第1回FIT街歩きのレポート(レポーター:永野健太・久保田早也佳)

外国人は5名が参加!!

 第1回目の外国人個人旅行者(FIT)向けの街歩きツアーが,2009年4月21日(火)に開催されました。今回の街歩きには5名のFITが参加してくれました。フランス人男性2名と台湾人男性1名からは街歩き前日までにホテルのフロントに申し込みがあり,シンガポール人男性1名とマレーシア人女性1名は当日参加申込みされました。参加者全員が英語でOK,アジアからの参加者3名は中国語もOKで片言の日本語もわかる方々でした。案内は英語が主,個別に中国語で対応するという感じで行いました。
 今回の参加希望者の主な募集方法は,新今宮の6軒の簡宿(ビジネスホテル中央・中央新館・来山南館・来山北館・東洋・太洋)にご協力いただき,各フロントにA3版のポスターを張り,A4用紙で印刷した申込み用紙を兼ねたチラシを配布していただいた。「大阪あそ歩」のホームページ経由でも募集したが,今回は5名全員が簡宿配布のチラシで応募してきた。

案内役は何と11名!!

 街歩き当日の少し前から,新今宮の簡宿街に宿泊するFITが急に少なくなった。4月17日の夕方に丸市君がポスター張りで簡宿を回った時は,来山南館やビジネスホテル中央のロビーなどはFITで賑わっていたらしい。桜のシーズンも春休みも終わり,ゴールデンウィークの少し前だったことも影響したのかもしれない。「着地型ツアーの客集めは出たとこ勝負で計算でけへんから大変や,しかしこんなん新今宮でしかでけへんで」と松村先生はおっしゃっていました。
 一方,案内役の松村ゼミは3年生18名と4年生2名が集合,これに松村先生とOBの濱中さんを加えて総勢22名。さすがに22名で5名の外国人を囲んで歩くのも無茶苦茶な話だということになり,急遽,松村先生が9名のゼミ生を厳選しました。案内役は,松岡慶祐・王頴・王雪・久保田早也佳・佐藤有・高橋はる香・茶谷みなみ・永野健太・丸市将平の9名と松村先生と濱中さんの合計11名。参加者よりも案内役の方がはるかに多い不思議なツアーになりましたが,初回で慣れていないということもあり,結果的には多くも少なくもない絶妙のバランスでした。残りのゼミ生たちは鶴橋街歩き・人権博物館見学・阪堺線散策の3チームに分かれ,今後の街歩きツアーの下調べに行ってもらいました。

地下鉄で日本橋の文楽劇場へ

 街歩き当日は朝から雨で昼から回復するとの予報。激しい雨が降ってきたら,松村先生らしい表現で「もぐら叩き」しようと打ち合わせていました。つまり,地下街を歩き時々地上に出て,アーケード付きの商店街を歩くという作戦です。ふと思い起こせば,ミナミは地下街が充実していて見ごたえもある…。幸いにも,街歩きの最中は降っても小雨程度だったので,商店街のアーケードで一時避難するくらいで大丈夫でした。
 最初の訪問先は,国立文楽劇場の展示室。新今宮からは堺筋線で動物園前駅から日本橋駅までわずか2駅,運賃は200円で参加者各自が負担しました。国立文楽劇場に着く頃には,早くも和やかムードが出来上がっていて,いくつかの小さなグループがつかず離れず,互いに距離を確認しながら歩いているといった感じでした。
 展示室のなかに入り,文楽についての説明を茶谷みなみが英語で約5分行いました。その後は,英語と中国語のパンフレットを手に,展示物を自由閲覧しました。参加者の興味は人形の操作方法や構造,人形師にあり,傍に寄り添う案内役に質問していました。国立文楽劇場には20分程度の滞在でした。

小雨のなか歩いて道頓堀へ

 次の目的地は道頓堀。国立文楽劇場から黒門市場をかすめて堺筋に出て北上,団体観光客用の大型バスが駐停車するところから,道頓堀の賑やかな通りに入りました。移動中は参加者との会話を楽しみました。私はシンガポール人男性のケニスさんと話しましたが,彼はパソコン関係の仕事で訪日することがよくあり,日本語もかなり話せました。それだけでなく英語も上手い。中国系シンガポール人なので中国語も全く問題無し。マレーシア人女性はもっとすごく,中国語(北京語・広東語・潮州語)・英語・マレー語はどれもペラペラ,片言の日本語と韓国語もしゃべり,学生の頃はオーストラリアに留学していて,今はシンガポールで働いているとのことでした。アジアンパワーに圧倒されました。
 そうこうするうち14時過ぎに,道頓堀のドンキホーテ前の川沿いの遊歩道に到着しました。ここでの案内役は高橋はる香さんでした。道頓堀の歴史や景観整備の話から,阪神タイガースファンやカーネルサンダースの呪いの話まで,カンペを見ながらの必死の説明でした。

やはりグリコの看板は偉大な観光資源!!

