今年最後のまち歩きツアーも大成功!?

早朝からのお茶会準備(レポーター:仲田美穂3回生・大宅和佳1回生)

 2010年最後の外国人向けまち歩きツアーを11月28日(日)に行いました。今回のまち歩きツアーは松村研究室だけでなく,多くの方々との協働で実現しました。主催は茶臼山を古戦場跡にする会,共催者は天王寺動植物公園事務所・阪南大学国際観光学部松村研究室・阪南大学茶華道部。この他に阪南大学書道部・大阪市立デザイン教育研究所・アーツ☆エンターテイメント学院・大阪城甲冑隊にご協力いただきました。松村先生によると,「想いや立場は別々でも,共通の目的に向かって力を合わせて働く」のが協働の意味だそうです。今回は「天王寺公園の魅力再発見!!」という共通の目的で協働しました。
 松村研究室の役割は,新今宮で外国人参加者を募ってツアーの一環として長生庵でのお茶会に誘うこと。責任重大です。ツアー前日までなかなか参加者が集まらず,「集まらなかったら協力してくださった方々に申し訳ないなぁ…。当日の外国人参加者の勧誘を頑張ってもらわんと!!」と少し不安を抱えながら当日を迎えました。

 ツアー当日の松村ゼミメンバーは,茶道具搬入組(3名),お茶会準備組(12名),FIT集客組(4名),まち歩きツアー組(9名),TIC運営組(4名)の総勢32名が,5つのグループに分かれ,入念な打ち合わせのもと,互いに連携を取り合いながら動きました。学年はバラバラで,1年生が5名,2年生が9名,3年生が6名,4年生が9名で,OBらも協力してくれました。まち歩きツアーのノウハウを後輩たちへと伝えなければならないので,多くの1・2年生たちが参加してくれてとても心強く思いました。
 さて,茶道具搬入組は朝の8時半,阪南大学本キャンパスに集合し,茶華道部が当日使用する茶道具を車に積み込み,天王寺公園入り口まで運びました。そこで9時半にお茶会準備組,茶華道部の皆さん(指導者の河谷紀子先生ほか部員15名),茶臼山を古戦場跡にする会の川村真章代表,お茶会をご支援いただく矢野加寿子さんと合流して,慶沢園へと向かいました。
 その頃,FIT集客組は9時にTICに集合して,新今宮界隈のゲストハウスを回りチラシを配り,FIT参加者を募りました。前日までのツアー参加希望者は4名でしたが,10時過ぎ,FIT集客組から松村先生の携帯に「参加者が8名になりました。国籍は…」と連絡が入り,松村先生の判断で参加呼びかけは打ち切り,FIT集客組もお茶会準備に合流しました。

 さて,お茶会の準備ですが,茶室内の準備は全て茶華道部にお任せして,私たちは外の準備を行いました。
 今回のお茶会は,入園者先着10名様限定で1回,その後に外国人参加者限定でもう1回,という予定でした。入園者先着10名様の受け付けは13時開始予定。どれくらいの人が来るのか,全く予測がつきません。希望者が殺到して混乱すると困るし,誰も来ないと…もっと困ります。長生庵の外の混乱を防ぎながら,賑わいを上手くコントロールしなければなりません。
 ゼミで色々と話あった結果,お茶菓子を多めに用意して,茶室内でのお茶会に参加できなかった人を対象に,外で野点風にお茶菓子と緑茶を振舞おうということになり,「お茶菓子引換券」を60枚ほど用意しました。お茶菓子は堺銘菓の小島屋の「けし餅」,緑茶はゼミ生の丸市将平さんの実家で採れた上物を用意。

