【新今宮TICの運営報告 vol.24】 2013年4月の新今宮TIC報告

4月13日(土)新今宮TIC報告(レポーター:3回生 袁麗萍・3回生 山下喜央)

【スタッフ】大宅和佳(4),山下喜央(3),中川光華(2),キムテギョン(3),袁麗萍(3)
【来訪者】松村先生,OBの濱中勝司さん,NHK『ぐるっと関西おひるまえ』ディレクターの計3名。
【利用者】9組13名。このうち12名が外国人で,コロンビア,アメリカ,インド,オーストラリア,ロシア,スイスの方々が来られました。
 本日は,NHK大阪放送局の取材予定があったため,3回生のキムテギョンと私・袁麗萍は,松村先生からの呼びかけに応じて,新今宮TICの応援スタッフとして参加することになりました。朝9時に新今宮TICに着くと,そこにはすでに松村先生が来られていて,この日の早朝発生した淡路島での地震のため,NHK記者から「取材を延期させてください,との連絡があった」と伺いました。とても残念でしたが,気持ちを切り替えて,スタッフとして活動しました。

 最初に来られたのは,コロンビア人男性とアメリカ人女性のカップルでした。スパワールドに仮眠室があるのかどうか,身体を休められるようなものなのか,という問い合わせでした(写真参照)。対応したメンバー全員がスパワールド未経験者,スパワールドに電話で問い合わせて,詳しいことを確認しましたが,実際の仮眠室を見ていないので,あまりイメージがわきませんでした。ゼミで一度,スパワールドを利用して,館内を見学しなければならないと感じました。
 次に来られたインド人男性は,地震による交通機関の遅れ,特に新幹線の遅れを心配され,相談に来られました。早朝発生した地震の影響で,新幹線も在来線も大きくダイヤが乱れていました。公共交通機関が遅延しても,その詳しい情報提供はたいてい日本語のみ,外国人旅行者は本当に困られるようです。
 三組目のコロンビア人ご夫妻は,長野県の白馬へ行き,雪を見たい,スキーをしたい,ということでした。白馬への行き方はインターネットで検索し,ついでに4月でも雪が残っているのかもチェックしたところ,まだ積雪があるとの情報。今回の案内で白馬のことを初めて知ったのですが,大阪のことはもちろん,日本の観光地のことについてもっと学んでおかなければならない,と気づきました。(以上,袁麗萍)
 今日の運営,キム君と袁さんには昼過ぎに帰宅してもらいました。昼過ぎ,以前収録された番組が国会中継で何度も延期されたとのことで,NHK大阪放送局『ぐるっと関西おひるまえ』の担当ディレクターが,松村先生にその事情をご説明に来られました。国会中継での延期は誰にもどうしようもないこと…,どうかお気になさらずに…,お気遣いなく…,と松村先生はおっしゃっていました。さて,運営終了してすぐの16時過ぎ,オーストラリア人男性,フィンランド人男性,フィリピン人女性がバタバタと続けて来られました。松村先生にもお手伝いいただき対応しました。
 新今宮TICのシャッターを閉めた後は,松村先生が私・山下と2回生の中川さんを西成区のまち歩きに連れて行ってくださいました。萩之茶屋方面の簡易宿所を回り,あいりん労働福祉センターを通り,三角公園を抜けて,松村先生から地域の解説を伺いながら,「なべや」というお店へ向かいました。「なべや」では名物の牛すき焼きを3名でいただきましたが,お店は満員状態,牛すき焼きはとても安くてボリュームがあり驚きました。松村先生によると,西成区の知る人ぞ知る隠れた名店のひとつだそうです。
 萩之茶屋方面の雰囲気は,私たちが運営する新今宮TICのある太子地区とは全然違ったもので,路上で酔っぱらっている人が寝転がっていたり,大量の自転車が並んでいました。正直なところ,とても驚き戸惑いましたが,松村先生にご解説いただき色々な事情がわかりました。事情がわかれば,最初は驚き戸惑ったことも,納得いくことばかりでした。(以上,山下喜央)

松村先生からのひと言

 NHK記者からは地震発生直後に,「本日は地震取材の応援のため,そちらには伺えそうにありません。どうかご容赦ください。」との携帯メールが入りました。記者というお仕事は,本当に大変だと思います。

4月14日(日)新今宮TIC報告(レポーター:3回生 許ソンミ)

【スタッフ】橋田翔子(3),許ソンミ(3),洪アルム(3)
【来訪者】国立文楽劇場の職員1名,松村先生の中学時代の先輩とそのお友達の計3名。
【利用者】5組21名。そのうち1名のみが日本人,外国人は20名で,台湾,インドネシア,ウルグアイ,タイからの方々でした。

