【松ゼミWalker vol.228】松村ゼミの新入生歓迎フィールドワーク(岡田すみれ・多湖彩夏・直井瑠夏)

 私たちが入学してすぐの2017年4月,新入生歓迎のスポーツイベントがありましたが,5月13日(土)にも,国際観光学部主催の新入生歓迎イベントが行われました。今回のイベントは1年生の入門ゼミごとに,大阪をフィールドワークして回り,大阪の観光について学びながら,ゼミ生どうしの親睦も深めようというものでした。どのコースを回るのかはゼミごとで決め,ゼミごとに行動することになっていました。
 今回のレポートを担当した岡田・多湖・直井の3名は,4月にあった松村ゼミ3・4年生のフィールドワークにも参加したことがあり,フィールドワークの記録と報告を任されました。
 さて,松村入門ゼミには,香川県出身者3名,佐賀県出身者1名,広島県出身者1名と,関西圏以外の学生もいるので,「せっかくやから,なかなか行かへんようなところへ連れってたるわ。」,と松村先生の案内で大阪を巡ることになりました。
 フィールドワーク当日,私たちが利用したチケットはEnjoy Eco Card,大阪市営の地下鉄とバスの1日乗車券でした。平日は800円ですが,この日は土曜日だったので1人当たり600円。フィールドワーク前のゼミで先生から参加者に配布されていたので,各自,自宅の最寄り駅からこのチケットを利用して集合場所へ向かいました。

 集合場所は,地下鉄千日前線鶴橋駅の改札口に朝10時。参加したのは,1年生11名,3年生4名,先生のあわせて16名。この日のフィールドワークのテーマは,「大阪のマイノリティの三日月地帯を巡る」。先生によると,JR大阪環状線の外側,北東の京橋駅から南西の大正駅にかけての外側,三日月のような形の地域を巡れば,在日韓国・朝鮮人,野宿生活者,被差別部落問題,沖縄県出身者など,これまで色々な差別を受けてきた大阪のマイノリティのことを学べるそうです。マイノリティとは「少数派」のことだそうです。
 「USJやとか,大阪城やとか,ベタな観光地は自分らで行ったらええやん。せっかく,僕が案内すんねんから,大阪で一番,案内が必要なところを回ろう。」ということでした。
 この日の私たちは,以下の旅程で行動しました。( )内は見学した場所,【 】は移動手段と運賃です。
 千日前線鶴橋駅にて10:00集合(鶴橋国際市場・鶴橋卸売市場)→【地下鉄180円】→千日前線日本橋駅(黒門市場)→【地下鉄180円】→御堂筋線天王寺駅→【徒歩】→阪南大学あべのハルカスキャンパス(大阪市内全域の風景)

 あべのハルカスキャンパス→【地下鉄230円】→御堂筋線なんば駅(千日前・うらなんば・道頓堀・法善寺・とんぼりリバーウォーク・アメリカ村・ギャラリーCMK)→市営バス難波駅→【バス210円】→浪速西3丁目駅(大阪人権博物館)→【バス210円】→四つ橋線北加賀屋駅→【地下鉄230円】→四つ橋線花園町駅(西成WAN・簡易宿所街・ジャンジャン横丁・通天閣周辺)→堺筋線恵美須町駅前にて18:00解散
 集合から解散までの移動費用は総額1,240円,それぞれが自宅から集合場所,解散場所から自宅への移動でも利用したので,かなりお得な旅となりました。
 JR鶴橋駅の周辺は在日韓国・朝鮮人が多く住む地域で,終戦直後の雰囲気がまだ残る鶴橋国際市場が印象的でした。薄暗く狭い高架下の路地の両側に商店が密集していて,まるで迷路のようなところ。キムチ専門店があり,チョゴリ専門店があり,韓国の食材や食器を売るお店があり,鰹節や昆布や煮干しのお店,肉屋,魚屋などなど,とても活気がありました。松村先生は時折,立ち止まり,色々と説明してくださいます。鶴橋の市場では,「ここは場所の力がとても強いところ,詳しい説明せんでも,歩いているだけで時間を潰せる。今から新しく創ろうって思っても,絶対でけへん空間やから,とても貴重な存在。」と説明されていました。

 次に,日本橋の黒門市場に行ったのですが,同じ市場でも鶴橋国際市場とは,雰囲気が全く違っていました。黒門市場は鮮魚や精肉や野菜などを販売するお店が多いのですが,お店の前や中に食べるための場所があり,お店で買ったものをすぐその場で食べられるような工夫がされていました。土曜日の11時前くらいに黒門市場を歩いたのですが,とにかく人通りが多く混雑していました。お客の8割以上が外国人という感じで,買い物というよりも,食べ歩きを楽しんでいました。アジア系の人が圧倒的に多い印象でしたが,欧米系の人もいました。鶴橋国際市場と黒門市場,お店の構成や雰囲気や客層など,ずいぶん違うことがよくわかりました。
 あべのハルカスキャンパスからは,JR大阪環状線の外側に広がる「マイノリティの三日月地帯」を一望できます。大阪市内の中心部は高層ビルが多いのですが,この三日月地帯は一段低くなっていて,「木造で低層の古い住宅が密集していて,道路幅も狭いところが多く,地震とか火事が起こったら被害が広がりやすい。」,と松村先生は説明されていました。

 なんばではNGKの楽屋口あたり,うらなんばと呼ばれるあたりを通りました。「このへんは吉本の芸人さんが,舞台の合間,普通に歩いてはる。」と説明を受けたすぐ後,漫才の「矢野・兵藤」の矢野さんと遭遇,特徴のあるかすれた声なのですぐわかりました。
 アメリカ村ではCMKギャラリーの特別展へ,アーティストのCASPERさんがいたので,許可をもらってギャラリーの屋上へあがらせてもらいました。屋上にはスプレーで描いた壁画があり,みんな興奮気味に写真を撮っていました。アメリカ村では,レッドブルの街灯アートや,黒田征太郎さんの壁画も見ました。
 リバティ大阪(大阪人権博物館)へは難波から市営バスで向かいました。リバティ大阪は先生が応援したいと思っている施設なのだそうですが,地下鉄利用では行きにくいため,集客に苦戦していると伺いました。リバティ大阪の展示は,被差別部落問題だけではなく,アイヌ人,在日韓国・朝鮮人,水俣病などの公害被害,障害者,野宿者やホームレスなど,色々な社会的弱者の存在がとりあげられていました。私たちも施設内の展示をゆっくりと見て回りましたが,初めて知ることも多く,とても良い学びの機会になりました。
 その後は,市営バスで北加賀屋駅へ向かい,地下鉄四つ橋筋線で花園町駅へ。先生が関わっておられる西成WANの壁画,新今宮の何軒かの簡易宿所とホテルを見て回り,通天閣方面へ。新今宮から新世界にかけては,また別の機会にゆっくり回ろう,ということで,18時過ぎに解散しました。