2014.2.24

実学シリーズ2013 「学生ビジネスプランコンテスト」で努力賞を受賞。

実学シリーズ2013
北川研究室 「学生ビジネスプランコンテスト」で努力賞を受賞。

 様々なビジネスプランコンテストで過去9年間に18回の受賞歴を誇り、そのうちに2度は全国1位を獲得している経営情報学部・北川ゼミ。その実績は、全国レベルで高く評価されている。今回は、財団法人学生サポートセンターが主催する平成25年度(第11回)学生ビジネスプランコンテストにおいて、4年生2名によるプランが、見事努力賞を受賞した。
 同コンテストは、学生の創造性涵養助成事業の一環として「学生らしい自由な発想で創造性や意欲に溢れ、自分で考え自分で行動できる学生を一人でも多く育てる」ことを目的に開催されるもの。毎年、全国の大学、大学院の学生が数多くエントリーする。受賞した学生たちの苦心談や今後の抱負、北川教授のコメントを紹介しよう。

リベンジ応募で受賞!

 平成26年1月30日(木)、京都の学生情報センターセミナーホールにて、「学生ビジネスプランコンテスト」の表彰式が開催された。
 同コンテストは新しい事業プランについて、「新規性・独創性」「実現性」「市場性(成長性)」「マーケティング」「社会性(時代の要請)」「売上・利益計画」「資金計画」など、各項目を総合評価。最優秀賞、優秀賞、アイディア賞、努力賞などを選考する。今回は、47大学から119のプランが提出された。
 阪南大学経営情報学部・北川研究室から応募したのは、梶遊大さん(4年生)と小野裕右さん(4年生)の2名。「クラウドコンピューティングと食品管理を利用した新しい顧客情報取得システム」が努力賞の栄誉に輝いた。
 プランの概略は、『クラウドコンピューティングにより、ネットスーパーと消費者の食品管理情報を取得。これにより、消費者が購入した商品を“どんな人が、いつ、どのような商品と一緒に使用したか”という情報がわかる。
 企業は、このシステムをネットスーパーに販売し、ネットスーパーの売上に応じて報酬を得る。ネットスーパーにとっては、より良い経営戦略・販売戦略・商品開発が可能になる。一方で利用者の手間はほとんどかからないので導入しやすいというメリットもある』というもの。
 「“いつ誰が何を買ったか”という顧客情報をサービスする類似商品は既にありますが、このプランでは“いつどんなタイミングで、誰がどんな商品と一緒に買ったか”までがわかります。そこが良かったのかもしれません」と、小野さんは受賞理由をこう分析する。

 北川教授は、「アイディアの着眼点が良かったですね。彼らは昨年も同じテーマで応募しましたが、コスト面に問題があり受賞には至りませんでした。今回、あきらめずにチャレンジして結果を出した。よく頑張りました」と評価する。小野さんも「先生から発想は良いと言われていたので、再度プランを練り直してリベンジしたかったんです!」ときっぱり。
 代表して表彰を受けた梶さんは「嬉しかったです!」と声を弾ませる。「ゼミの先輩も受賞していたので、もしかしたらと期待もありましたが、現実になって感激です」と、満面の笑みだ。

「買い物難民」や「食品ロス」の問題を解決できるかも?

 ゼミ活動では、他にもプロジェクトが進むなか、夏休みのほとんどの時間を費やしたという二人。梶さんは「前回のネックでもあったコストや人件費、経常利益などの計算が一番苦労しましたね。応募書類には、記入する項目がいろいろあるのですが、社会性は小野くん、売上・利益計画は僕と、お互いの得意分野で力を出し、協力してプランを仕上げていきました」と熱い日々をふり返る。

 実はこのプランは、ひとり暮らしの二人が、「冷蔵庫の食品の賞味期限がよく切れるがどうすればいいか?」という身近な体験がもとになった。「最初は個人的な問題からスタートしましたが、進めていくうちに、高齢者の買い物難民や食品ロスの解決につながることがわかってきました。」と梶さん。「形のない情報を用いて、実際に社会問題を解決できるところがすごいと感じています」と小野さんも続ける。
 北川教授は「このプランがひとつの基盤となり、皆さんが使うことにより、社会貢献できるさまざまなサービスが生まれる可能性があります」と実現性を示唆。一方で、「現在のプランでは、ひとつのネットスーパーの情報だけですが、複数のスーパーでの買い物も管理できるシステムに発展させることが必要。難しいとは思いますが、利用者目線がまだまだ足りませんね」と課題を指摘する。

 「より早い時期から取り組んでいれば、細かい部分まで考えられたはず。応募期間の間際にどうにか間に合わせたかたちとなり、余力が全くなかったですね」と梶さん。「文章の詰めが甘かったのが、最大の反省点です。もっと頑張れば、他のコンテストに出すこともできて、ダブル受賞の可能性もあったのに……」と小野さんも悔しがる。
 受賞の報告を受けた後、二人をねぎらいともに喜んだという北川教授も、「自主的に調べて考えたと思いますが、もっと相談してくれれば、さらに完成度の高いプランになったかもしれません」と少し残念そうだ。

卒業後、この貴重な経験を活かしたい

 今回のプラン作成の過程において、一番成長できた点は「文章を論理立てて書く力」だと二人は口をそろえる。単なる思いつきに終わらないロジカルな説得力が、受賞を導いたといえる。

 卒業後、梶さんは大学院に進学する予定だが、「このプランのさらなる改良ができるかも。将来はプログラミングだけではなく、企画から設計、販売まで自分でトータルソリューションができるSEになりたいと思います」と意欲をみせる。


 高校生に賃貸住宅を斡旋する不動産会社に就職する小野さんは「営業で接する高校生を応援したい。大学でいろんな活動を通して夢を叶えられることを、自分のこうした体験を交えながら伝えていきたいですね」と抱負を語った。

 こうした外部コンテストへの参加をはじめ、企業との連携プロジェクトに積極的に取り組む北川研究室。その意義について、北川教授は「大学で学んだコンピュータの知識や技術をいかに実践で使うか、ビジネスとして利益を出せるか、そこまで考えてほしい。得意分野だけ伸ばして自己満足するのではなく、形に見える結果で知ることが大事です。そうしなければ、学生たちは自分がどの程度の力を持っているのか気づくことができません。それに、結果を出すことで自信が生まれ、次への新たなチャレンジにもつながるでしょう」と話す。阪南大学の推進する「実学教育」は、この研究室でも大きく開花している。