 戎橋のグリコの看板前では皆が興奮。修学旅行生の横で記念撮影をしました。ベタベタな観光スポットですが,大阪のイメージにぴったりで,やはりテンションのあがるところです。グリコの看板の反対側には福山雅治の看板があったのですが,マレーシア人女性が彼の大ファンということで,はしゃいでいました。
 「きつねうどん」で有名な道頓堀の『今井』のすぐ横に,浮世小路というとても素敵な路地があり,それを抜けて法善寺横丁へ出ました。水掛け不動さんのところで,4年生の松岡慶祐先輩が法善寺の歴史や火災からの復興について説明しました。
 シンガポール人男性のケニスさんは,家族のためのお守り欲しいと社務所へ。フランス人2名は水掛け不動さんに水をかけようとするのですが,水は思わぬ方向に飛び大笑いでした。

道具屋筋からオタクロードへ

 法善寺からは千日前通りをまっすぐ歩いて,難波グランド花月へと向かいました。難波グランド花月前では丸市将平君が,道具屋筋について説明しました。その後は,いったん解散して小さなグループに分かれて,自由に道具屋筋を散策。お店のなかは色々な種類の包丁や見慣れない調理器具で一杯。参加者全員が料理にはうるさいフランスと中国圏の人たちだったので興味津々。包丁の形を見ながら扱う材料の話をしていると,「これは何を切るためのナイフ?」「へえー。こっちは?」と会話が途切れなかった。
 道具屋筋を抜けて解散する予定でしたが,フランス人もシンガポール人も日本の漫画が大好きだということだったので,日本橋の裏通り通称「オタクロード」を通り,新今宮まで歩いて帰ることになりました。途中,メイド姿でチラシを配る女性がいて,喜んでチラシをもらっていました。歩きながらの会話では,日本のアニメの話になりましたが,フランス人2名はすごいアニメ好きでした。

疲れたら甘いもんが一番

 新世界に着いたのが15時半くらい。さすがに歩き疲れたので,松村先生の提案で通天閣すぐ北の甘味処『三好』で休憩をすることになりました。ここの名物の「糸きりだんご」をいただきながら,各テーブルで会話が盛り上がっていました。フランス人の一人は「糸きりだんご」を「too sweet」と拒否,もう一人は「very nice taste」とパクパク食べ,二人で言い合いが始まりました。日本通のケニスさんは東京人よりも大阪人の方が親切で友達になりやすい,と言ってくれました。
 この後,ホテル中央に戻り,16時過ぎに解散。希望者のみ17時に再集合して夕食を一緒に食べに行こうということになりました。台湾人男性は夕方から予定があると外出。フランス人男性のひとりは両替をしに行くということなので,丸市君が同行して案内。残りの3名は結局,ホテル中央ロビーで私たちと談笑を始め,ホテルに帰る様子なし。それなら…と松村先生が3名を山王地区から飛田新地にかけての街歩きに誘い,少人数で出かけました。

「ありがとう」 「こちらこそありがとう」

 17時過ぎにはオプショナルツアー組と両替組が合流して,ジャンジャン横丁の『狐狐』にお好み焼きを食べに行きました。我々2名はゼミ長の佐藤有さんと日本語の上手いケニスさんと同じ席になり,日本のこと,シンガポールのこと,色々なことしゃべりました。日本語のうまいケニスさんからは,「皆さんに出会えて本当にいい思い出ができました」との感謝の言葉をいただき,鉄板にマヨネーズで「ありがとう 楽しかった 健太 さやか 有」と日本語で書いてくれました。皆でメールアドレスの交換をして,フランス人からは「フランスにきたら是非連絡してください。パリは私が案内してあげる。」と言っていただきました。
 わずか6時間ほど同じ時間を共有しただけですが,短いなかでも,たとえ言葉の壁があっても,人と人は通じあえるんだと実感しました。

松村先生からの一言

 準備不足やライブ感に欠ける棒読みの説明など,反省すべき点は多々ありました。でも,参加してくれた方々は本当に喜んでいたと確信します。案内した学生たちもそれは実感したことと思います。失敗から学んでそれを明日の成功へつなげましょう。
 何度も言うように,言葉はしゃべれるのがベストだが,コミュニケーションは言葉だけではなく,伝えようとする気持ちが大事。
 君らのところにも,パリに帰ったあのフランス人から同じ感謝のメールが届いたやろう。パリに行けば,これで彼が君らを案内してくれる。何かワクワクせえへんか。パリに行きたくなれへんか。世界中に知り合いがいてる,それが世界平和への第一歩やと思います。
 学生時代の長期にわたるアジア放浪生活のおかげで,私には,そんな友達が世界中にたくさんいます。一期一会の付き合い,たぶん一生,再会することはないが,互いに心底から友達だと思う人たち。
 真摯に時間を共有すれば,その時間はお互いの記憶に残ります。記憶は限られた時間のなかでしか形成されません。一生懸命生きている人であれば,必ず共有した記憶は大事にしています。他者と共有する記憶を大事にしましょう。それがあなたの心の財産になります。