2020.1.16

競争力のある観光事業による地域貢献~体験型宿泊プランの提案~

活動テーマ:競争力のある観光事業の発展による地域貢献~体験型宿泊プランの提案~
産学連携先:一般社団法人あわら市観光協会


 李ゼミでは、一般社団法人福井県あわら市観光協会、(株)阪急交通社教育旅行センターと協力し、あわら温泉の旅館において集客向上のための宿泊プランの提案に向けて活動しています。
 今年度前期の活動内容として、7月に、調理体験型プランを作成する為、あわら温泉調理師会「芦親会」の方々、あわら市観光協会の方々を交え、グループワークを行いました。そこでは、3つのグループに分かれ、6つの体験プランを基に、ターゲットを絞り、体験内容を具現化する為の意見交換を行いました。また、金津祭の武者行列に参加しあわら市の地域の伝統文化を体験しました。この活動では、地域の方々の幅広い繋がりや、暖かさを強く感じました。
 さらに9月には、芦原温泉旅館美松にてインターンシップを行いました。料飲サービス、フロントでの送迎業務を体験した中で、お客様の行動を先読みした細かい気配りを大切にされていると感じました。また、館内では情報通信技術が活用されており、作業の効率化を図っている事を学びました。
 そして、これらの活動で学んだ事を基に、宿泊プランの作成に取り掛かりました。現在、私だちのグループは、ターゲットを韓国人の学生に絞り、旅館の就業体験付プランを考えています。そこで、訪日外国人観光客の中でも、韓国人観光客が比較的多く見られる事から、韓国の学生に旅館の魅力を知って貰い、それを広めてもらう事で、インバウンドを増やす考えに至りました。また、旅館の人手不足が著しくあります。加えて、韓国の就職率はおよそ60パーセントにしか満たない事から、日本の旅館での就職も視野に入れて貰えるようなプランを作成する事を考案致しました。
 これから、宿泊プランの完成度を高める為、これまでの活動で学んだ内容を多方面的に検討しプランの詳細を考案して参ります。

ゼミ集合写真

参加学生一覧

中井 涼介、岩田 栞奈、笠井 宏美、勢力 颯太、永野 歩乃佳、和家 恵梨香、和田 果実、尾坂 美紀、折坂 有哉、酒井 瞬、中井 翔吾、向 優貴、盛 優大、山口 翔平、吉岡 楓美香、渡辺 幸峰

学生活動状況報告

国際観光学部3年 笠井 宏美

 7月14日に芦親会やあわら市観光協会と阪南大学の産学連携プロジェクト意見交換会に参加しました。
 はじめに、私たちが昨年取り組んだ「旅館への提案」を発表した後、芦親会の方より旅館の料理の特徴についてと着地型体験プランの概要を伺いました。そこで旅館では、日ごろ家では食べることのできない四季折々の料理を、名産品を用いて、器や演出にまでこだわりを持って提供していることを学びました。
 その後、3グループに分かれ、着地型プランについて意見交換を行いました。一汁三菜調理体験の意見交換では、清風荘の中村料理長には、旅館で実践しておられる美味しいご飯の炊き方や出汁の取り方を教えていただき、少し手間を掛けるだけで仕上がりが大きく変わることに感銘を受けました。料理長に直接このような工夫を教えてもらえるプランは、基本を学びたい花嫁や主夫と呼ばれる男性にとっても魅力的であると考えます。越前そば打ち体験の意見交換では、そばを作る環境が福井には整っていると伺いました。関西に住む私たちにとって、普段福井の名産で独自の味が特徴である越前そばを食べる機会はほとんど無いので体験を通じて、記憶にも残りやすく、リピートに繋げることができると感じました。今回の意見交流会であわらの調理体験では「料理長に直々に教えてもらえる」ということがアピールポイントだと考えておられることがわかりました。

