2014.3.13

【松ゼミWalker vol.137】 新今宮地区観光まちづくり推進協議会と城崎温泉モニターツアーを実施!!

【松ゼミWalker vol.137】 新今宮地区観光まちづくり推進協議会と城崎温泉モニターツアーを実施!!

 2014年2月24日(月),新今宮地区観光まちづくり推進協議会との協働で,城崎温泉モニターツアーを実施しました。同行したゼミ生は,松川和矢(3),橋田翔子(3),武石彩芳(3),山中彩帆里(3)の4名で,袁麗萍(3・中国上海),李家伶(3・台湾),ジャンタパット(2・タイ)の3名は外国人モニターとして参加しました。新今宮地区観光まちづくり推進協議会からは,教員の松村と事務局を担当する株式会社インプリージョンの森なおみさんが参加,モニターツアーのコースは,JR西日本の宮野健一さんのアレンジいただき,ツアー当日も同行案内していただきました。
 今回の城崎温泉モニターツアーの目的は,新今宮からの日帰りか1泊で行ける観光地を選び,そこへ完全な着地型の外国人旅行者を誘致できるかどうか,観光地側で着地型の対応ができるかどうか,こうした課題を外国人モニターの目線でチェックして回ることでした。城崎温泉は新今宮地区観光まちづくり推進協議会が作成した『OSAKA・SHIN-IMAMIYA GUIDE BOOK』でも紹介されています。
 松村ゼミが注目しているのは,このガイドブックでも紹介した外国人旅行者向けのお得チケット「Kansai WIDE Area Pass」(https://www.westjr.co.jp/global/en/travel-information/pass/kansai_wide/参照),北は城崎温泉や浜坂,南は和歌山の新宮,東は福井県の敦賀や滋賀県の米原,西は岡山県の宇野や児島の範囲で有効のものです。山陽新幹線ほか,はるか,くろしお,こうのとり,きのさきなどにも乗れて,4日間乗り放題で7,000円(2014年4月以降は7,200円)。

 新今宮を拠点に動く場合,各種特急を利用して,岡山県児島や和歌山県新宮までなら片道6,000円以上,福井県敦賀や兵庫県城崎温泉まででも片道4,000円以上はかかります。京都や奈良や姫路城といった著名な観光地を往復してから,もう一箇所,上に挙げたような場所へ行き,関西国際空港へ向かうという観光行動を想定すると,このチケットは本当にお得。新今宮界隈に滞在している外国人個人旅行者にとって,うまく活用する方法さえ分かれば,間違いなく絶対購入すべき魅力的なチケットのひとつです。このチケットを普及させる鍵は,JR新今宮駅発のもう一つの選択肢を増やすということに尽き,城崎温泉モニターツアーはその選択肢を検証するものと位置づけられます。

 さて,モニターツアーの一行は,朝8時にホテル中央セレーネのロビーに集合,そこから徒歩でJR新今宮駅西口へ向かいました。大阪から城崎温泉へは「こうのとり3号」(片道4,940円)に乗り,12時前に城崎温泉駅へ到着,JR西日本の蒲直樹さんと現地合流。

 JR城崎温泉駅からは観光案内所やまちなかの案内などをチェックしながら,まずカニ料理を味わえる旅館「しののめ荘」へ向かいました。新今宮界隈に宿泊する外国人個人旅行者は,宿泊施設の情報をHOSTELWORLD.comかBooking.comで取得しています。城崎温泉で前者に登録しているのが1軒,後者は十数軒,「しののめ荘」は後者に登録している本格的な日本旅館なひとつです。
 しののめ荘の女将さんからは施設を紹介していただきながら,色々とお話を伺いました。例えば,日本語のわかる外国人がBooking.com経由で来られることが多い,素泊まりの方が大半であるがアジア系の宿泊客はカニ料理も好まれる,要望が多かったのでフリーwi-fi環境を整備した,ゆかたの貸し出しと着付けを行っていて好評である,などなど。
 さて,私たちもカニ料理をいただいたのですが,今回モニターを務めたゼミ生らの出身地の中国上海・台湾・タイでは,カニ料理もよく食べるので,料理自体は何の問題もないとのこと。ただし,色々な料理がひとつのお膳の上に並ぶと,どの料理をどのソースで食べるのかなど,和食に慣れていない外国人旅行者だと,説明がないと戸惑うかもしれない,との意見が出されました。また,畳と座布団を利用しての食事は短時間なら我慢できるが,カニ料理の場合はどうしても時間が長くなるので,慣れていない外国人はツライかもしれない,という意見も出ました。

