阪南大学国際観光学部 3年  村田 歩夢

1. はじめに
 私は2022年4月から2023年10月までの約1年半に渡り、JATA(日本旅行業協会)関西支部と関西エアポート株式会社の共催による「第14回関空発学生と旅行会社で作る海外旅行企画コンテスト」に応募し、優秀賞を獲得することができました。このコンテストは、関西国際空港発着の航空会社を利用した海外旅行プランを企画することが条件になっており、まず、旅行会社が参加する書類審査(一次審査)があり、旅行会社に選ばれた企画案が選ばれ、最終審査会(プレゼンテーション)に向けて旅行会社と協力し企画案を磨き上げ発表するというものです。
ここでは、一連の活動を振り返り、参加を決めた経緯や印象に残っていることについて述べます。
 
2. 経緯
 私は大学1年生の時に小林先生の入門ゼミに所属していました。小林ゼミは李ゼミ、来村ゼミ、福本ゼミとともに4つのゼミからなる合同ゼミ活動を行っています。毎年、各ゼミが2グループに分かれ、合計8グループで東アジア地域の中学・高校生を対象とした訪日教育旅行プラン(修学旅行)を企画し競い合う活動を行っています。
 そこで私は「旅行企画」に初めて出会い、自分の作りたいものを0から作るという点に他のモノとは違う「楽しさ」を感じました。しかし、3位という悔しい結果となり、楽しいだけではいけないという自身の力不足を痛感しました。そして、大学2年の春に本格的に旅行企画を学ぶため、小林先生の「特講2」(旅行プランニング)という講義を受講しました。その過程で「関空発学生と旅行会社で作る海外旅行企画コンテスト」を紹介していただきました。出場を決めたきっかけは、小林ゼミの4年生の先輩が出場していた第13回のコンテストに応援としてご同行した時です。そこでは最終審査会として7つのグループによる企画発表(プレゼンテーション)が行われていましたが、私が1年生のときに経験したものとはレベルが異なり、どのグループも作成した企画に自信を持って発表している姿に感動し、自分もこの舞台に立ちたいと強く思い参加を決意しました。
 
3. 企画した旅行プランについて
 一次審査を通過し、最終審査に向けたプランを作成するにあたり、株式会社JTBの仕入商品事業部の方々に協力していただき、より良いプランを作成するために行程等の内容やプレゼンテーションの仕方についてアドバイスをしていただきました。一次審査用に単独で作成した企画は、「Z世代の人間関係の希薄さ」に着目した上で、友人を信頼する事の美しさを描いた太宰治「走れメロス」をテーマにし、作品の舞台であるイタリア南部のシチリア島を巡りながら、友情を強くする試練を協力して乗り越えるもので、Z世代の2人組をターゲットに作成しました。しかし、担当の方の「シチリアはゴッドファーザーやニューシネマパラダイス等のZ世代の親世代に馴染み深い作品が多い」というアドバイスを受け、Z世代の親子関係を題材にシチリアが舞台の作品をテーマにしたものに作り変えました。その過程で、私は大学の男子学生対象に「あなたは父親と母親のどちらが好きですか?」というアンケートを取ったところ、母親が好きと答えた学生は68%と男子大学生は母親人気であることが判明しました。しかし、理由も聞いてみたところ父親が嫌いということではなく、「母親は相談に乗ってくれるから」や「母の方が話す頻度が多いから」等、母親と過ごす時間の長さに起因する理由が大半を占めていることに気が付きました。そのため、旅行で時間や価値観を共有することにより、母親派から父親派になれるのではないかと考え、Z世代の息子とX世代の父親をターゲットとし、シチリア作品の中でも特に「男の友情」を描いた作品をピックアップして、それぞれの舞台で作品に合った経験を提供するプランに仕上げました。
 
4. 発表を振り返って
 最終審査会は10月にインテックス大阪で開催された「ツーリズムEXPOジャパン」の会場の中で行われました。審査会には李先生や小林先生、JTB仕入商品事業部の方々も応援に駆けつけてくださり、1人での参加は私だけでしたが孤独感や寂しさを感じることなく安心してプレゼンテーションに臨むことが出来ました。
 
5.まとめ
 今回の活動を通して、普段の学校生活では経験できない旅行会社のリアルな働き方を身近に体験することができました。一連の経験で学んだことを糧に今後の学業や卒業後の生活にも活かしたいと思います。また、今回のコンテストでは、グランプリや準グランプリといった輝かしい結果を得ることは叶いませんでしたが、最後まで自分の出せる力を出し切ったと実感しているため後悔は全くありません。