【松ゼミWalker vol.145】 西成アート回廊プロジェクトの実現に向けて大きく踏み出す!! (教員 松村嘉久)

 2014年5月9日(金)は,私にとって,1年に何度かくらいしかないとても充実した1日でした。新今宮地区のまちづくりの鍵となる西成アート回廊プロジェクトの実現に向けて,大きな一歩を踏み出した1日でした。

 9日(金)の10時から12時,南海電鉄本社の4階の会議室にて,「平成26年度 新今宮地区観光まちづくり推進協議会 総会」が開かれました。南海・阪堺・JR西日本・大阪府簡宿組合・OIG委員会などが集うこの総会に,松村ゼミを代表して,私ほか,栃原智美・平山あかね・南亮輔・中井美菜子(全員3回生)ら現役学生4名も参加しました。

 議題の中心は,2013年度の事業会計報告と,2014年度の事業計画案の検討でした。タテマエ抜きの本音で語り合うこの協議会では,とても濃密で有意義な意見交換が連続し,短時間のうちに多くの大切な意思決定が行われます。そのなかには,松村ゼミが実働する案件もありました。

 本協議会の会長を務める松村からは,新今宮地区に新たな賑わいを創出すべく立案された「西成アート回廊プロジェクト企画書」の趣旨を説明しました。西成区へ内外から人を呼び込み社会的注視を集めることを目的として,鉄道の高架壁面や高架下通路の落書きを消す一方で,本気の壁画(Wall Art)を描こうという企画に対して,南海・阪堺・JR西日本から色々とご質問やご意見をいただきました。色々と協議した結果,3社とも「趣旨に賛同,大筋で企画に賛成,詳細な条件は適時検討」というところでまとまりました。

 私は立場上よく「会議」というものに出席しますが,たいていはどうでも良いことを確認するだけか,誰が議論しても同じ結果になりそうな退屈な会議が多いものです。ところが,この協議会は議論が前向きで生産的で実践的,共有される情報の内容も濃く,ここでしか得がたいものばかりなので,いつもワクワクしながら参加しています。参加した学生4名にも,大人の会議の理想形を体感してもらえたと思います。学生たちとは会議後,一緒に昼食を食べながら意見交換し,解散しました。

 さて,この日はもう一つ予定があり,夕方19時前から「(仮称)萩之茶屋まちづくり拡大会議」へ出席し,再び「西成アート回廊プロジェクト企画書」について説明することになっていました。

 この拡大会議は現在,あいりん地域で最も重要な協議する場となっていて,拡大会議で情報共有し賛同を得ることができれば,色々なことが実質的に動き始めます。私は拡大会議への出席は初めて,久しぶりに絶対に失敗のできない,とても緊張する場となりました。

 この日のプレゼンテーターは,ヒップホップMCのSHINGO☆西成さんが中心,松村が全体の構想や趣旨などの説明を担当,Wall Art Artistの一成さんがフォローする,ということになっていました。18時過ぎにこの3名と数名の仲間が集まり,ごく簡単に段取りを打ち合わせて会議に臨みました。

 拡大会議ではプレゼン終了後の意見交換において,色々と心配ごとや懸念も表明されました。たとえアートであっても壁面に絵を描くことを認めると,落書きを助長するのではないか。当日の警備や道路使用許可申請で行政や警察の協力は得れるのか,などなど。これら一つ一つに丁寧に説明を行い理解していただけるよう努めました。その結果,ここでも「趣旨に賛同,大筋で企画に賛成」というところに落ち着きました。

 拡大会議終了後,SHINGO☆西成さんと私の二人で地域の名店「すし寛」へ行き,この企画の今後の展開や将来の夢について語り合い,「お互い協力して,必ずやり遂げよう」と握手して分かれました。

 ということで,「西成アート回廊プロジェクト」は,「リー,リー,リー,Back!」から「リー,リー,リー,Go!」の段階へ移行。いよいよ本気で走り始められます。