活動テーマ:競争力のある観光事業の発展による地域貢献~体験型宿泊プランの提案~
産学連携先:(株)関電アメニックス・ホテルエルシエント京都


 本キャリアゼミ活動では、ホテルエルシエント京都の協力のもと、ホテルビジネスの現状を学び、ホテルがより競争力を高めるための宿泊プランを提案しました。
 宿泊プランの提案に向けて、まず、6月に、ホテルがこだわるサービスや設備について知るために施設での実地調査を行いました。また、8月22日~27日の5泊6日で韓国の学会である東北亜観光学会主催の発表大会(釜山の東義大学)と、忠清北道、清州地域の観光振興のため清州大学との合同資源調査に参加しました。8月23日の東北亜観光学会大学生発表大会では、前期のゼミ活動で取り組んできたホテルエルシエント京都を事例とした宿泊プランについて発表しました。そして24~26日の2泊3日は、忠清北道、清州市にある清州大学の学生と共に清州地域の観光振興を考える現地調査に参加し、グループワークを行いました。この活動を通じて、日韓の学生がゲスト・ホスト双方の視点から清州市の活性化に向けて議論し、意見を集約し発表することにより、取り組んでいる課題解決にむけてのおおくのヒントを得ることができました。
 さらに、9月には、ホテルインターンシップに参加し、フロント業務やベッドメイキングなど、現場でホテル業務を学びました。お客様と直接関わる業務はもちろん、そうでない業務においても丁寧さや速さが求められ、お客様が快適に過ごすためには、各部門のそれぞれの仕事が大切であると学びました。
 そして最後に、これまでのキャリアゼミ活動で学んだことを踏まえて、ビジネスホテルでありながらもレジャー需要への対応も意識した宿泊プランを企画。2月6日にホテルエルシエント京都の関係者を交えて最終報告を行いました。

ゼミ集合写真

参加学生一覧

中井 涼介、岩田 栞奈、笠井 宏美、勢力 颯太、和家 恵梨香、和田 果実、尾坂 美紀、中井 翔吾、廣瀬 由妃乃、枡井 香那未、向 優貴、盛 優大、吉岡 楓美香、渡辺 幸峰、小倉 涼帆、酒井 瞬、山口 翔平、吉本 幸弘、折坂 有哉

学生活動状況報告

国際観光学部3年 和家 恵梨香

 初めてエルシエント京都を見学した時は、とても綺麗なビジネスホテルという印象でした。館内説明では、通常ビジネスホテルといえば、個室にバストイレのみ設置が多い中、大浴場も完備されていて、シャンプーや化粧水も好みのものを選ぶことができるとされ、女性が喜ぶポイントを押さえたホテルだと感心しました。このようなホテルに対して、私たちがどのような宿泊プランを提案できるのか不安でした。そこで、私たちは、ホテルが立地している京都に着目し、京都の良さを深堀りして、京都の魅力とホテルを関連させたプランを考えました。
 今回の宿泊プラン作りでは、これまであまり地域を深堀りする経験がなかったため、調査方法や内容について一から話し合い、決定するのにずいぶん苦労しました。また、報告会に向けてパワーポイントを一から考え、どのようにすれば、相手に伝わりやすいかなど、一つ一つ作り上げていく事の大変さや大切さを経験しました。
 そして、出来上がったプランを何度も見直すうちに、ビジネス現場では、何度も試行錯誤しながら作り上げたプランが販売されていることに気づきました。これまであまり深く考えることなく、旅行商品(プラン)をただ利用して旅行をしていましたが、実はたくさんの人の手で作り上げた物だと気づき、これまでと物事の見かたが変化していくのを実感しました。9月のインターンシップではホテルの業務内容を学びました。ベットメイキングでシワひとつ出来ないようにする方法など、お客様の目に触れないところまで大切にしていることを学びました。また、ホテルといえば、フロントのイメージが強かったのですが、オフィスの中では、フロントが取れなかった電話の対応だったり、忘れ物の保管状態をチェックしたりと、私が思っていた以上に裏側での業務もたくさんある事を知り、ホテルの仕事ついてより深く理解するきっかけになりました。

国際観光学部2年 𠮷岡 楓美香

 キャリアゼミ活動で、私は、先輩方の発表を聞いて、多くのことを学びました。発表を聞いてまず、感じたことは、聞く側に理解してもらい、さらに興味を持ってもらうようなプレゼンテーションをすることの難しさです。理解してもらうために、内容を細かく説明することは大切ですが、細かすぎると長くなってしまい聞く側も飽きてしまうと思います。そのようにならないためにも、内容を順序よくまとめ、分かりやすく伝える力が必要であることと、そのためにはパワーポイントを工夫しするためパソコンの操作技術を身につけていきたいと思いました。また、発表終了後の質問では、金銭面であったり、現実性を問うような内容の質問や指摘を頂きました。私たちは宿泊プランを考えるにあたって、どのような宿泊施設が求められているのか、お客様が満足するためにはどうすれば良いのかに関してはこの1年間で少し理解できたと感じました。しかし、その考えたプランをどのように実現していくのかなど、現場での感覚が足りないと思いました。今後3年生の活動では、これまでの活動で学んだことを踏まえ、さらに良いプレゼンテーションができるように頑張ります。

