実際に現地で調べることの大切さに気づく機会になりました

 6月29~30日の2日間、森重ゼミ3年生が岡山県美咲町で観光資源調査を行いました。美咲町を調査対象地に選んだ経緯については前回紹介しましたが、美咲町は中央町と旭町、柵原町が2005年に合併してできた町であり、町域が広い上に、道路も十分整備されているとはいえません。そこで、ゼミ生が4つのグループに分かれ、事前にピックアップした観光資源の現状を調査しました。
 初めて本格的なフィールドワークに挑んだゼミ生も多く、新たな観光資源や事前調査で気づかなかった魅力を発見していました。その一方で、観光資源として紹介されているにもかかわらず、場所がわからないものや荒廃しているものもあったようで、現地を実際に訪れて調べることの大切さに気付いたと思います。今回は下調べの現地調査でしたが、この調査で得た成果を取りまとめ、今後は次のフィールドワークに向けた課題の整理や準備を進めていく予定です。
 以下で、中央地区を調査した2つのグループのレポートを紹介します。(森重昌之)

当日のフィールドワークの様子

  • 【中央地区1】移住者が経営するパン屋にて

  • 【中央地区1】大垪和西棚田での調査の様子

  • 【中央地区1】両山寺での調査の様子

  • 【中央地区2】中央公園での調査の様子

  • 【中央地区2】かめっち前の幸福広場での調査の様子

  • 【中央地区2】本山寺での調査の様子

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参加したゼミ生の報告

自然の中でのフィールドワーク
 国際観光学部3年 袖本惇平

 2019年6月29、30日に、森重ゼミでは岡山県美咲町の観光資源を探すことを目的にフィールドワークを行いました。事前に美咲町の観光資源になりそうなものを調べ、フィールドワークではその候補地を調査していきました。最初、美咲町に観光資源になるようなものは少ないというゼミ生の意見が多かったのですが、調べてみると観光スポットは予想よりも多くありました。私たちのグループでは、自然の中の景色が楽しめる場所や寺・神社が調査対象となっていました。
 私が最も印象に残っているのは、両山寺の御法祭(ゴーサマ)と呼ばれる祭りです。岡山県の重要無形民俗文化財に指定されていて、地元住民の方が奇祭とおっしゃっていた祭りです。毎年8月14日に行われていて、この祭りでは神が乗り移る男性「護法実」が半紙で作られた帽子をかぶって駆け回り、捕まると3年以内に亡くなるという言い伝えがあるそうです。そうした言い伝えがあるにもかかわらず、地元の方だけでなく、県外からの参加者もおられるそうです。1年休止されたこともあったそうですが、その際に付近一帯の山林に鳥が密集し、五穀が食い荒らされてしまったため、農民の方々の強い要望で再び祭りが開催されるようになったそうです。その両山寺の中でも最も印象的だったのが、二上杉です。樹齢1000年、樹高35メートルの岡山県指定天然記念物です。貫禄がすごく、他の木とはどこか違う雰囲気がありました。
 また、諏訪神社という神社は他の神社に比べて敷地が広く、綺麗に手入れされている印象がありました。春祭りが4月29日、7月の最終土日曜に夏祭り、11月3日に秋祭りが行われていているそうです。神社の本殿の上にある、クロスしている木の先が尖っていたら男性の神様、平らであれば女性の神様が祀られていることを初めて知りました。
 自然豊かな地域の観光資源は、自然の中にある美しい景観あるいは伝説や歴史が受け継がれて観光資源になっているもののどちらかしかないと思っていましたが、意外と調べても出てこないような、現地に行かなければ発見できなかったようなものも多く見つけることができました。次のフィールドワークでは、新たなテーマを決め、まだ発掘できていない資源を探しに行きたいと思います。今回、私が調査した地域では、食を売りにできる場所がいくつかあったので、食と自然を関連づけるような観光資源を発掘し、美咲町に観光目的で訪れたいと思ってもらえるようなマップなどを企画していきたいと思います。

