2月2日(土)新今宮TIC報告(レポーター:大宅和佳(3)・谷口真帆(1))

【スタッフ】谷河里香(3),大宅和佳(3),谷口真帆(1)
【利用者】4組7名。このうち2組4名が外国人で,香港とオーストラリアからの方々でした。
【来訪者】清水翔平(4),内田裕規(4),和田昂之(4),松村先生,松竹株式会社の職員2名,橋田翔子(2),関伽緒里(2),呉佩瑾(3),濱中勝司(OB),平山あかね(1),ほか松村ゼミの学生・OB・OG多数,合計20数名。

 今日は香港から来たという個人旅行者から,「スルッと関西2dayパス」を買いたいという問い合わせがあり,地下鉄動物園前の駅長室に行きました。ところが,駅長室には1dayと3dayしか置いておらず,2dayは天王寺や梅田など大きな駅にしかないとのことでした。こういう情報は現場に行かなければ,なかなかわかりません。

 お昼過ぎに,松竹株式会社の職員2名が来訪され,「新今宮TICに歌舞伎のパンフレットを置いてもらえませんか?」とのことでした。なぜ松竹の方が突然来られたのか,お話を伺うと,新聞記事を見て来られたのとのこと。実は,2月2日(土)の産経新聞の朝刊に,阪南大学を紹介する記事のなかで,私たちの新今宮TICの活動が詳しく書かれていたそうです(左記事参照)。その記事を読んで,「とにかく行ってみよう」と来られたとのことでした。
 松竹株式会社は道頓堀の松竹座と京都の南座を運営されていて,そこへ外国人の観客も呼び込みたいとのことでした。特に,京都の南座において1人1,000円で舞台のバックヤードツアーを行われるので,そこへ外国人観光客を集める方法に興味を持たれていました。たまたまおられた松村先生が,色々と具体的なアドバイスをされていましたが,何度もうなづきながらメモをとられていました。(以上,大宅和佳)

 この日は来訪者がとても多い1日でした。と言うのも,この日は夕方18時から,松村ゼミのOB・OG総会が行われるため,その懇親会のすき焼きパーティの準備をするため,時間の空いている学生たちが,14時過ぎに集まりました。清水さん・内田さん・和田さんら4回生の男性は,新今宮TIC内のパソコンで,卒業研究発表会(2月5日開催)のプレゼンテーションを作成しておられました。
 新今宮TICの運営は3回生とプレゼン作成で居残る4回生の先輩方にお任せして,橋田・関・呉・谷口・平山らが松村先生と,すき焼きの材料の買い出しへ向かいました。OB・OG総会に参加するのは,現役学生がざっと30名弱,OB・OGが20名弱くらい。合わせると50名近い大人数になるので,材料の買い出しと準備はなかなか大変。
 メインのお肉は新世界市場の「お肉のさかもと」で購入。新世界・西成食べ歩きMAPでも紹介したお店です。そこで何と,高級牛肉を10kgも注文しました。さすがにお肉を準備するのに時間がかかるとのことだったので,松村先生お薦めの甘味処「三好」へ行き,真冬ながらかき氷を食べ,時間をつぶしました。
 野菜類は近くのスーパー玉出で,飲み物は動物園前商店街の酒屋さんで大量購入。材料は全てホテル中央セレーネの調理スペースを借りて下ごしらえ。しあがったものから大阪市立大学西成プラザへと運び込みました。
 新今宮TICは16時以降もシャッターを半分まで下げてオープン,続々と来られるOBやOGたちを西成プラザへと案内しました。松村ゼミのOB・OG総会はとても盛大に行われ,私たち1年生も何名か参加させていただきました。(以上,谷口真帆)

松村先生からのひと言

 この日はとても楽しい1日でした。OB・OG総会が終わってから,2次会で通天閣方面へOB・OGたちを連れて飲みに行き,久しぶりに遅くまで騒ぎました。

2月3日(日)新今宮TIC報告(レポーター:谷口真帆)

【スタッフ】清水翔平(4),谷口真帆(1),濱中勝司(OB)
【利用者】3組4名。このうち,1組1名はインドネシアからの方でした。
今日は語学力に全く自信のないスタッフ2人で運営する予定だったのですが,OBの濱中さんが助っ人で来ていただき,英語圏の利用者もなかったので,何とか無事に運営することができました。

