【松ゼミWalker vol.106】 西成ライブエンターテイメントフェスティバル2012に向けて始動!

10月9日(火)の釜ヶ崎のまち再生フォーラム主催「第171回まちづくりひろば」に参加して
「まちづくりひろば」について(レポーター:3回生 村上恵美)

 2012年10月9日(火)18時30分から,釜ヶ崎のまち再生フォーラム主催の「まちづくりひろば」が西成市民館で開催されました。釜ヶ崎のまち再生フォーラムは,漫画家のありむら潜さんが事務局長を務めるまちづくり組織で,松村嘉久先生も理事を務めてらっしゃいます。まちづくりひろばは,釜ヶ崎で活動したり生活したりする個人が,自由な立場からまちづくりについて,具体的な話し合いをする場です。

 1999年から始まったまちづくりひろばは,今回で第171回目の開催。この伝統あるひろばで積み重ねてきた議論が,松村先生やありむらさんも参加された西成特区構想有識者座談会で,活かされたそうです。
 この日の話題提供者は松村先生で,タイトルは「「西成ライブエンターテイメントフェスティバル2012」について」でした。現役労働者,地域住民,アパート経営者,労働組合,アルコール依存症問題に取り組む団体,西成区役所,借金債務問題の相談をする団体,新聞記者,テレビ局職員,集まった30数名は実に様々な人たちで,全員が所属する組織や団体のことは気にしないで,自由に意見交換をしました。
 今回の話題は,私たち松村ゼミが深く関わってきたことなので,松村ゼミからも,昌山志保(4),小林志帆(4),谷河里香(3)と私の4名が参加しました。

「西成ライブエンターテイメントフェスティバル2012」について
(レポーター:4回生 昌山志保)

 ありむら潜さんの司会のもと,松村先生からの話題提供は,30分くらいの時間を使い,西成ライブエンターテイメントフェスティバル2012(通称・西成LOVEフェス)の趣旨,具体的な計画,現在の準備状況,大阪集客プラン事業への応募と結果,などについて説明されました。松村先生が説明された具体的な内容は,おおよそ四つのことでした。
1:2012年11月16日(金)から11月25日(日)に期間を限定する。
2:その期間中に西成で行われるライブエンターテイメントの情報を収集して,個々バラバラにではなく,総体として宣伝する。具体的には,オーエス劇場,鈴成座,梅南座,動楽亭,西成ジャズなどの公演を宣伝して応援します。
3:宣伝の方法は三つ,既存のウェブサイトを利用する,自分も参加して口コミで友人を誘う,チラシを作成して地域のゲストハウスで配布する。
4:2012年11月25日(日)夜に,西成LOVEフェスのフィナーレとして,ホテル中央セレーネのロビーで西成ジャズのライブを行う。
 松村先生は,「無理はしないで,できる限りのことをできるだけやりましょう」,「これで終わりではなく,ここから始まるというようなイベントにしよう」,ということを強調されました。

実行委員会の立ち上げと私たちの役割
(レポート:4回生 小林志帆)

 まちづくりひろばのなかで,西成LOVEフェス実行委員会も立ち上げられました。松村先生が考えられていた実行委員会はあくまでも仮のもの。まちづくりひろばに集まった人たちは,色々な方面で活躍されている方々で,顔も広く色々な才能をお持ち。その場で司会のありむらさんが「○△さん,ぜひ実行委員になってくださいよ」と呼びかけ,「いいよ」と答えられた方が何名かおられました。

 さて,私たち松村ゼミの学生たちも,何名かの代表が実行委員として加わることになりました。松村先生の説明では,実行委員会の主な役割は,西成LOVEフェスをあちらこちらで宣伝し,必ず期間中にライブエンターテイメントを自分も楽しみ,友人などをそこへ誘うことだそうです。会場からは「実行委員というより,呼びかけ人みたいやね」という声があがりましたが,松村先生は「それで十分です,できるだけたくさんの人に,西成に来てライブを楽しむよう,呼びかけてください。」とのことでした。
 問題となるのは,西成LOVEフェスを宣伝するコンテンツの作成です。誰が色々なところに働きかけて,取材して,まとめて,発信するのかです。これに関しては,社会人のみなさんは何かとお仕事が忙しく,時間がとれないので,松村ゼミ所属の学生実行委員が担当することになりました。

早速,実行委員で西成ジャズを見に行こう!!
まずは,その前に食事!!(レポーター:3回生 谷河里香)

 9日(火)のまちづくりひろばには,西成ジャズの仕掛け人でドラマーの松田順司さんも参加されていました。私たちはその場で,「西成LOVEフェス,よろしくお願いします。」とご挨拶させていただきました。松村先生から事前に,翌日10月10日(水)の難波屋での西成ジャズのライブを見に行こうと誘われていたので,「明日のライブに行きます。」ともお伝えしました。松田さん,見た目は少し怖そうな風貌をされていますが,ニコッと笑われると印象が変わりました。松村先生によると,「ドラムを叩いている時は本当に格好ええで」とのことでした。

