらえるような湯浅町の魅力を活かした写真を撮ることを目的に、和歌山県湯浅町でフィールドワークを実施しました。
 午前中は湯浅町職員である蜂谷さまに案内してもいただきながら、ゼミ生全員で湯浅駅近くの重伝建や熊野古道を回り、午後は3つのグループに分かれ、それぞれ別のエリアの調査を行いました。
 私たちのグループは、今回のフィールドワークを実施するにあたって、以前ゼミ生みんなで話し合った「魅力的な写真の撮り方」をもとに、海と街の両方が写る場所や夕日がきれいに写る場所を探すため、海沿いを中心に栖原海岸や施無畏寺、端﨑、顯國神社などを訪れました。栖原海岸から見える夕日は、「和歌山県の朝日・夕日100選」にも選定されていて、途中にはモニュメントが設置されている場所も見かけました。この「和歌山県の朝日・夕日100選」は、「和歌山の昇る朝日に希望と元気を、送る夕陽に感謝と感動を」をキャッチフレーズとして和歌山県観光連盟が募集し、応募された朝日・夕陽の名所の中から100の景色を選定したものだそうです。その近くには、京都高山寺を再興した鎌倉時代の高僧である明恵上人を開祖とした寺である施無畏寺があり、この場所からも海を眺めることができました。桜の名所でもあるため、春は満開の桜とともに魅力的な写真が撮れるのではないかと感じました。他にも何ヵ所か海を上から見渡せるところはあったのですが、今回は残念ながら曇りで天気があまり良くなかったということもあり、写真撮影は思っていたよりも苦戦しました。
 しかし、今回の調査を通して、湯浅町の穏やかな雰囲気や魅力的な街並み、景色を実感できました。歴史や文化が感じられ、自然も残っている湯浅町は想像以上に魅力的でした。また、昼食ではパン工房KAWA本店で紀州梅バーガーを、夕食はかどや食堂でしらす丼と有田みかん果汁100%ジュースである味皇など、地元のグルメをいただいたのですが、どれも非常においしかったです。さらに、土産物もさまざまな種類の醤油や味噌、みかんのお菓子や飲み物、梅干しなど、種類も豊富でこだわりが詰まっていて素敵でした。湯浅町のまちの方々も暖かく迎え入れてくださり、さまざまなお話をしてくださり、人の温かさを感じながら、湯浅町のさまざまな魅力を知れたことが良かったです。今回のフィールドワークを通して知ったことや気づいたことをもとに、Z世代に向けたPR方法を引き続き考えていきたいと思います。