阪南大学国際観光学部和泉研究室は「地域・観光の創造(地域資源や人的ネットワークなどを活用しながら、地域づくりや観光振興のための新たなデザインプランを思考・提案し、地域の方々と共創的に実践する)」を研究テーマとしています。
 八尾市における前回の活動は、2018年11月17日(土)に、「八尾市市政70th記念イベント」として「ウォーキングイベント八尾のえぇとこ再発見」を企画・実施しました。このウォーキングイベントは、近年、市内で「道鏡」ゆかりの「由義寺跡」が発見され、国史跡の指定を受けたことを機会に、あらためて八尾の魅力を知ってもらうことを目的として、2回ゼミ生の15名が企画し、八尾市役所政策推進課のみなさんとともに実施したものでした。
 今回は、「由義寺跡」が地域資源として理解され、愛され、活用されるようにという目的のもと開催されている「DOKYO2019 道鏡ウィークin八尾」(2019年3月1日〜3月21日)のイベントの1つとして実施された「歌垣風呂」にスタッフとして学生2名が参加しました。
 「歌垣風呂」は陸奥賢さんが考案されたもので、各地で実施されている「銭湯」と「歌垣」を活用したイベントです。イベントでは、互いに顔を知らない男女数名が、各々、男湯・女湯から、与えられたテーマをもとに歌をつくり、披露し合い、好みの歌と感じた人をとどめおきながら、浴場から上がって一堂に会した際に、好みの歌をよんだ意中の人と初めてお会いするという出会いの場を提供するイベントで、2019年3月17日(日)に八尾市内の銭湯である「豊温泉」を会場に実施されました。
 ところで、「歌垣風呂」を「道鏡」関連のイベントとして実施したのは、神護景曇4年(770)2月から3月にかけて、「西京」(平城京から見て西の都の意味)として認められた「由義宮」をたたえて「歌垣」が行われたことが『続日本紀』という史料に認められることに由来します。イベントでは学生2名がそのことを参加者に説明しました。
 「歌垣風呂」というイベント名称からは、一見、「由義宮」や「道鏡」という地域史との関係など想像できませんが、実は関わりが見出されるのです。私たちは、歴史ファン以外にも地域の歴史に興味・関心をもっていただくきっかけ、窓口として、当該イベントには意味があるものと考えています。