 長生庵の外には石のベンチが三つ並んでいました。そこに赤い毛氈を敷き,茶華道部からお借りした野点傘をたてると,それだけで雰囲気が一変しました。松村先生はゼミ生にお茶菓子引換券を託し,「外の賑わいを絶やさんよう,でも人が殺到して混乱せんよう,うまいこと様子を見ながら配ってや…」と難しい指示。
 そうこうするうち,侍ショーをやっていただくアーツ☆エンターテイメント学院の方々,大阪城甲冑隊の方々も合流しました。河内長野の烏帽子形城の合戦でもお世話になった大阪城甲冑隊代表の河井計実さんも,別の場所でイベントしている途中にもかかわらず,甲冑姿で駆け付けてくださいました。大阪城甲冑隊の賑わい創出力は抜群,来園者の皆さんが赤鎧のまわりに集まりはじめ,長生庵前は記念撮影会場となりました。準備はバッチリ,役者も揃いました。

まち歩きへLet's go! (レポーター:安達七菜4回生・久保田早也佳4回生・加藤宏美2回生・小林志穂2回生)

 まち歩きツアー組は12時半に新今宮TICに集合しました。13時前からちらほらと外国人参加者がTICに来訪,セレーネに移動してもらい受付けました。最終的な参加者は,オーストラリア人4名,韓国人1名,イングランド人1名,ドイツ人1名,フランス人1名,日本人1名の9名で,男女別では男性5名の女性4名でした。これにホテルオアシスのフロントスタッフも見学で加わりました。TIC運営組を残して,私たちは13時過ぎ慶沢園へ向けて歩き始め,13時半には茶室前に着きました。
 ホラ貝を吹いて出向かえてくださった大阪城甲冑隊の皆さんに,FIT参加者は驚き,興味津々。実は案内役の松村ゼミの学生たちも,大阪城甲冑隊とは初対面の者が多く,大興奮。すぐに赤鎧姿を囲む輪ができ,紙製の甲冑や大阪城での清掃ボランティア活動などの話題で盛り上がりました。FIT参加者のお茶会は14時半から,侍ショーは14時からなので,天王寺公園スタッフの協力も得ながら,大阪城甲冑隊の警護を受け,私たちはFIT参加者と慶沢園を散策。要所要所で慶沢園の見どころを解説し,紅葉と見事な日本庭園の景観をゆっくり楽しみました。

 14時からはアーツ☆エンターテイメント学院の学生4名による侍ショーが始まりました。私たちだけでなく,多くの日本人の一般来園者の方々も,このショーを取り囲み見学。お茶室前での賑わいの創出は大成功でした。ショーのあとはFIT男性4名が木刀を持ち,殺陣の形をマンツーマンで教わり,その場で皆に披露しました。切られ役の学生たちが上手いので,恐る恐る振りおろす外国人の一太刀が,切られ役の名演技で思いがけぬ必殺の剣となり,楽しそうに斬ったり斬られたりしていました。やはりチャンバラは世界共通で面白いと受け止められるようです。この侍ショーをしてくれた若者のなかには現役の高校生がいて,一同,若いのにすごい…と驚きました。

 侍ショーが終わる頃,ちょうど初回のお茶会も終わり,FIT参加者たちは茶室(長生庵)のなかへ入りました。いよいよ,本日のメインイベントのお茶会が始まります。英語の得意な松村ゼミの高橋はる香(4回生),英語の上手い留学生のタン=イーヘン(マレーシア・3回生)・キキ(ミャンマー・3回生)も,解説役として茶室へ入りました。
 茶室で少し落ち着くと,今回のお茶会主催者の川村さんから,床の間に飾られた「一期一会」の掛け軸についての説明がありました。この掛け軸,阪南大学書道部師範の谷大峰さんが,わざわざこの茶会のために書かれたものですが,何年も前からこの床の間に飾られていたような風格を感じました。