国際観光学部2年 盛 優大

 9月20日〜24日の5日間 福井県あわら市のあわら温泉・旅館美松にてインターンシップに参加しました。旅館での研修内容は、レストランでの客席への誘導、料理の説明、配膳と下膳、そして、フロントでの送迎、チェックアウト作業などを体験しました。例えば配膳では、メイン料理とお椀と湯のみを決められた位置へ置くのですが、お客様がすぐに手に取ることができるように工夫が必要です。また、料理を持ち運ぶ際に汁がお椀から溢れないようにするには、慎重さが不可欠であると感じました。フロントでのチェックアウト業務では、お客様の宿泊内訳を確認し、決済を行いました。また、チェックアウト後の客室をパソコンシステムにより清掃員に通知しました。このように、様々な場面で情報通信技術が活用されており、作業の効率化を図っているのに驚きました。
 また、旅館業務を行う合間にあわら市の観光資源を基に体験プランを考えるワークショップにも参加しました。このワークショップでは、地元住民の方々と話し合い、有名な観光スポットだけでなく、地域の人だけが知る店舗も取り入れ、集客向上に繋がるプランを発案しました。参加者が提案したプランに共通した事項として、若い女性やカップルを誘致する案が目立ちました。プランを具現化する為には、費用や移動手段など様々な課題があり、難しく感じました。
 そのほかに、休みの時間を利用し、私たちは、あわら市の新たな魅力を発見するため現地調査を行いました。まず、あわら湯のまち駅前にある「あわら温泉 芦湯」では、数種類の足湯に入ることができます。ここでは、地元の人が仕事話や恋愛話などをしており、アットホームな雰囲気を感じられます。次に、ちはやふるで有名となった「あらた坂」は緑で生い茂り、道路の上までアーチがかかっていました。桜の季節には、インスタ映えの名所になり、多くの観光客を呼び込む場所です。最後に、JR芦原温泉駅前にある「aキューブ」では、地元の野菜や魚を使用した料理を味わうことが出来ます。地元の野菜や魚を食べることにより、地産地消の観点からもPRできると思いました。
 今回のインターンシップを通じて、旅館の従業員とお客様との密接さが、お客様にとって安心であり、リピーター増加に繋がると分かりました。得た情報を糧に今後のゼミ活動に活用していきたいと思います。

国際観光学部2年 𠮷岡 楓美香

 私は、福井県芦原温泉旅館美松で5日間のインターンシップに参加しました。私は、今回のインターンシップを通じて、旅館の仕事内容を知ること、芦原地域の観光地を視察することを目標としていました。まず、観光地視察に関しては現地調査の時間や自由時間で東尋坊や雄島、恐竜博物館に行き、あわら市周辺地域をより深く知ることができました。また、旅館の仕事内容を知るということに関して、私自身、この夏にホテルの仕事も体験させていただいたので、今回のインターンシップでは旅館とホテルの違いによく気づきました。ホテルは高級感や特別感のある礼儀正しい接客を行っている一方で、旅館はアットホーム感があり、温かく穏やかでお客様に寄り添った接客を行なっているように感じました。それらの違いに伴って、利用するお客様の目的やタイプも異なっていると感じました。今回のインターシップで残念に思ったのは、仕事内容が食事会場の受付、案内や料理の提供を行うのが主だったため、旅館の食事会場についてはかなり理解できたが、旅館の仕事全般についてはあまり理解することができませんでした。積極的に他の旅館の仕事も体験させて欲しいと申し出てみるべきでした。
 また、旅館内での業務体験以外に、芦原での1日のツアープランを考え、発表するワークショップにも参加しました。私たちは芦原のことをほとんど知らない状況での参加だったため、パンフレットやネットで情報を集め、どんなツアーになるかを想像し、なんとかまとめあげましたが、他の参加者の発表に圧倒されました。共同作業や個人個人の意見をまとめることの難しさを痛感しました。
 今回の旅館でのインターンシップを通じて、お客様に寄り添った接客を学びました。また、積極性の重要さや共同作業の難しさに気づきました。これからの人生にすぐに役立つことでした。接客の仕方を活かし、積極性を身につけ、今より更に成長していこうと思います。