 翌10日(水)は17時30分に新今宮TICに集合しました。難波屋でのライブは19時から。集まったのは,大宅和佳(3),村上恵美(3),林宜欣(3,高雄餐旅大学からの交換留学生),松川和矢(2),私と松村先生の6名でした。ライブまでまだ時間があり,お腹も空いていたので,先に食事へ行こうとなりました。
 どこへ行こうかと迷った末,松村先生が「鍋にしよう,すき焼きがええ,ええとこ知ってんねん!!」とおっしゃり,釜ヶ崎の三角公園近くの「なべや」というお店へ連れて行ってくださいました。お店に入ると偶然にも,西口宗宏OIG会長が友人と食事されていました。松村先生が「おすすめメニューは何ですか」と西口さんに尋ねると,「そらこの季節ならカキ鍋や。あとこの店でマグロのすき身とイカの糸造りは外せんやろう。」とのことでした。
 松村先生が「それならカキ鍋を2人前とすき焼きを2人前…それと…」と注文していると,西口さんは「それで充分やわ。それくらいにしとき。女の子多いし,食べきれへんで。」とのアドバイス。鍋が出てきたら,このアドバイスに納得でした。すき焼きは1人前で650円!! 6名で食べて飲んで5千円少しという驚きの価格。ボリュームたっぷりで味も良く,交換留学生の林さんも「美味しい!! 安い!!」と驚いていました。松村先生によると,新世界・西成食べ歩きMAPにも,「なべや」はぜひ掲載したかったお店だったそうです。残念ながら,予定していた地図の範囲に入らないので断念されたとのこと。

いよいよ難波屋でのライブ!!
(レポート:3回生 大宅和佳)

 私たちが難波屋へ駆け込んだのは,開演19時の15分ほど前。奥のライブスペースに入ると,前の方にちょうど私たちが座れるくらいの空席があり,無事着席。バンドの編成はピアノ(大友孝彰)・ウッドベース(山本久生)・ドラム(松田順司)とボーカル(阪井楊子)の4名。
 ベースの山本さんは,開演10分前にマスク姿で会場入り。山本さんがベースをケースから出すと,開演前の音質や音量のチェックが始まりました。それが終わる頃,ライブ会場は満席で,後ろの方に立ち見も出る状況でした。
 開演を待つしばらくの間,会場にいらした女性と私たちとの間で会話が弾みました。「みなさんは誰のファン?」「ドラムの松田さんのファンです。」「難波屋にはよく来られるのですか?」「いえ今日が初めてです。」「僕は2回目です(松川君)。」「みなさん,ご一緒? 何かのグループなの?」「阪南大学の学生と先生です。」という感じでした。目鼻立ちがはっきりしたハーフのような美人の方でした。
 そうこうするうちにライブが始まりました。最初の曲はボーカルなしで楽器のみの演奏。今日のボーカルの阪井さんは,私たちのすぐ前に座って,A4サイズくらいの小さな楽譜を何枚か選び,順番に並べて,クリップでとめてらっしゃいました。
写真は別の日に松村先生が撮影された難波屋でのライブです。

驚きのライブ
(レポーター:教員 松村嘉久)

 最初の曲が終わると,阪井さんがクリップとめの楽譜をバンドのみんなに配り,そこからが驚きの連続でした。阪井さんはバンドの3名に向かい,「ちょっとアップテンポでファンキーな感じで,みなさん,せーので一緒に入ってください…」とだけ伝え,指パッチンでカウントをとると,本当にビシッとせーので曲が始まりました。
 私は「世界地誌学a」という科目で,ブルースやジャズやソウルなど黒人音楽が生まれ育つプロセスを,アメリカの黒人問題と絡めて講義しています。そのような経緯から,ジャズが即興性の強い音楽だということは,良く知っていますが,それにしても,「ええ,今の会話が打合せ?!」と驚きました。楽譜を見ると本当にペラペラの1枚もので,コード進行が書かれているくらい。演奏する皆さんは楽譜を見ないで,聴覚を研ぎ澄ませて,相手の出す音を聴きながら,call & responseで自分の音を展開されます。その姿はまさにプロのミュージシャン,ライブでしか味わえないスリルや感動がそこにあります。
 ライブの途中でボーカルの阪井さんが,「今日はたまたまゲストが来ているで,一緒に歌ってもらいます」とさっき学生たちと会話していた美人を紹介されました。彼女は阪井さんと「Gee-Baby」という女性ボーカルデュオを組んでいる宮藤晃妃さん。この二人のハーモニーはとても新鮮で,最高でした。
 学生たちとはファーストステージが終わったら帰ろう,と話していました。ところが,セカンドステージもこのデュオが歌うと聞き,私は居残ることを決め,たっぷりとアツいライブを堪能し,大満足の夜となりました。