【松ゼミWalker vol.177】平野郷杭全神社の夏祭りツアー2015(3回生 小山舞)

 2015年7月12日(日)、平野郷杭全神社の夏祭りを見学するため、外国人向けのまち歩きツアーを実施しました。松村ゼミの夏の恒例行事ともなっているこのまち歩きツアーは、今年で7年連続の7回目となるそうです。
 ツアー実施2日前の7月10日(金)の夕方から、西成区内で西成WAN(Wall Art Nippon)のアーティスト会議があり、松村先生ほか、3回生4名(福田葵・西山瑛理・辻勇之介・私)も出席。この会議の直前に、3回生だけで新今宮のホテルを回り、まち歩きツアーのポスターを貼り、フロントスタッフにチラシを配布するようお願いしました。
 まち歩きツアー当日の朝は9時半に、3・4回生の有志が新今宮TICへ集合。チラシを配布してもらっているホテルを回り、参加申込書を回収しながら、ロビーにいる外国人旅行者に声をかけ、参加の勧誘を行いました。事前に参加を申し込まれた外国人は8名。10時半過ぎに来られた松村先生は、「それだけおったら十分や。申し込まんと来る人もおるから、ちょうどええ感じになるわ。」と余裕でした。
 外国人参加者の集合時間は12時半、ゼミ生らは11時半に新今宮TICへ集合。新今宮TIC内のホワイトボードを使って、まち歩きツアーでの役割分担を決め、タイムスケジュールやルートを確認するなど、みんなで打ち合わせしました。

 集まったゼミ生は、4回生が栃原智美・川内麻央・ジーン・ジュディ・張純倩・平山あかね・南亮輔・宗政巨地・中井美菜子の9名、3回生が竹中さおり・宇都宮沙希・小幡晶子・西山瑛理・左近未来・高岸佳梨・谷村恵美・辻勇之介・浜野文菜・福田葵・小山舞の11名、2回生は松村ゼミ入りの決まった三宅亜紗未・大嶋千波・辻彩佳の3名、松村先生も含めると、ホスト側は24名になりました。
 12時過ぎ、ツアーの集合場所であるホテル中央セレーネのロビーへ移動し、外国人参加者の受付を始めました。外国人参加者が来られると、名札に名前と国籍を書いていただき、事前申込みされた方がどうかをチェック。外国人参加者は最終的に13名となりました。
 その内訳は、アメリカ人男性1名、カナダ人女性2名、カナダ人男性1名、オランダ人男性1名、ドイツ人男女のカップル、台湾人女性3名、タイ人男性1名、香港人女性1名、韓国人男性1名、男性6名、女性7名でした。このうち、台湾人女性やアメリカ人男性らは日本語がお上手、タイ人男性は英語で問題なし。チラシにツアーでの対応言語は、英語・中国語・タイ語・日本語としていましたが、実際は英語と日本語で十分でした。

 さて、まち歩きツアーでは事前にみんなで、必ず現地を下見するのですが、今回は色々あって下見できませんでした。事前に、『平成27年度 平野郷夏まつり』というパンフレットを入手して、いつどのあたりをどの町会のだんじりが走っているのか分析し、だんじりと上手く出会えるルートを考えながら、臨機応変に歩くことになりました。
 最も重要なのはツアーの先頭、この日は3名の学生サポートと一緒に松村先生が先頭を歩かれました。先頭サポートの条件は「走れる学生が欲しい」との先生のリクエストで、宗政巨地・辻勇之介・高岸佳梨が選ばれました。
 私たちは13時少し前に出発、JR新今宮駅からJR平野駅へ向かいました。JR平野駅を降りて歩き出すと、さっそく遠くの方からだんじり囃子が聴こえて来ましたが、先を急ぎました。ツアー最初の目的地は平野西会館。パンフレット情報によると、その前で西脇組のだんじりが13時30分から休憩しているはずでした。

 ツアーが平野西会館に到着したのは13時30分過ぎ、西脇組のだんじりは再び曳行され始めたところでした。あわててだんじりの後を追いかけると、私たちに気づいた世話役の方々が、「ちょっとゆっくりいったれや」と曳行する若者たちに声をかけ、追い越させてくださりました。松村先生が世話役の方々にご挨拶されると、「先の方やったら危なないから、一緒に曳いてくれてええよ」とのこと。外国人参加者たちは大喜び、だんじりを曳かせていただきました。西脇組のみなさん、ありがとうございました。
 西脇組の次は、泥堂町のだんじりを見るため、平野連合会館へと向かいました。泥堂町のだんじりはその前で14時から休憩に入る予定でした。私たちはかなり急いで歩き、14時少し前に平野連合会館前に到着。ところが、あたりは静かで、だんじりの来る気配など全くありません。