国際観光学部2年 廣瀬 由妃乃

 ホテルエルシエント京都においてのキャリアゼミ活動は、夏休み中に行ったインターンシップを通して自分たちが学び感じたことを、ゼミ内でグループワークを重ね、その内容をパワーポイントでまとめ、報告を行いました。話し合いをする中では、様々な意見がでましたが、ホテルエルシエント京都は良かったことしか思い浮かばないほど悪い意見が出てきませんでした。それは、インターンシップで行かせていただいた際に、従業員の方々がすごく丁寧に教えてくださり、分からないこともすぐ聞ける環境を作ってくださって、とてもやりやすく良い印象を受けたからだと思います。また、2月6日の報告会では、ホテルエルシエント京都を近隣の他のホテルと口コミ内容の比較を行い、今後どのようにしていけば、より集客の向上につながるのかを考え、発表しました。至らない点も多々あったと思いますが、みんなで話し合い、調べた結果をまとめ、本番に挑めたことに達成感を感じました。発表の日は先輩方と一緒に行いましたが、自分たちよりも何倍もレベルが上で、自分も3回生になったらここまで出来るようになるのか、すごく不安に思ったと同時に少しわくわくする思いもありました。3回生の先輩が行った提案は凄く勉強になることが多く、納得させられることばかりでした。今回の発表は人前に立つことの緊張感と、グループの意見をうまくまとめることの大切さなど数多くのことを学ぶことができました。

連携団体担当者からのコメント

(株)関電アメニックス・ホテルエルシエント京都
マーケティング経営本部人材活躍部マネジャー 菅澤 砂智子 様

 2019年より産学連携させていただき、ホテル見学会やインターンシップの開催~報告会まで多くの学生にご参加いただき、ありがとうございました。
 初めての開催でご迷惑をお掛けすることもあったと思いますが、ホテル・観光業に興味を持ち、積極的に取り組んでいただけたと思っています。
 学生の皆さんの提案、新しい着眼点や、アイデアに触れ、とても刺激を受けました。
報告会のプレゼン発表は、資料はもちろん、発表内容も完成度が高く、業界の現状や弊社運営施設の問題点など、限られた時間内でしっかりと分析できており、感心致しました。
 課題としては、インターンシップで「職業体験」を十分にしていただけなかったこと。2日間と限られ時間で、いろいろな業務を少しずつ体験いただきましたが、「体験」ではなく「見学」になった業務もあったと思います。今後のインターンシップ開催の際は、期間を少し長めにし、1つ1つの業務を「体験」していただけるプログラムに修正したいと思います。また、ホテル従業員とのコミュニケーションの時間を充実させ、現場のリアルな声を発信していきたいとも思っています。
 初めての事も多く、手探りで進めてきましたが、李先生はじめ、学生の皆さんのご協力のもと、無事に終える事ができました。ありがとうございました。
 一連の活動が、ホテル観光業界、弊社への興味に繋がっていてくれたら嬉しく思います。

教員のコメント

国際観光学部
李 貞順 教授

 本キャリアゼミは、「体験型宿泊プランの提案によるホテルの競争力向上」を目的に活動を行いました。この活動の中で2・3年生は、夏期休暇中にホテルエルシエント京都でインターシップを行い、ホテルマンに勤める上で必要な基礎知識を学んだうえで、運営現場に立ち会い、ホテルを円滑に運営するための取り組みや仕組みについて学びました。その後、ゼミ内では、インターシップで学んだ知識や経験を踏まえ、学生自らが、ホテルがよいサービスを提供し、集客力を高めるために取り組むべき課題を考え、その課題解決に向けて提案を行いました。
 さらに3年生は、体験型宿泊プランの提案に向けて活動を進め、「20代の女性」をターゲットに、「京都の梅の名所に着目した」宿泊プランと「京都らしさ×華やかさ」をテーマにした宿泊プランを提案しました。提案に当たっては、夏期に韓国で開催された東北亜観光学会大学生発表大会での研究発表や、韓国清州市地域での訪韓日本人観光客誘致のための日韓合同調査プロジェクトへの参加など、多面的に検討を深めました。そして、2020年2月6日、ホテルエルシエント京都の関係者を交え、最終報告会で提案することができました。
 このようなキャリアゼミ活動の経験(課題の発見、課題解決に向けての熟考、実践的なリサーチなど)は、学生の実践的行動力の向上に大いに役立ち、これから直面する就職活動において大きなメリットとなり、さらに卒業後、就職先での即戦力にもつながるのではないでしょうか。