2017.3.7

「スキー・スノーボードの力学」(物理学特別講義)

「スキー・スノーボードの力学」(物理学特別講義)

 一般教育科目の物理学では、1月に谷口淳氏をお迎えして2016年度の特別講義「スキー・スノーボードの力学」を行いました。

 谷口淳氏は、日本スノーボード協会A級インストラクターで、ウエストスノーボードスクールのハチ北校校長です。また、第21回全日本スノーボードテクニカル選手権大会においてフリースタイル男子総合8位に入賞する等、選手としても活躍中で、西日本を代表するスノーボーダーの一人です。
 講義に先だって、谷口氏出演DVDの中から「INSTALLER18」(ヒアトゥデイ(株))を鑑賞し、その後、谷口氏から自己紹介をいただきました。元々はスキーのインストラクターをしておられたということです。

安全のためにはヘルメット

 講義は安全対策から入りました。濱から事前アンケートの結果、受講生の中でスノーボードで怪我をしたことがある人の割合はスキーの約6倍であることが示されました(表1)。 ここで、スキーで怪我をしたことがある人数の割合の分母は、スキー経験者数+両方の経験者数、スノーボードで怪我をしたことがある人数の割合の分母は、ボード経験者数+両方の経験者数です。

経験者数
怪我したことがある人数
スキー
50
4(4%)
ボード
23
16(23%)
両方
46
1(2%)
119
21
表1

 谷口氏から、特にスノーボードでは後頭部を打つことがあるので、ヘルメットを装着することが勧められました(図2)。また、安全な転び方も教えていただきました。
注:写真に写っているスノーボードは、谷口氏がお使いのものではなく濱所有のものです。(濱は日本スノーボード協会(JSBA)バッジテスト2級)

スキー場でぶつかったとき、悪いのはどちら?

 濱から、
「Aさんが滑っていたとき、前で滑っていたBさんが急に方向転換したためぶつかってしまいました。悪いのはどちら?」
というクイズの結果が示されました(表2)。ここで,割合の計算において分母は、表の一番下の行の「計」のそれぞれの人数です。
スキー経験あり
ボード経験あり 両方経験あり 両方経験なし
Aさんが悪い
14(28%)
12(57%)
18(39%)
8(26%)
Bさんが悪い
22(44%)
3(14%)
17(37%)
11(35%)
どちらも悪くない
14(28%)
6(29%)
11(24%)
12(39%)
50(100%)
21(100%)
46(100%)
31(100%)
表2

 谷口さんから、
「道路交通法の追突回避と同じで、スキー場では上(後ろ)で滑っている人に回避義務があります。この場合、悪いのはAさんです。Aさんは、下で滑っているBさんがどんな動きをしても回避できるよう距離を取って滑走する義務があります。」
と正解が示されました(*)。スノーボード経験者は6割近くが正解だったのに対し、スキー経験者は3割弱しか正解できませんでした。
(*)判例が弁護士法人伏見総合法律事務所 スポーツ法務にあります.

スキー・スノーボードの力学的に正しい滑走姿勢は?

 濱から、
「スキーやスノーボードで斜面を滑るときの正しい姿勢は?」
というクイズの結果が示されました(表3)。(スキー・スノーボードの経験の有無と回答の傾向に大きな差はみられなかったので、表を見やすくするために全体の合計・割合のみ示しています。)

人数

前傾姿勢
104(67%)
斜面に垂直に立つ
52(33%)
156(100%)
表3

 濱から、力の釣り合いを考えると、力学的に正しい滑走姿勢は「斜面に垂直に立つ」ことであり、「前傾姿勢」だと上体を前に倒したかかと加重の姿勢も含まれ、これは力学的には「後傾姿勢」になっていることが示されました。
 最後に濱から、ターンのメカニズムの説明があり、スケートボードのターンの動画を鑑賞する等して、スキー・スノーボードのターンは、アイススケート・スケートボード・バイク・自転車等のターンと同様、内傾による向心力によるものであることが示されました。

 授業終了後、受講生からは、
「これまで転び方など考えたこともなかったがいい勉強になった」
「スキーやスノーボードが物理で説明できるとは思わなかった」
「今度滑りに行くのでさっそく実践してみたい」

等の感想が寄せられました。

 なお、この特別講義は公開授業とし、経営情報学部と流通学部から教員がお越しになりました。

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