 最初に来られた台湾人女性の2人組は,神戸観光の情報が欲しい,次に来られたインドネシア人女性の5人組は,奈良への行き方と奈良観光についての情報が欲しいとのことでした。どちらも笑顔の可愛い若い方でした。
 今日はグループでの利用が多い1日で,3組目はウルグアイ人の女性5名と男性4名の若者たちでした。とにかく大阪の観光情報がたくさん欲しいということでしたので,英語で書いてある地図や観光パンフレットなどを全て渡しました。このウルグアイ人グループは日本に7日間滞在し,京都や東京にも行くと言っていました。4組目もタイ人の男性3名と女性2名のグループで,大阪城で桜が見たいが…との相談。造幣局の桜の通り抜けがまだ行われているので,造幣局へ行くことをお薦めしました。
 国立文楽劇場の職員は,4月の文楽公演と6月の文楽鑑賞教室のチラシをお持ちになり,「新今宮TICでもぜひ文楽と文楽劇場をご宣伝ください」と来られました。文楽は人形浄瑠璃とも呼ばれ,大阪や日本を代表する伝統芸能で,世界無形文化遺産にも登録されている,と学びました。
 今日私たち交換留学生2名は,初めて新今宮TICのスタッフを経験しました。色々な国の人たちと会い交流できて,とても楽しい1日でした。

松村先生からのひと言

 国立文楽劇場の職員が新今宮TICに宣伝に来られたのは画期的な出来事です。新今宮TICでも過去,何度も文楽に関する問い合わせがありました。文楽は,日本というよりも大阪から世界に発信できる伝統芸能です。新今宮TICも文楽をぜひ応援したいと思っていますし,多くの外国人旅行者に文楽を見てもらいたいと思います。

4月20日(土)新今宮TIC報告(レポーター:3回生 関伽緒里・2回生 中井美菜子)

【スタッフ】関伽緒里(3),村上恵美(4),弘田愛美(3),中井美菜子(2),山中彩帆里(3),中川光華(2)
【来訪者】松村先生,NHK大阪放送局の取材スタッフ3名,林宜欣(3)の計5名。
【利用者】9組16名。このうち6組13名が外国人で,タイ,香港,イタリア,フィンランド,シンガポールからの方々でした。

 今日は先週土曜日の淡路島地震の影響で延期になっていたNHK大阪放送局からの取材が,朝イチからありました。松村ゼミでは新今宮TICでの取材依頼があると,ゼミの連絡網で「応援に駆け付けられるゼミ生は集まって下さい」と流れます。今日は,3回生の山中彩帆里さんと2回生の中川光華さんが,応援でスタッフ入りしてくれたので,スタッフは6名。全員が英語対応できるという充実した1日でした。
 さて,今回のNHKの取材は,新今宮TICの活動や新今宮地区での外国人受入れ状況などについて,主に松村先生へインタビューする形で進みました。新今宮TIC前に松村先生が立ち,カメラマンと音声さんと記者の3名が松村先生を囲み,通行人に気を使いながらインタビューされていました。外国人利用者が来られて私たちが対応している風景も撮影されましたが,「オンエアーで使われるかどうかはわかりません。」とのことでした。
 新今宮TIC前でのインタビューの後,松村先生と取材陣は,JR新今宮駅東口で太子交差点の角にある『新今宮地区案内図』の前へ移動。再びそこで,インタビュー撮影をされていました。あの場所はとても目立つところで,この日の午後にランチブレイクへ出かけた際,松村先生は色々な人から「さっき,インタビューされていましたよね」と声をかけられていました。(以上,関伽緒里)

 本日の利用者で面白かったのは,タイから来られたファミリー。最初,大阪天満宮に行きたいのですが…と行き方を尋ねて来られたのですが,とても陽気な方々で新今宮TIC前での会話が弾みました。タイでは有名らしいのですが,「玉の輿」というフェイスパックがあり,それを大量に買いたいので売っているところを教えてください,とのことでした。
 今日のスタッフは全員女性だったのですが,誰も「玉の輿」の存在を知りませんでした。タイ人女性が日本語で「タマノコシ」と発音されていたので,何のことなのか最初はみんなわかりませんでした。ネットで調べてようやくどのようなものか判明。東急ハンズなら売っているとわかったので,Q’s MALLへ行くようお薦めしました。Q’s MALLにはSHIBUYA109も入店している,と伝えると,「絶対に行く」とおっしゃっていました。
 フィンランドから来られたカップルは,安いツインの部屋を探していました。松村先生によると,最近の新今宮界隈のゲストハウスは,土曜日になるとまず間違いなく満室状態。日本各地から来る観光客,就職活動の大学生,これにあべのハルカスの工事関係者が加わり,土曜は空き部屋を確保するのは無理…。ダメもとでホテル中央オアシスに問い合わせたところ,奇跡的にツインルームが空いていたので,同行案内しました。
 取材を終えた午後からは,松村先生と一緒に,『大阪・新今宮ガイドブック』を関係各所へ配布して回りました。新今宮界隈のゲストハウスはもちろん,ガイドブックに掲載されている飲食店や大衆演劇の劇場などへも届けました。(以上,中井美菜子)

