産学連携先:Villa KUMANO

これまでのゼミ活動の中で、熊野地域を訪れるインバウンド観光客の特性や、地域内外の競合宿泊施設の動向について調べてきましたが、今回、施設代表の方からリノベーション課題に関するオリエンテーションをしていただいたことで、私たちの提案の方向性がより明確になってきました。
熊野という地域は、自然、信仰、歴史的背景が深く結びついた特別な場所であり、そこに滞在する体験そのものがブランド価値につながると感じています。私たち西口ゼミでは、サービススケープを研究テーマの一つとしているため、単なる空間デザインの提案に留まらず、「訪れる人が熊野の魅力を五感で感じられるような滞在体験」をマーケティングの視点から構築することを目指しています。
今後は、インバウンド観光客が求める体験や価値を丁寧に分析し、熊野らしさとグローバルな視点を融合させた新しい宿泊空間のあり方を提案できるよう、ゼミ生一同で協力して取り組んでいきたいと考えています。
経営学部2年 伊藤 栄嗣
   

  

連携先コメント

「Villa KUMANO」オーナー 様

このたびは、西口ゼミの皆さんに、私どもVilla KUMANOのリノベーションプランについてご提案いただけることを大変うれしく思っています。熊野という土地は、古くから多くの人々が癒しや祈りを求めて訪れる特別な場所です。ここでの滞在体験を、より多くのインバウンド観光客の方々に心から楽しんでいただくためには、建物のデザインや設備だけでなく、「熊野らしさ」を感じられる空間づくりが欠かせません。
私たちが運営する一棟貸しの宿は、ホテルのようなサービスを提供するのではなく、滞在そのものが旅の記憶となるような「暮らすように泊まる」体験を目指しています。その中で、皆さんの若い感性や柔軟な発想力を生かし、インバウンド旅行者が日本の伝統家屋で過ごす時間にどのような価値を感じ、何を期待しているのかを丁寧に考えながら、新しい提案を生み出してほしいと思います。
熊野の自然・文化・人の温かさを感じさせる空間のあり方を、学生ならではの視点で再構築してもらえることを楽しみにしています。皆さんの提案が、Villa KUMANOのこれからの発展、そして熊野地域の観光の新しい可能性につながることを期待しています。

教員コメント

西口 真也 教授

このたび、西口ゼミでは、和歌山県熊野地域にある一棟貸し宿泊施設「Villa KUMANO」様より、インバウンド観光客を主なターゲットとしたリノベーションプランの提案課題をいただくことになりました。地域に根ざした実際の宿泊施設の課題に、学生がマーケティングの視点から取り組む機会をいただけることは、大変貴重な実践学習の機会となります。 本ゼミでは、これまで「サービススケープ(Bitner, 1992)」の概念を中心に、空間デザインを含むマーケティングの研究を進めてきました。サービススケープとは、自然環境や社会環境とは異なる、人為的・物理的環境を対象とする概念であり、顧客の体験価値を高めるうえで重要な要素と考えています。今回の課題においても、宿泊施設そのものを単なる滞在場所としてではなく、熊野という土地の文化・自然・精神性を体験できる「ブランドスケープ」として再構築することを目指します。 今後は、施設代表の方から提示された課題内容をもとに、調査を通じて熊野地域の観光特性とインバウンド需要を分析し、ゼミ生各自がグループごとにリノベーションの方向性と具体的な提案を検討していく予定です。地域資源を生かしながら、国内外の旅行者に新たな体験価値を提供できるような魅力的な提案を行えるよう、学生たちとともに丁寧に取り組んでいきたいと考えています。