第5回関西元気な地域づくり発表会の模様(レポーター:松村嘉久)

関西に元気を!!

 2010年3月12日(金)に天満橋のドーンセンターで開催された「第5回関西元気な地域づくり発表会」で,少しフライングですが,阪南大学国際観光学部松村嘉久研究室(学生代表:丸市将平・久保田早也佳)の肩書きで,「新今宮観光インフォメーションセンターの運営とまちづくりに向けた社会的実践」のタイトルで活動報告してきました。この発表会は近畿地方整備局企画部が事務局を務める「関西元気宣言」発信運動本部が主催するものであり,関西圏の地域づくりの現場の人たちが日頃の活動事例を持ち寄り,互いに経験を共有して連携を深めるきっかけとなる貴重なものです。観光振興分科会,地域資源活用分科会,地域コミュニティ分科会の三つに分かれて活発な議論が展開される場です(左上写真は新今宮TICに出前のお好み焼きを持ってきてくれた「西成わだ」のTOKUさんとの記念撮影)。

 松村研究室は第2回発表会でも,「大阪国際ゲストハウス地域を創出する重要性と可能性を探るなかで」のタイトルで参加し,松村嘉久・濱中勝司・滝井彩らで発表しています。今回は新今宮地域での地域づくりが,新今宮観光インフォメーションセンターを運営し始めたことによって,「外国人個人旅行者を積極的に誘致する」段階から,「その存在を活かしたまちづくり」や「持続可能な発展」という段階へと大きく踏み出したことを伝えるため参加を決めました。松村研究室は同僚の大谷新太郎准教授がコーディネーターを務める「観光振興分科会」で発表することとなりました(右上写真:3月の毎日運営を知らせるポスターを1年生の協力を得て手書きで作成)。

充実の観光振興分科会

 観光振興分科会での発表内容はすでに実績を挙げている事例ばかりで充実していました。播州赤穂の「さこし船岡を良くする会」からは,地元の地域資源を地元の住民が再発見する取り組み,「山本能楽堂」からは,大阪商工会議所らと連携した上方芸能ナイトについての紹介があった。上方芸能ナイトのチラシは私たちの新今宮TICでも配布し外国人個人客に薦めていて,多種多様な芸能の真髄をアラカルト的に高い質を維持しながら提供する試みである,と注目し支援していきたいと思っていたものである。「また来たい余呉をみんなでつくるアイディア会議」からは,琵琶湖湖北の豊かな自然を活かした滞在交流の提案,和歌山県熊野古道の「本宮町商工会」からは,世界遺産ブームで観光客が多く来るなか,地域経済に波及効果がなかなか生まれないという悩みが語られ,地元の経済・産業をどのように支援して盛り上げていくのかという取り組みが紹介された。「京都フラワーツーリズム推進連絡協議会」からは,刻々と変化する花見情報の現在をIT技術の利用で提供する事例が紹介された。ここが作成する「花なび」というサイトのコンセプトは,IT事業としても完成度が高く色々な展開が期待される,とコーディネーターの大谷先生も高く評価されていました。新今宮TICでも花見情報についての問合せが多くなる季節なので,早速,このサイト情報を「お気に入り」フォルダーに入れました。

松村研究室からの発表

 私たちは観光振興分科会の最後に,松村から地域の現状の紹介,丸市将平と久保田早也佳からの新今宮TIC活動実態の報告,再度松村から新今宮地域の抱える問題と解決に向けた展望を語った。この日,山田社長,OBの濱中さん,ゼミ生・1年生・今春入学決定の高校生ら12名が駆け付けて聴講してくれました。ゼミ活動が地域に見守られ,上から下へと引き継がれているのを実感した1日でした。
 松村個人としても収穫の多い1日でした。山本能楽堂や本宮町など,関西広域連携を視野に入れると欠かせない存在とつながりができたこと。私の隣の中学卒業で馬の合う京都大学の藤井聡教授と出会えたこと。アクティブで素敵な横山葵さん(地域資源活用分科会のコーディネーター担当)と知り合えたこと。何よりもの収穫は,新今宮地域が抱える問題のひとつが,この発表会での発表で,解決に向けてようやく動きだしそうな手ごたえを得たことです。全体討論会では,「関西元気な地域づくり発表会」の今後のあり方を鋭く問う問題提議もなされましたが,関西広域連携にとっても,新今宮TICにとっても,とても重要な取り組みなので,ますます発展させることを祈念するとともに,私たちもお手伝いさせていただきます。