自分のポジションを見つけるフィールドワーク
 国際観光学部3年 八野 駿太

 6月29~30日にフィールドワークで、岡山県美咲町の観光資源を見て回りました。今回のフィールドワークでは、美咲町のたまごかけごはん以外の観光資源を探すということが目的です。
 まず、フィールドワーク前の授業では、まだ美咲町がどのような町なのかわからなかったので、各グループに分かれ、どのような観光資源や歴史があるのか、何が有名なのかなどを調べました。調べたことを実際に見て確かめるために現地に行ってみると、想像とはまったく違うものであったり、なくなっていたりするものもました。実際に現地へ行くということは、現在の状況がわかるほか、改善点が見つかるなど、実際に行かなければわからないことがたくさんあると実感しました。
 全員で美咲町まで行き、現地で到着後、各グループで散らばって観光資源を調査しました。私たちの中央1のグループは、お昼頃だったので「紅そば亭」に向かいました。紅そば亭は客席12席の小さなそば屋ですが、近くには日本の棚田百選に認定されている「大垪和(おおはが)西棚田」があり、景観の良さと素朴さ、地元産へのこだわりで人気を呼んでいるそうです。メニューは、かけそばの「棚田そば」、山かけの「雲海そば」など、ユニークなネーミングです。中でも目玉は、地元に昔から伝わる鶏肉やごぼうの煮物などが入った具だくさんの「境そば」で、試食会を重ねて再現したものです。そのほか、そばがき、地元産の赤米でつくったおにぎりもあり、そば打ち体験も予約制で受け付けています。
 その後に行った場所が物産センターです。新鮮な野菜が年中豊富にあり、地元産の農産加工品も揃っています。販売品目は、米、野菜、果物(ピオーネ、梨)、林産物、花、農産加工品、漬物、味噌、すし、餅、木工品、陶芸品など、たくさんあります。このほとんどが、現地で採れたものを使っていると現地の方が言っていました。朝になると、美咲町に住んでいる人たちは物産センターに買い物に来るそうです。
 初めてフィールドワークに行って、気づいたことがあります。あらかじめみんなで美咲町についてたくさん調べていても、実際に行ってみると、「その観光資源はなかった」、「その場所に行くことが困難」ということが多々ありました。夜には各グループが集まり、いろいろと話しました。各グループで行っているところがまったく違うので、情報交換をしたり、意見を出し合ったりしていました。そのこともフィールドワークのおもしろさなのかなと感じました。ゼミにはあらゆるタイプの人間がいるので、自分が1番活躍できるポジションを探し、フィールドワークを頑張っていきたいと思います。

フィールドワークで見えてきた美咲町の可能性
 国際観光学部3年 西岡翼

 私たちはフィールドワークの場所を岡山県美咲町に決め、フィールドワークの下調べから始めました。「たまごかけごはん発祥の地」という情報しかなかったので、たまごかけごはん以外の食の魅力を探すというテーマで始めましたが、過疎化や高齢化の影響で厳しいと思い、話し合った末、観光資源を探すという大きなくくりに広げました。観光スポットを調べ、4つのグループに分かれてさらに詳しく、そして美咲町に着いてから困らないように順序を決めました。
 当日は雨の予報が出ていましたが、何とか曇りの状態でフィールドワークを開始できました。土日でしたが、美咲町は人通りも少なく、過疎化が進んでいる現状を目の当たりにしました。ある程度順序も決めていたのですが、「ココペリ」という気になる看板を見つけ、立ち寄ってみました。そこは移住者の方が夫婦で経営されているパン屋でした。土曜日と木曜日しか店を開けないので、午前中にほとんどのパンがなくなる人気店でした。私たちが訪れた時は閉店時間に近かったので、お客さまもおらず、ゆっくりお話をうかがうことができました。もともと都会で生活されていて、8年前から移り住み、4年の歳月をかけてココペリを完成させたそうです。ほとんどのものが手づくりで、店自体は山中にあります。アクセスが悪いにもかかわらず、人気店になり、店の方もとても幸せそうに見えました。お話をうかがったところ、現在美咲町には移住者が増えているそうです。町を散策している時にもカフェを何軒か見つけましたが、それらの多くも移住者が経営されているそうです。カフェの方の話では、こうしたカフェの他に、芸術祭が行われるという情報もあり、ますます深堀りできそうなコンテンツを見つました。もともと美咲町を選ぶ際に話していた、人口を少し増やすという目標の兆しが見えたお話でした。
 私が今回見つけた美咲町の可能性とは、古民家をリノベーションしたようなカフェや、芸術祭などの催しを使って美咲町の一大コンテンツをつくり上げ、地域活性化につなげようというものです。今回周った観光スポットの多くは人気もなく、場所によっては草木が邪魔をしていて入れない場所もあり、行政も観光をあまり意識しておらず、難しい場面も感じました。難しいことは変わっていませんが、それでも観光客増加の可能性は見えてきたように思います。
 今回のフィールドワークを経て、私は古民家や廃屋を活かしたカフェや芸術作品を使った地域活性化を提案しようと思います。下調べも難しいですが、可能性としては悪くないと思っています。

