【松ゼミWalker vol.158】 西成ジャズ 「第2回 夢の祭典」 波乱の二日目(4回生 松川和矢)

 西成ジャズAll Stars 「第2回 夢の祭典」の二日目の10月13日(月・祝)は,台風19号の影響で波乱の幕開けとなりました。前日の昼過ぎには,13日16時からJR西日本が早々と,全線運休すると発表していたので,私たち学生スタッフも「明日は一体どうなるの」との不安を抱えていました。
 松村先生から前日深夜に届いたメールには,「明日は13時に西成へ集合する心構えでいてください。13日昼前に詳しく連絡します。」とありました。
 阪南大学では13日は祝日扱いではなく,平常の月曜授業が授業振替日でした。ゼミでの打ち合わせでは,13日だけはゼミ活動を優先して,月曜授業のない3・4回生を中心に西成ジャズを支援しよう,ということになっていました。ところが,13日朝9時過ぎ,大阪府全域に暴風警報が発令され,13日の2限目以降は阪南大学の全ての授業が休講措置となりました。
 このような状況を受けて松村先生から出た指示は,「1・2回生の参加予定者は来ないでください。自宅で待機するよう。」,「20歳以上の3・4回生の参加予定者は,自らの意思で参加・不参加を判断してください。集まれるものだけ13時にDonna Leeへ集合して,集まったスタッフだけで何とかライブを支えましょう。もし帰れなくなったら,ホテルセレーネでゼミ合宿するからその準備もよろしく。」とのことでした。
 当初の予定では昨年を経験した4回生が6名参加することになっていたのですが,交通網の乱れや翌日の予定との関係で,実際,Donna Leeに駆け付けたのは私1名のみ。松村先生と二人だけか…と途方に暮れていると,少し遅れて3回生が続々と集まって来てくれました。

 ゼミ長の栃原智美,副ゼミ長の南亮輔と平山あかね,それに中井美菜子,井上航太,宗政巨地,川内麻央,川瀬将之が加わり,最終的には松村先生も含めて,総勢10名となりました。栃原智美と平山あかねは,お泊りセットも準備しての参加でした。この悪条件のなか,これほど3回生が集まってくれたことに驚き,嬉しく思いました。
 台風19号の影響でお客さんも少なくなるだろうから,スタッフも10名いれば何とかなるはず…と信じて,台風接近中にも関わらず営業していた「日松亭」で,遅めの昼食を食べながら,ゼミ内で役割分担などの打ち合わせを行いました。
 台風が接近するなか,お客さんは来るのか,そもそもミュージシャンが来られるのか,不安を抱えながら開場時間の14時を迎えました。すると,ミュージシャンは誰一人として遅刻することなく到着,雨も風も強まりつつありましたが,お客さんはボチボチと集まり始めました。そして,開演を迎えた15時には,椅子席のほぼ全てが埋まりました。