国際観光学部3年 勢力 颯太

 7月13日から14日まで2日間にわたるスケジュールでフィールドワークを行いました。1日目は芦原市を代表する金津祭りの武者行列に参加し、2日目は、温泉街を散策調査した後、あわら市伝統芸能館で芦原温泉調理師会(芦親会)の方々と交流をしました。
 いずれも、普段経験することのできない素敵な体験をさせてもらうことができました。中でも1日目の金津祭り武者行列は、特に印象に残っています。金津祭りは、ダンボールで作られた甲冑を着て槍と小刀を持ち、本陣飾り物を渡り歩くという祭りです。本陣飾り物は、元和9年(1623年)福井藩が金津に奉行所を置いた頃から実施されており、役人が宿泊している本陣に町の商人たちが台所用品などで作った飾り物を飾って、役人の労をねぎらったのが始まりといわれています。その後は、金津祭に錦上花を添える物として伝承されています。
 私たちが武者行列に参加した時小雨が降っていて、中止になるかと思ったのですが、ダンボールで作られた甲冑は雨にも強く、試行錯誤を繰り返して作られたのだろうと思いました。甲冑は細かいところまで工夫されており、特に小刀が上手に作られていました。正に兵士になった気分で歩いていて楽しかったです。
 お祭りの参加者は私たち阪南大学李ゼミと、地元の金津祭り青年団、地元の小中高生そして観光客でした。地元の子供たちと観光客にこの祭りはなぜ行われているのか、どのような祭りなのかについて質問すると、観光客は知っていたのですが、地元の子供たちは知らないと言っていました。したがって、子供たちが地元の歴史を知るきっかけになる、いいお祭りだと思いました。
 北陸新幹線 芦原温泉駅が2023年春に開業予定とのことで、駅周辺にどんな施設があるのか気になり2日目に駅の周辺を探索しました。駅周辺は神社、お土産屋、宿泊・入浴施設、ゆけむり横丁をはじめとする飲食店がありました。私は3時間フィールドワークをして、暑くて歩き疲れたので涼みに店に入ろうと思ったのですが、周りに店が少なく探すのに困りました。新幹線が開通すれば、今よりも観光者数も増えるのが予想されるので、それに合わせて店の数を増やしていくべきだと感じました。
 また、2日目の芦親会との交流会では、私たちのグループは、清風荘の料理長中村さんから①一汁三菜調理体験と、②越前そば打ち調理体験の説明を伺いました。①一汁三菜調理体験から学んだことは、お米の洗い方、洗う回数、水の量も季節や天候によって変わるなどの細かい内容でした。また、天麩羅を揚げるときは、冷水を使って揚げると、油に落とした時に、急激な温度変化でグルテンという物質が発生し、サクサクとした食感になるということも教わりました。②の越前そば打ち体験は、最近の蕎麦屋さんは手切りではなく、機械を使っている店が多いが、その理由は、均等な大きさにするためと、時間効率をよくするためあるとのことでした。しかし、調理体験は機械ではなく手切りで行い、そば打ちの難しさを体験してもらい、太さや形の違うそばもまた味があって、思い出に残るとのことで手切りを採用しているそうです。
 この交流会では、知らないことを教えていただき、いろんな発見ができたので満足のいく交流会でした。教えてもらった技術はどれも簡単なもので、一工夫を加えるだけで旅館の味を再現でき、説明を受けたらすぐに実践できるようなものなので、体験プランとして需要もあると思います。
 そしてこの交流会を終えて分かったことは、料理長の方々は観光客からお金を落としてもらうことが目的ではなく、芦原温泉の魅力を伝えることが目的であることがわかりました。それでまた芦原温泉にまた来たいと思う、リピーターを増やすことができればという思いでやっているというそうです。私は芦原温泉の料理長の説明からお客様を非常に大事にしているということがわかりました。