 午前中に来られた日本人男性は,松村先生や清水苗穂子先生のこともご存知の方でした。英語で書かれているこのあたりの地図が欲しいということでしたので,「食べ歩きMAP」と「大阪の安い宿」をお渡ししました。新今宮TICの活動についても,「ここの利用者はどこの国から来る外国人が多いの?」や「このあたりのホテルは1泊いくらくらい?」など,いくつかご質問をされました。私たちの活動をとてもほめてくださり,とても誇らしい気持ちになりました。
 今日は節分だったので,OBの濱中さんが鬼のお面と豆を差し入れてくださいました。鬼の面は早速,カウンターに飾りました。昨日から続く好天で,新今宮TIC前の人通りも多く,立ち止まって大衆演劇のポスターを見て行かれる方も多く,良い宣伝になっているなあと感じました。

松村先生からのひと言

 午前中に来られた日本人男性は,おそらく大阪市立大学都市研究プラザの水内俊雄先生か,中川真先生だと思います。新今宮TICには,私の先輩の研究者や政治家や行政職の方々もよく来訪されるので,いつも丁寧にホスピタリティをもって対応して,大事な話でなくても気軽に松村まで電話してください。
 さて,退職後の第二の人生として,阪南大学での学びを選択したOBの濱中さんは,2006年度卒業の松村ゼミ3代目です。濱中さんは,卒業以降もずっと聴講生や科目等履修生として,阪南大学で学び続けながら,松村ゼミの活動を見守り支援し続けてくださっている,とても貴重な存在です。改めて,感謝の意を表したいと思います。濱中さんいつもありがとうございます。

2月9日(土)新今宮TIC報告(レポーター:村上恵美)

【スタッフ】大宅和佳(3),村上恵美(3),前田紗希(ゼミOGで午後から参加)
【利用者】3組7名。全て外国人で,アメリカ,タイ,オーストラリアからの方々でした。
【来訪者】松村先生,松竹株式会社の職員,OGの齋藤有沙さん
今日はスタッフ2名の予定でしたが,午後に来訪されたOGの前田さんが,スタッフとして運営協力してくださいました。

 最初の利用者のアメリカ人女性は,アメリカで動物園の飼育員をされているとのことで,「天王寺動物園へ行きたい」とのことでした。動物園のプロが天王寺動物園を見ると,どのような感想を持たれるのか,とても気にかかりました。タイのバンコクから来られた女性は,飛騨高山へ行きたいとのこと。出発は明日の予定なので,みどりの窓口でブッキングできることをお伝えしました。
 お昼には松村先生もいらっしゃり,OGの前田さんも一緒にランチブレイクでお好み焼きを食べに行きました。お昼ご飯を食べ終え新今宮TICに戻ってしばらくすると,OGの齋藤有沙さんがいらっしゃいました。
 午後からは,松竹株式会社の方が松村先生を尋ねて来られ,特に京都南座のバックヤードツアーについて,松村先生から色々とアドバイスを受けてらっしゃいました(左パンフレット参照)。松村先生は芸能,エンターテイメントのことになると,とても熱く語られます。
 その途中に,オーストラリアからの利用者が来られ,「ピースハウス大阪はどこ?」という質問。私たちは全く聞いたことのない宿泊施設だったのですが,松村先生はご存知でした。それは新今宮TICの道路向うに新しくできたシェアハウスとのことでした。私と大宅の二人で状況確認がてら同行案内することになりました。ところがお昼の2時過ぎにもかかわらずフロントは無人,入口に英語の貼り紙がしてあり,連絡先が書かれているだけでした。宿泊施設としてこのサービスでいいのか,疑問が残りました。

松村先生からのひと言

 最近,新今宮界隈にもシェアハウスという名前で,外国人旅行者を泊める施設が増えてきました。新世界の通天閣に近くには,韓国人旅行者が宿泊するマンションもあります。宿泊施設と居住施設との境目は,とても微妙なのですが,旅行者が泊まるのは本来,ちゃんと認可された宿泊施設であるべきです。
 居住施設に不特定多数の旅人が泊まるのは,やはり色々と問題があります。外国人旅行者が絡む何か大きな事件や事故が起こる前に,大阪市内の宿泊実態を総点検する必要があると思います。