発表者からの感想

久保田早也佳(松村ゼミ3回生)

 第5回関西元気な地域づくり発表会の観光振興分科会で発表させていただきました。観光振興(地域づくり)のきっかけは,地域の身近なところに存在していて,それを誰かが気付いて発見して動き出し,その活動の輪が広がって色々な展開につながっていく。基本的なことですが,私は観光振興分科会での発表を聴いていてそう気付きました。だからこそ,もっとたくさんの人たちにこの発表会のことを知ってもらい,聴きに来てもらい,発表者から勇気や元気をもらって,地域に帰って頑張る人たちが増えたらいいのに,と感じました。観光振興の経験を語り合って情報共有する重要性を実感しました。将来はこの発表会が1日で終わらなくなるくらい,「関西元気な地域づくり」が各地で増えることを願います。
 観光振興分科会で発表したのち,同じ分科会で発表された和歌山県本宮町の方々や山本能楽堂の方から,「みんなさんの活動はユニークで,よく頑張っていますね」,などと直接お褒めの言葉をいただきました。私たちの活動を知っていただいただけでなく,それを第一線の現場で活躍される方々から高く評価していただいたのは,社会人基礎力育成グランプリでの評価とは別の意味で自信につながります。後の懇親会でも,本当に色々な方々から褒めていただきました。ゼミのみんなさん,これからも頑張って行きましょう。
 最後に個人的ではありますが,今回の発表でみんなの代表として初めて人前で話させていただきました。勇気を振りしぼって立候補し,大きな一歩が踏み出せたと感謝しています。

丸市将平(松村ゼミ副ゼミ長)

 2月19日開催された阪南大学学会の学生研究活動支援事業のプレゼン大会にて,私はゼミ後輩の仲田美穂さんと二人で「台北市における夜市の分布特性と空間編成」というテーマで,2009年夏に行った台北市でのナイトマーケットの調査成果を発表させていただきました。事前のリハーサルを見た松村先生からは,「言葉を探りながらしゃべったら,聴いてる方がイライラするから,パワーポイントに合わせてちゃんと言い切れ!!」とのアドバイスを受けて本番に臨みました。審査員も務められた松村先生からは,「リハーサルと比べたらかなりマシになってたけど,質疑応答が全然あかんわ…」との厳しい評価,結果,何も賞をいただけずに終わり,悔しい思いをしました。
 今回の「第5回関西元気な地域づくり発表会」は学生支援事業のように内向けに行うものではなく,地域づくりの現場で活躍されている方々が見守るなか,一般観覧者も来られる外向けの発表。松村研究室を代表して,久保田早也佳さんと発表することになり,学生支援事業よりもはるかに責任は重大でした。学生支援事業での反省を踏まえて,久保田さんと一緒にパワーポイントを作り込み,発表で語る細かい内容や言葉まで考え抜き,制限時間の10分におさまるよう何度もリハーサルを行い,松村先生や山田社長からもアドバイスをいただきました。
 万全の準備をして発表本番に臨んだのですが,やはり他人に伝える難しさを痛感しました。発表会では実践経験豊かな方々から具体的でわかりやすく熱い発表が続き,観光振興部門で最後の発表の私と久保田はとても緊張しました。緊張するなか必死に冷静になろうという葛藤があり,発表中は無我夢中で真っ白になってしまいました。しかしながら,観光振興部門のコーディネーターが大谷新太郎先生で,たくさんのゼミ生らが応援に来てくれ,発表の冒頭と最後を松村先生が担当されたこともあり,緊張したものの学生支援事業の時より上手くできたと思います。
 私たちの発表が終わった後の全体討論にも参加させていただいたのですが,「元気な地域づくり」という共通意識のもと集まった人々の熱い想いがひしひしと伝わってくる素晴らしい場でした。松村ゼミの活動がこのような場でも欠かせない存在になっていることも,凄いことだと実感しました。観光振興分科会では,関西各地の地域づくりの色々な活動をつなげ紹介するという役割から,新今宮TICの存在が活かされるのではないかという意見もいただき,私たちのゼミ活動の意義を改めて感じました。発表会終了後の懇親会にも参加させていただきました。立食パーティ形式で色々な人と情報交換する経験は初めてでしたが,松村先生や大谷先生の後についてテーブルを渡り歩き,楽しくも有意義な時間を過ごしました。