2018.3.7

北方四島観光アイデアコンテストで最優秀賞を受賞しました

北方四島観光アイデアコンテストで最優秀賞を受賞しました

観光を通じて北方領土に気づくことをめざし、さまざまな提案を行いました

 2月20日(火)、国際観光学部2~3年生3名が北海道札幌市で行われた北方四島観光アイデアコンテスト(主催:北海道)に出場し、最優秀賞を受賞しました。このコンテストは、北方四島と北方領土隣接地域などをつなぐ観光振興についてのアイデアを募るものです。学生はこれまで北海道の道東地域を訪れた経験を踏まえ、「ふと眺めれば 北方四島(きたのしま)~観光を通じて北方領土に気づく~」をテーマに、紙コップを活用した北方四島への気づきの創出、カードを活用した周遊観光の促進と情報発信、キッズコンシェルジュによる北方四島ガイドの3つを提案しました。
 学生たちは年明けから準備を進め、2月初めに倍率2.6倍の書類審査を通過し、本選出場を果たしました。その後、授業終了後から夜遅くまで、春休みに入ってからもほぼ毎日大学に来て、資料作成や発表準備に取りかかっていました。もちろん、結果がすべてではありませんが、学生たちの努力が評価されることは嬉しいものです。
 事前準備から当日の発表まで含め、以下で参加した学生が報告します。(森重昌之)

当日のコンテストの様子

  • 発表の様子

  • 発表の様子

  • 質疑応答の様子

  • 授賞式の様子

  • 受賞後の記念撮影

  • 最優秀賞の賞状と副賞

参加した学生の報告

観光のあり方と可能性を見つめ直す機会になったコンテスト
 国際観光学部2年 岸本菜摘

 今回、北方四島観光アイデアコンテストに参加し、最優秀賞をいただきました。コンテストの内容は、北方四島と隣接地域の観光振興をテーマにした魅力的でユニークなアイデアを作成するというものでした。一次審査は発表概要書をもとにした書面審査でした。次に、二次審査は北海道へ訪れ、審査員の前でプレゼンテーションを行いました。
 私たちはアイデアを考えるにあたり、「楽しみ」や「ふれあい」から「気づき」、「学び」につながる観光の特性を生かし、観光を通じて無意識のうちに北方四島への関心を呼び起こす観光振興をめざすことにしました。そして、「ふと眺めれば「きたのしま」」をテーマとしました。
 具体的な提案の1つ目は、紙コップを活用して北方四島への気づきを創出するというものです。道東地域は知床・釧路・納沙布岬などの観光地を中心とした広い範囲を、クルマで周遊する観光客が多いことがわかっています。こうした観光客は、長い距離を移動するため、休憩や飲み物を買いに、コンビニエンスストアへ立ち寄ることが多いと考えました。そこで、根室海峡を走る国道沿いにあるコンビニエンスストアで販売される飲み物を、北方四島の動物が描かれたおしゃれなデザインの紙コップで提供します。こうすると、インスタグラムでも発信したくなると思います。北方四島を背景にこの紙コップを撮影し、「#北方四島」とつけて投稿を促すことで、観光客を通じて地域外に宣伝することもできます。
 2つ目は、カードを活用した周遊観光の促進と情報発信です。4枚揃えると、北海道と北方四島の地図が完成するカードを、道東の観光施設で配布します。カードには各島の概要が紹介されています。全部のカードを集めようと観光施設に立ち寄ることで、周遊観光がさらに促進されると考えました。また、カードの裏面は1枚だけでも楽しめるよう、女性でも手に取りたくなる、北方四島の動物が描かれたデザインを考えました。そして、北方四島への自由な往来が可能になれば、カード4枚を収納できる台紙を北方四島の港や空港で配布することを考えました。こうすることで、道東と北方四島を結ぶ大きな周遊観光の促進にもつながると考えました。
 3つ目は、キッズコンシェルジュによる北方四島ガイドです。北方四島に対する若年層の関心の低さが課題としてあげられます。そこで、キッズコンシェルジュを提案しました。長期休暇の宿題として、北方領土啓発施設で事前に学んだ知識を生かし、小学生がガイドを行います。小学生は、北方四島の知識が得たり、コミュニケーション能力が向上したりすることが考えられます。一方、来館者にとっても、小学生による一生懸命な説明の姿は、印象にも思い出にも残るというメリットがあります。そして、それが北方四島への関心を持つ機会にもつながります。さらに、北方四島への自由な往来が可能になれば、島の子どもたちにもコンシェルジュをしてもらえると良いと考えました。それにより、異文化交流の機会にもなり、こうした相互理解や相互交流こそ、観光振興といえます。
 今回、北方四島観光アイデアコンテストに参加したことで、私自身の北方四島への関心や知識が高まりました。以前は、北方四島について学校の社会科の授業で学んだことぐらいでした。しかし、北方四島の動物や道東から見える島の景色を見ることで、印象も良い意味で変わり、少し身近な存在に感じるまでになりました。一方で、提案を考える上で、実際に訪れたことのない北方四島について、現在わかることからイメージし、もし訪れることができたらと仮定しながら提案を考えることに苦労しました。そこで、道東での観光とできるだけ関連させることに試行錯誤しました。また、「無意識の意識化」を軸に考えていくことも難しかったです。
 北方四島アイデアコンテストでは他大学のプレゼンテーションを聞き、同じテーマであるにもかかわらず、それぞれに個性があり、着目点も違い、自分のこれからの学習の参考にしたいと思うことばかりでした。また、改めて私たちの考える観光とは、「楽しみ」や「ふれあい」から「気づき」、「学び」につながる観光でありたいということを見直すことができました。この経験をこれからの学習や活動の中でも生かしていきたいと考えています。とてもよい機会をいただけたことに感謝しています。

