【松ゼミWalker vol.178】南海電鉄との新たな協働の始まり(4回生 平山あかね)

何ごともゼミで話し合い「やるかやらないか」を決定

 2015年7月9日(木)のゼミは、来客の多い1日でした。
松村ゼミが企業や団体と協働で社会的実践を行う際は、その過程の段階からゼミ生が参加できるよう、関係者をゼミへお招きして、趣旨や概要をご説明いただきます。ゼミではそうしたプレゼンを受けて意見交換して、やるかやらないかを決定します。
 7月9日の13時過ぎ、まずは南海電鉄の大幡斉さんが、女性社員と2名でゼミ教室へ来られました。松村ゼミは昨年、田尻町の活性化に向けたエリアガイドマップ作成や、「田尻うまいもん祭」で南海と協働しました。
 左がその完成物のエリアガイドマップで、現在、南海電鉄の主要な駅や新今宮のホテルなどで配布されています。その際の南海側の担当窓口が大幡さんで、私たち4回生と卒業された11代目は大幡さんに、色々とお世話になりました。
 ところが現在の3回生はほぼ初対面なので、大幡さんは昨年の活動にも触れながら自己紹介されました。大幡さんからのご相談は、「今年も田尻町で9月にイベントを行う予定なので、引き続きぜひ協働していただけないか。そのためにフィールドワークが必要ならば、田尻町と連携して協力させていただく。」という内容でした。
 相談の結果、当然、今年も継続して協働することになりました。逆に私たちからは、今年、「大学生観光まちづくりコンテスト2015」に、田尻町をフィールドとして参加するつもりなので、この観光まちづくりプランの作成において、田尻町と南海にもぜひご協力いただきたい、とお願いしました。大幡さんも当然OKで、むしろ歓迎します、とのことでした。

南海電鉄との新たな協働で「ウラなんば」を盛り上げる

 大幡さんと入れ違いで、次は、南海電鉄の宇井博哉さんが、2名の男性と一緒にゼミ教室へ入って来られました。宇井さんからは、今年8月末に「なんばパークス」にて、南海・浪速区・ウラなんばが協働で、「食」や「つながり」をテーマとするイベントを開催する予定があり、それに阪南大学国際観光学部、特に松村ゼミの新今宮TICも協力していただけないか、というご相談でした。このイベントに阪南大学が加われば、産官学地の4者連携が成立することになり、実行する意義も話題性も高まるであろう、とのことでした。
 具体的には、ウラなんばで頑張っている飲食店が、自慢の一品を1コインで提供するような屋台を、なんばパークスにて期間限定で展開。そのイベント会場へ色々な人たちを呼び込み、将来的には、そうした人たちをウラなんばの個々の飲食店へつなげ、地域を盛り上げてウラなんばのブランド力を高めよう、という趣旨のお話でした。すでに今年1月に『星空スタンド』(右資料参照)というイベントを行い、それが好評であったため、さらに色々な人たちを巻き込んでパワーアップして、定例化したいとの想いも語られました。
 なんばパークスの立地条件から、おそらく外国人旅行者も来ると思われますが、新今宮のホテルにもぜひ働きかけて積極的に呼び込み、なんばパークスやウラなんばの海外へ向けての発信力やポテンシャルを高めたい、ともお考えでした。
 その上で私たち松村ゼミに期待されているのは、イベントに来訪する外国人旅行者をお迎えして対応する「ウェルカムインフォメーション」の運営、新今宮地域やなんば地域の宿泊施設と連携しての外国人旅行者の誘致などでした。松村先生は、「期間限定で新今宮TICをなんばパークスへ移動させるイメージかな」、「私有地のなかやけど、ローカルな名店が自信を持って提供する屋台街という発想も素敵やなあ」、「求められる情報は着地型の地域情報やろうから、何回かフィールドワークせなあかんなあ」など意見を述べられました。
 話し合いの結果、これも当然ながら、イベントそのものが地域の底上げにつながり、私たちのこれまでの経験も活かせるので、ぜひとも協力しよう、とまとまりました。南海の宇井さんからは、フィールドワークのお手伝いもします、とおっしゃっていただきました。
「やれば成功」の「美味しい話」
 松村ゼミの伝統というか、歴代のゼミ生が引き継いで来られた考え方があります。それはこうです。
 誰もどこでもやったことがないような話は、やったことがないからこそ「失敗」はない。「やる」か「やらない」かで、勝負は決まる。だから、やれば成功、やらなければそこで終わり。成功が「大きい」か「小さい」かという問題はありますが、やったことそのものに意義があるから、それで成功です。だから、そんな「美味しい話」が来たら、できるだけのことを準備してやり遂げる、やり遂げるなかで学び成長する、という姿勢で新しいことにチャレンジしよう、と私たちは思っています。
 ただし、どんなことでも「やる」訳ではありません。「やる」意義のある話かどうか、しっかりと話し合って判断します。問題は、やる意義があるかどうか判断する基準です。その基準は大きく二つあります。
 最も大切なのは社会的意義です。誰か特定の個人、どこか特定の企業や組織が、自分らの利益だけのために行おうとしているなら、やらない、手伝わない。その活動をすることで、広くみんなの役に立つ、地域のためになる、そんな話でないと協力はしません。
 次に大切なのは、誰でもできる話なのか、私たちだからこそできる話なのか、という点です。新今宮TICの運営だけでもとても大変なので、誰でもできる話に乗るほどの余裕は、私たちにはありません。逆に、私たちにしかできない、という話だとチャレンジする気持ちが倍増、少し無理してでも「やろう」となります。

松村先生よりひと言

 「やれば成功」の「美味しい話」で平山さんが書いているのは、いつも私がゼミのなかで言っていることです。付け足すとしたら…、「やる」と決めたらやることを「楽しもう」、それくらいか…。
 やれば成功の美味しい話は、上手くいかないことがあってもそれは決して「失敗」ではありません。ちゃんと意識して準備して、それでも上手くいかなかった場合は、経験や知識や技術が足りなかったため、できなかった、決して「失敗」ではありません。何が足りなかったのか、どうして上手くいかなかったのか、それが分かれば次の段階へと進めます。
 ただし、この考え方が通るのは、パイオニア的な、先駆的な活動のみ。誰かがすでにやったことのあるような活動ならば、それと比較して、失敗だとか成功だとか評価されます。誰かが通った道を歩むばかりではなく、自分が切り開いて歩いたところが道になる、そんな人生を歩めたらいいな、といつも思います。