2011年3月11日に起きた東日本大震災から3年という月日が経ちました。
 和泉ゼミ3回生の井上文乃さんは、東日本大震災で被災された方々のために「私は微力だけれども被災地の方々のために何かできることはないか」と必死になって考えたそうです。そして、そのような強い想いは、彼女の高校時代の友人・後輩等も動かすこととなり、結果として、2014年2月23日、奈良県大和郡山市においてチャリティーコンサートを企画・実施することにつながりました。このように、学生には自身で様々な事を思考・実践、積極的に社会と関わっていってほしいと考えています。(和泉大樹)

東日本大震災復興支援チャリティーコンサートを終えて
国際観光学部3回生 井上文乃

 2013年11月8日、9日の2日間、私は3人のメンバーとともに宮城県石巻市、仙台市、女川町を訪問しました。仙台空港に到着し、レンタカーを借りて視察を開始しました。空港やその周辺の道路はとても綺麗に整備されており、私たちが想像していた光景とは違いました。復興は進んでいるようだ、と話をしながら車を走らせているといきなり景色がガラッと変わり、家やコンビニなどの建物が見当たらなくなりました。私たちは車を止めて少し歩き、言葉を失いました。そこには、一階部分は柱だけで、壁も床もない状態の一軒の家があったのです。その家の様相から、震災直後の状況がリアルに伝わってきました。時の流れが止まっているような感じがしました。そして、野原のように見えた荒地も、よく見ると家の土台だけが残り震災前までは家が建っていたことが理解できました。そこはかつて住宅街だったのです。その証拠に、辺りの溝には昨日まで使われていたかのような食器の破片が沢山散らばっていました。レンガや植木鉢、子供のおもちゃ等、ありとあらゆるもの、「人々の生活」が私たちの足元に落ちていました。
 私たちは現地の方からたくさんの話を聞くことができました。訪れたうちのひとつ、宮城エキスプレス株式会社の取締役である山田さんは、震災当時の状況と今の心境を話して下さいました。山田さんは「震災直後地獄を見た」とおっしゃいました。食糧を求めて歩いた道で、亡くなっている人を沢山見たそうです。「数日が経つと亡くなっている人を見ても何も感じなくなっている自分に怖くなった」ともおっしゃっていました。また山田さんは、生き残った人と共に寒さをしのいでいたトラックの中で、1人のお年寄りの方が寒さと体力低下により目の前で眠るように亡くなっていく姿を目の当たりにしたそうです。その状況を想像すると涙が止まりませんでした。しかし山田さんは、「職場も家も友人も生活も奪った津波のことを恨んではいない。私は昔と変わらず海が大好きだ。このような経験ができたことに感謝している」、「このように復興支援をしてくださる奈良の方々、全国の方々には、ただただありがとうと伝えたい。私たちは被災者としてではなく復興者として毎日頑張っています。これからも応援宜しくお願いします」とおっしゃいました。私たちはこのような東北の実情や被災地の方々の思いを自分たちで見て聞いて感じて、このことを1人でも多くの人に伝えたいと強く思いました。
 視察を終えてから私たちは幾度となくミーティングを重ね、コンサート当日に向けて準備をしました。時にはぶつかり合い、伝えたいことを伝えるにはどうすれば良いのか必死に考えました。

 迎えたチャリティーコンサート当日、会場には200人近くの方々が足を運んで下さいました。私たち企画者6人をはじめ、会場スタッフ、出演者、当日の朝から手伝ってくれたボランティアスタッフの全員で力を合わせ、無事に終えることができました。終わってから沢山の人が私たちに声をかけて下さいました。「もっと毎日を大切にしようと思った」「伝えたいことはちゃんと言葉にして伝えようと思った」「東日本大震災のことを忘れてはいけないと思った」「私にも何かできることはあるような気がした」「今日来て本当に良かった。ありがとう」など、とてもうれしい言葉ばかりでした。また、設置していた募金箱にはたくさんの支援金が集まり、私たちの思いが届いた気がして、とても嬉しく思いました。支援金の送り先であるチャンスフォーチルドレンさんにもとても喜んで頂き、本当に嬉しく思いました。
 東日本大震災復興支援チャリティーコンサートを終えて私たちが気付いたこと、それは、感謝の気持ちは幸せを生むということです。「ありがとう」と心から思うと幸せな気持ちになります。さらに言葉にすれば聞いた相手も幸せな気持ちになります。私たちは今回の活動を終えて、感謝するということの本当の意味、深さ、伝えることの大切さを知りました。私たちはこのコンサートが終わった後、自然とみんな笑顔になっていました。それは、被災された方々の力に少しでもなれた気がして、すごく幸せだったからです。感謝の気持ちは幸せを生む、このことに気付けたことにとても感謝しています。
 また、今回の経験を通じて「地域」と「人」の重要性についても考えるきっかけとなりました。私自身、普段の生活の中で「地域」というものを意識して生活を営んでいるわけではありませんが、地域の人々がつながっているということは、何かあったときに大きな力となるような気がしました。このことは地域や人のつながりを考えるゼミの活動においても活かしていけるのではないかと思いました。