4月21日(日)新今宮TIC報告(レポーター:4回生 吉田あゆこ)

【スタッフ】吉田あゆこ(4),山中彩帆里(3),濱中勝司(OB)
【来訪者】松村ゼミ8代目ゼミ長の仲田美穂さん(OG)
【利用者】7組12名。このうち4組9名が外国人で,アメリカ,マレーシア,タイからの方々でした。
今日はとてもお天気が良く,問い合わせ内容は簡単な場所に関するものが多く,平穏な1日でした。問い合わせのあった場所は,天王寺動物園,美味しい串カツ屋,ホテル中央オアシスなど。

 早朝新今宮TICへ向かう途中の地下鉄内で,新世界でイベントを行うとのアナウンスがあったので,ランチブレイクを利用してみんなで新世界方面へ向かました。新世界では昨日から「大阪市営交通110周年記念事業」のプレイベントとして,スパワールドの北側のスペースで,「市電霞町線開業100周年記念イベント」を開催していました。改めて新世界を歩くと,やはり,欧米からの旅行者よりも,アジアからの観光客の方が多く来訪していると実感しました。
 午後,「松村先生はいてはる?」,と8代目ゼミ長でOGの仲田美穂さんが新今宮TICに来られました。残念ながら,松村先生はこの日,ご自宅でお子さんたちと遊ばれているはず…。OBの濱中さんがいらしたので,仲田先輩は30分ほど雑談するなかで,フィールドワークや新今宮TIC運営についてのアドバイスもくださり,「また必ず寄るからって先生に伝えといて」と帰られました。松村ゼミの先輩方は,卒業してからも,新今宮TICに愛着を持って,時々様子を見に来て,とても暖かく見守ってくださるので心強い限りです。

松村先生からのひと言

 美穂が来てくれたんか,顔見たかったなあ,残念です。また,必ず来てください。一緒にすし寛へ行きましょう。写真は美穂が学生時代のインド旅行の際に撮影した巡礼者です。美穂の撮った写真は,目線のバッチっとあったいいものが多く,いい旅をしているな,といつも感心していました。本当にまた会いに来てください,遠慮しないでメールでアポをとって来てくれていいから。

4月27日(土)新今宮TIC報告(レポーター:4回生 徐晨)

【スタッフ】谷河里香(4),徐晨(4),大宅和佳(4)
【来訪者】日本文化同好会きものサロンの方1名,OIG委員長の西口宗宏さんとお友達2名の計3名。
【利用者】3組3名。このうち2組2名が外国人で,フランス,マレーシアからの方々でした。

 本日の利用者はいつもよく聞かれる簡単な質問ばかりで,全く問題なくスムーズに対応できました。
 15時過ぎに日本文化同好会きものサロンの方が新今宮TICを訪ねて来られました。昨日4月26日(金)早朝のNHK『おはよう日本』で新今宮TICの活動をご覧になり,場所を探しながら来られたそうです。きものサロンでは,浴衣や着物の1日体験レンタル,着物姿での思い出の写真撮影などを行っていらっしゃるそうです。できればそうしたことを新今宮TICで外国人にお薦めしていただけないか,もっとできれば近隣のゲストハウスでも宣伝してもらえないか,というお話でした。
 松村先生がいらっしゃらなかったので,責任のあるお答えはできませんでしたが,私たちは面白いお話で外国人旅行者のニーズもあるだろうな,と感じました。値段も浴衣の1日レンタルが3,000円と決して高くはありません。平野郷でのだんじり祭りなどで,外国人のなかから利用者を募れば喜ばれるかもしれない…とみんなで話しました。
 もう一人の来訪者の西口委員長はいつも通り。「松村君はいてるかな?(今日はいません)そうかほなまた来るわ!」と帰られました。

4月28日(日)新今宮TIC報告(レポーター:3回生 袁麗萍・3回生 松川和矢)