 ライブが進むにつれて,風雨は強まり20時過ぎにピークを迎えましたが,難波屋の内は外とは別世界。オールスターズによるアツいステージが展開して,ライブもピークに達しました。最悪の気象条件のなか集まったお客さんたちは,いわば西成ジャズの常連の大ファンばかり,昨日よりもミュージシャンとお客さんとの一体感が強く,ライブの盛り上がり方も昨日以上だったように感じました。
 私たちが会場入口でもぎったチケットは,最終的に85枚となりました。レインコートを着て自転車で来られた方もいれば,タクシーで難波屋へ乗りつけられた方もいました。JR西日本が運休している状態で,これだけのお客さんが集まったのは,まさに奇跡かもしれません。2日目はライブ会場のスペースに余裕があったので,学生スタッフもライブの後半は全員が会場内へ入り,ライブ演奏を楽しみながらお手伝いできました。
 20時半過ぎから,この日出演した全てのミュージシャンによるジャムセッションが始まりました。夢の祭典の最後の最後の曲は,「All of me」というスタンダードナンバー。ドラムの松田さんはスティックを手放しスキャットでボーカル参加,二人いたベース奏者のTomas Posnerさんと光岡尚紀さんが交互にベースを弾き,女性ボーカルが次から次へとマイクをまわして歌い継ぎ,途中でサックスとトランペットのソロが入り,最後はみんなで大合唱となり終演しました。この一部始終は松村先生がビデオカメラで録画されていたので,ミュージシャンの許可が得られ次第,You Tubeにアップされる予定になっています。
 さて,ライブ終演後は,お客さんから,「ありがとう」「楽しかったよ」などの言葉とともに,西成ジャズの応援カンパもいただき,私たちもやりがいと達成感を感じることができました。
 ライブ後の打ち上げパーティには,松川和矢,南亮輔,井上航太,栃原智美,平山あかね,宗政巨地の学生6名と松村先生も参加させていただきました。この日の打ち上げパーティは,参加ミュージシャンたちと西成ジャズの常連客ばかりで,天王寺アパホテルのカフェ「グレンフィールド」のマスターの手作りの美味しい料理が並びました。
 打ち上げパーティで,松田さんから松村ゼミの学生スタッフに感謝の言葉が述べられた際,突然,松田さんは「このなかに一人だけ今日が誕生日の方がいてます。和矢。」と私の名前を呼ばれました。10月13日は私の22歳の誕生日だったのですが,そのことが松村先生から松田さんに伝わっていたようです。
 松田さんは,「今日は歌の方がまだいっぱい残っているんで,バースデイソングを贈りたいと思います。」と続け,女性ボーカリストのみなさんが集まってくださり,Happy Birthdayの大合唱が始まりました(映像参照)。私は目の前で広がった光景と迫力ある歌声に圧倒されました。歌が終わった後,西成ジャズの常連の方々から,「羨ましいなあ」「おめでとう」「ほんまに贅沢な誕生日や」「これだけのボーカリストにハッピーバースデイを合唱してもらえるのは奇跡やで」などなどのお声がけをいただきました。夢のような時間は2日間にわたり,一生忘れられない誕生日の思い出もいただきました。

参加学生からの感想

南亮輔(3回生)

 10月13日,西成ジャズのスタッフとして参加させていただき,貴重な体験をさせていただきました。色々な人たちから,普段では聞けないお話がたくさん聞け,楽しく過ごしました。また機会があればぜひ参加したいです。
宗政巨地(3回生)
 先日,ゼミ活動で西成ジャズの支援をしてきました。私が参加した2日目は台風が直撃し,天候は最悪でしたが,多くの人に訪れていただきました。支援の内容は単純なものでしたが,ひとつのイベントを成功させるために役立っていると思うと,やりがいのあるとても重要な手伝いのひとつだと感じました。
 西成ジャズを通して私が感じたことは,当たり前のことですが,たくさんの方々が裏で動いたりしていて,またアーティストの方も含めて,全員がこのイベントを成功させよう,楽しもう,とされていたことです。これだけの人たちが力を合わせて本気で動くと,たいていのことは出来てしまうのだな,と強く感じました。
 私は初めて西成ジャズを聴いたのですが,プロのミュージシャンの方々の演奏を見ていて,演奏が始まる前は優しい感じでトークされている方でも,曲が始まると表情が一変することに驚き,改めてプロと呼ばれる人たちがプロであることを実感しました。
 西成ジャズを支援して,私は様々なことを吸収できたので,他では経験できない有意義な時間を過ごせたと思います。また来年も参加したいと思いました。

川内麻央(3回生)

 難波屋での西成ジャズにスタッフ参加して,私は初めて,ジャズを長時間にわたりじっくりと聴きました。驚いたのは,ボーカルの女性たちの声量と,目と目で合図し合いながらの演奏で,鳥肌が立ちました。
 私のイメージではジャズを聴きに来ているお客さんは,みんなお酒を飲みながら演奏を楽しむと思っていたいのですが,いざライブが始まると,みんな手にしていた飲み物を置き,演奏を見て歌を聴き入り集中していたので,本当にみなさんジャズが好きでジャズを聴きに来ているんだな,と改めて思いました。あれだけ強い台風が来る,と危機感があおられたなか,たくさんのお客さんが足を運んでくださったことから,西成ジャズの魅力はほんまものだと感じました。