活動テーマ:沖縄県久米島におけるマリンレジャー以外の新たな観光資源・魅力の創出
産学連携先:久米島町観光協会


 沖縄県久米島はマリンレジャーが盛んで、はての浜などのビーチが有名です。しかし、マリンレジャー以外の観光資源の認知度が低く、その魅力が十分に伝わっていません。そこで、2018年度の森重ゼミはキャリアゼミ制度を活用し、「マリンレジャー以外の新たな観光資源・魅力の創出」をテーマに、1年間活動を行ってきました。
 まず、文献やウェブサイトなどで久米島の自然や歴史・文化などを調査し、2018年9月に4日間、現地調査を実施しました。現地調査では、久米島町観光協会で聞き取り調査を行った後、自然、歴史、SNS映え、海洋深層水という4つのテーマを設定し、島内の観光資源を隈なく見て周りました。現地調査の結果を整理・分析し、12月に第33回日本観光研究学会全国大会学生ポスターセッションにて発表したほか、2019年1月には学内のゼミ報告会でも発表し、そこでいただいたご意見を提案に反映させていきました。
 そして、提案内容をまとめ、3月に再び久米島を訪問し、観光協会で成果報告会を実施しました。そして、主に以下のような提案を行いました。
1)季節や時間によって見え方の異なる自然観光資源をアピールする
2)歴史観光資源のスポットにQRコードを置き、それを読み取るとマンガの1ページが現れ、複数のスポットを周ることで、久米島の歴史を理解できるようにする
3)観光資源の撮影場所に足跡マークを設置し、観光客がそこで写真を撮影し、SNSで公開することで、同じような写真がインターネット上に現れるようにし、観光地の魅力を発信する
4)海洋深層水を利用したクルマエビやスパなどを美容・健康面からアピールする
 久米島町観光協会の方からは、新しい視点を提示してくれた、現在策定中の観光振興計画に反映させたいといったご意見をいただきました。ゼミ生は調査対象地の選定から調査、分析、提案に至る一連のフィールドワークをすべて自分たちで行ってきましたが、1年間の成果を実感していました。

学生活動状況報告

 私たちは今年度、「沖縄県久米島でマリンレジャー以外の魅力を探す」というテーマで、16名で活動を行いました。その中で、私は分け隔てなくコミュニケーションを取ることができる点をメンバーに評価され、ゼミリーダーを担当しました。
久米島でのフィールドワークでは、調査の効率やメンバーが真剣に取り組めることを考え、4つのグループに分けて調査を行うことを提案しました。グループごとのメンバー構成にも配慮したことで、メンバー間の壁もなくなり、みんながゼミ活動に前向きに取り組んでくれるようになりました。そして、研究成果の発表を繰り返し行った結果、最終的に久米島を再度訪問し、良い発表ができたと思っています。
 もちろん、私の努力だけでできたわけではありませんが、1年間のキャリアゼミ活動を通して、グループで協力して物事を進めることの大切さや、その時に自身の果たすべき役割に気づく力を身につけることができました。

国際観光学部 浦西 開斗

参加学生一覧

山下 弥華、ウォーレン 湖南、浦西 開斗、大石 茉南、奥野 滉貴、樫原 萌香、神田 淳之輔、木村 優吾、久保田 芹華、栗牧 真美、立居 泰賀、谷口 歩夢、長澤 天桜、三木 鈴菜、水戸 のどか、吉岡 七夏

ゼミ集合写真

連携団体担当者からのコメント

一般社団法人久米島町観光協会
上原一晃 事務局長

それぞれの提案内容について、コメントしたい。まず、QRコードを設置して情報提供する方法は興味深かった。看板は一度設置すると情報の更新ができないが、QRコードであれば随時更新できるので、今後検討したい。また、季節や時間によって自然の魅力が変化するという視点もおもしろかった。一方、海岸部は漂着ごみが多いが、この島がごみ取りネットのような役割も果たしていることもあるので、そうした情報も観光客に伝えたい。また、観光資源の場所がわかりにくいという課題については、わかりにくいものを見つける楽しさもあるように思う。
 今回は「訪れたらわかる魅力」ということで提案していただいたが、久米島に足を運んでもらうためには何が必要かについても、今後考えていただきたい。現在、久米島町では新しい観光振興計画を策定しているので、今回の提案内容を参考にさせていただく。
【2019年3月6日現地での成果報告会でのご意見】

教員のコメント

国際観光学部 森重昌之 准教授

 森重ゼミでは毎年、ゼミ生自身の話し合いによって、フィールドワークの調査対象地や研究テーマを決めています。高校までは問いが与えられ、それに答えるという学びが中心ですが、大学の学びでは「問題とは何か」から考えなければなりません。今年のゼミ生も最初は戸惑い、なかなか調査対象地や研究テーマが決まらず、腐心していました。また、調査対象地を沖縄県久米島に決めた後も、聞き取り調査の依頼や現地までの交通機関や宿泊の手配をゼミ生自身が行わなければならず、苦労しました。さらに、9月の現地調査では、台風の影響で関空出発便の時間が大幅に変更され、調査初日に全員が揃わないというトラブルにも見舞われました。しかし、それでもゼミ生はめげることなく、調査、分析、考察、提案に至る一連の研究のステップを1段ずつ登り、最後の久米島町観光協会での成果報告会で提案内容を評価していただき、成果を実感していたようでした。
 大学とは、思いつきで行動するのではなく、「なぜそのように考えるのか」ということが相手に理解してもらえるよう、論理的に考える力を鍛える場であると思います。今回のフィールドワークでこうした力がどの程度身についたかわかりませんが、これから始まる就職活動や卒業研究において、その力を存分に発揮してほしいと思います。
 最後に、ゼミ生の学びの場を提供してくださった久米島のすべての皆さまに、心より御礼申し上げます。