 その後は,阪南大学茶華道部の部員たちによる本格的なお茶会。FIT参加者たちは説明を熱心に聴き,少し緊張しながらも和やかな雰囲気のなかで,お茶と茶菓子を美味しくいただきました。15時少し前にお茶会は終わりました。外に出て来る参加者たちを大阪日日新聞の記者が待ち受けインタビュー取材,松村ゼミの高橋はる香(4回生)が通訳として付きました。どの参加者たちにも満足していただけたようで,興奮気味にこの日の貴重な体験を語っておられました。さて,ツアーの際のお約束,全員揃っての記念撮影。茶華道部や大阪城甲冑隊ほか多くの関係者が加わり,とても賑やかなものとなりました。今回のツアーが多くの人々に支えられたことを実感した記念撮影でした。

記念撮影

  • お茶会終了後の記念撮影(クリックで拡大)

  • 大阪城甲冑隊との記念撮影

  • 1回目のお茶会の様子(矢野加寿子さん撮影)

  • 2回目のお茶会の様子(矢野加寿子さん撮影)

  • 解説する茶華道部部員(矢野加寿子さん撮影)

  • 阪南大学茶華道部の皆さん(矢野加寿子さん撮影)

茶華道部の部員からいただいた感想

塚本あずみ(国際コミュニケーション学部4回生)

 創部以来初めての外部茶会でした。このお茶会の話を頂いたときは,飛び上がるほどに嬉しかったです。
 私は第一席目の半東を務めさせていただいたのですが,緊張して思う通りには上手くおもてなしができませんでした。しかし,部の実力や部員の結成力を知ることができて,お茶会以上に良いものを得たのも事実です。
 次回できる機会があれば,お道具の名前を周知して,精進していきたいです。私にとっては引退年だったので,良い経験になり,かけがいのないものとなりました。本当に有難うございました。

覚井晴貴(経済学部4回生)

 今回は貴重な経験をさせていただき,本当にありがとうございました。
 今まで私達がお客様にお茶を立てる機会は,学祭やオープンキャンパスや初釜と,全て学内での活動でした。なので,今回の学外でのお茶席は皆緊張していましたが,私達も良い経験が出来ましたし,外国人の方にも日本の文化に触れてもらう良い機会になったのではと思います。
 4回生はもうすぐ卒業ですが,このような機会があればまた後輩達の為にもお誘い頂ければと思います。

竹内さなえ(経営情報学部4回生)

 文化財にも指定されているお茶室を利用させてもらい,貴重な体験ができたと思います。外国の方に,少しでも思い出を提供できていれば嬉しいです。

辰口泰成(経済学部4回生)

 本格的なお茶会で驚きました。天王寺公園にあの様な茶室があるのとは知らなかったです。お客様も茶道経験者の方も来ておられレベルが高かったです。学生でやるにはもったいないくらいでした。粗相もなく終えられたのでよかったです。

住山裕美(国際観光学科3回生 茶華道部主将)

 最初お引き受けしたときは,楽しみというより不安が大きかったです。外部でお茶会を開催することが初めてだったので,打ち合わせに打ち合わせを重ね,何事もなく無事に成功したのではないかと感じます。
 このような貴重な体験,勉強をさせていただき,とても嬉しく思っております。
そして評判がよかったことを肌で感じ,ホッとしたのと,私自身も着なれない着物に苦悩しながらも楽しんでいました。
 私たち茶華道部のコンセプトである「日本の素晴らしい文化を伝える」ということがどれだけ難しく,かつたくさんの人々の協力必要だと身をもって思いました。
 成功したのもさまざまな人々のご協力のお陰だと思います。本当にありがとうございました。

長谷川結加(国際コミュニケーション学部2回生)

 始まる前はあまり緊張とかしなかったけれど,茶会の時間が迫るにつれすごく緊張しました。
 普段着物を全然着ないので動きにくかったり,細かいミスを何回もしてしまったりしたけれど,終わるのがあっという間に感じてすごく楽しかったです。
 そして,いつも大学の和室でばかりだったので,いい経験ができて本当に良かったと思います。

樋口侑華(国際観光学科2回生)

 私は着物を着てお運びを中心に動きました。お茶会自体初めてだったので初めは少し戸惑いもありましたが,やってるうちに段々と要領がつかめてきて,楽しかったです。また,外国人の方も喜んでおられたので,やって良かったと思いました。良い経験の場を下さってありがとうございました。

