優良企業の経営戦略に関する分析

活動テーマ:優良企業の経営戦略に関する分析
連携先:峰衣裳店


 このゼミでは、キャリアゼミとして優良企業に関する研究を行いました。前期では、教科書やインターネットを利用して、優良企業とは何か、どのような視点や指標が重要なのか、具体的にどのような企業が優良とされているのかなどを調べました。これらの情報を整理し、後期では「私たちが考える優良企業」というテーマで発表会を行いました。連携企業の方にもこの内容をご覧いただき、講評をいただきました。発表したチームは3つで、それぞれが独自の調査と分析を行いました。
 Aチームは、従業員の多様な要望に対応できる体制づくりが重要であると結論づけ、その間点から14社の優良企業を選定ました。Bチームは、雇用キャリア、ダイバーシティ経営、育児・介護、職場環境・コミュニケーションの4つを主要な指標として、優良企業を8社に絞り込みました。Cチームは、ワークライフバランスに焦点を当て、労働時間(残業時間)が短い企業を調査し、6つの優良企業を挙げました。
 連携企業の方からは、まずAチームについては、柔軟性と組織が持つべき安定性をどのように両立するかという問題提起をいただきました。Bチームには、特に資本や人材が不足する企業でダイバーシティ経営をどのように実現するかという課題を示していただきました。Cチームについては、ワークライフバランスの中でも「ライフ」の内容や意義を深く考察する必要があることを指摘していただきました。また、全体として有名大企業が多いため、中小の優良企業を調査すると視野が広がるのではないかとの助言もいただきました。
 今後は、この発表をもとに優良企業に関する個別具体的な研究課題を設定し、それを卒業論文のテーマとして各チームが取り組んでいく予定です。

学生活動状況報告

 このゼミ活動の中で念頭に置いて研究・調査しているのが、優良企業とは何かという点です。教科書の学習においては、消費者に良いサービス、商品を提供するのが優良企業だという観点もあれば、従業員・ステークホルダーの関係性など企業内外の人間を大切にするのが優良企業だという観点もあり、一概に「優良企業とはこういうことである」と定義できないなという発見がありました。
 私が所属しているAチームの前期の活動では、優良企業の絞り込み方として、男性や女性、外国人労働者、宗教を重んじる方など多種多様な視点から勤め先に求めるものなどを明確にし、そこに優良企業の主要な指標も取り入れて、その実態から企業が各要望に対して柔軟に対応できる体制をとっているのかどうかという調査から14社まで絞りこみました。
 この内容をもとに、後期では、14社それぞれの特色や強みをより明確にし、柔軟性と組織が持つべき安定性をどのように両立するかという点に着目しながら大企業だけに偏らず中小企業にも視野を広げて優良企業とは何かという点について引き続き調査していきます。
 1年を通じて学んだことから、Aチームの今後の研究テーマは、「経営者・管理職の働き方改革」になりました。従業員が育児制度や有給休暇を利用する反面で、残った仕事はすべて管理職の負担になっているという問題が近年よく見受けられます。そこで経営者・管理職の意義と現状分析、本来の在り方、役割、機能、などを整理し、働き方改革で変わったこと、問題点、改善点の検討などを卒業論文のテーマとして取り組んでいく予定です。

経営情報学部 3年生 淀 誠

参加学生一覧

伊藤 真帆、上田 真友香、大畑 諒子、谷井 里帆、中本 海翔、蓮池 彩央里、福井 拓斗、藤岡 彩子、古田 后平、細見 勇綺、三浦 稜太、三木 さおり、峰岡 太志、安里 賢人、吉永 奈生、淀 誠

ゼミ集合写真

連携団体担当者からのコメント

峰衣裳店 野口茂雄氏

 松下先生に私の会社の経営について相談している中で、「良い企業とは何か」、「会社が優れているとはどういうことなのか」という議論になり、この問いについて、キャリアゼミで学生のみなさんを交えて考えてみようということになりました。特に、優良企業にはどのような軸や項目があり、また若い人々がどのような企業を優良だと判断するのかに興味がありました。
 活動の報告は、定期的に松下先生から頂いていましたが、最も感心したのが学生のみなさんの最終発表である「私たちが選んだ優良企業」です。優良企業の指標として数の多くの内容が調査されており、また膨大な情報を整理した上で的確に優良企業が選定されていました。私が想像した以上の内容で、知らないことや勉強になったことがたくさんありました。今後の会社経営にもいかしていきたいと思います。

教員のコメント

経営情報学部 松下 幸史朗准教授

 このゼミでは、優良企業について学び、調査と分析を行いました。主な活動内容は、①教科書を用いて優良企業の多様な指標について学ぶこと、②その知識を応用して独自に優良企業の選定を行い、その内容を連携企業の方に発表すること、③発表についてフィードバックをいただき、そこから個別具体的な研究課題を設定することでした。また、夏休みには勉強会を兼ねた合宿を行いましたが、これよってゼミ内に設定した3つのグループの連携が深まったと感じています。
 1年間を通じて、ゼミ生には変化と成長が見られました。まず、企業を多角的に見ることができるようになりました。経営学は一般的に利益、原価、最終的な製品・サービスなどに着目しますが、ゼミの活動を通じて、働きやすさ、福利厚生、取引先企業との関係、社会貢献などの観点から幅広く企業を考察できるようになったと感じます。また、ゼミの後半では各グループが「管理職の働き方改革」や「副業に関する調査」などの卒論テーマ候補を特定することができました。どれも魅力的な研究課題であり、このキャリアゼミの活動がなければ得ることのできなかった収穫と言えるでしょう。次年度は、この成果を生かして、さらに研究を進めていく予定です。