2016.7.1

【インターネットエコノミー】川原正順氏(ヤマハ株式会社)に講演いただきました

経営情報学部【インターネットエコノミー】川原正順氏(ヤマハ株式会社)に講演いただきました。

 社会のあらゆる場所において情報化が進む中でインターネットが個人、企業を含む社会に大きな役割を果たす時代になっています。講義「インターネットエコノミー」では、様々な分野におけるインターネットの役割についてオムニバス形式の講義が展開されています。

 今回は「インターネットと楽器・音楽」をテーマにヤマハ株式会社の川原正順氏による講義をいただきました。講義に先立ってヤマハ株式会社の紹介がなされました。「音、音楽を原点に培った技術と感性で新たな感動と豊かな文化を世界の人々とともに創りつづけます」との社是の紹介とともに、ヤマハ製品の紹介がありました。ヤマハは楽器や音響設備の製造販売だけでなく、情報ネットワーク機器も古くから製造販売していることやヤマハ発動機株式会社がヤマハ(株)から分社した会社であるとの紹介もありました。
 社是にあるようにヤマハでは、音や音楽を媒介した「感動と豊かな文化」の創造できる楽器や音響設備を提供しています。そのため新しい製品やサービスの開発においては、「良い音とは」「良い音楽とは」を追求することを研究開発、商品開発の原点であるとのお話がありました。以下に講義の中で取り上げられた話題をいくつか紹介して、講義紹介といたします。

良い音とは

良い音に関する定義は様々あります。例えば、良い音・音楽に関する仮説として代表的なものとして

 仮説1:心地よい音、好きな音や音楽
 仮説2:周波数特性の広い(低音から高音までを含んだ)音・音楽
 仮説3:原音に忠実に再現した音・音楽
 仮説4:演奏者(作曲者)の意図した音や音楽

がありますが、人の感性によって様々な定義がなされるとのことでした。良い音・音楽に関しては様々なレベルで様々な定義がなされそれが追求されています。ヤマハにおいてもお客様の要望をくみ取りながら様々な良い音・音楽の提供に必要な楽器や製品の開発がなされているとのとでした。

音楽は数学

 音楽を構成している音階と周波数との関係について説明がありました。基準となる音とその周波数の関係を説明しながら、音楽においてはこれらの関係が厳密であり、数学表現されているとのことでした。人間は感性で音楽を楽しむのですが、音楽を構成する音は、数学的な厳格性があるとの説明がありました。一オクターブで周波数が 2倍になるため、音階ごとに約1.05倍の周波数変化があります。楽器においては、これらが厳格に再現されています。その上で、ピアノ、バイオリン、チェロ、ギター、ベースなどの楽器による音の比較説明がありました。各楽器とピアノの音階との関係が説明された後、楽器ごとに異なる周波数帯の音を発信するので、それぞれ異なる配線を使う場合もあります。それが良い音作りの一つの努力であるとのことでした。

 チェロの第1弦の基準音は220Hzでも、実際には440Hz 880Hzそれ以上の音も発信されており、現在のデジタル化のサンプリング周波数では、通常の音をすべて記録しているとは言い難い状況であるとのことでした。このことがアナログ音をデジタル表現することの難しさであるとのことでした。

良い音を追求するためにレベルの高い音の録音、再生、搬送が必要

 私たちの生活の中で音や音楽は無くてはならないものです。良い音を届けるためには音の保存、搬送、再生がそれぞれのレベルで行わなければなりません。それができなければ、良い音を伝えることができなくなってしまいます。そのため、録音、再生、搬送の技術の追求が求められています。音楽に限らずあらゆるものがデジタル表現されるようになっています。音楽も早くから標本化と量子化によってデジタル表現されています。このデジタル化が音に及ぼす影響について簡単な解説がありました。

 デジタルネイティブである学生には、デジタル化された音しか聞いた経験がないかもしれません。アナログ音源とデジタル音源では、違いがあるといわれています。デジタル化は簡単に表現するならば、「音の間引き」です。通常の音声や楽器の音色には多数の周波数帯が含まれています。それを規格化された音で表現するのがデジタル化された音です。デジタル化するにあたって、ひずみ 雑音、誤差を取り除くような技術が必要であり、ヤマハでは、良い音作りのための技術開発に努力しているとのことでした。

ChimeCaの紹介

 ChimeCa は、ヤマハ(株)が開発し現在実証実験を行っている「動画同期」エンジンです。ChimeCa は動画に含まれる音を利用して、複数の動画を同期させることができます。まだ販売される前の段階です。ChimeCa を製品化するにあたって、ヤマハ(株)では利用環境の実証実験に加えて市場のニーズ把握に取り組んでいます。一つの対象を複数のカメラで撮影してそのまま再生すると、開始点がバラバラなため、同時に再生開始しても、動きの同期がとれずバラバラ感のある再生しかできません。通常は何百万もする同期システムをつかって撮影するか人力の編集によって同期させます。人手で行う場合は、かなり細かい作業になるため長時間の作業が必要になります。

 ChimeCa を利用することで、様々な問題が解消でき、ダンスなど様々なスポーツの指導やリクレーションに活用できる可能性があります。ヤマハ(株)では、その実証実験段階にあり、その後、商品化へのプロモーションを行うことになっています。現在、ヤマハ(株)と阪南大学経営情報学部でChimeCa に関して技術機密保持契約を結んで、実際の使用環境の調査や用途探求を始めました。皆さんの斬新なアイディアを求めていますので是非協力くださいと学生への勧誘もなされて本講義は終了しました。

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