2月10日(日)新今宮TIC報告(レポーター:橋田翔子)

【スタッフ】清水翔平(4),橋田翔子(2)
【利用者】2組5名。このうち1組1名はタイ人でした。
【来訪者】和田昂之(4)
 今日は旧暦の正月元日,つまり新年でした。毎年,旧正月が来ると,新今宮界隈には,香港・台湾からの宿泊者が増える,と松村先生から聞いていました。新今宮TICの外を通る人通りは増えたような気がしましたが,利用者はあまり来ませんでした。
 最初の利用者は日本人の三世代家族が,天王寺動物園への行き方を尋ねて来られました。新今宮TICのスタッフを何度も経験すると,天王寺動物園がどこにあるのかは当たり前のことになっていますが,初めて新今宮界隈に来た人にとっては,とても分かりにくいようです。やはり道路や曲がり角などでの行先案内を増やす必要があると思います。
 次の利用者はとても深刻な相談でした。ホテル中央セレーネのマネージャーが連れて来られたタイ人男性で,JR環状線の列車内にボストンバックを置き忘れた,とのことで大慌てでした。JR新今宮駅へ同行して事情を説明すると,特徴的な鞄だったこともあり,見つかりました。ところが,関空紀州路快速の和歌山行きの車両に置き忘れたため,ボストンバックが発見されたのは,何とJR和歌山駅でした。とにかく見つかってよかった…。

松村先生からのひと言

 私も学生時代,一度だけ,トルコのイスタンブールで,ホテルにパスポートを忘れて空港へ向かい,途中で気づいて慌てて戻った経験があります。海外で遭遇するアクシデントは,言葉が上手く通じないだけ,本当にうろたえます。見つかって良かったですね。

2月16日(土)新今宮TIC(レポーター:大宅和佳)

【スタッフ】谷河里香(3),大宅和佳(3),平山あかね(1)
【利用者】4組6名。このうち2組4名が外国人で香港とカナダからの方々でした。
【来訪者】濱中勝司(OB),大阪商工会議所の溝口さん,松竹の職員1名,松村先生の合計4名。

 今日はとても冬らしく,時おり雪が舞い散る寒い1日でした。朝イチで来られた香港からの姉妹は,近鉄の「奈良・斑鳩1dayパス」をすでに購入されていて,近鉄で奈良まで行く方法を聞かれました。「奈良・斑鳩1dayパス」の存在は初めて聞いたので,そんなパスがあるのかと少し慌てました。
 大阪商工会議所の溝口さんは,近くに来る用事があったついでとのことで,松村先生を尋ねて立ち寄られました。実はこの2月初旬,この溝口さんのご尽力で,新今宮TICに「新世界・西成 食べ歩きMAP」の英語版が1万部届いた,と松村先生から伺いました。この英語版MAP,地域のゲストハウスや商店から,新しいのを補充してくださいとの依頼が,いくつも新今宮TICに寄せられていたのですが,在庫がほぼない状態でした。
 松村先生がこうした状況を溝口さんに相談して,溝口さんが色々なところにかけあってくださったおかげで,増刷が実現したとのことでした。
 松竹の職員の方からは,これまで松村先生からいただいたアドバイスがとても参考になったので…,とお礼かたがた,松竹座で開催されている2月花形歌舞伎公演「新八犬伝」と「GOEMON 石川五右衛門」の優待チケットをいただきました。片岡愛之助さんが主役を務めるこの公演は,なかなかチケットが入手できないプレミアものだそうです。

松村先生からのひと言

 歌舞伎は日本を代表する伝統芸能であり,外国人から「ぜひ観てみたい」という要望がとても強い世界無形遺産です。しかしながら,そうタイミングよく歌舞伎の公演がひらかれている訳でもなく,人気の公演はチケットの入手がとても難しく,この円高のなか入場料もかなりの負担になるので,外国人旅行者はなかなか歌舞伎を鑑賞できない状況にあります。
 そのようななか,実際に劇場をお持ちの松竹株式会社の方々が,外国人旅行者の受け入れに向けて動き出されていると聴くと,とても嬉しく,全面的に協力しなければと思います。京都南座のバックヤードツアーは,手頃な価格で歌舞伎の舞台裏を見学できる素晴らしい試みだと思います。歌舞伎を紹介する英語ウェブサイト(http://www.kabuki-bito.jp/eng/top.html)もあり,外国人旅行者のニーズに合わせてうまくプロモーションできれば,必ず人気を博すと確信しています。歌舞伎鑑賞だけを目的に訪日する外国人はさすがに少なく,宿泊施設と連携したプロモーションが鍵となるでしょうが,宿泊施設側にとっても,顧客満足度を高めるプラン造成につながるので歓迎されることでしょう。