 炎天下のなか10分ほど待ったのですが、お囃子の音も聴こえて来ません。先頭サポートの男子2名が、だんじりを探して走り回っても、だんじりは見つかりませんでした。
 太陽を遮ることなく待っているのは危険なので、屋根のあるところで休憩しようと、ツアーは大念佛寺へ向かいました。すると、その途中でだんじり囃子が、遠くから聴こえて来ました。先頭サポートが走り確認すると、それは泥堂町のだんじりで、商店街を抜けるルートにいて、予定よりもかなり遅れているとのこと。私たちは国道25号線の大通りまで戻り、泥堂町のだんじりをしばらく待ち、見学しました。
 だんじりは構造的に直進しかできません。ですから交差点を曲がる時は、勢いをつけて直進して急停車、だんじりは大きく前のめりに傾き、観客から「オー」と驚きの声が上がります。それから、力を合わせて強引に方向転換するので、だんじりの車輪がアスファルトにこすれ、木くずの跡が残ります。
 ツアーはその後、泥堂町のだんじりを追いかけて少し歩き、大念佛寺ではなく杭全神社へと向かいました。杭全神社の参道は屋台が並び、人通りも多く賑やかでした。

 参道のフランクフルトを売る屋台の前で、松村先生がドイツ人のカップルに「この屋台はフランクフルトを売っています」と説明すると、「なぜソーセージをフランクフルトと呼ぶのか」と話が弾みました。カナダ人男性からは「この神社の歴史は古いのか」との質問があり、「本殿は9世紀、1,000年以上前に建てられた」と答えると、「信じられない、本当か」と驚いておられました。
 アメリカ人男性からはとても難しい質問、「何のために夏祭りをするのか。なぜ、だんじりを曳いて回るのか」がありました。カナダ人女性からは、「なぜおみくじを木に結ぶのか」なども。「なぜ」と問われてもわからないことが多く、みんな困っていました。
 杭全神社で記念撮影してから、ツアーは最後の目的地、大念佛寺へと向かいました。大念佛寺の境内にはテントが張られ、馬場町の若い曳き手たちが祭り姿のままで休憩されていました。だんじりは歩いて数分のところに置いてあるので、どうぞ自由にご覧くださいとのこと。私たちは馬場町のだんじりを見に行き、松村先生に解説していただきました。だんじりが走り曲がる仕組み、精巧でストーリー性のある彫刻、獅噛(しがみ)と呼ばれる屋根の正面の獅子の彫り物など、じっくりと観察できました。

 今回のツアーで遭遇できた西脇組、泥堂町、馬場町の獅噛はどれも迫力満点。松村先生によると、「しがみつく」という日本語は、だんじりの「獅噛」に由来するそうです。確かに、どの町の獅噛も、だんじりから振り落とされないよう、しっかりとだんじりに獅噛みついていました。左の写真は泥堂町の見事な獅噛。なお、本記事で使用している写真は、松村先生が撮影されました。
 さて、ツアーの終了予定時刻は16時でしたが、とても暑い一日で参加者のなかには少し辛そうな方もいらっしゃったので、15時30分過ぎに現地解散しました。この日の夜21過ぎから、平野郷の全てのだんじりが集まる合同曳行がある、と伝えたのですが、さすがに残る人はおらず、みんな揃って新今宮へと帰りました。
 外国人参加者と別れて私たちは新今宮TICへ戻り、松村先生からツアーの反省点について、いくつかご指摘がありました。次回のまち歩きツアーで活かせるよう、記録しておきたいと思います。

1.何か指示や連絡があったら、「はい」と返事して自分が動くだけではダメ。周りや後ろの人にもそれを伝えて、常に集団を意識して、外国人参加者や仲間を安全かつ適切に「動かす」よう心がける。
2.自分たちが外国人参加者を案内している、という自覚をもっと強く持ち、たとえ英語を上手く話せなくても、もっとコミュニケーションをとろうと努力する。
3.決められた役割をこなすだけでなく、常に全体をよく見ながら、いま自分が何をしたらいいのか、考えながら行動する。

松村先生よりひと言

 若い学生時代に、しっかりと意識して行動するという経験を積めば、たいていのことはできるようになります。ある行動をできればそれで良い、という訳ではありません。同じ行動をしても、状況が変われば、それで良い時と全くダメな時があります。
 大切なのは、全体や個々、周りや自分の状況をよく見て、予測し判断して考えること、つまりはどう意識するのかにあります。いまできる、いまできないは大きな問題ではありません。意識してもできないことは、練習するか、失敗を重ねながら経験を積めば、たいていできるようになります。意識していないと、そもそも成長しません。それは大きな問題です。