新しい出会いや発見のあったフィールドワーク
 国際観光学部3年 稲田加菜実

 6月29~30日の2日間を使って、森重ゼミ3年生の初めての現地調査となるフィールドワークを美咲町で行いました。現地調査に行く前に、事前に調べておくことができる観光資源や場所・営業時間、評価内容や評価基準、宿泊場所やアクセスなど、何度も話し合いを重ね、現地でスムーズに調査を始められるように決めてから行きました。
 当日は美咲町まで全員で移動し、その後グループに分かれて調査を始めました。私たちのグループは美咲町の中央エリアを回りました。たまごかけご飯で人気の「かめっち食堂」がある中央公園では、6つのローラー滑り台のほか、テニスコート、野球場、多目的広場など、さまざまなスポーツを行うことができ、大会などにも使われている野外施設が充実していました。また、総合体育館や武道館、屋内ゲートボールなど、雨の日でも気にせず利用できる室内施設など、幅広く遊ぶことのできる施設が多数ありました。ローラー滑り台では、保護者の方とスポーツに来たついでに遊ぶ子どもたちがおり、大人から子どもまで楽しむことのできる公園だと感じました。
 中央公園のすぐ近くには、「亀甲岩」という亀の甲羅の形に似た大きな岩がありました。その岩は昔、何もなかった場所にそれだけ突然現れ、今も変わらずそのまま残されているが、訪れる人はほとんどいないと近くに住むおじいさんが教えてくださいました。周りは住居以外に何もなく、場所もあまり人目につかないので、観光スポットにするには難しい観光資源だと思いました。
 美咲町の人びとの憩いの場である「ほほえみの湯」では、町民の皆さんの癒しの湯、また健康づくりの湯として利用されていて、町民の方であれば割引料金で入浴でき、毎日たくさんの人が訪れていると従業員の方からうかがいました。施設内には、美咲町の特産物であるたまごを使ったたまごせんべいが販売されていて、物産センターでも販売されているものがここでも購入でき、お土産にも最適な商品でした。今回は時間があまりなかったので入浴できなかったのですが、温泉の中の様子も見せていただくと、とても綺麗に清掃されていたほか、露天風呂の周りが自然に囲まれていて景色も綺麗で、入りたいと感じる良い施設でした。
 今回のフィールドワークで感じたことは、美咲町の現地の方がとても温かくフレンドリーで、快く話をしていただき、積極的に答えてくださる方ばかりだったということが印象に残りました。実際に現地調査を行うと、観光資源がたくさんあり、観光資源としてお勧めできるものとできないものを区別できました。事前調査だけでは発見できないことを、フィールドワークを通して学ぶことができるのだと、この2日間を通して実感しました。

