経営学部2年生森中ゼミでは、現・日本銀行京都支店と旧・日本銀行京都支店(現・京都文化博物館別館)を見学してきました。暑い京都、9月に入ったとは言えこの日も日差しが強く空は真っ青でした。

見学は午後からだったため、まずはホテルオークラ京都で昼食をとりました。同ホテルは京都の中心部にあり、高さ制限のある京都で最も高いホテルだそうです。そんなホテルの最上階で、京都の街並みや鴨川を眺めながら、みんなでゆっくり昼食の時間を過ごすことができました。
昼食後、本日メインの1つ、日本銀行京都支店へ向かおうとホテルを出ると、西側に桂小五郎像がありました。実は、現在ホテルオークラ京都がある場所には、江戸時代長州藩の屋敷がありました。桂小五郎は幕末の長州藩の志士であり、明治維新の中心的人物であった西郷隆盛、大久保利通と並ぶ「維新の三傑(いしんのさんけつ)」の1人です。彼は明治維新後に「木戸孝允」と改名しました。
現在、桂小五郎(の像)は、京都市役所のある方角(西)に向いて鎮座しています。これも何か意味があるのかもしれません。
そんな桂小五郎と一緒に写真に納まっている彼ら、そして一緒に行ったゼミ生もみんな挑戦する勇気をもってこれからの人生を切り拓いていってくれることを期待しています!
さて、今度こそ日本銀行京都支店へ向かいます。
現在の京都支店は昼食をとったホテルから北へ徒歩3分ほどのところにあり、警備やスタッフの方々がやさしく出迎えてくださいました。
日本銀行京都支店は1965年に三条高倉から移転されました。この後に行く旧日本銀行京都支店とは異なり、近代的かつシンプルではありますが存在感のある建物です。
見学ではまず動画で、お金の価値を守ることの大切さや、そのために日本銀行がどのような政策や業務を日々行っているかを学びました。さらにご担当者様から動画についてより詳しいご説明をお聞きしました。昨年(2024年)7月に発行された新紙幣に施されている偽造防止技術についても詳しく教えていただき、実際に自分の財布に入っている紙幣の表面を触ったり、光にかざしたり、拡大鏡やブルーライト等を使ったりして偽札チェック(監査)も行いました。
レクチャー後は、自由に資料を見学させていただきました。学生たちは1億円(〔模造〕1万円札が1万枚=約10kg)や1千万円をパックしたものを持ち上げて、その重さを実感しました。
現・日本銀行京都支店を後にした私たちは、三条高倉にある旧・日本銀行京都支店(現・京都文化博物館別館)を目指して三条通を西へ向かいました。

旧日本銀行京都支店の建物の設計は、東京にある日本銀行本店や大阪支店、東京駅丸の内駅舎などを手掛けた辰野金吾とその弟子によるものです。赤レンガと花崗岩の白いラインが印象的な明治期の美しい建物で、1969年に国の重要文化財に指定され、現在は博物館別館の別館として利用されています。
建物の中は自由に見学が可能です。
ここでの学生たちのミッションは、「銀行としての名残を2つ以上見つけること」です。学生たちは、その「名残」を探しつつそれぞれ見学して回りました。

建物の中に入る前に、最初に目についたのは鉄の大きな扉です。この扉には内側には取手がありますが、外側にはありません。この扉からは顧客の大切なお金を守るという銀行の強い意志が感じられます。
中に入ると、銀行のカウンター(復元)がありました。窓口から顔を覗かせる学生たちの下には、大理石を使った洗練されたデザインが施されています。
それに対して、カウンターの内側(旧営業室側)は、デザイン性よりも機能性が重視されているのでしょう。引き出しや棚がずらりと並び、当時の行員の方たちが中から書類や事務用品等を出し入れして、忙しく働く姿が想像できます。また、このカウンターは椅子が置けるような設計ではないように見えるところからすると、当時の方たちは立って接客していたのかもしれません。
カウンターの内側には、広い吹き抜けの明るいスペース(旧営業室)が広がります。天井からも日の光がたっぷりと入るよう設計されています。設置された電灯の数が少ないのも納得です。
もう1つの銀行の名残は、現在はカフェとして利用されている金庫棟です。その扉は非常に分厚く、ここからも当時の顧客の大切なお金が厳重に守られていた様子が窺えます。
今回の見学を通じて、学生たちは日本銀行が果たしている役割を再確認できたと同時に、職員の方のお話を伺い、自分たちの将来をより真剣に考える機会にもなったようでした。

学生のコメント

≪M.K.さん≫
 日本銀行京都支店を見学し、普段何気なく使っているお金の奥深さを知ることができました。特に偽造防止技術が印象的で、紙幣の細かい模様や3Dホログラム、特殊な印刷方法が人々の安心を支えていることを実感しました。また、日本銀行は単にお金を発行するだけでなく、物価の安定を目指して金融政策を行っていると学びました。物価が安定することで私たちの生活も安心できるという仕組みを理解し、経済と日常生活のつながりを強く感じました。
 今回の見学を通じて、金融の役割をより身近に考えるようになりました。

≪T.S.さん≫
 今回の日本銀行見学を通しての感想は、まず、日本の偽造防止技術が高すぎることに驚きました。1枚のお札に多くの最新技術が組み込まれている事は元々知ってはいましたが、想像以上でした。お金の価値を保証することがいかに大変か分かりました。そして1,000万円の札束を持ったり、40億円の札束の塊を見たりした時は、偽物とはいえここまで多くのお金を身近に感じたことが無かったため驚きました。
 最後に、お金がどのように循環しているのかという仕組みも知ることができたので、今回の日本銀行見学はとても良い経験になりました。

≪H.T.さん≫
 日銀の京都支店に到着し、受付を済ませた後に会議室に入らせてもらい動画とスライドショーを見せていただきました。動画の内容は日本銀行の役割についてで、事前に予習していた内容であり頭に入ってきやすかったです。その後はスライドショーで京都支店の中にある課の役割の説明と実際のお札を観察し偽造防止技術を確認しました。道具を用意していただいていたので、普段見ることのできないような小さい文字でNIPPONGINKOと描かれている部分を見ることができたときは、その偽造防止技術に感動しました。そして京都支店の方に質問をする時間をいただきました。就職に関する情報を知ることができて将来のことも想像することができました。
 日銀京都支店では説明をしてもらったり、実際に体験して紙幣の秘密を知ることができたりしたことで今後の学びに活かせる経験となりました。

【おわりに】

ご担当者の方々には、非常にわかりやすい説明を行っていただきましたこと、そして、学生からの様々な質問にもフランクにお答えいただきましたこと、感謝申し上げます。また、今回、見学を受け入れてくださいました日本銀行京都支店様にも改めて感謝申し上げます。ありがとうございました。