2014.7.1

【松ゼミWalker vol.146】 田尻町モニターツアー開催の実現に向けて現地視察調査を実施

【松ゼミWalker vol.146】 田尻町モニターツアー開催の実現に向けて現地視察調査を実施

田尻町モニターツアーに向けて(3回生 南亮輔)

 2014年6月5日(木),南海電鉄との協働で大阪府泉南郡田尻町のモニターツアーの予備調査を行いました。前日の水曜日は天気が悪く,調査当日も悪天候が予想されましたが,幸いなことに雨はほとんど降らず助かりました。松村先生は,「12代目に強烈な雨男,雨女はおらんようやな」とおっしゃっていました。この春卒業された10代目の先輩のなかに,「晴れていても,雨を呼んで来よる」方がおられたそうです。
 集合は13時30分に南海新今宮駅の改札前でした。私は集合場所へ向かう途中で松村先生と一緒になり,13時10分頃には集合場所へ到着。その後,13時15分頃に南海電鉄の担当職員5名が来られ,松村先生ほか早めに集合した者と簡単な打ち合わせ。そうこうするうちに,参加予定のゼミ生たちも13時30分までに全員集合しました。
 集まったのは3回生12名,4回生3名,大学院2回生1名,松村先生の17名。このうちの5名が留学生で,中国人2名,台湾人2名,タイ人1名だったので,この予備調査自体が実質的なモニターツアーのような状況でした。ただし,外国人個人旅行者を募っての本気のモニターツアーが,7月20日(日)に予定されているので,この日は,モニターツアーを企画するため,地域資源を確認する予備調査という位置づけでした。

 あまり大人数になると何かと大変なので,参加希望者は多かったのですが,先日下見へ行った4回生は,モニターツアー経験の豊富な3名に厳選されました。
 南海新今宮駅出発は13時42分,途中で特急サザンに乗り換え,泉佐野駅で普通電車に乗り換え,吉見ノ里駅に到着したのは14時25分でした。特急の車内には大きなキャリーバックを持ち,おそらく関西空港へ向かうと予想できる外国人も何組か見られました。吉見ノ里駅の外へ出ると,田尻町役場の職員2名が出迎えてくださいました。
 田尻町役場職員の方々とご挨拶を交わして,14時30分頃から,お二人のご案内で歩き始めました。歩いたルートは『くまなく歩こうTAJIRI シーサイドウォーキングマップ』に掲載されている通り。まずは,吉見ノ里駅から商店街を通り,歩いて5分ほどの春日神社へ。商店街には和菓子屋さん,駄菓子屋さん,雑貨屋さんなどがありましたが,シャッターの閉まっているお店が多いとの印象でした。
 春日神社のすぐ隣に,秋祭りで練り歩く櫓(やぐら)を収納する櫓小屋がありました。泉州地域は一般に,「だんじり」と「ふとん太鼓」が有名ですが,田尻町の秋祭りはこの地域独特で,「だんじり」と「やぐら」が出揃って町内を練り歩くそうです。田尻町内を流れる河川を境界として,「だんじり」の地域と「やぐら」の地域に分かれる,と役場の方から説明していただきました。

 次に,泉州玉ねぎ栽培の碑文へ向かいました。田尻町は泉州玉ねぎ栽培の発祥地で,普通の玉ねぎよりも形が平べったく楕円形で,甘味が強いものを生産しています。生産量がそう多くないので希少価値が高いとのことでした。玉ねぎ生産が盛んな頃は,収穫シーズンになると,玉ねぎを満載した専用列車が吉見ノ里駅から大阪経由で全国へ散ったそうです。
 この後は2班に分かれて別行動,松村先生と3回生の栃原智美・中井美菜子は,吉見ノ里駅東側に立地するホテルユタカウィングへ聞き取り調査に向かい,残りのゼミ生らは田尻歴史館へと向かいました。

田尻歴史館から田尻漁港へ(3回生 平山あかね)