今成友美(国際観光学科2回生)

 私は今回のお茶会で着物を着てお茶を運びました。着物で動くのはすごくしんどく,慣れていないのですごく疲れました。でも,着物を着るのも外国人の方にお茶をお出しするのも,めったに出来ない経験ができたと思います。今回のお茶会は本当に良い経験ができました。最後に外国人の方に,「ありがとう」と言われたのが嬉しかったです。

末廣優佳(経営情報学部2回生)

 とてもいい経験ができました。天王寺にもこのような素晴らしい庭園があるのを知りました。
 裏方ではありましたが素敵なお茶室でおもてなしをすることができてよかったです。またこのようなお茶会をしたいです。ありがとうございました。

谷口沙織(国際コミュニケーション学部1回生)

 大学に入って初めてのお茶会で緊張しましたが良い刺激になり,とても良い経験ができました。
 今回のお茶会でまだまだ未熟だと感じたので,これからも日々精進したいです。また来年もぜひやりたいです。

西村好美(経済学部1回生)

 初めてのお茶会で緊張しましたが,自分にとっても良い体験になりました。また,初対面の人にお茶を出す動作でもうまくできなくて直していこうと思います。
 今回のお茶会を通して,もっとお稽古を頑張ろうと思いました。

山西史華(経済学部1回生)

 初めての本格的な茶室でお茶ができ良い経験ができました。外国人のお客様にお茶をたてるのは新鮮な体験ですごく楽しかったです。今回は企画していただいてありがとうございました。

松村先生からの長めの一言

 今回のまち歩きツアーとお茶会,翌日11月29日の「大阪日日新聞」朝刊が報じてくれました。新今宮地域に滞在する外国人旅行者にとって,天王寺公園は絶好の散歩コースです。JR新今宮駅から難波方面や天王寺方面にかけては,過去も現代も体感できる観光資源が多数あります。この界隈の魅力を上手く発信できれば,外国人も楽しめる半日くらいの散歩コースがたくさん成立することでしょう。今回のまち歩きツアーはその試みのひとつでしたが,確かな手ごたえを感じました。
 今年の全6回のまち歩きツアーでは,ツアー終了後にアンケート調査を行ってきました。今回のお茶会ツアーは,参加者9名のうち,6名から最高のexcellent,3名からその次に良いvery goodの総合評価を得ました。これは平野郷の夏祭りに次ぐ高評価。アンケートではその日に訪問した観光地や,体験した日本文化の認知度を尋ね,外国人向けの観光資源としてのポテンシャルも尋ねています。

 今回のまち歩きツアーは,これまで以上に色々な人たちに働きかけて巻き込み,ご協力ご支援いただき実現しました。苦労も多かった分,喜びも多いものです。ご協力ご支援いただいた方々は,全てボランティアで参加していただきました。皆さんの気持ちと志に敬意を表し,その行動に感謝申し上げます。とりわけ,茶華道部を指導する河谷紀子先生,RING BELLS代表の矢野加寿子さん,アーツ☆エンターテイメント学院校長の八木哲夫さん,天王寺動植物公園事務所の大川典子さん,大阪城甲冑隊の皆さんに,とてもお世話になりました。ありがとうございました。これからも,また協働する機会があるかと存じます。今後ともよろしくお願いいたします。
 この慶沢園を舞台とした企画,一回で終わらせるのは勿体ない…。負担にならず私たちも楽しめるよう,細々と,けどしっかりと,続けて行く道筋を探りましょう。茶華道部の皆さん,河谷紀子先生,ぜひまたご協力ください。
 谷大峰師範,近い将来,「一期一会」の掛け軸,また必ず使わせていただきます。改めて,「一期一会」とは,とても重く,生と死の境目に立つような悲壮感が漂いつつも,潔く,爽やかな言葉ですね。