【松ゼミWalker vol.215】 「なんばひろば改造計画」に参加して(教員 松村嘉久)

 2016年11月11日(金)・12日(土)・13日(日)の三日間,南海なんば駅の駅前ひろばにて,「なんばひろば改造計画」が行われました。「なんば駅周辺道路空間再編社会実験実行委員会」主催で,阪南大学松村嘉久ゼミは,「なんば体験型観光案内所」の運営に協力しました。
 11月11日(金)の現場は松村不在,ゼミOBの濱中勝司さんのご協力のもと,のべ14名が参加しました。初日かつ平日ということもあり,思いのほか,観光案内所の利用者は少なく,まち歩きツアーへ出る機会もほとんどなかったそうです。
 12日(土)はのべ17名,13日(日)ものべ17名の学生が参加,両日とも松村も現場へ出ました。ゼミ生たちの現場での仕事は,観光案内所の補助,まち歩きツアーのアテンド,アンケート調査とまち歩きツアーへの勧誘,イベントのチラシ配布,一時タクシー乗り場への案内誘導,会場内のゴミ拾い,などなど多岐におよびました。なお,松村ゼミ以外からも,『地域を読み解く』の受講生や,入門ゼミの1年生も応援に駆け付けてくれました。
 当初,学生スタッフはなかなか集まらない,1日あたり10名くらい来てくれたらいいなあ,と思っていたのですが,予想を上回り,多くのゼミ生や学生が参加してくれました。「なんばひろば改造計画」は,地域の歴史を大きく変えるきっかけとなる重要なイベント。近い将来,なんば駅前のひろば化が実現したら,参加した学生スタッフたちには,「この場所の創出に私も関わった」と誇って欲しいものです。

 さて,観光案内所の位置が会場の奥まったところにあったこともあってか,土日になっても利用者はそう増えませんでした。しかしながら,学生スタッフたちは外国人に積極的に声をかけて,まち歩きツアーへ誘い,何度かまち歩きツアーも催行しました。ツアーというよりも,行きたいところを伺って,そこへ同行する同行案内でした。何か目的を持って「なんば」へ来られている外国人が多いので,まち歩きツアーに誘うよりも,「そこまでご案内します」と誘うようにしました。
 例えば,松村は13日,南米のウルグアイ人母娘3名を黒門市場へと同行案内しました。スペイン語が母語の方々でしたが,英語もしゃべられたので,2回生の浅湫桃子と一緒に会話しながら,ひろばから黒門市場へ。会話のなかで,ウルグアイでレストラン経営をされている,ウルグアイの市場に鮮魚は少ない,明日の飛行機でベトナムのハノイへ飛ぶ,など色々なお話を聞き出しました。そのお話に合わせて,歩きながら商店街のレストランと黒門市場との関係などを説明しました。
 関西大学で建築学を学ぶ日本人の大学院生とも,まち歩きツアーで一緒に歩きました。一緒に歩く人が異なると,歩くコースや説明も異なる,一期一会の対話の連続がまち歩きツアーの魅力で,毎回,何か,新しい発見があります。
 駅前ひろばの中心部では,3日間連続で日替わりイベントが行われました。11日は「芦原橋アップマーケット」が,12日はJ:COMによる「ライブ&シネマ」が,13日は株式会社クボタによる「Kubota Earth Terrace」が行われました。松村が観察できたのは,12・13日のみでしたが,両日とも盛況でした。

 12日のライブでは音楽のチカラを再確認できました。音を聴いて立ち止まり,歩み寄り,楽しむ人で,いす席は満杯で立ち見も出る状況でした。13日のクボタのイベントは,クボタという会社の取り組みをみんなに伝えたい,という社員スタッフの意気込みを感じました。
 社会実験の三日間,いつもは客待ちタクシーがびっしりと並ぶ「ひろば」に,多くの人が集まり語らい憩い,音楽やイベントを楽しむ光景が広がり,とても感慨深いものがありました。学生スタッフたちも事前のフィールドワークで普段の風景を見ているので,今回の社会実験の意味を確実に理解できたようです。ひろばに現在よりも多くの人が集まり,そこから他所へ誘う機能さえ強化すれば,ひろばがひろばとして機能するようになり,タクシーに乗る人も必ず増え,共存共栄できることでしょう。
 今回の社会実験で,色々なデータが集められました。現場で活動するなかで色々な課題も発見できました。今後は,それらを詳しく検証して,よりよい「なんば駅前ひろば」の在り方を探り,なんば駅前の本格的なひろば化が実現することを祈っています。