事前調査と実際の違い
 国際観光学部3年 大川千琴

 6月29、30日、私は岡山県美咲町へフィールドワークに訪れました。今回のフィールドワークは、美咲町により多くの観光客に訪れてもらうために観光資源を探し、その観光資源が観光に利用できるものか調査することが目的です。
 まず事前調査では、観光資源になりそうなスポットを探し、その住所、亀甲駅からの距離、概要などを調べました。フィールドワーク当日、私たちは全員で現地まで移動し、それぞれのグループに分かれ、調査地へ向かいました。
 はじめに私が感じたことは、美咲町は私が住んでいる町と違い、見渡す限り緑に囲まれていて、空気が美味しかったです。しかし、道路が整備されていない場所や夜になると街灯も少なく、危険だと感じる場所もありました。自動車で行くには細すぎる道や整備されていない山道があったほか、私たちの目的のスポットが道路の途中にあり、周りには駐車場もなく、カーブの途中にあったので、とても危なく、都会では考えられない環境に驚きました。それを感じたスポットは「立岩様」で、そこにある岩を背負う真似をすると、足が痛いのが治るという言い伝えがあります。岩自体は大きく、迫力のあるものでしたが、近くに駐車場がないことや、周りに田んぼしかないこと、そして何より道路の途中にあり危険であることから、とても観光地にはなり得ないと感じました。
 次に、「農村型リゾート南和気荘」を調査しました。ここは私たちの今回の宿泊場所でもあり、調査がしやすかったです。ここは元小学校ということもあり、体育館やプール、グラウンドなど、施設が充実していました。他にもバーベキューができるスペースやカラオケ、ビリヤードなど、さまざまなジャンルで楽しめるという点があげられます。宿泊部屋は和室で綺麗になっており、小学校を感じさせない内装になっていました。私は宿泊施設としては良いと思いましたが、ここにわざわざ観光目的で人は来ないと感じました。しかし、宿泊以外にもパンづくりや陶芸体験、農業体験もできるので、これらを目的とした観光体験をするのも良いのかもしれません。
 今回のフィールドワークでは、事前調査ではわからなかったことがたくさんありました。目的地に行くまでの険しい道であったり、目的地に着いても通り過ぎてしまうほど気づかない場所であったりするなど、施設自体は良いものであっても、それまでの道のりなどで評価が下がってしまい、観光地としては成り立たない場所もありました。
 次は9月にフィールドワークに行くので、それまでに他に観光地になり得るスポットを探すとともに、目的地に着くまでの道のりもしっかり調べなければいけないと感じました。

美咲町の観光資源を求めて
 国際観光学部3年 中田悠介

 6月29、30日の2日間、私たち森重ゼミ3年生は岡山県美咲町の観光資源を調査するために、1泊2日のフィールドワークを行いました。
 初めに、私たちはゼミが決まってから半年間以上、ゼミ生全員で候補地の案を出し、幾度となく話し合いを重ねてきました。沖縄や軽井沢、宮島、美咲町など、たくさんの候補地が出てくる中、出れば出るほどゼミ生の意見が分かれ、その度に話し合いを繰り返しました。正直、自分自身もかなりしんどい思いをしましたし、ゼミ生もそうだと思います。しかし、そうした中でも、妥協することなく話し合った結果、「みんなが納得できる」、「現地に行って調査を行う価値がある」と判断して決定した場所が岡山県美咲町でした。美咲町は、津山市の隣に位置し、どう見ても田舎といえる地域です。そうした地域に観光客を呼び込めるよう、観光資源を見つけるために、私たちは現地に向かいました。
 フィールドワーク当日は旭、中央1、中央2、柵原の4つのグループに分かれ、調査を始めました。私たちのグループは中央2で、美咲町の中央に位置する観光資源を探しに行きました。
 特に印象に残った場所の中で、1つ目はかめっち食堂です。訪れる前から、美咲町が積極的にPRしている場所、自慢できるモノであることはわかっていました。そして、実際に訪れ、たまごかけごはんを食べ、店内を見ていただくと、いろいろなことがわかりました。まず、店に入るまで、私たちは30分待ちました。土曜日ということもあり、岡山県外からの観光客も多く訪れていました。そして30分後、店に入ると、注文からおおよそ2分弱でたまごかけごはんの定食「黄福定食」が出てきました。店の方に聞いてみると、やはりテレビの影響は大きいようで、各地で美咲町のかめっち食堂がピックアップされると、びっくりするほどその地域からの観光客が訪れてくると言います。店に貼られている写真を見ると、誰でも知っているような有名人が訪れていることがわかり、驚きました。
 2つ目の印象に残った場所は、境神社です。この場所は訪れてみるまで、まったくと言っていいほど注目しておらず、「どうせ道の途中にある小さな神社だろう」としか思っていませんでした。しかし、実際に訪れてみると、まず目に入ったのが大きなスギです。この境神社のスギは名木百選で、それも納得がいきました。並んで写真に写ると、画面から木が見えないほどの大きさです。さらに、境神社の獅子舞も岡山県指定の重要無形民俗文化財であり、行かなければわからない、言わば「隠れ観光資源」でした。
 私たち3年生は今回のフィールドワークで終わりではありません。夏にもう一度訪れ、さらに美咲町を深堀りしていこうと考えています。まだまだ美咲町には自慢できる、魅力的な観光資源があるはずです。そうした観光資源を見つけるため、これからも妥協することなく、ゼミ生全員で協力し合って、事前調査を進めていきたいと考えています。