2月17日(日)新今宮TIC報告(レポーター:山下喜央)

【スタッフ】村上恵美(3),山下喜央(2),橋田翔子(2)
【利用者】3組3名。このうち2組2名が外国人でイタリアとカナダからの方でした。
【来訪者】テレビ大阪のディレクター。

 今日は「難波屋」という居酒屋のことを知りたいという利用者が来られました。「難波屋」は知る人ぞ知る立飲み屋さんであり,西成ジャズ発祥のお店でもあります。この利用者の方も西成ジャズを難波屋で聞きたいとのことでした。西成ジャズのライブスケジュールは,http://nishinarijazz.blog133.fc2.com/に掲載されていますが,それ以上の情報は出てきません。松村先生に電話して伺ったのですが,特に新しい情報もなく,お店は予約できないので,ライブスケジュールを確認したら,あとはふらっと立ち寄り楽しむだけだそうです。
 イタリア人利用者は,中古のCDを売っているお店へ行きたいとのことでした。品ぞろえの多い店舗がいいということでしたので,南海なんば駅近くの規模の大きなところを紹介しました。カナダ人利用者は「日本のヌードルを食べたい」とのリクエストで,「うどん? ラーメン? そば?」と尋ねたところ,「そば」ということでしたので,「新世界・西成 食べ歩きMAP」掲載の新世界「更科」を紹介しました。
 その後,テレビ大阪で以前に新今宮TICの取材をしていただいたディレクターが,「松村先生はいらっしゃいますか」と来られました。先に難波屋の件で松村先生にお電話した際,「今日は子供と遊んでるから,何かあったらまた電話して」とのことでしたので,「先生にお電話しましょうか」と対応すると,「特別な用事はないのでまた来ます」と名刺を置いて帰られました。

松村先生からのひと言

 難波屋は色々な意味で,驚異的な立飲み屋です。これまで多種多様な私の友人を連れて,この難波屋へ飲みに行きましたが,誰もが色々なことに驚いて帰られました。言葉ではなかなか表現できませんが,このまちの原点がここにあり,このまちの将来もここにある,私は最近そう思っています。

2013年2月23日(土)新今宮TIC報告(レポーター:中川光華)

【スタッフ】谷河里香(3),大宅和佳(3),中川光華(1),濱中勝司(OB)
【利用者】3組6名。このうち2組3名が外国人で,韓国,アイルランドからの方々でした。
【来訪者】松村先生,張宝(4)の計2名。

 朝10時過ぎに韓国ソウルから来られた女性の利用者は,英語も日本語も上手い大学生でした。
 アイルランドから来た二人組の若い女性は,「かわいい服を売っているところは?」,「今晩どこかでショーをしている?」,「この近くでお寿司を食べたいが,いい店はありますか?」と質問されました。たまたま来られていた松村先生が対応されたのですが,どれも新今宮TICではよくある質問だそうで,大阪の地図と「新世界・西成 食べ歩きMAP」を使い,楽しそうに会話されていました。ショーに関しては,最初,松竹座の歌舞伎のチラシをお渡ししたのですが,やはり「値段が高い」と反応されました。そこで,新今宮TIC前のポスターを見ていただきながら,オーエス劇場で「カジュアルな歌舞伎がリーズナブルな値段で見られる」,と大衆演劇の鑑賞をお薦めしたところ,関心を示されていました。

