2019年12月21日,郡山城(大和郡山市)にてプロジェクションマッピングを開催しました.
本イベントは,阪南大学と奈良高専と大和郡山市の3者の包括協定に従って,にぎわいづくり事業の一環として実施されました.プロジェクションマッピングに加えて,奈良高専の天文の教員による「星空セミナー」と阪南大学の来村先生による「郡山城の歴史セミナー」も同時に実施されました.

花川ゼミは上記のプロジェクションマッピング部分を担当し,企画計画から始まり,シナリオ作成とシーン設計,さらに動画に制作と編集,投影テスト3回とリハーサル,さらに本番の投影と会場の運営等,全域にわたって活動をしました.期間は2018年の12月から1年間をかけてじっくりと進めたプロジェクトです.
作品は以下の動画をご参照ください.
メイキングの長い道のりを紹介します.

2018年9月:最初のきっかけ

奈良高専の内田教授が花川ゼミに訪ねてきたことから始まりました.目的は2019年度から始めるPBL科目のカリキュラム等の相談でした.せっかく訪問していただいたので,2018年から始めた花川ゼミのプロジェクションマッピングを内田先生に紹介しました.「これは,何度か大和郡山市から依頼されていたけど,いつも断っていた.一緒にできるかもしれない」というところから始まりました.

2018年12月:とりあえず映してみましょう!

 被写体は郡山城と決まっておりました.とりあえず,手持ちのプロジェクターで投影テストです.機材と学生を郡山城へ運んで行って,映像を映してみます.お城の城壁は思ったより大きいです.現在のプロジェクターでもきれいですが,やはり,もっと大きな威力のあるプロジェクターのほうが城壁全体を網羅できて,素晴らしマッピングになると大和郡山市,阪南大学,奈良高専の関係者ともに確信しました.

2018年12月: 花川ゼミの始動

 投影テストを経て,花川ゼミでのプロジェクションマッピングチームの始動です.2回生を中心にチームを組んで,作成に取り組みます.お題は「郡山城の歴史」,かつ,名産の金魚,藍染,城主を入れてほしいとの要望です.ゼミでは郡山城の歴史から勉強していきました.さらに,KJ法をもちいてシナリオを決定し,各シーンをそれぞれ設計しました.

2019年1月:映像作成.音楽作成の初心者が四苦八苦!

 2年生は基本的にほぼ初心者です.映像や音楽を作ったこともないし,ソフトも使ったことない学生たちです.一つずつ,自力で勉強を進めました.

2019年2月:物品購入

 プロジェクションマッピングは,プロジェクターだけあればいいわけではありません.高性能なGPUを積んだノートパソコン,スピーカ,設置台,ケーブル,延長機器,水平器,距離形など,ありとあらゆる機器が必要です.大学の様々な予算を使って郡山城のプロジェクションマッピングの準備を進めます.

2019年4月:12000ルーメン レーザ光のプロジェクター購入

 阪南大学助成研究費用にて大型プロジェクターを購入することができました.良かったです.これで大規模な郡山城の城壁全体に投影可能になります.ただ,新しいプロジェクターですので,再度投影テストが必要になりました.

2019年6月:新しいプロジェクターを用いて2台プロジェクターの投影テスト

 新しいプロジェクターの購入により,再度投影テストを実施します.大きな郡山城の城壁を網羅するためには,2台のプロジェクターを使います.1台目は購入した高性能のプロジェクター,2台目は阪南大学教務課のプロジェクターです.2台投影はとても難しく,マッピング作業がこれまでの数倍の時間を要しました.位置を大まかに決定しました.

2019年6月:3者の包括協定

話はとんとん拍子に進み,阪南大学と大和郡山市と奈良高専の3者で包括協定を結びました.まずは,12月に郡山城のプロジェクションマッピングを成功させ,さらなる発展が期待できる協定でした.

2019年7月:ほぼ映像は完成

郡山城のプロジェクションマッピングの映像はほぼ完成です.ただし,雨天の場合は「城ホール」という屋内にて実施ということです.ここから,雨天用の映像づくりが始まりました.

2019年9月:映像の検証

阪南大学が中心で作成した音楽と映像を,大和郡山市と奈良高専と阪南大学のメンバにて検証しました.まだまだ初心者ですので,映像の不備や音楽の深みが不十分で,手厳しい指摘をたくさんいただきました.これから修正です.

2019年12月:本番前の最後の投影テスト

 大和郡山市がスポンサーを募り,花川ゼミで購入した12000ルーメンプロジェクターと同じプロジェクターを購入しました.これは大変大きなことで,2台目のプロジェクターがとても明るくなり,郡山城全体を網羅するプロジェクションマッピングがいよいよ実現できそうです.ただ,プロジェクターが新しくなるたびにやはり投影テストが必要となり,大和郡山市の皆様方にお手数をかけながら,最後の投影テストをしました.これは迫力があり,すごいプロジェクションマッピングになりそうです.

2019年12月20日:リハーサル

 21日の本番に向けて,最終的にプロジェクターを設置して,投影します.最終的なマッピング作業も行い,明日の本番に向けて準備万端とします! という段取りのはずだったのですが,様々なトラブルが発生です.どうしても投影角度によって映像の重なりや隙間が解消できず,かなり悩みました.が,一部映像が重なったままで実施することになりました.解消するためには,プロジェクターを大きく動かす必要があり,これは観客席がすでに設置されているので,不可能でした.問題が次から次へと発生しました.
こんな感じでセミナーを聞いたり,プロジェクションマッピングを鑑賞したりする観客席が設置されています.プロジェクトはこの左右の端にそれぞれ1台ずつ設置されています.

2019年12月21日:本番

いよいよ,本番の開始です.学生たちは,観客誘導,受付,司会,プロジェクター操作,記録用撮影等の役割分担されて,てきぱきと本番に臨みました.おかげ様で,本イベントは抽選するほどの観客希望者が多く,大勢の人たちに来ていただきました.
本学来村先生による郡山城の歴史のセミナーです.軽快なトークで観客の皆様方の心をしっかりとつかんでいました.
いよいよ,本番のプロジェクションマッピングの開始です.さすがに高性能プロジェクター2台で実施したので,写真に納まらないくらい城壁全体を網羅する映像となりました.字本来はもっと左に映像は続いています.迫力ある映像でした.
本イベントでは屋台もでて,暖かい食べ物がたくさん提供されました.本番で慌ただしい学生たちはとてもよろこんでおりました.

2019年12月:本番終了と撤収

本番は無事終了です.学生も教員も市役所の人たちも観客の皆さんをお見送りします.観客の皆さんが「とても良かったよ」「感動したわ」「よくがばったわね」と学生に声をかけてくれました.1年間の苦労が報われた瞬間でした! これで全部終わったわけではなく,片付けをして,機材をばらして,阪南大学へ持ち帰るという撤収作業がすべて終わりまして22時過ぎに解散でした.お疲れ様でした!

ということで,2019年の郡山城のプロジェクションマッピングは1年がかりで無事に終了しました.この成功をもとに,阪南大学と奈良高専と大和郡山市の包括協定に基づいて,2020年3月には郡山城のお城まつり,10月には大和郡山イオンモール,12月には再度大和郡山城にてプロジェクションマッピングを実施する予定です.