【松ゼミWalker vol.204】 西成WAN第三弾に向けて(教員 松村嘉久)

「アセラズ クサラズ アキラメズ」の前でインド映画を撮影か?

 西成WAN(NISHINARI WALL ART NIPPON)の第三弾に向けて,すでに色々な展開があり,準備も進みつつあるので報告しておきたいと思います。
 今年に入って,西成WAN第二弾で描いたウォールアートの前で,インド映画のダンスシーンを撮影したい,という話が,西成アート回廊プロジェクト実行委員会へ舞い込みました。4月26日(火),インド映画の監督やカメラマンらがロケハンのため来日され,西成WAN第二弾「アセラズ クサラズ アキラメズ」などを,視察して回られました。
 案内した松村は,「午後からの撮影の方が,太陽の光が良いのではないか」,「宿泊施設の確保でも,可能な限り手助けする」など,いくつかのアドバイスを伝えました。監督とは,「撮影許可はとれるのか」,「安くて融通のきくホテルは近くにないのか」など,色々と相談しました。
 西成WAN壁画前での撮影予定は,当初,2016年6月後半だったそうです。しかしながら,インド映画の撮影は,いつも,予定よりも遅れがちで進むようで,今回も間違いなく大きくズレ込む,とのことでした。悠久の国インド,アセラズ クサラズ アキラメズ,撮影チームが来日されるのを,気長に待ち続けたいと思います。

西成WANオリジナルTシャツの試作品完成

 さて,西成WAN第三弾に向けて,5月25日(水),6月8日(水),7月5日(火)と3回にわたり,あべのハルカスの阪南大学サテライトキャンパスにて,SHINGO★西成さんも加わり打ち合わせが行われました。

 5月25日(水)の打ち合わせでは,第三弾の実施時期について話し合われました。誰がどこに何を描くのか,具体的な詳細はまだ決まっていませんが,第一弾・第二弾の実践で得た経験から,「何とかなるやろう」という不思議な自信もあります。
 5月の打ち合わせでは,西成WAN協賛企業のCalma Artから,オリジナルTシャツの試作品が披露されました。表には白地に黒でNISHINARI WANのロゴがプリントされ,裏にはアーティストからサインをもらえるスペースが設けられています。
 当初から,西成WANのファンクラブのような組織を立ち上げよう,という話が進んでいました。ところが,ファンクラブをつくり,年会費などを徴収すると,とても手間と労力がかかります。それよりも,西成WANのTシャツをつくり,ファンクラブ的な特典を付けて売り,それをファンクラブの会員証代わりにしたらどうか,という案が出ました。そんな流れのなかで,このTシャツができた訳です。
 試作品ができれば,色々とイメージもわいてきます。西成WANに参加していただいているアーティストに加え,西成WANに協賛していただけるアーティストも募り,このTシャツを着て,西成WANの現場へ来るか,そのアーティストのイベントに参加すれば,サインしてもらえる…などなど。
 試作品を前にして,購入者向けの特典について色々と話しているうちに,「これって,クラウドファンディングとちゃうん」とみんなが思い始めました。

クラウドファンディングで資金集めと仕組みづくり

 そこで,6月8日(水)の会議には,東京から,クラウドファンディングCAMPFIREの担当者にお越しいただきました。まず,クラウドファンディングの発想や仕組みをご説明していただき,西成WANの経緯やこれまでの実践を踏まえて,第三弾に向けての資金集めについて,色々とアドバイスをいただきました。
 クラウドファンディングでは,出資者へ何らのリターンを提供することで,広く資金を募るそうです。どんなリターンを提供できるのか,みんなで案を出し合いました。オリジナルTシャツは当然として,西成WANで使い切った空きスプレー缶,SHINGO★西成さんの特別ライブへの招待,第三弾ウォールアートの色塗りをサポートする権利,アーティストに自宅の壁やシャッターにアートを描いてもらえる権利などが挙がりました。
 西成WAN第三弾では,単に次のウォールアートを描くだけでなく,今後も持続可能な形で,西成からウォールアートを日本へ広げられるような,次から次へとウォールアートを描いていけるような,仕組みづくりや仕掛けを模索しています。
 7月5日(火)の会議では,西成WAN第三弾の完成披露会を2016年11月中旬に定めて準備を進める,クラウドファンディングのウェブサイトの内容をスタッフでチェックする,などが決まりました。アートをどこへ描くのか,どのアーティストにお願いするのか,なども話し合われました。打ち合わせを重ねるごとに,少しずつですが確実に前進しています。Red Bull,Calma Art,SHINGO★西成さん,CAMPFIRE,フットワークが軽くてプロフェッショナルな良いメンバーが集まりました。ゼミの学生たちのサポートもあるので,このメンバーなら何でもできそうな気がします。