【松ゼミWalker vol.139】SHINGO☆西成さんらと西成アート回廊プロジェクトの実現に向けて語り合う!!

2014年3月11日(火)の18時半から,西成市民館にて,第187回釜ヶ崎のまち再生フォーラム定例まちづくりひろばが「西成アート回廊プロジェクトの具体化を考える」というテーマで開催されました。この日のゲストスピーカーは,ヒップポップMCで地元LOVEのSHINGO☆西成さん,動物園前一番街でNPOのCocoRoomを運営する上田假奈代さん,阪南大学教授の松村嘉久の3名でした。松村ゼミ関係からは,松川和矢(3),袁麗萍(3),栃原智美(2),山内慎介(1),藤井凌平(1)の5名の学生も出席しました。
西成アート回廊プロジェクトの発想はSHINGO☆西成さんがずっと育み続けてきたもの。大阪国際ゲストハウス地域創出委員会の西口宗宏委員長や松村が,SHINGO☆西成さんのこのプロジェクトへの想いを聴いて感銘を受け,詩人でアーティストでもある上田假奈代さんにもご協力いただき,具体化に向けてようやく動き始めたところです。参加者35名を得た今回のまちづくりひろばは,このプロジェクトのいわばキックオフミーティングとなりました。
最初,松村から「西成アート回廊プロジェクトについて」とのタイトルで,以下のような計画の概要をお話させていただきました。つい先日,台湾高雄で見聞して来た,アートを活かした港湾部の都市再生の試みについても紹介しました。
・プロジェクトの趣旨

 志のあるアーティストたちと地元コミュニティが対話するなかで,壁面やシャッターに描くモチーフを決め,それぞれのアーティストのスタイルで描き,それらの点を回廊としてつないで外来者が周遊して鑑賞するようなものをつくる。決して,落書きではなく,まちの活性化につながるアートとしての壁画を徹底的に追求して,コミュニティで維持管理する。特に,あいりん労働福祉センターから萩之茶屋小学校にかけての西側の南海電鉄の高架や高架下が象徴的なゾーンになるであろう。
・プロジェクトの狙い
 地域の課題となっている通学路の安全確保,ゴミの不法投棄や覚せい剤密売の撲滅とも絡めて,プロジェクトを位置づけたい。具体的には,わざわざ他所からこのアートを見に来る人が集まることで,地域への社会的注視を集め広げ,壁画アートを維持管理するという観点から,監視カメラではなく注視カメラを設置してライトアップも行い,地域や通学路の安全・安心につなげたい。

 次に,SHINGO☆西成さんが,地域やこのプロジェクトに対する熱い想い,大阪ミナミのアメリカ村にて落書き撲滅と絡めてアートを描いてきた活動経験などを語りました。セピア色になった西成のまちそのものをキャンバスにして,鮮やかに彩り夢や希望を表現して,みんなにも元気になってもらいたい,そうした想いがよく伝わりました。語りのなかで自然と韻を踏み,それがきっかけとなって語りからラップへ移行する場面もあり,後ろで聴いていたSHINGOファンの学生らは喜んでいました。
 上田假奈代さんは,このプロジェクトを行うのに際して,地域と対話しようとするアーティストの姿勢が不可欠で,地域とアーティストの間に入ってマネジメントする人材の役割が大切である,と力説されました。左写真は松村が台湾高雄にて撮影。
 さて,今後の動きとしては,まずSHINGO☆西成さんが推薦するアーティストも交えて,現場を視察しながらより具体的に,どこへ描くのか,どのようにすれば描ける条件が整うのか,どのような材料や作業環境が必要なのか,どのくらいの時間と費用がかかるのかなどを把握したいと思います。そして,詳しい企画書を書いて,この日集まったメンバーを核に実行委員会を組織して,各々の役割分担を行い,地元町会や民間企業やメディアなど,関係各所へ協力を呼びかけていきます。

 会議が終わると,SHINGO☆西成さんは参加した学生の一人一人とかたく握手し,「ありがとう,一緒に頑張ろうな!!」と声をかけてくれました。
 この日は東日本大震災が発生して3周年,SHINGOさんの仲間や後輩たちは,福島へ向かったそうです。福島も大切だが地元はもっと大切にしたい,とSHINGOさんはあえて福島へは向かわず西成に一人とどまり,このひろばに参加してくれました。地元を愛することが震災復興への想いにもつながるはず,ともおっしゃっていました。
 2014年3月11日(火)は松村の48歳の誕生日でもありました。還暦までの残り12年のスタートを切ったこの日,SHINGOさんほかまちづくりの仲間たちと時間を共有し,夢のある確かな一歩を踏み出せた素敵な1日でした。