【スタッフ】松川和矢(3),袁麗萍(3)
【利用者】11組19名。このうち6組12名が外国人で,ギリシャ,フランス,香港,カナダ,マレーシア,オーストラリア,タイからの方々でした。
【来訪者】松村先生,清水苗穂子先生,塩路有子先生,森重昌之先生,読売新聞社会部記者の計5名。
 今日は利用者の多い1日でした。新今宮TICのシャッターを挙げてすぐ,60代の日本人男性が,近くで迷っていた若いギリシャ女性を連れて来てくださいました。「何を言うてんのかわからへんけど,どこか行きたいみたいや,助けたって」とのことでした。最初は梅田の紀伊国屋書店へ行きたいとおっしゃっていたのですが,よく話を伺うと,英語の本が売っていればどこでもいいとのこと。それならば…と,天王寺の菊屋書店とユーゴ書店を紹介しました。
 マレーシアから来られた50代の男性は,名古屋大学へ行きたいとのことでした。松村先生がおられたので,名古屋大学への行き方の案内はバッチリ。ただ,荷物が重たいから,荷物だけ先に送りたいとおっしゃったので,私・袁麗萍が最寄りのFamily Martへお連れして,届け先の住所などを日本語で書いてあげました。全ての用が済んでから,この方は「あなたにいくらお金を払えばいいのですか?」と聞かれました。私は「学生のボランティア活動で旅行者の手助けをしているので,お金は要りません,ぜひ日本を楽しんでください」,と伝えました。するととても感心して喜ばれ,色々と話が弾みました。「あのオフィスの男性(松村先生のこと)はあなたのお父さんですか?」とも聞かれました。「違います。彼は私のプロフェッサーで,私は彼のスチューデントです。」と答えると,「プロフェッサー…」と言葉を失っておられました。いつもラフな格好で気どらない松村先生は,プロフェッサーには見えないようです。このマレーシア人男性はケミストリーの研究者で,名古屋大学にも研究活動で行くとのことでした。(以上,袁麗萍)

 さて,この日は午後1時過ぎになって,阪南大学国際観光学部の清水苗穂子先生,森重昌之先生,塩路有子先生の3名が,続々と新今宮TICへ集まって来られました。松村先生の案内で,新今宮地区の国際観光事情やあいりん地域の現状をフィールドワークされるとのことでした。新今宮TICのなかで,松村先生が30分ほど地域の歴史などについてレクチャーされている間に,読売新聞社会部の記者もその輪に加わられました。この記者はたまたま,松村先生のところへ飛び込みで地域の現状を取材したい,と申し込まれたところ,松村先生からこの日のフィールドワークへ合流するよう誘われたそうです。
 私・松川は松村先生ともう何度もこの地域を歩いているので,松村先生が案内されるコースはだいたい想像できるのですが,本日集まった方々はほぼ何もご存じないようで,少し緊張されている感じが見受けられました。参加される全員が新今宮TICのなかに荷物を置き,14時少し前,身軽な格好でフィールドワークに向かわれました。二人だけの運営だったのですが,袁麗萍さんがしっかりしているので,私は少しの間,新今宮TICを抜けて浪速クラブへ5月公演のポスターをいただきに走りました。
 さて,16時少し過ぎ,松村先生から私の携帯へ「新今宮TICを閉めて,袁麗萍も一緒にすし寛へおいで。合流しようや。」との連絡が入りました。私たち二人は急いで店じまいして,すし寛へ向かいました。4月28日(日)は18時から,動物園前一番街商店街入り口の「おでん 成田屋」で西成ジャズのライブがありました。松村先生が一足先にすし寛を出て,成田屋での座席を確保。全員でとても素敵な西成ジャズの演奏を聴きました。新聞記者の方に感想を伺ったのですが,とても有意義で驚きの連続の1日だったそうです。(以上,松川和矢)

松村先生からのひと言

 新今宮界隈のまち歩きツアーは任せてください。萩之茶屋方面の解説ならば私よりも適任者が何名か思い浮かびますが,太子方面の解説ならば私が一番との自信を持っています。山王方面,新世界方面でも,大阪で有数のインタープリターだと思います。同僚の先生方も新聞記者も,この複雑な地域のあらましはご理解いただけたことでしょう。
 今日のスタッフの袁麗萍,中国語も日本語も英語も上手,上海出身なので当然上海語もしゃべれるのですが,驚くべきことに,香港人への対応では広東語も流暢にしゃべっていました。広東語は中国にいた頃,広東語のドラマを見て覚えたそうです。すごい…才女…頼もしい!!