2019.12.23

山口絵美菜女流1級来学(基礎数学特別講義)

撮影 炭家清花(経営情報学部学生広報委員)

 経営情報学部の基礎数学では,約20年前から将棋を取り入れています.今年度は山口絵美菜女流1級をお招きしました.
 山口絵美菜さんは,宮崎県出身で,京都大学文学部に入学後に将棋連盟の研修会(奨励会の下部組織に相当)に入会し,大学3年生の時,規程の成績を満たして女流棋士(女流3級)となりました.
 授業ではまず,多面指しでの指導をしていただきました.学生達は,9枚落ち・10枚落ちという圧倒的ハンデを貰いながらの対局でした.
 その後は9枚落ちでのリレー将棋を楽しみ、Q&Aコーナーとなりました.

Q&Aコーナー

Q 高3の頃は一日何時間くらい勉強していましたか?
A 16時間くらいしていました.歩いているときも,音声読み上げテキストを聞いたりしていました.
Q センター試験では数学は何割くらい取れましたか?
A 9割くらいです.
Q 文学部の勉強の中で,数学が役に立ったことはありますか?
A 心理学では統計が重要なので役に立ちました.
Q 京大卒なら,女流棋士にならなくても他の高収入の仕事にも就けると思うのですが,女流棋士の道を選んだのはなぜですか?
A 女流棋士になるための一番の課題は地方に住んでいるということでした。本当は高校にも進学せず、一刻も早く大阪に出て女流棋士になりたかったのですが、当時そこまでの実力も生活力もなかったため、関西圏に大学進学して女流棋士になるという考えを持ちました。京都大学に進学したのはそこから逆算し、費用面や自分の学びたいこと、学ぶことによって脳が鍛えられて将棋に生きるのではということを総合的に考えた上での選択なので、就職するという考えは初めからありませんでした。
(注)現在は九州研修会(2016年初例会)がありますが,山口絵美菜さんが高3の頃は九州には研修会はありませんでした.
Q 森信雄7段に師匠になっていただいたきっかけは?
A 母が私のことをブログに書いていたんですけど,森先生がコメントを書いてくださって,先生が仕事で宮崎に来られたときにお会いしたのがきっかけです.
Q 将棋界に女性が少ないのはなぜですか?
A 歴史の違い、そしてそれに伴う環境の違いだと思います。女流棋士という制度が発足してからまだ45年しか経っておらず、男性中心の社会なことが理由として大きいです。私も将棋を始めたころは周りに将棋をしている女の子はいませんでした。

受講生からの感想

  • 歩と玉だけでやっていただきました.すぐに勝てると思いましたが,20分以上かかってアドバイスもいただきながらなんとか勝つことができました.恐ろしいほど強かったです.
  • 歩だけで倒されたのですごかったです.将棋に興味を持ちました.
  • ハンデを貰って対局したが,常に自分が追い込まれているような緊張感がありました.また,僕が思いつかないような攻め方などを教えていただきとてもおもしろく勉強することができました.
  • 9枚落ちのハンデで,横からの攻めがないので銀冠を組もうとしたけど,なかなか組ませてくれず,飛車を取られると囲いが崩されそうだと思い,なかなか攻められなかった.
 なお,プロ棋士・女流棋士をお招きするにあたっては,阪南大学教育改革推進費から将棋連盟の定める棋士派遣料の一部の補助を受けています.