産学連携先:Villa KUMANO

本ゼミでは、物理的サービススケープデザイン研究の視点から、観光施設や商業空間のデザインが利用者の感情や行動、ブランド認識にどのような影響を与えるのかを実践的に学んでいます。今回のゼミ活動では、和歌山県熊野本宮地域における一棟貸し宿泊施設のリノベーション提案をテーマに、地域観光の魅力向上と宿泊体験価値の創出を目的としたプロジェクト型学習を実施しました。

熊野本宮地域は熊野古道や熊野本宮大社を中心とした世界的な観光資源を有していますが、滞在型観光の促進や宿泊体験の魅力向上が課題となっています。そこでゼミでは、宿泊施設の空間デザインや利用動線、インテリア、景観との調和といった物理的サービススケープ要素に着目し、宿泊体験をより魅力的にするためのリノベーション案を検討しました。

学生たちは事前に地域観光の特徴や宿泊市場の動向、ターゲット顧客のニーズについて調査を行い、その上で「どのような空間体験が熊野本宮らしさを表現できるのか」という視点からアイデアを検討しました。地域資源や文化的背景を踏まえながら、宿泊施設の空間価値を高める提案を行うことで、観光と空間デザインを結びつけた実践的な学習機会となりました。
経営学部2年 宮家 なつき

学生活動報告

プロジェクトではまず、熊野本宮地域の観光資源や宿泊市場についての基礎調査を行いました。
学生たちは観光統計や既存宿泊施設の事例分析を通じて、訪問客の属性や旅行目的、滞在スタイルを整理しました。その上で、宿泊体験における物理的サービススケープ要素として、建築空間の雰囲気、インテリアデザイン、照明計画、地域景観との関係性などに着目し、宿泊施設の価値を高める空間要素について検討しました。次に、ターゲット顧客を設定し、宿泊体験のコンセプトを設計しました。学生グループごとに「熊野の自然を感じる滞在空間」「巡礼文化を体験できる宿泊空間」「静養やリトリートを重視した宿泊空間」などのテーマを設定し、それぞれのコンセプトに基づいたリノベーション案を作成しました。
具体的には、客室レイアウトの変更、地域素材を活用した内装デザイン、共用空間の再設計、景観を取り込む窓配置など、宿泊体験の質を高める空間提案を行いました。最終的には、これらの提案をプレゼンテーション形式でまとめ、宿泊施設の魅力向上と地域観光の価値創出につながる空間デザイン案として発表しました。
本活動を通じて学生は、マーケティング視点と空間デザイン視点を統合した実践的な課題解決プロセスを経験しました。
経営学部 経営学科2年  森下 美優

  

  

  

連携先コメント

Villa KUMANO
オーナー様

この度は、Villa KUMANOのバル改装を想定したリノベーション案をご提案いただき、ありがとうございました。大鳥居や熊野の自然を一望できる景観を活かそうとする発想は、学生の皆さんならではの柔軟で魅力的な視点だと感じました。

また、「歩く旅のゴールとして乾杯できる空間」というこちらの要望を踏まえ、そのコンセプトを具体的なゾーニングや空間提案へ落とし込んでいただいた点も良かったと思います。一方で、実際の運営を考えると、顧客の滞在中の動線やスタッフのオペレーション効率など、実務的な観点まで踏み込めると、より完成度の高い提案になったのではないかと感じました。

今回の経験が、より実践的なビジネス提案へと発展していくことを期待しています。

教員コメント

西口 真也 教授

今回のプロジェクトでは、学生が地域の課題を自分事として捉え、主体的に調査や分析を行う姿が見られました。特に、観光資源や宿泊市場の調査を踏まえながら空間デザインの提案を組み立てる過程では、課題発見力や構想力が大きく成長したと感じています。

また、グループワークを通じて役割分担を行いながら提案内容を磨き上げる過程では、チームで協働する力や他者の意見を取り入れる柔軟性も育まれました。社会人基礎力の観点から見ると、本プロジェクトは「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」を実践的に学ぶ機会になったと考えています。

実在する地域課題をテーマにしたプロジェクト型学習は、学生にとって大きな成長機会になります。今後もこうした実践的な学びを通じて、マーケティングと空間デザインを結びつけた課題解決力を育成していきたいと思います。

参加学生一覧

伊藤 栄嗣 大岸 菜都己 角張 遥菜 金城 茉琴 玉田 虎太郎 寺島 希美 平嶋 結菜 藤中 花音 藤本 佐友里 宮家 なつき 森下 美優 東 瑚子
THUY LAN TADANG NGHIA CHUE THANDARTUN 徳川 翠