 本日来訪された松村先生は,新今宮TIC内で,この界隈のゲストハウスの2012年外国人宿泊者数の統計データを整理されていました。松村先生から伺ったのですが,2012年の新今宮界隈の外国人宿泊者数は,東日本大震災前の2010年と比べて,見事なV字回復を記録したそうです。ホテル中央グループ6軒とホテル東洋・太洋の8軒のみで,2012年の外国人のべ宿泊者数は9.5万泊,新今宮全体では11万泊から12万泊くらいに達したのではないか,と嬉しそうに話されていました。

松村先生からのひと言

 2012年の新今宮界隈の外国人旅行者宿泊状況は,かつて石森秀三先生が予言した「アジア発の観光ビックバン」の到来を予感させるものでした。LCC(格安航空会社)の関空乗り入れで,アジアからの旅行者が着実に増加し,地域全体としての外国人受入れ実績も,飛躍的に伸びました。新今宮界隈の外国人受入れ実績は,近い将来頭打ちするだろう,と私は予想していましたが,今年はその限りではありませんでした。いずれどこかで,きちんとした分析を行い発表したいと思います。

2013年2月24日(日)新今宮TIC報告(レポーター:松川和矢)

【スタッフ】昌山志保(4),松川和矢(2),濱中勝司(OB)
【利用者】3組10名。全て外国人で,ハンガリー,シンガポール,韓国からの方々でした。来訪者はなし。

 本日,新今宮TIC前は途絶えることなく家族連れや観光客が行きかい,ジャンジャン横丁や新世界もとても賑わい,多くの飲食店で行列もできていました。
 午前中,ハンガリーの女性2名が,「スルッとKANSAI 1dayチケット」を買いたい,と来られました。スルッとKANSAIの2dayと3dayは知っているのですが,1dayは昌山さんも濱中さんも聞き慣れないとのことで,調べてみると「大阪周遊パス」のことでした。
 このようなお得チケットは,乗れる路線と乗れない路線があったり,鉄道会社によって名前が違ったりして,外国人だけでなく日本人でも,分かりにくいのが現状です。鉄道会社や路線など全く気にせず,鉄道も地下鉄もバスも,全ての公共交通機関が乗り放題というチケットが,おそらく一番わかりやすく便利なはず…。オール関西で色々な壁を取り払って,そんなわかりやすいチケットができたらいいのになあ,と強く思います。
 この2名のハンガリー人を動物園前駅の駅長室まで同行案内したのですが,その道中での会話は終始日本語。日本語留学で埼玉県に住まれている方々で,同じ日本国内でも大阪の雰囲気は独特で,旅行していて楽しい,と話されていました。たとえお世辞でも,大変嬉しいことです。しかし,大阪の交通は,たとえば,「新今宮駅」と「動物園前駅」のように,同じ地区で違う駅名になっていてわかりにくい,とも言っておられました。
 確かに考えてみると,新今宮の東隣りは,「天王寺」と呼ぶ人もいれば,「阿倍野」と呼ぶ人もいるし,鉄道の駅名でも「JR天王寺」,「近鉄阿部野橋」,地下鉄は「天王寺」と「阿倍野」があり,とてもややこしいと思いませんか。

松村先生からの少し長めのひと言

 地名や駅名には色々な歴史や思惑があって,なかなか単純にわかりやすく…とはいかないのが現状です。たとえば,私たちが活動している地域などは,最もどう呼べばいいのか微妙なところです。新今宮TICは西成区太子1丁目にあり,ここはかつて「釜ヶ崎」や「あいりん地域」とも呼ばれていました。
 新今宮TICの名前を付ける際にも,観光インフォメーションセンターの頭にどの地名をつけるのか,地域やゲストハウスの関係者とずいぶん話し合いました。「釜ヶ崎」も「あいりん」も,観光という言葉と全くなじまない…。「西成」や「太子」もやはりなじまない…。そのうえこれらの地名を外国人旅行者は全く知らないし,大阪の外から来た人も全く知らないだろう…。
 そこで残った選択肢が「動物園前」か「新今宮」でした。こんな時は利用者目線が大切で,外国人旅行者の多くは,関西国際空港や新大阪からJRや南海の「新今宮」を目指して来ます。新世界や通天閣へ行く日本人観光客もほとんどが「新今宮」を目指すので,最終的には色々な人たちと相談して,「新今宮」という名前でブランド化していこうとなりました。「新今宮観光インフォメーションセンター」という名前には,色々な人たちの思いや希望が込められています。