 田尻歴史館に着いたのは14時50分頃でした。ここは大阪府指定有形文化財であり,国の有形登録文化財や近代化産業遺産としても登録されています。建造物のなかは,和式と洋式が違和感なく調和した不思議な空間で,草花をモチーフとしたステンドグラスのある洋館や,純粋な和室もあり,和洋折衷の独特な雰囲気に満ち溢れていました。
 この田尻歴史館では,本日参加していた留学生ら5名が,本格的なお茶室でお茶会の体験をさせていただきました。まず,茶道のお作法をごく簡単にご教授いただいてから,袁麗萍(上海出身),李家伶(台湾出身),ジュディ(台湾出身),ジーン(タイ出身),宗政巨地(岡山県出身)が茶道の体験をさせていただきました。
 建物のなかにはカフェもあり,田尻歴史館でウェディングするカップルもいらっしゃるとのことでした。歴史の重みを感じるお洒落な空間はかなり広く,色々なイベントが行えそうだなと思いました。後で田尻歴史館の写真を見た松村先生は,「クラッシックか,弦楽器だけのコンサートなんかしたら,ええ雰囲気やろうな」とおっしゃっていました。田尻歴史館はソフトを工夫すれば,色々な活用の仕方が発見できそうな場所でした。

 本日の最終目的地の田尻漁港には,16時少し前に到着しました。美しい帆船ヨットが並ぶ田尻漁港には,田尻海洋交流センターがあり,漁業体験や海鮮バーベキューができます。
「海釣ぽーと田尻」という釣堀もあって,ご案内いただいた田尻町役場の方によると,「当たり前ですけど,釣り堀ですから,むっちゃ釣れますよ。特に休みの日の翌日は,魚もエサを食べていないからよく釣れます。」とのことでした。
 私たちが訪問したのは木曜日でしたが,田尻漁港では毎週日曜日に日曜朝市が行われていて,近隣の泉南地方のみならず,遠方からも,新鮮な魚介類を買いに来られる方が多いそうです。4回生の橋田翔子さんは,よく家族とこの日曜朝市に来られるそうで,「日曜日と平日の風景は全く違う,日曜日の朝は買い物客や釣り客などでもっと賑わっている。」そうです。ただし,朝市なので,11時頃になると終わるとのことでした。
 田尻漁港では,漁船を利用しての関空クルージングもでき,今回はそれを体験させていただきました。田尻漁港を出て約30分の周遊クルージングで,スカイゲートブリッジの下を通り,関西国際空港の近くまで行き,離着陸する飛行機を普段絶対に見られない真下から見学できます。そう風の強い日でもなかったのですが,かなりのスピードで進む船は,予想していた以上に揺れました。
 クルージングが終わり,ホテルユタカウィングへ聞き取りに行っていた松村先生らとも合流し,全員で記念撮影してから解散しました。

 解散後は,松村ゼミの有志で田尻漁港に居残り,漁港内の食堂で「生シラス丼」や「アナゴのてんぷら」などの海鮮料理を食べながら,本日の体験を振り返りました。
 みんなで話し合ったのですが,田尻歴史館を上手く利用して,田尻漁港での漁業体験や釣り体験に加え,そこでゲットした魚介類をバーベキューで楽しむようなツアーを組めば,南海新今宮駅から一番近く「関西国際空港のすぐ隣にある歴史の古い漁港」という売り出し方ができるのではないでしょうか。
 松村先生によると,外国人旅行者のなかにも,釣り好きは必ずいるとのこと。海に囲まれている日本の場合,海釣りは一般的なレジャーですが,世界で気軽に海釣りのできる国はごく限られています。りんくうプレミアムアウトレットへ行く外国人ファミリーは多いでしょうから,買い物好きのお母さんは買い物,釣り好きのお父さんは田尻漁港へ,というような流れができたら面白いなあ,と話し合いました。

南海電鉄担当者も交えての意見交換会(教員 松村嘉久)

 6月12日(木)14時から,ゼミ生と南海電鉄のモニターツアー担当者3名が,阪南大学あべのハルカスキャンパスに集まり,モニターツアー開催に向けての課題を洗い出すべく,2時間ほど意見交換会を行いました。予備調査時の写真を見ながら,どのようにすれば外国人旅行者を田尻町へ呼び込めるのか,私たちが体験したことは,外国人旅行者の目線から受けるのかどうか,などを話し合いました。
 関西国際空港に近いという立地条件,田尻歴史館や田尻漁港などの地域資源,これに外国人旅行者が楽しめる体験,例えば浴衣の着付けや海釣りなどを組み込めば,田尻町を対象としたモニターツアーは何とか成り立つのではないか,という結論に落ち着きました。また,田尻町に唯一立地する宿泊施設,ホテルユタカウィングとの連携を図る重要性も確認されました。
 いずれにしても,松村ゼミでは,7月20日(日)の日程を田尻町モニターツアー開催のためおさえています。今後とも,南海電鉄担当者とも更なる協議を重ね,田尻町へ外国人旅行者を誘う仕掛けを考え,検証したいと思います。