たくさんの協力で受賞した“最優秀賞”
 国際観光学部2年 高田有規子

 私たちは2月20日に北海道札幌市で行われた「北方四島観光アイデアコンテスト」に参加し、最優秀賞をいただきました。コンテストのテーマは、北方四島と隣接地域の観光振興であり、北方四島への自由に往来が可能になった場合の観光振興についてのプレゼンテーションを行いました。
 まず私たちは、北方四島を知ってもらうためのコンテンツについて話し合いました。その結果、記念カードの作成、コンビニエンスストアで限定の紙コップを使用した飲み物の販売、キッズコンシェルジュの3つの案が生まれました。記念カードの作成案については、メンバー全員がInstagramを利用しているので、流行語大賞にもなった“インスタ映え”を狙ったカードを作成することで、SNSにアップしてもらい、北方四島の認知度や関心が向上するのではないかと考え、提案しました。また、コンビニエンスストアで限定の紙コップを使用した飲み物の販売案については、コンビニエンスストアのチェーンは現在、日本中で展開されています。そこで販売される飲み物の紙コップをおしゃれなデザインにすることで、これもSNSにアップしてもらい、認知度・関心が向上するのではないかと考えました。さらに、キッズコンシェルジュの案については、私たちを指導してくださっている森重先生が以前、ある博物館を訪れた際に大人ではなく、子どもがガイドを行っていたという話がきっかけにありました。たどたどしいガイドであったものの、大人がガイドを行うよりも印象に残ったとおっしゃっていたので、提案しました。提案内容は比較的早くできましたが、一次審査に提出する概要書づくりがなかなか思うように進みませんでした。概要書には、原稿とともに、それに沿った図も作成しなければなりません。何度も何度も先生に修正していただきながら、やっとの思いで概要書が完成しました。
 無事に一次審査を通過し、札幌市での発表のためのパワーポイント・原稿づくりが始まりました。ところが、一次審査に提出した概要書に北方四島への自由な往来が可能になったことを前提とした観光振興について書かれていないことが判明しました。そこで、私たちはコンビニエンスストアで限定紙コップを使用した飲み物の販売とキッズコンシェルジュの2つの案について、追加で北方四島への自由な往来が可能になった場合の観光振興について提案しました。
 また、当日はパワーポイントで発表を行うので、私たちの提案もより具体的に行わなければなりませんでした。そこで、記念カードとコンビニエンスストアで販売する紙コップに関しては、北方四島に住む動物をモチーフにするという案が浮かんできました。写真を使用するよりもイラストを使用する方がかわいらしい印象になり、手に取りたくなるとの私たちの意見から、イラストを使用することになりました。しかし、私たちが想像しているかわいらしいイラストを描けるメンバーは1人もいませんでした。そこで、メンバーの1人の芸術大学に通う友人にイラストを描いてもらうことにしました。定期試験期間にもかかわらず、快く協力してくださいました。描いてもらったイラストは、私たちが想像していた以上の素敵なイラストで、とてもかわいらしいものであり、まさに“手に取りたくなる”ものでした。
 また、パワーポイントでの発表であるため、パワーポイントを見やすく作成することにも苦労しました。私たちは伝えたいことが多く、どうしても文字数の多いパワーポイントになってしまう傾向にありました。先生のご指導で、シンプルに大事なところだけを文字に起こすことを意識して、パワーポイント作成を行いました。さらに、パワーポイントに多くのアニメーションを付けたため、念入りな発表練習も行いました。
 そして、発表当日。前を向いて落ち着いて発表することを意識して、コンテストに挑みました。審査員の方の反応を見る余裕もあり、大きな失敗もなく無事に発表を終えることができました。私たちの発表後は、他大学のプレゼンテーションを聞きました。観光系の大学ばかりではなかったため、違った視点からのユニークな発表もあり、大変興味深かったです。結果発表で、最優秀賞に選ばれたときは本当に嬉しかったです。夜遅くまで大学に残って作業する毎日でしたが、頑張って良かったと思えた瞬間でした。
 今回のコンテストは、私たちの力だけでは最優秀賞をいただくことはできませんでした。夜遅くまで私たちと一緒に大学に残ってくださった森重先生や定期試験期間にもかかわらずイラストを描いてくれたメンバーの友人、またパワーポイントにおけるキッズコンシェルジュの説明のために、メンバーの知人のお子様もモデルにさせていただきました。このようなたくさんの方々の協力のおかげで最優秀賞を受賞することができました。心から感謝申し上げます。これからも学会発表に参加する機会はまだまだあると思うので、今回のコンテストの経験を活かしていきたいと思います。