 日本人にとって,城崎温泉といえば「カニ」のイメージがとても強いのですが,外国人旅行者にとってはそうでもありません。カニの食べられるハイシーズンは日本人客も多いので,春から秋にかけて,少し休めの設定でカニ以外の定番料理を作れば,閑散期の外国人旅行者誘致につながるのではないか,との提言も出ました。
 JR西日本の蒲さんによると,城崎温泉はカニ・雪と冬のイメージが強いのですが,温泉街を貫く大谿川(おおたにがわ)沿いは柳の並木,夏でも青々とした美しい景観が楽しめる,とのことでした。また,城崎温泉からもう少し北上すると日本海が見え,竹野や佐津や香住といった風情のある漁港があり,海水浴も楽しめ割安の民宿もあるとのこと。加えて,城崎温泉から特急「はまかぜ」に乗ると姫路へ抜けるので,大阪から城崎温泉経由で姫路や岡山へ向かう周遊観光も期待している,とお話いただきました。
 次に向かったのは大師山,「城崎温泉ロープウェイ」(往復880円)とその中間にある「温泉寺」でした。城崎温泉は道智上人が開かれた霊湯であり,その道智上人が城崎温泉の守護寺として創設されたのが温泉寺。かつて城崎温泉を訪れた湯治客たちは,まず温泉寺へお参りして,道智上人の霊前を参拝して入湯作法を習い,湯杓(ゆしゃく)を授かってから,城崎の外湯めぐりへ出かけたそうです。
 ロープウェイの山頂駅の展望台からは,城崎温泉の遠景が一望できました。城崎温泉の市街地は,大師山から円山川(まるやまがわ)へと流れ込む大谿川沿いの狭い地域に開け,そこに七湯の外湯や足湯などが点在します。

 柳や桜の並木が美しい大谿川沿いの景観は,とても落ち着いた雰囲気で,風格のある旅館が立ち並ぶなか,浴衣姿の旅人が下駄履きで外湯をめぐる姿は,外国人旅行者にとっても,風情と趣のある独特の風景と捉えられるに違いありません。
 その後,私たちは三つのグループに分かれて,それぞれ1名のモニターを取り囲み反応を見ながら,城崎温泉市街地の多言語表示の情況や着地型対応の可能性を確認しながら,JR城崎温泉駅へと向かいました。
 新今宮界隈に宿泊する外国人旅行者を誘致するには,予約をせずにフラッと立ち寄っても楽しめる素材があるのかが鍵となります。城崎温泉の場合は,温泉街の景観そのものに力があり,レストランやギャラリー的な土産物屋も多く,何よりも外湯めぐりが存在するので,完全な着地型で十分楽しめる場所である,と確信しました。英語のマップや地域案内も城崎温泉観光協会の公式ウェブサイトからダウンロードできるので,外国人旅行者でも楽しめる最低限の条件はすでに整っています。
 JR新今宮駅からJR城崎温泉駅へのアクセスも確保されているので,お得なチケットと城崎温泉の情報をあわせて,新今宮界隈に宿泊する外国人旅行者に提供すれば,「このチケットを買って城崎温泉へ行こう」という流れを形成し得る可能性は十分あります。この事実を確認できたのが,今回のモニターツアーの大きな成果のひとつと言えます。モニターツアーの一行は,JR城崎温泉駅で現地案内を務めていただいたJR西日本の蒲さんと別れ,特急はまかぜ6号(片道4,940円)に乗って,大阪へと帰りました。