「きたのしま」から考える観光振興
 国際観光学部3年 井上佑太

 私たちは、2月20日に北海道札幌市で行われた北方四島アイデアコンテストに出場しました。日本の固有の領土である北方四島と隣接地域である北海道の道東地方をつなぐ観光振興を考えるコンテストです。昨年12月からアイデア出しを行い、そこで出たアイデアから3つ提案しました。
 提案の前に、国際観光学部の学生50人に北方四島の認知度調査を行いました。その結果、全員が北方四島を聞いたことがあると答えましたが、北方領土問題の内容や4島すべての名前を知っている人は少ないことがわかりました。そこで、私たちは観光の特性である楽しみやふれあいから気づき、学びにつながることを目的に、無意識のうちに北方四島の関心を深めてもらうよう、テーマを「ふと眺めれば 北方四島(きたのしま)」としました。
 提案を考える上で、実際に訪れたことがなく、情報も少ない北方四島のことを提案することは困難を極めました。そこで、別のプロジェクトで行っている標津町をはじめとした道東地域での活動を生かして、提案を考えました。また、一次審査の後に、私たちの提案は隣接地域の提案だけで、北方四島の提案がないことを事務局から指摘され、修正した上でプレゼンテーションに臨みました。
 1つ目の提案は、コンビニエンスストアの紙コップを活用したものです。私たちが実際に道東でクルマを運転する時に、コンビニエンスストアで休憩することが多いという経験から、観光客に北方四島が間近にあることに気づいてもらえるような紙コップでの飲み物の提供を提案しました。
 2つ目は、道東の観光施設である根室市の納沙布岬や標津町のサーモン科学館などに訪れた観光客に、北方四島のカードを配布するものです。表面は紙コップと同じように、北方四島や隣接地域に生息する動物のイラストを載せます。動物のイラストをデザインし、女性も手に取りたくなるデザインにすることで、インスタグラムなどのハッシュタグを活用し、北方四島と隣接地域の情報発信を促します。一方、裏面は4枚集めると北方四島と北海道の地図が完成するデザインにします。これにより、コンプリートを促すことが期待できます。私自身が記念切符や記念カードを集めることに興味があったので、このようなことが北方四島と隣接地域でもできないかと考え、提案しました。
 3つ目は、隣接地域にある北方四島の啓発施設である根室市の北方館や標津町の北方領土館などで、地元の小学生にキッズコンシェルジュとしてガイドを行ってもらうというものです。現在、元島民の高齢化や若者の関心の低さが課題になっています。そこで、子どもたちが北方領土について説明することにより、真剣に説明する子どもの話が来館者の印象に残りやすいと考えました。子どもにとっても、説明のための事前学習を行うことで、北方四島の理解が深まります。
 北方四島に自由に行き来できるようになれば、多くの観光客が訪れることが予想されます。しかし、同時に過度な観光開発が行われることも懸念されます。私たちの提案は、開発に頼らず、保全しながら利用することで、環境を守ることにも配慮しました。
 このような提案が認められ、コンテストでは最優秀賞を獲得することができました。提案を考える中で、パワーポイントの文字を少なくし、口頭で伝えたり、目に付きやすいよう、文字を大きくしたりするなど、見やすいデザインにこだわりました。また、動物のイラストの絵は後輩の友人にお願いして書いてもらいました。私たちだけでは、決してこの結果を得ることはできなかったと思います。ご指導いただいた森重先生をはじめ、後輩の岸本さん、高田さんの協力を得て勝ち取れた最優秀賞です。本当にありがとうございました。